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独特の気品ある清々しい芳香を持ち、ヨーロッパでは古くから高貴な香りのシンボルともされてきたタイム。防腐作用もあることから広い分野で重宝されてきたハーブでもあります。
今回はそんなタイムについて、育て方を中心に簡単にご紹介します。
タイムは暑さにも寒さにも強いため、地植えでも鉢植えでも育てられます。
ただし、長期間育てたい場合は冬越しがより容易な地植えをおすすめします。一方、スペースが限られている場合や株数を増やしたくない場合は鉢植えがおすすめです。
タイムの種まき時期は、春まきなら4〜5月頃が適期です。
セルトレイや育苗ポットに土を入れ、指で軽くくぼみをつけます。そこへ種を1〜2粒ずつまき、土を薄く被せて手で軽く抑えて密着させます。
種まき直後は水切れしないよう、たっぷり水やりしてください。
苗から植えるなら、4〜6月頃に行いましょう。種まきからの場合は、茎が5〜6本ほど出てきた頃が定植の目安です。
タイムは日当たりがよく、風通しのいい場所で育てます。
ただし、非常に丈夫なため多少の日陰でも育ちはしますが、日当たりが良いほうが、葉の色艶がよくなり、元気に育ちます。強い日差しや西日にあたると、枯死する可能性もあるので注意してください。
また、猛暑も得意ではないので、真夏は特にコンクリートなどに置いて育てては枯れてしまうので要注意です。季節ごとに移動させるのが無難でしょう。
春は日当たりのいい、もしくは半日陰の戸外へ、夏は半日陰もしくは日陰の風通しのいい戸外へ、秋は日当たりの良い場所か半日陰の戸外へ、冬は下にあたってもいいならば戸外、可能ならば日当たりのいい室内へと置いてあげるのがよいでしょう。
なお、ある程度の耐寒性はあるので、霜が当たっても枯れはしませんが、葉岳麓変色してしまいますので、藁などで霜よけをしてあげるといいでしょう。
なお、タイムの生育適温は5〜20℃です。
タイムは水はけのいい土を好み、酸性の土を嫌います。
日本の庭土は酸性に傾いていることが多いため、もし地植えにするならば、植え付け前1〜2週間前に石灰をよく混ぜ込んでおくといいでしょう。
なお、室内で育てる予定ならば、ピートモスの使用はさけてください。ピートモスは酸性度が強いため、タイムの栽培には適していません。ハーブ専用土などは、事前に中和状態にされているので便利でしょう。
タイムは乾燥気味に育てられることを好むので、鉢植えの場合には、土が乾いたら水を与えるという程度で水やりは行いましょう。
地植えならば、一度根付けば水やりはほぼ必要ないです。ただし、植え付け直後の根付くまでの1ヶ月間は、たっぷりと水を与えてください。
夏場は乾きやすいですが、多湿にならないようにチェックしてから水を与えるようにしてください。
冬は生育が鈍るので、水やりの回数は減らしてください。土の表面が乾いて数日経ってから、水やりをする程度で問題ありません。
タイムへの肥料は年間を通して控えめで問題ありません。まずは植え付ける段階で、緩効性の粒状肥料を土に混ぜておきます。
その後、真夏以外の春〜秋の間は、2週間に1度の頻度で緩効性の肥料を、もしくは固形肥料を根本に与えるだけでいいでしょう。肥料を適当に与えた分だけ、生育度合い、葉の色艶、香りが抜群によくなります。
ただし肥料が多すぎると、逆に生育が鈍くなって香りが弱くなる、もしくは枯れてしまいます。
病気は、高温多湿の群れにさえ注意すれば、特に見受けられることがないほどに強いです。害虫も基本的に寄り付かない性質です。
タイムは5〜8月頃が開花時期です。品種により、香りだけでなく花の形や色も異なります。一般的に知られ使われているコモンタイムは、小さなピンク色のはなをシロツメクサのように細かく咲かせるのが特徴です。
一方の植え替えは、同様の時期を選び、毎年行うようにしましょう。
根の張りが早い植物なので、鉢底から根がはみ出してきた段階で替え、もしくは株分けをしていく必要があります。植え替えのさいに根が切れても、すぐに生長するので多少の切断は心配はいりません。
根詰まりを起こすと、タイムの葉が全体的に黄色く変色してくるので、注意しておきましょう。
タイムは「挿し木」で増やすことが可能です。種まきもできますが、個体差があるので、香りがよい株を確実に増やしたいならば、挿し木がおすすめです。
挿し木の方法は以下です。
まず蕾がまだついておらず、木のように固くなっていはいない枝を10センチほど切ってください。そして切り取った枝の下方の葉を取り除き、水の中につけることで給水させてください。
さらに切り口を斜めに切って、バーミキュライトを入れた鉢に挿してください。そして根が出るまでは直射日光を避けて、水を切らさないようにしておきましょう。
根が出たら、小さな鉢に仮植えをして、生長したら鉢に植えてあげましょう。真夏と真冬以外ならば、いつでも可能です。
タイムは枝が密に茂ってしまい、風通しが悪くなると、蒸れて葉が枯れてしまうことがあります。
高温多湿となる梅雨の頃に、特に起こりやすいので、密生している場合は、梅雨前に株全体の1/3くらいを刈り込みましょう。
これは収穫も兼ねて行うことになります。なお、冬前も同様に刈り込みを行っておけば、春にはきれいに芽が出そろうでしょう。
主に茎葉の収穫をするならば、花が咲く前に摘み取ってください。花が咲くと香りが弱くなっていまいます。
タイムの主な利用部分は葉ですが、場合によっては花や茎も用いられます。
タイムは約350種類も存在します。そのうち主に2タイプに分類でき、一般的なタイムである「コモンタイム」のような立ち性タイプと日本に自生する「イブキジャコウソウ」のように這い性になります。
家庭菜園ではコモンタイムやフレンチタイム、レモンタイムなどの品種がよく用いられます。
今回は清涼感あふれるハーブとして広く知られているタイムについて、育て方を中心に簡単にご紹介しました。
一般的にメディカルハーブとして知られるコモンタイム以外にも、クリーピングタイムやラベンダータイム、レモンタイム、シルバータイムなど様々な品種があるので、好みの香りの種類を探して育ててみましょう。
地植えにする場合は、必ず酸性の土質を改善し、混み合わないように定期的に剪定や株分けをするようにしてくださいね。
takenaka