warning
error
success
information
キャベツ(和名:球菜、甘藍)は栄養価が高く、実はプランターでも栽培できることから家庭菜園としても人気の野菜の一つです。そんなキャベツの育て方や、プランター栽培のコツ、収穫方法などについて、詳しくみていきましょう。
キャベツは栽培期間は長めですが、種まきの時期と害虫対策をしっかり意識しておけば、育て方の難易度はさほど高くありません。キャベツは寒さには強い一方、暑さには弱いです。苗の成長期が真夏にならないよう、寒冷地以外では、夏まきもしくは秋まきでキャベツを育てるのがおすすめです。キャベツは収穫間近になると害虫被害に遭いやすくなります。秋まきが一番害虫被害が少なく作りやすいですが、新芽のときからとにかく虫の被害を受けやすい野菜なので収穫までしっかり害虫対策をしましょう。
キャベツは高温を嫌いますが、日当たりがよく風通しの良い場所で栽培しましょう。栽培適温は15〜20℃前後と冷涼な環境が栽培に適しています。
キャベツはプランターでも育てることができるので、家庭菜園やベランダ菜園でも挑戦してみましょう。
キャベツの種まきは春まき、夏まき、秋まきと年3回ほどできます。
ただし、キャベツの種が発芽しやすい気温は15~30℃ですので、寒冷地以外の地域では夏まきか秋まきが一般的です。栽培地の気温に合わせて作業しましょう。
キャベツは育苗トレーや育苗ポットに種まきをして、育苗してから植え付けて育てます。直まき(畑やプランターに直接種まきすること)もできますが、こちらの方法が気温に左右されず質のいい苗がつくれますよ。
種をまいてから3日ほどで発芽しますが、発芽までは新聞紙などで囲い、温度を一定にしておくと発芽しやすくなります。発芽してからは虫の発生を防ぐためにも、寒冷紗をかけておきましょう。
夏なら種まきしてから35日程度で本葉5~6枚程度の大きさに成長します。秋や春に種まきした場合は、40~45日程度かかるので、植え付け時期から逆算して育てましょう。
キャベツの栽培に適した土は、pH5.5〜6.5の弱酸性のものです。日本のほとんどの土は酸性に傾いているので、植え付け3〜4週間前から準備して、苦土石灰などで酸度調整をしましょう。
キャベツは湿度が高いのを嫌うので、水はけのよい土づくりも大切です。
プランターでキャベツを育てるときは、市販の野菜用培養土か、野菜に適した配合の土をつくりましょう。
自分でいちから土作りをする場合は、「赤玉土小粒6:堆肥3:バーミキュライト1」と用土1ℓあたり20〜30gの化成肥料を混ぜましょう。1週間寝かせたら用土1ℓあたり2〜5gほどの苦土石灰を混ぜて酸度調整をします。
苗の植え付けに使うのは、さらに1週間ほど土を寝かせてからです。
キャベツを畑などの露地栽培で育てるときは、1㎡あたり100〜200gの苦土石灰を混ぜて1週間寝かせます。その後、1㎡あたり堆肥を2kg、緩効性化成肥料を100gほど施し混ぜ、さらに1週間ほど土を寝かせてから植え付けに備えてください。
なお、キャベツを植え付けるときは、あまりにも日差しが強く暑い日は避けましょう。そのようなときは、夕方の涼しくなった頃におこなってください。
プランターでキャベツを育てるとき、プランターのサイズは深さ20cm以上、幅65cmのものを用意しましょう。
キャベツは乾燥を好むので、水やりはかなり控えめにして育てましょう。とはいえ、一回に与える量は底からしみでるまでたっぷりが基本です。
タイミングは土が乾き切ったら晴れた日の朝に水やりしてください。遅くとも午前中までに水やりを終えて、夕方には表土が乾いている状態にするのが好ましいです。
畑でキャベツを育てているなら、定植直後の1週間は乾きすぎないように水やりをして、根付いたあとは雨の水分で問題ありません。基本的に水やりは不要ですが1週間以上雨が降らない日が続くようなら水やりをしてください。
キャベツは定植から収穫までに2〜3回ほど追肥をします。それぞれ育てる時期によって追肥のタイミングが異なるので、下記の表を参考にしてください。
1回目 | 2回目 | 3回目 | |
春まき | 定植後2週間 | 結球初期 | なし |
夏まき | 定植後2週間 | 結球初期 | 12月ごろ |
秋まき | 翌春に新芽が伸びたら | 結球初期 | なし |
なお、春まき・秋まきで早生種のキャベツを育てる場合は、追肥は結球初期の時期に1回与えれば問題ありません。
キャベツの品種にもよりますが、キャベツの定植から収穫までに必要な肥料の全量は、それぞれ下記の通りです。
土づくりの段階で元肥としてこの全量の1/3ほどを混ぜているので、残りの必要な肥料は追肥で2〜3回に分けて施しましょう。
追肥の回数にもよりますが、だいたい一株あたり化成肥料10g、もしくは1㎡あたり50gほどです。株の周りにドーナツ状にまくか、畝の両側に浅い溝を掘って肥料をまき、周りの土をほぐし混ぜなら、株下に土寄せしましょう。
窒素分が不足すると、外葉が赤紫になります。逆に窒素が過剰だと甘みが減るので、追肥は生育を見ながら調整したいところです。カルシウムが不足していると病害虫に弱くなります。葉のまわりが枯れてくるので、これで見分けましょう。不足しているようなら、カルシウム系の栄養を追肥してください。葉面散布できる液肥は即効性があります。
キャベツの収穫時期は育てる時期によって異なり、それぞれだいたい下記の時期に収穫を迎えます。
収穫は結球部分を上から押して硬くしまった状態を目安としてください。大きさでは判断しにくいので、必ず結球部分の硬さで確認しましょう。しっかりとしまったものからどんどん収穫してください。
キャベツの大きく広がった外葉を手で外側へ押し倒し、キャベツの結球部分を少し傾けて根元に包丁をいれ、切り離します。外葉3枚程度つけたままの状態で収穫するのが好ましいです。
キャベツは防虫ネットや殺虫剤など、虫や病気に対して予防が必要な葉菜植物です。アオムシをはじめ、ヨトウムシ、シンクイムシ、コナガなどと害虫がとてもつきやすいです。
人間にとっても柔らかく美味しいと感じる葉は、虫たちにとっても最高の食事です。虫が発生する前に、殺虫剤を塗布するなどして予防します。殺虫剤の使いすぎが気になる場合は、トンネル支柱と防虫ネットを使って、害虫を防ぐこともできます。しっかりと虫の進路を防ぐようにしましょう。
病気は、根こぶ病、黒腐病、菌核病に気をつけないといけません。根こぶ病は、キャベツなどのアブラナ科に分類される植物でよく起きる病気で、それらの間でしか感染しません。これは用土の酸性度が低いと起きやすい病気です。
土壌のpH濃度は気をつけましょう。また、湿度が高すぎたり、日照時間が長い場合も発病の原因です。
土の中にリン酸が多いと根こぶ病を発症しやすくなります。リン酸の過剰施肥に注意しましょう。リン酸は水に流れづらく、野菜の根に残りやすいので、与えすぎには注意です。
キャベツは、肥料を上手に与えないと上手く結球しません。結球に必要なのは「窒素分」です。うまく結球させるためには、まず外葉の数を増やし、葉を大きくしないといけません。外葉を大きくするのが窒素です。結球を始めた初期に窒素が不足してもうまく結球しません。肥料切れに注意しましょう。キャベツの美味しさを左右するのが肥料なので、肥料の項目を参考に、品種や地域、栽培時期に合わせた施肥量をよく確認して追肥していきましょう。
また、地面の温度も大切です。キャベツの栽培適温は15〜30度なので、とくに夏まき(夏植え)キャベツは生育不良を起こしやすいです。畑栽培なら白黒マルチをはる、もしくは、プランターならできるだけ涼しい場所で育てるようにしましょう。
家庭菜園士 七尾びび
キャベツは芯(内側)から成長する野菜です。そのため収穫のタイミングを逃すと、球が壊れ腐っていきます。害虫被害に遭いやすくなるため、収穫時期についても気をつけましょう。
とくに夏に収穫期を迎える春まき栽培では、暑さによって結球が割れやすいので、どんどんと手早く収穫していかないといけません。
家庭菜園士 七尾びび
キャベツはアブラナ科の野菜なので、連作障害が出やすいです。そのため2〜3年は同じアブラナ科の野菜の連作は避けてください。
キャベツの後作に不向きなのは、同じアブラナ科のブロッコリー、小松菜、ダイコンなどです。反対に後作に向いているのが、マメ科の枝豆やそら豆、セリ科のニンジンなどです。季節に合わせてアブラナ科以外の野菜からチョイスしましょう。
家庭菜園士 七尾びび
キャベツのコンパニオンプランツはキク科の野菜がおすすめです。たとえばサニーレタスやリーフレタスならプランターでも寄せ植えしやすいですよ。
キク科の植物は、キャベツが被害にあいやすいモンシロチョウの幼虫やコナガが嫌う成分を発しているので、害虫の忌避効果につながります。
夏の時期にレタスは育ちませんが、変わりにサルビアなどの赤い花を近くに植えておくのがおすすめです。害虫は赤色を嫌う性質があるので、害虫被害を軽減できます。
家庭菜園士 七尾びび
ゆみこさん
京花
lee
先ほど栽培ポイントでも解説したように、確かに土や肥料は上手にキャベツを栽培するコツのようです。葉が丸く巻いたキャベツがなったら、きれいな状態で収穫するためにも、防虫ネットで対策しておくのも大切かもしれませんね。
キャベツを収穫せずに放置しておくと、小さな黄色い花を咲かせます。キャベツの花の開花時期は5月頃となっています。
春先には淡い黄色の花を咲かせるキャベツは、その花を愛でるというよりも、食卓で結球した実、つまりキャベツを食べるのを目的としています。家庭菜園の人気な今、自宅の庭やプランターで育てて見たいという人も多くいることでしょう。
キャベツは、家庭菜園の中でも栽培するのにすこし難しくコツがいる植物です。害虫も多く、世話も大変です。その分、きれいに結球となったときに楽しみは一入です。ご家庭で採れたてのキャベツを食卓で楽しめるよう、キャベツ栽培にチャレンジしてみませんか?
七尾びび
GreenSnap編集部