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ミカンは古くから日本人に愛されてきたフルーツの代表です。甘くて美味しいだけでなく、ビタミンCを豊富に含み、風邪やガンなどの病気の予防効果も期待できます。冬の寒い日に、家族団らんでこたつでミカンを味わう楽しみは日本ならではの醍醐味かもしれませんね。今回は、そんな馴染み深いミカンの栽培についてご紹介します。
ミカンは日当たり良好で、水はけのよい土壌、風が強く吹きつけない環境を好みます。
地植えのミカン栽培に適しているのは、年平均温度が15℃以上ある温暖な地域です。零下5度を下回るような環境では育ちません。霜に当たると株が弱って枯れてしまうので、地植えにするなら関東以南の地域が適しています。
ミカンの苗木を植え付けた直後は、毎日たっぷり水やりしてください。それ以降は表面の土が白く乾いたらたっぷり水やりします。
ただし、4月から9月までの乾燥時に日照りが続くようなら水やりが必要です。10月から12月までの成熟期は、乾燥気味に管理した方が果実の甘みが増しますよ。
常緑樹のミカンは1年中葉を付け続けるため、常に養分を必要とします。地植え、鉢植えともに、定期的に肥料を与えましょう。
目安としては、元肥3月、追肥6月、お礼肥10月の年3回、緩効性の化成肥料か有機質肥料を株もとに置き肥してください。
鉢植え栽培しているミカンは、苗よりも1回り大きな鉢に、赤玉土(小粒)7に対して腐葉土3の割合で混ぜた土を入れて植え付けます。または市販の果樹用培養土が便利です。
地植えしているミカンの場合は、植え穴を掘り堆肥を入れてよく耕しておきます。庭土5:腐葉土3:赤玉土2の割合で混ぜ合わせた土に元肥を入れて用土とします。
ミカンの木の植え付け時期は、暖地では3月、低温地では4月が適期です。植え付け前に、若い苗の接ぎ目より40~50cmほど上のところで、幹を切り詰めてバランスを整えておきましょう。
また、幼苗期は鉢で栽培し、結実年度になってから庭に定植させる栽培方式は、早期に多くの実を収穫できるのでおすすめです。
深さと幅が約50cmの植え穴を掘って、腐葉土と赤玉土小粒を混ぜあわせ、元肥を加えたらよく耕しておきましょう。苗木の根鉢を崩して根を広げて用土をかけてください。接ぎ木の部分が埋まらないよう浅植えにするのがコツです。
たっぷりと水を与えて根と土をなじませます。横に支柱を立て、若木を支えておきましょう。
苗よりも1回り大きな鉢に、鉢底ネットを敷き、鉢底石を入れてから、果樹用培養土を鉢底から半分くらいまで入れます。鉢の中心にミカンの苗を置き、2~3cmのウォータースペースを取って残りの用土を入れてください。
箸などで突きながら、根と土をなじませて植え付けたら、たっぷり水を与えましょう。
鉢植えの植え替え適期は3月下旬から4月中旬です。根詰まりを防ぎ、通気をよくするのが目的です。鉢の大きさ、生育具合にもよりますが、一般的に2年に1度は植え替えが必要となります。
ミカンの実には種が入っていないため、「挿し木」「接ぎ木」「植苗」の3つの方法で増やします。
「挿し木」は、ミカンの枝に根を生えさせて、木として育てる方法です。ご家庭でミカンの木を増やす場合には成功率が極めて低いのでおすすめしません。
「接ぎ木」は、ミカンの木によく似た「からたち」の木(台木)の幹を途中で切って、ミカンの枝(穂木)を繋げてそのまま大きくなるまで育てる方法です。
純粋に増やすのであれば、接ぎ木が効率が良いのですが、そこまで本格的に手間暇をかけられないという方は、苗から育てるのが一番早くて確実な増やし方です。
ミカンの木は、定期的な剪定が必要になります。剪定の適期は3月です。樹形を整え、込み合った枝を整理することで風通しがよくなります。不作の年に夏秋梢が多く発生した場合は、一部を予備枝として残し、ほかは剪定して整理しましょう。
着果数が多いミカンの場合は、まだ青い実を手やハサミを使って摘み取る「摘果」という作業を行いましょう。
株に実が付きすぎると、木に負担がかかってしまい、実が小さく味も落ちてしまいます。また、実った果実を全て成熟させてしまうと、翌年は果実が着きにくくなりますので注意してください。
摘果の適期は7月中旬から8月中旬です。7月に小さい果実が1つの枝に集中して着果しているところから摘み取ります。8月に仕上げ摘果を行い、鉢植えなら枝に1~2個、地植えなら葉っぱ20~30枚に1個の割合で、一番色ツヤがよいものを選んで残します。
熟す数を制限することで、株全体に栄養が行き渡り美味しい実を付けてくれますよ。
ミカンは、苗を植え付けあと5年前後くらいで実がなります。ミカンの収穫時期は、10~12月頃が適期です。ただし、種類や品種によっても若干異なります。
ミカンは病害の心配の少ない果樹ですが、害虫の被害には十分気をつけましょう。
ミカンは、すす病や黒点病、カイヨウ病、そうか病、うどんこ病に注意が必要です。病気にならないように風通しのいい環境で育て、病気が発生したら早期に薬剤を使って対処しましょう。
ゴマダラカミキリムシ、エカキムシ、カイガラムシ、ハモグリガ、ハダニ、アブラムシ等。ハダニなどにはケルセン剤等が有効です。幹から木くずが出ていたら、ゴマダラカミキリムシの産卵を疑いましょう。カイガラムシや、エカキムシの発生にも注意が必要です。
ミカンは開花時期の5月初旬頃になると、2~3週間ほど白い花を咲かせます。ミカンの花は、リラックス効果のある香りが漂います。
いかがでしたか。
ミカンの木は常緑で育てやすく、病害虫の心配が少ないのが特徴です。鉢植えでも楽しめ、果樹ビギナーの入門編としてもぴったりです。初夏になると白い花が咲き庭いっぱいに爽やかな香りが漂いますよ。もしもお庭に日当たりのよいスペースが空いていたら、ぜひミカンの木を検討してみてくださいね。
※トップ画像はSA.CHI.Yさん@GreenSnap
GreenSnap編集部