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爽やかな酸味と香りが特徴のレモンは、栽培が難しそうに見えて、実は初心者でも栽培しやすい果樹のひとつです。
今回は、そんなレモンの育て方を、鉢植えと地植えに分けて詳しくご紹介します。実の収穫方法、病害虫やよくある質問などについても記載しているので、ぜひ参考にしてくださいね!
レモンは、インドが原産の常緑高木です。年に三回花を咲かせる四季なり性で、柑橘類の中では最も酸味が強く、料理やお菓子、飲み物など、色々な使い方ができます。
レモンは水やりや肥料やりの頻度が少なく、育て方も易しいので、ほったらかしにしていてもある程度の実の収穫を楽しむことができます。一本で受粉・結実可能なので、受粉樹の複数栽培は必要ありませんよ。ただし、樹勢が強く、適度に剪定や仕立てを行わないと大木に生長してしまうので、その点は注意しましょう。
乾燥、温暖を好む果樹のため、寒さに弱いので冬場は注意が必要です。鉢植え栽培のほうが管理しやすいと言われてますが、何年もほったらかしにすると根詰まりを起こして枯れてしまうことがあるので、2年に1度の頻度で植え替えを行いましょう。
レモンの木は、結実するまでに2〜3年ほどかかります。さらに、大きく味の良い実ができるまでには、5年ほどの期間が必要です。
早く実の収穫を楽しみたいという方は、すでに3年以上栽培されている「大苗」を購入するのがおすすめです。
苗は「2年生苗」「3年生苗」などと呼ばれることが多いです。実際に実がつくのは3~4年目と思っておいてください。若い苗は花がついても結実することは少ないですよ。
レモンの木は、暖かくて乾燥した環境を好みます。強い風が当たらず、日当たりが良く暖かい場所で栽培しましょう。
レモンは寒さに弱く、−3度までしか耐えられません。家庭で育てる場合は、基本的に鉢植えで管理し、冬場は室内に取り込んで管理するのがおすすめです。鉢植え栽培のレモンは、梅雨の時期は軒下などの雨が当たらない場所に移動させて管理しましょう。
レモンの木は、冬でも暖かく、雨が少ない沿岸地方などであれば、地植えでも栽培することもできます。レモンの冬場の管理については、後述している部分を参考にしてくださいね。
レモンの木は、排水性と保水性が良く、肥沃な土壌を好みます。有機質の多い肥沃な土壌で育てることで、たくさんの果実の収穫が期待できます。
鉢植え栽培のレモンは、市販の果樹用の培養土を使用すれば良いでしょう。自分で配合する場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜたものに、川砂をブレンドしてください。
また、元肥として、12〜1月に有機質配合肥料を1株に1kg目安で与えておきます。
地植え栽培のレモンは、植え穴を掘ったあと、掘り上げた土5:腐葉土3:赤玉土2:1株あたり300g程度の化成肥料を配合します
配合した土を半分ほど植え穴に戻し、レモンを植えていきましょう。
レモンの苗の植え付け時期は、3〜5月にかけてが適期です。柑橘類は、土の表面が盛り上がるくらい浅植えで植え付けるのがコツです。
鉢植え栽培のレモンは、苗鉢よりもひと回り〜二回りほど大きな鉢に植え替えます。あまり大きな鉢に植えると、根ばかり生長してしまうので最初は適したサイズの鉢で栽培しましょう。7〜8号鉢が目安です。
レモンの木は地植えすると大きく育つため、複数の苗木を植え付ける場合は、苗同士の間隔を5〜6mほどあけてください。
レモンの木は水切れを起こすと花が落ち、翌年の実がつきにくくなるので気をつけましょう。また、実が大きくなる夏場は特に水をしっかりと与えることが大切です。結実させるためには、
鉢植え栽培のレモンは、鉢の表土が乾いたら、鉢底から水がしみ出るくらいまで、たっぷりと水を与えましょう。
地植え栽培のレモンは、基本的に水やりは不要です。自然の降雨のみで育ちますが、真夏の暑い時期に1週間以上晴れた日が続いた場合は、軽く水やりをしておきましょう。
レモンは細い根をたくさん張るので、過湿にも乾燥しすぎにも弱いです。表土が乾いたらしっかり水を与えましょう。
レモンへの追肥は必ずしも必要というわけではありません。
ただし、大きい実をたくさん収穫したい場合は、毎年12月〜1月に有機質配合肥料を、3月に化成肥料を施しましょう。与える肥料は、ゆっくり効き出す玉肥の油かすなどが使いやすいでしょう。
レモンの肥料について、詳しくは関連記事を参考にしてくださいね。
レモンの木は樹勢が強いので、放っておくと大きくなり過ぎてしまいます。枝葉を制限するために、定期的に間引きながら剪定していきましょう。剪定時期は、3月頃が適期です。
苗が小さいうちから、こまめに剪定をして樹形を整えていくのが大切です。レモンの木の剪定方法について、詳しくは関連記事を参考にしてくださいね。
耐寒性が強い定番「リスボン」は大きな木になるので剪定が必要です。「ユーレカ」は枝が横に伸びていくので大きな木にはなりづらいですよ。
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また、前年に花芽がたくさんついた枝には、翌年花芽がつきにくくなります。花芽がたくさんついた「なり年」には枝を切り戻す摘心を行いましょう。
レモンの木にたくさん花芽がついた「なり年」には、夏枝と秋枝を摘心して切り戻していきます。こうすることで、翌年に花芽をつける枝を増やすことができます。
花芽がつき過ぎると、翌年に花芽の数が少なくなってしまうので、摘芯を行ってしっかりと防ぎましょう。
レモンの開花後、次第に青い実がつきはじめます。ひとつの枝に実がつきすぎると、翌年実が少なくなる可能性があるため、適度に摘果を行う必要があります。
5〜6月頃に開花した秋果(秋に熟す実)を残して、夏枝・秋枝についた冬果・春果は摘み取ってしまいましょう。秋果も多すぎると実つきが悪くなるので、8月ごろ、20〜30枚の葉を目安に1果残すことを目安に摘果します。
レモンの収穫時期は、9月〜翌5月頃です。レモンの実が黄色く色づくのは12月頃からですが、9月以降であれば、未熟な果実も収穫することができます。
温暖では、翌年の5月ごろまで実らせたままで、必要に応じて収穫しても問題ありません。
レモンのヘタを清潔なハサミやナイフで切り取って収穫していきましょう。この時、ほかの枝を傷つけないよう注意します。レモンの木にはトゲがあるので、作業するときは長袖を着用し、軍手などの手袋をはめて作業してくださいね。
まだ青い未熟なレモンを収穫した場合は、涼しい場所で保管し、追熟させます。
品種にもよりますが、基本的にレモンの木は寒さに弱い植物です。−3度以下になると株が弱り枯れてしまうので、冬の気温が5度を下回る地域では、鉢を室内に取り込んで管理します。
窓辺などの冷気が当たる場所は避け、心配な場合は不織布などを巻いて寒さが直接当たらないように防寒対策をしてやると良いでしょう。
地植え栽培のレモンは、ワラなどを株元に敷いてマルチングしておきましょう。
レモンの木の植え替え時期は、植え付け時期と同じ3〜5月頃が適期です。地植え栽培のレモンの木は、植え替えは必要ありません。
レモンの木は、「接ぎ木」「挿し木」で増やすことができます。
レモンの増やし方では「接ぎ木」という方法が最もおすすめです。台木には抵抗力の強いカラタチなどを用いましょう。
「挿し木」の場合は、レモンの枝を10cmほど切り取ったら水につけて湿らせたあとに用土に植え付けていきます。どちらの方法でも良いですが、剪定をかねて挿し木などすると木に与えるダメージも最小限にできます。
あまり一般的ではありませんが、レモンの実から取った種で増やすことも可能です。レモンは種から育てると勢いよく育つことも特徴。しかし、花がつくまでには10年近くかかることもあります。
このため、早く収穫したいならば、やはり接ぎ木などで増やすのがおすすめです。
レモンの花が咲いたのに実がならない場合は、うまく受粉ができていない可能性が考えられます。
花つきが悪かったり、室内などの花粉を運ぶ虫のいない環境で栽培することで、受粉がうまくいかないケースが発生します。
その場合は、綿棒や筆などで花をひとなでし、花同士を受粉させてあげましょう。また、若い苗の花は結実しないことが多いですよ。
家庭菜園士 七尾びび
レモンを地植え栽培する場合には、「リスボン」や「ビラ・フランカ」などの品種がおすすめです。
レモンは基本的に温暖な気候を好むため、冬の時期に鉢の移動ができる鉢植えでの管理がおすすめですが、もし庭などに地植えして育てる場合は、樹勢が強くて耐寒性も強い品種を選ぶと良いでしょう。
「ユーレカ」は枝が横に伸びていくので、地植えでも大きな木にはなりづらいです。「マイヤー・レモン」は酸味が少ない実をつけるタイプですが、寒さに強いので地植えにも向いています。「璃の香(りのか)」も寒さや病気に強いので注目度が高いレモンですよ。
家庭菜園士 七尾びび
鉢植えレモンは、日当たりの良い南向きの場所を確保できれば室内栽培も可能です。
ただし、冷暖房の風が直接当たるような場所には置かないように注意してください。
また、室内で育て続けていると、コバエなどが発生する可能性があります。未熟な有機物を含む堆肥や肥料が原因で起こるため、完熟のタイプを選ぶだけでも、虫の発生は多少違うでしょう。
家庭菜園士 七尾びび
レモンの葉っぱが黄色く変色して枯れるときは、「気温が低い」「根腐れしている」「カイヨウ病にかかった」などの原因が考えられます。
レモンを地植えしている場合は、敷き藁や寒冷紗で苗木を覆うなど対処してみましょう。鉢植えにしている場合は、室内に取り込んだり、植え替えを行うなどしてください。
また、レモンの実にも斑点がついている場合は、カイヨウ病の発症を疑いましょう。雨や風で葉同士がこすれるとカイヨウ病が出やすくなります。カイヨウ病を発症した箇所は、見つけ次第取り除いてください。
家庭菜園士 七尾びび
レモンの葉っぱが丸まるときは、「ハダニが発生した」「エカキムシが発生した」などの原因が考えられます。
葉の裏側に虫がいた場合はハダニの可能性が高いです。また、葉っぱに虫が通ったような白っぽい跡が残っている場合は、エカキムシ(ハモグリガの幼虫)の可能性が高いです。
どちらも見つけ次第、殺虫剤などで駆除し、葉っぱは取り除いておいてください。虫が発生するのを予防するには、木酢液にカキガラなどの石灰を溶かした液肥がおすすめです。発生後には、ストチュウ*酢・焼酎・トウガラシ・ニンニクを混ぜる(を葉面散布しましょう。
家庭菜園士 七尾びび
レモンの木は、新芽が出る頃にアオムシやアブラムシなどの害虫の被害に注意が必要です。また、雨が多い時期や、風が強いときは、葉がこすれてかいよう病にかかることがあります。できるだけ風の当たらない場所で管理しましょう。
レモンの病害虫について、詳しくは関連記事を参考にしてくださいね。
レモンの栽培は難しそうですが、実は初心者の方にも易しいので、チャレンジしやすい植物です。自宅で育てたレモンを使って、料理やお菓子が作れたらとても素敵ですね。
ぜひ、レモンの木の栽培に挑戦してみてくださいね。
七尾びび
GreenSnap編集部