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独特の気品ある清々しい芳香を持ち、ヨーロッパでは古くから高貴な香りのシンボルともされてきたタイム。防腐作用もあることから広い分野で重宝されてきたハーブでもあります。
今回はそんなタイムについて、育て方を中心に簡単にご紹介します。
タイムは非常に丈夫なため、多少の日陰でも育ちはします。とはいえ、日当たりが良いほうが、葉の色艶がよくなり、元気に育ってくれます。
ただし、強い日差しや西日で鉢の温度が上昇しすぎると、生育が悪くなるか、最悪枯死してしまう可能性もあるので注意してください。
タイムは日当たりの良さだけでなく、風通しの良さも好みます。
夏の暑さには弱いため、真夏は特にコンクリートなどに置いて育てては枯れてしまうので要注意です。季節ごとに移動させるのが無難でしょう。
春は日当たりのいい、もしくは半日陰の戸外へ、夏は半日陰もしくは日陰の風通しのいい戸外へ、秋は日当たりの良い場所か半日陰の戸外へ、冬は下にあたってもいいならば戸外、可能ならば日当たりのいい室内へと置いてあげるのがよいでしょう。
なお、ある程度の耐寒性はあるので、霜が当たっても枯れはしませんが、葉岳麓変色してしまいますので、藁などで霜よけをしてあげるといいでしょう。
乾燥気味に育てられることを好むので、鉢植えの場合には、土が乾いたら水を与えるという程度で水やりは行いましょう。
地植えならば、一度根付けば水やりはほぼ必要ないです。ただし、植え付け直後の根付くまでの1ヶ月間は、たっぷりと水を与えてください。
夏場は乾きやすいですが、多湿にならないようにチェックしてから水を与えるようにしてください。
冬は生長期ではなく、むしろ生育が鈍ってしまうので、水やりの回数は減らしてください。土の表面が乾いて数日経ってから、水やりをする程度で問題ありません。
タイムへの肥料は年間を通して控えめで問題ありません。まずは植え付ける段階で、緩効性の粒状肥料を土に混ぜておきます。
その後、真夏以外の春〜秋の間は、2週間に1度の頻度で緩効性の肥料を、もしくは固形肥料を根本に与えるだけでいいでしょう。肥料を適当に与えた分だけ、生育度合い、葉の色艶、香りが抜群によくなります。
ただし肥料が多すぎると、逆に生育が鈍くなって香りが弱くなる、もしくは枯れてしまいます。
タイムは乾燥に強く過湿を嫌うので、水はけのよい土壌を選ぶ、もしくはつくるといいでしょう。
鉢植えの場合には、赤玉土7・腐葉土3の割合で混ぜた配合土を使ってください。
もしも地植えにするならば、タイムは酸性の土壌を嫌うため、植え付け前1・2週間前に石灰をよく混ぜ込んでおくといいかもしれません。
なお室内で育てるケースならば、ピートモスの使用はさけてください。ピートモスは酸性度が強いため、タイムの栽培には適していません。ハーブ専用土などは、事前に中和状態にされているので便利でしょう。
タイムの植え付けは真夏、真冬以外の3〜4月、9〜10月頃に行いましょう。一方の植え替えは、同様の時期を選び、毎年行うようにしましょう。
根の張りが早い植物なので、鉢底から根がはみ出してきた段階で替え、もしくは株分けをしていく必要があります。植え替えのさいに根が切れても、すぐに生長するので多少の切断は心配はいりません。
根詰まりを起こすと、タイムの葉が全体的に黄色く変色してくるので、注意しておきましょう。
タイムは「挿し木」で増やすことが可能です。種まきもできますが、個体差があるので、香りがよい株を確実に増やしたいならば、挿し木がおすすめです。
挿し木の方法は以下です。
まず蕾がまだついておらず、木のように固くなっていはいない枝を10センチほど切ってください。そして切り取った枝の下方の葉を取り除き、水の中につけることで給水させてください。
さらに切り口を斜めに切って、バーミキュライトを入れた鉢に挿してください。そして根が出るまでは直射日光を避けて、水を切らさないようにしておきましょう。
根が出たら、小さな鉢に仮植えをして、生長したら鉢に植えてあげましょう。真夏と真冬以外ならば、いつでも可能です。
病気は、高温多湿の群れにさえ注意すれば、特に見受けられることがないほどに強いです。害虫も基本的に寄り付かない性質です。
タイムの発芽適温は15〜25℃です。ですので、種まきに適している時期は、4〜5月か8月下旬〜10月中旬といえるでしょう。
一方の生育適温は5〜20℃なので、夏場は日陰、冬は室内で育てて、長生きできるよう守ってあげましょう。
タイムは枝が密に茂ってしまい、風通しが悪くなると、蒸れて葉が枯れてしまうことがあります。
高温多湿となる梅雨の頃に、特に起こりやすいので、密生している場合は、梅雨前に株全体の1/3くらいを刈り込みましょう。
これは収穫も兼ねて行うことになります。なお、冬前も同様に刈り込みを行っておけば、春にはきれいに芽が出そろうでしょう。
主に茎葉の収穫をするならば、花が咲く前に摘み取ってください。花が咲くと香りが弱くなっていまいます。
タイムの主な利用部分は葉ですが、場合によっては花や茎も用いられます。
タイムは、ハーブの中でも一番とも言われるほどに強力な殺菌作用と抗ウイルス作用をもっています。そのため、風邪、インフルエンザなどの感染症を予防したい、もしくは喉の痛みが気になる場合に、タイムを入れたハーブティーをうがい薬として使うと効果的だとされています。
ハーブティーとして使うには味が濃いうえぴりっとすることもあるので、薄めにするかブレンドするなどで飲まれることが多いようです。
ほかにも去痰作用や鎮痙作用、気管支炎やぜんそく、咳等の症状緩和にも効果があり、さらには心身の疲労回復や不安・抑うつ改善にも役立つとも期待されています。
また肉料理、スープ、シチューなどの香りづけに、フランス料理を中心としてよく用われているそうです。
タイムは約350種類も存在します。
そのうち主に2タイプに分類でき、一般的なタイムである「コモンタイム」のような立ち性タイプと日本に自生する「イブキジャコウソウ」のように這い性になります。
種類や品種によって香りが異なり、レモンタイムのように柑橘系の香りがする種から、キャラウェイタイムのように少し甘い香り、ロンギコーリスタイムのような清涼感のあるものまでさまざまです。
最もよい香りとされている種は「フレンチタイム」で、コモンタイムの選抜品種となっています。
タイムは種類や品種によって、香りだけでなく花の形や色も異なります。
一般的に知られ使われているコモンタイムは、小さなピンク色のはなをシロツメクサのように細かく咲かせるのが特徴です。
タイムの花言葉は、「活気」、「勇気」、「清潔感」、「あなたの姿に感動する」といった意味があります。
冬の寒さで枯れてしまっても再び復活できる強さから、これらの花言葉が名づけられたといわれています。「清涼感」については、その香りが花言葉の理由でしょうが、実際に抗菌作用も高く清潔にしてくれる作用もあるので、落ち込んでいる友人にあげるのもいいかもしれませんね。
今回は清涼感あふれるハーブとして広く知られているタイムについて、育て方を中心に簡単にご紹介しました。
一般的にメディカルハーブとして知られるコモンタイム以外にも、クリーピングタイムやラベンダータイム、レモンタイム、シルバータイムなど様々な品種があるので、好みの香りの種類を探して育ててみましょう。
takenaka