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大根は基本的に土質を選ばず、丈夫で育てやすいので、初心者の家庭菜園にもおすすめの野菜です。日本で最も多く出回っているのは青首大根という品種ですが、歴史の古い野菜であるため、全国各地に地域品種が残っています。
今回は、日本の食卓に欠かせない大根の育て方をご紹介します。
大根は丈夫で育てやすく、土質を選ばないので、家庭菜園初心者の方でも、比較的かんたんに育てることができます。プランター栽培に向くミニ大根などの品種もあるので、ベランダなどの狭い場所でも栽培ができます。
品種によりますが、大根の栽培はできるだけ深く土を耕すこと、未熟なたい肥を入れない、小石や残渣を取り除くなどが収穫の品質をあげるポイントです!
大根は品種によってサイズや味、育つスピードなどに違いがあります。詳しい品種の特徴などは以下の種類記事を参考にしてみてください。
大根の栽培に必要なプランターの深さは、小さい品種であれば30cm以上、通常サイズの品種なら60cm以上です。直径などの大きさは最低でも30cmほどあるといいでしょう。
プランターで育てる大根は、ミニ大根がおすすめですが、大きなサイズの大根を育てるなら、深鉢のほか、土囊袋や米袋、布バッグタイプの深めのプランターがおすすめです。
基本的には一株につき一つの鉢を用意して、余裕を持って育ててあげると大きな大根が収穫できます。
プランター栽培の場合は、根(大根)が短く、横に太るタイプの品種がよいでしょう。市販の深型タイプのプランター、袋(肥料や培養土の袋の底に穴をあけて利用してもOK)のほか、発泡スチロールの底を抜いたものを三段重ねて栽培する方法での成功例もあります。
大根は日当たりが良く、風通しの良い場所を好みます。日当たりが悪いと、根が十分に育たず、不作に繋がるので注意しましょう。
大根の栽培期間は2ヶ月ほどなので、太陽の動きをあらかじめ予測しておいて、栽培後期でもしっかりと日が当たる場所を選んで植えるようにしてください。
また、栽培適温は17~20℃ほどと、冷涼な環境を好みます。
大根は根を可食部分とする野菜ですので、根を深く大きく張らせるためにも、地中深くまで耕し、通気性の高いふかふかな土にする必要があります。
地中に固まった土や石があると、又根大根といって、根が枝分かれしたように変形してしまうので注意してください。
また土壌酸度はpH5.8〜6.8ほどの、中性に近い弱酸性を好みます。
未熟の有機物(完熟していないたい肥など)を入れると「また根(岐根・裂根ともいう)」になりますので注意!
鉢植えやプランターで大根を育てるときは、市販の野菜用培養土を用意しましょう。根菜用の培養土を用意すると、大根が曲がらずに太く真っ直ぐ育ちます。自分で配合する場合は、以下の手順で用土を準備しましょう。
畑などで地植え栽培で大根を育てる場合は、種まき・植え付け2週間前までに弱酸性の土壌にしておきましょう。
肥料が根に当たるとかたちが悪くなりますので、肥料が土中でかたまりにならないよう、しっかりよく混ぜましょう。
大根の種まき時期は、4〜5月上旬頃の春まきと、9月頃の秋まきの年2回あります。ただし、害虫の被害が少ない、寒さに当たると甘みが増すなどの理由から「秋まき」が初心者にはおすすめといわれています。
ただし、近年は異常気象となることも多く気温が例年と異なるケースが多々あります。種まき時期を目安にするのではなく、気温を参考にする方がおすすめです。
大根の栽培適温は前項の通り20℃前後ですので、秋の種まきは遅くとも日中の気温が25℃程度になる頃までには済ませましょう。
大根は直根性で移植は苦手なので、そのままプランターや畑に種まきをする、直まきという方法で育てていきます。
大根の品種によって種まきの時期は異なるので、植える時期に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。家庭菜園初心者は病害虫に強く、トウ立ちもしにくい秋まきがおすすめです。
発芽したばかりの頃は、害虫の被害にあいやすい時期ので、種まきのあとは防虫ネットをかけて害虫を予防しましょう。
横長プランターを使って複数株育てたいときは、株間を20cmほどあけて種まきをしましょう。
大根の種まき後は、たっぷりと水をあげて、土を乾かさないように注意しながら管理しましょう。
大根の種は、発芽の際に日光を嫌う「嫌光性種子」です。発芽するまでは日当たりのいい場所には置かないようにしたり、プランターの場合は上から軽く濡らした新聞紙などをかけて遮光すると良いでしょう。
とくに秋まきの場合は台風などの雨などで荒れないように、発芽までは敷きわらや不識布を被せておくといいです。鉢植えの場合も、軒下などの明るい日陰に移動させましょう。
抜いた雑草を干した「干し草マルチ」を被せるのもよいですよ!
大根栽培では、土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげるのが基本です。過湿には弱いので、必ず土全体が乾いてから、底穴から漏れ出るほどたっぷり水をあげましょう。
とくに春まき大根は、栽培期間中に高温多湿になりやすく土が蒸れやすいので注意してください。
大根は収穫までに3回ほど間引きを行います。
一本だけ生長が早い芽はしっかり根を張っていないため上へ上へと育っている場合があります。飛び抜けて一本だけ生長が早いものは間引きます。ある程度、ほかの芽と足並みが揃っているなかで、虫食いがあるものや生長が遅れているものをはじいて、残す芽を選んでみてください。
大根の追肥は、間引きと同じタイミングで行います。各回の間引きの後に、葉の広がりの下に、一株あたり5gほど、もしくは1㎡あたり20gほどの化成肥料をドーナツ状にまきます。
土を軽くほぐしながら肥料を混ぜ込んで、同時に株元に土寄せして軽く手で押さます。
追肥が根に当たらないように注意しましょう!完全有機栽培を実践中の方は「鶏ふん」や「油かす」の追肥でもよいですよ!
大根は、春まきならだいたい50〜60日後の6月中旬〜下旬。秋まきなら60〜90日後の10月下旬〜12月上旬に収穫時期に入ります。大根の肩が地面から15cm以上飛び出している、または上を向いていた外葉が垂れるように横に広がったら、収穫のサインです。
収穫が遅れると、根にスが入り食味が悪くなるので、収穫のサインを見逃さないようにしましょう。
大根はアブラナ科の野菜なので、害虫の被害に注意が必要です。アブラムシや青虫の被害に注意し、害虫を見つけたらすぐに駆除しましょう。
大根の病気・害虫について、詳しくは下記の記事を参考にしてくださいね。
大根は連作障害がでにくい野菜なので、2〜3年は同じ場所で栽培しても大丈夫でしょう。
連作障害とは、同じ科の野菜を同じ場所(同じ土)で育てることで起きる生育障害です。おもに特定の栄養分が欠けたり、病害虫の発生源が土中に蓄積されることで起きるのですが、大根はその影響を受けにくいです。
ただし、病気が発生したときに連続で育てるのは控えましょう。同じアブラナ科のキャベツや白菜なども避けた方がいいです。
そのほか、大根の後作で避けた方がいい野菜は、ニンジン・ゴボウ・スイカ・キュウリなどです。
高温期、アブラムシがウイルスを媒介するモザイク病などの病気が出た場合には、一度土を消毒する、石灰を施し土を休ませる時期を設けるなどの工夫をしましょう。
家庭菜園士 七尾びび
大根と相性がいいのは、ルッコラとマリーゴールドです。コンパニオンプランツとは、互いの生育を助ける成分を出したり、害虫を寄せ付けない効果をもたらす植物のことで、近くに植えたり一緒に植えることで、より楽に栽培できて美味しい大根が収穫できます。
ルッコラは辛味と独特な香りのあるハーブで、アブラナ科の野菜が被害にあいやすいアブラムシを遠ざける効果があります。栽培期間も1ヶ月ほどで短く、一度種まきをすればほとんど放ったらかしで育つので気楽ですよ。
マリーゴールドはこれまたアブラナ科の野菜に発生しやすい、モンシロチョウやコナガやハムシなどの害虫を遠ざける効果があります。自然の植物の力を借りて防虫ができるので、ぜひ近くで育ててみてください
家庭菜園士 七尾びび
大根を大きく育てる一番のポイントは土作りです。大根は大きい品種だと40〜50cmにも育ちます。だいたい収穫サイズに20cmほどプラスして深く耕しておくと、根が伸びて太るときに余計なストレスを与えないので、大きく育ちます。モザイク病にかかると生長が止まってしまうので、ウイルス媒介者のアブラムシを寄せないように注意が必要です。
また、大根などの根菜類の栽培には「黒土」を使うのもおすすめです。黒土とは火山灰のなかに腐植が豊富に含まれた土のことで、土を適度にふかふかにしてくれる効果があります。
畑栽培の場合は、畑土や庭土に3〜4割ほどの黒土を混ぜて耕すといいですよ。プランター栽培の場合でも、市販の野菜用培養土に3〜4割加えて混ぜて使うのがおすすめです。根が肥えて生長してきた際の土寄せを忘れるとひょろひょろっとした根になってしまうことがあつので、こまめに土寄せをしましょう。
家庭菜園士 七尾びび
通常の葉っぱとは違う、太く長い茎が伸びたり、つぼみのようなものができたら、それは「トウ立ち」してしまった状態です。トウ立ちとは花芽分化が進んで花芽が伸び、やがて花が咲いてしまう状態になること。
トウ立ちすると根の繊維が硬くなるので、収穫してもとても食べられません。そのままにしておくと白や紫、ピンクがかったかわいらしい花が咲きますが、食用としては楽しめなくなるので収穫は諦めましょう。
トウ立ちの原因はおもに温度です。大根の栽培適温は17〜20度ほどですが、種まきが遅れて花芽分化の時期に25度〜30度くらいの気温になると、根を太らせるというよりも次の子孫をつくろうと、大根がエネルギーの進路を切り替えてしまいます。
特に春に栽培する大根は、寒さを感知するとトウ立ちしやすくなるので、予防したい場合には、ビニールトンネルなどで保温しましょう。
家庭菜園士 七尾びび
大根の育て方のポイントは、過湿に注意することと、育てる環境や時期にあった品種を選ぶことです。丈夫で育てやすいので、初心者にもおすすめの野菜ですが、コツを覚えることでさらにきれいな実を収穫できますよ!
サラダに煮物に炒め物に幅広く使え、栽培も簡単ですので、ぜひ家庭菜園で大根の栽培に挑戦してみてくださいね。
七尾びび
GreenSnap編集部