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みかんといえば古くから日本人に愛されてきたフルーツの代表種で、一般的には温州みかんのことをいいます。甘くて美味しいだけでなく、ビタミンCを豊富に含み、風邪やガンなどの病気の予防効果も期待できます。今回は、そんな馴染み深い温州みかんの栽培方法についてご紹介します。
みかんの木は根が広がりやすい性質を持っていたり、寒さに弱いため、庭に植えてはいけないといわれることもあります。ただし、広いお庭があったり、関東より西の地域(0℃を下回らない地域)等であれば、地植えしても問題ありませんので安心してください。
とはいえ、みかんの木はコンパクトに育てることができるため鉢植え栽培がおすすめです。
温州みかんには普通種と早生種の2種類がありますが、家庭菜園なら早生種を栽培するのがおすすめです。
早生種であれば寒くなる前に収穫できるため、温暖地以外でも育てやすいという特徴があります。また、みかんの木は1年おきに実のつき方が大きく変動する現象がよく起こりますが、これが起こりにくく安定して収穫することができます。
みかんの木は日当たりと水はけのよい、風が強く当たらない場所を好みます。
また、弱酸性の土質を好むため、地植えの場合は庭土ベースでも育ちます。ただし、水はけの改善と栄養を補う必要があるため、植え付け前に軽石や堆肥、腐葉土などを入れてよく耕しておきましょう。
鉢植えの場合は、市販の果樹専用の培養土がおすすめです。もしくは、草花用の培養土に軽石を混ぜた土でも育ちます。鉢底には鉢底石と鉢底ネットを入れてください。
みかんの木の植え付け時期は、暖地では3月頃、低温地では4月頃が適期です。
植え付け前には、苗の接ぎ目より40〜50cm上で幹を切り、バランスを整えましょう。幼苗期は鉢で育て、結実する年になったら庭に植え替えると早く実を収穫できます。
なお、植え付ける際は深さと幅が約40cm程度の植え穴を掘り、苗の根鉢を崩して古土を落とし、根を広げて植えます。このときなるべく根を切らないように注意し、根鉢の側面に3cm間隔ですじをつけておくといいです。
また、接ぎ木部分が埋まらないよう、浅めに植えるのがポイントです。植え付けた後は、たっぷり水を与えて根と土を馴染ませ、支柱を立てて若木を支えておきます。
みかんの苗木を植え付けた直後は、毎日たっぷり水やりしてください。それ以降は表面の土が白く乾いたらたっぷり水やりします。乾燥に弱いため、鉢植え栽培の場合は特に水切れに注意しましょう。
ただし、10〜12月までの成熟期は、乾燥気味に管理した方が果実の甘みが増します。
常緑樹のみかんは1年中葉を付け続けるため、常に養分を必要とします。地植え、鉢植えともに、定期的に肥料を与えましょう。
目安としては、元肥3月、追肥6月、お礼肥10月の年3回です。緩効性の化成肥料か有機質肥料を株もとに置き肥してください。
みかんの木は植え付けから数年間は、剪定しながら樹形を整える必要があります。樹勢が強い場合は主枝2〜3本の開心自然形、樹勢が弱いものは2 本仕立てにするのがおすすめです。剪定方法は、以下の記事を参考にしてください。
みかんの木は、苗期の植え付けから実がなるまでに、鉢植えなら3〜4年、地植えなら4〜5年ほどかかるといわれています。
この間に剪定を繰り返し、実つきがよくなる樹形をつくっておきましょう。
着果数が多いみかんの場合は、まだ青い実を手やハサミを使って摘み取る「摘果」という作業を行いましょう。
株に実が付きすぎると、木に負担がかかってしまい、実が小さく味も落ちてしまいます。また、実った果実を全て成熟させてしまうと、翌年は果実が着きにくくなりますので注意してください。
摘果の適期は7月中旬から8月中旬です。7月に小さい果実が1つの枝に集中して着果しているところから摘み取ります。8月に仕上げ摘果を行い、鉢植えなら枝に1~2個、地植えなら葉っぱ20~30枚に1個の割合で、一番色ツヤがよいものを選んで残します。
熟す数を制限することで、株全体に栄養が行き渡り美味しい実を付けてくれますよ。
みかんの実には種が入っていないため、「挿し木」「接ぎ木」「植苗」の3つの方法で増やします。
「挿し木」は、みかんの枝に根を生えさせて、木として育てる方法です。ご家庭でみかんの木を増やす場合には成功率が極めて低いのでおすすめしません。
「接ぎ木」は、みかんの木によく似た「からたち」の木(台木)の幹を途中で切って、みかんの枝(穂木)を繋げてそのまま大きくなるまで育てる方法です。
純粋に増やすのであれば、接ぎ木が効率が良いのですが、そこまで本格的に手間暇をかけられないという方は、苗から育てるのが一番早くて確実な増やし方です。
みかんは病害の心配の少ない果樹ですが、害虫の被害には十分気をつけましょう。
みかんは、すす病や黒点病、カイヨウ病、そうか病、うどんこ病に注意が必要です。病気にならないように風通しのいい環境で育て、病気が発生したら早期に薬剤を使って対処しましょう。
ゴマダラカミキリムシ、エカキムシ、カイガラムシ、ハモグリガ、ハダニ、アブラムシ等。ハダニなどにはケルセン剤等が有効です。幹から木くずが出ていたら、ゴマダラカミキリムシの産卵を疑いましょう。カイガラムシや、エカキムシの発生にも注意が必要です。
みかんの木は常緑で育てやすく、病害虫の心配が少ないのが特徴です。鉢植えでも楽しめ、果樹ビギナーの入門編としてもぴったりです。初夏になると白い花が咲き庭いっぱいに爽やかな香りが漂いますよ。もしもお庭に日当たりのよいスペースが空いていたら、ぜひみかんの木を検討してみてくださいね。
※トップ画像はSA.CHI.Yさん@GreenSnap
GreenSnap編集部