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クランベリーはコケモモの仲間の果樹で、ツルコケモモとも呼ばれています。常緑樹で、可愛らしい花や赤い実のなる姿が、ガーデニングや鉢植えに人気があります。また、クランベリーの実はビタミン豊富で美容と健康にいいため、美味しく栄養価の高いソースやジャム、果実酒などをつくって楽しむ人も多くみられます。古くから人気の高い果樹として親しまれてきたクランベリーの育て方を紹介していきます。
クランベリーは高山性の常緑樹のため、寒さに強く暑さに弱いという特徴があり、ベストな気候は東北以北や中部地方の高冷地とされています。
ただし、鉢植えにして夏の強い日差しなどを避ければ、広い範囲で育てることも可能です。クランベリーはサイズが小さいので、ベランダや窓辺で鉢植えとして育てている方も多くみられます。
また、寒い場所に置くことで花芽ができる性質をもっているので、冬でも室内に置かず外に置いて寒気を当てたほうが、実をたくさんつけることができます。
家庭菜園士からのアドバイス!
クランベリーが好む三大条件は以下の3つです。育てるときの参考にしてくださいね。
クランベリーはコンパクトな樹形のまま栽培することができます。若木の植え付けからであれば、5〜6号サイズを用いるのがおすすめです。
クランベリーを植える用土には、水はけがよく保水性も備えている養分の豊富な土を使います。水はけがよい土を好みますが、乾燥にも弱いため、ある程度湿気がある方が好ましいです。
「赤玉土4:ピートモス3:腐葉土3」の割合で混ぜると、酸性で水はけや保水性が高いクランベリーに適した用土が作れます。地植えするときにはさらに庭の土をよく混ぜたものを用土にしましょう。
鉢で栽培する場合には、砂質の土壌がよいといわれています。底には堆肥、鶏ふんなどを混ぜた土を入れて、その上に砂質の土を入れます。根のまわりにミズゴケを巻く方法もおすすめですよ。
クランベリーの植え付け時期は、温暖地では11月、寒冷地では3月が適期です。
植え付けの手順は以下の通りです。
元肥の時期(12~1月と3月)に、まず植える場所を決めて直径40cm、深さが30cmほどになるよう植え穴を掘ります。
植え穴の底に元肥を入れ、赤玉土とピートモス、腐葉土、元からある土をよく混ぜた用土を元肥の上に入れておきます。
元肥をしておいた植え穴を15cmほど掘り、ポットを取った苗を置いて地面とポットの土の高さが同じになるまで用土をかぶせます。根は傷つけないように気をつけましょう。
苗の周囲の土を軽く踏み固め、幹の方に土を寄せて盛り上げ、苗を安定させます。
ポットよりもひと回り大きい周囲の土に溝を切って、水が溜まるほどたっぷり水やりをします。
最後に土を幹の方に寄せて整えます。
鉢植えへ植え付けをするときには、最初は苗木よりひと回り大きめのサイズを選んで植え付けします。
また、根鉢に水ゴケをまいてから植えると、湿度が保ちやすくなります。
乾燥に弱いクランベリーには、水を切らさないようにしなければなりません。常に土が湿っている状態を保つため、春と秋には毎日、夏には朝と夕方の2回行います。
冬には3~5日に1回程度水やりをしましょう。夏には暑さで土壌が乾きやすいので、とくに乾燥に注意して水を与えます。
真夏の乾燥時期の水切れには注意しましょう。地植えの場合は、土の表面が乾いていれば水をあげます。
クランベリーには、元肥として12~1月に油かすや牛ふん、堆肥など遅行性の有機質配合肥料をたっぷり与え、3月には即効性のある化成肥料を与えます。
また、10月には礼肥として、化成肥料を控えめに与えます。
植え付け時に有機質肥料(分解や効きがゆっくりのため、有機質の肥料や堆肥を勧める)を与えるのがコツです。
クランベリーの苗木は成長に合わせて、1年ごとに大きな鉢へ植え替えしましょう。植え替え後には鉢の底から水が出るくらい、たっぷりの水やりを2~3回行います。
樹高が30cm前後の低木樹のため、木の枝が高く伸びすぎるということはあまりありません。背の高い鉢植えでツルをたらすように育てる場合には、長く伸びている部分の先端だけ剪定すればいいでしょう。
また、枝が混みあってきた部分は、風通しをよくするため根元から間引きを行います。5月頃に花芽のつく枝を残して剪定しましょう。
クランベリーの開花時期は、5〜6月頃です。この時期になると、名前の由来である「クラン(鶴)」に似た薄ピンク色の花を咲かせます。
クランベリーは苗木1本でも結実するため、特に人工授粉をする必要はありません。ただし、確実に実を収穫したいという場合は、花をなでて別の花へつけてあげてもいいでしょう。
クランベリーの実の収穫時期は、9〜11月頃です。植え付けから結実までは、約2年ほどかかります。
緑色だった実が、完全に赤い色に変わった頃が収穫のタイミングです。熟した実がなったら、手でもぎ取って収穫しましょう。
クランベリーは繁殖力が強いので、植え替え時に「株分け」や「取り木」といった方法で比較的簡単に増やすことができます。
あらかじめ株元に土をかぶせておき、3月頃の植え付け時期に合わせ、根が生えている若い枝を切ってとり木することができます。
株分けのときには、株を掘りだして親株と子株をつなぐ地下茎をハサミで切り、それぞれ違う鉢植えに植えます。
とくに注意が必要な病気はないため、育てやすい果樹です。害虫として、葉巻虫やハダニ、カイガラムシがつくことがあります。見つけたら早めに取り除きましょう。薬剤などで防いだり駆除することも可能です。
クランベリーの実には、豊富にポリフェノールが含まれているといわれていて、ジャムやジュースなど食用にも多く用いられてきました。
そのほか、実と葉は、昔からケガの手当に使用され、下痢や糖尿病、胃や肝臓病などさまざまな病気に効果があるとされてきました。
フランスではコケモモ類の葉を用いたシロップや粉にしたものなどで慢性の下痢が止まるとされ、アメリカでは細菌感染が原因で生じる敗血症の罨法によいといわれています。近年では、民間療法等で尿路感染症や胃潰瘍の予防や、歯垢の予防に用いられています。
また、抗がん作用やアンチエイジング効果があるとも考えられ、健康と美容に役立つといわれています。ただし、クランベリーをジュース等で飲み過ぎてしまうと腹痛や下痢になる場合があるので、摂り過ぎには注意しましょう。
今回はクランベリーの育て方や植え付け・植え替えなどをご紹介しました。
乾燥には弱いけれど、病気に強く丈夫な果樹なので、水やりに注意していれば育てるのはそれほど難しくありません。可愛らしい緑や花、赤い実まで、クランベリーを育てると毎日の楽しみが増えそうですね!
七尾びび
GreenSnap編集部