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ネギは、汁物や鍋物に入れたり、薬味として添えるなど、日本料理には欠かせない食材です。畑にあれば重宝する万能野菜のひとつですね。
関東では土を寄せて育てて白い部分を食べる「長ネギ(白ネギ・深津ネギ)」、関西では葉の部分を食べる「葉ネギ」が好まれていますが、今回は長ネギの育て方をご紹介します。
ネギは朝鮮を経由して奈良時代に渡来したとされ、日本各地に伝統野菜としてさまざまな在来種が残っています。
関東では土寄せして白い部分を食べる「長ネギ」「深津ネギ」が多く栽培されており、関西では緑の葉の部分を食べる「葉ネギ」が栽培されています。
長ネギは、栽培期間が長く、土寄せが必要で手間がかかるので、初心者には難易度の高い野菜です。初心者は葉ネギの栽培から始ると良いでしょう。
根深ネギとも呼ばれる長ネギの白い部分は「葉鞘(ようしょう)」と呼ばれます。この葉鞘部分を長くするのが長ネギ栽培のコツです。ネギは以前は「ネギ科」「ユリ科」などに分類されてきましたが、今は「ヒガンバナ科」に分類されています。
ネギは、日当たりがよく、風通しと水はけの良い環境を好みます。
「ネギは人影を嫌う」といわれるほど、日陰が苦手な野菜です。日当たりが悪いと溶けてしまうこともあるので、一年を通して日当たりの良い場所で栽培しましょう。
水はけが悪く湿気がたまる場所や、酸性の土壌では栽培できないので注意が必要です。
ネギは酸性の土壌を嫌うので、植え付けの2週間前には苦土石灰を散布して土を中和しておきます。1㎡あたり100gの苦土石灰を散布し、表面の土と軽く混ぜておきましょう。
ネギ栽培は元肥は不要です。肥料が根や苗の茎に当たると傷むため、肥料は入れずに栽培をスタートしましょう。
ネギは他の野菜と違って、植え付けをする場所に溝を作ります。溝は、植え付けの2〜3日前までに掘っておくと良いでしょう。
畝の作り方は以下の通りです。
ネギは種から育苗するのが難しいので、初心者の方はホームセンターで苗を購入して育て始めましょう。市販の苗を購入するときは、なるべく茎が太く、葉色が良く元気な苗を選びます。
分けつしやすい品種の長ネギと、分けつしづらい一本種の長ネギがあります。品種が不明のまま売られていることが多いので、お店の方に聞いてみましょう。分けつしやすい品種の場合は1本の苗から何本にもなるため、間隔をあけて植え付ける必要がありますよ。
ネギは寄せ植えにしたほうが、お互いが成長を助け合って生育がよくなります。株間を狭めにして密植にして定植します。
ネギを植える時期は、7月上旬〜8月中旬です。植え付けの時期が遅れると収穫量が減るので、植え付けに適した時期に終わらせるようにしましょう。
ネギを定植する前に、ネギの苗をバラして、太さ別に分けていきましょう。太い苗の隣に細い苗を植えると、太い苗に負けて細い苗が枯れてしまう場合があります。
同じくらいの太さの苗を隣り合わせにして定植していきます。
ネギの根は酸素を欲しがります。そのため、溝にワラを入れる方法で栽培することが多いです。植え付け時にネギの首の部分、分岐点まで土を被せてしまうと生長がとまってしまうので注意しましょう。
地植え栽培のネギは、自然の降雨のみで十分育ちます。ただし、夏場に長期間雨が降らないときは、土が乾いてるのを確認して、朝か夕方の涼しい時間帯に水を与えましょう。
太陽が照りつける日中に水やりをすると、土の中で蒸れて根が傷んでしまうことがあるので、注意が必要です。
ネギはどちらかといえば乾燥を好むと覚えておくとよいですよ。
ネギは、植え付け1か月後から追肥と土寄せの作業を繰り返します。徐々に土寄せしていくことで、白い部分を長く伸ばしていきます。
元肥はなしでOKですが、追肥は必要です。もし化成肥料を使わない完全有機栽培を実践しているなら、追肥に鶏ふんを使ってもよいでしょう。その場合はかならず「完熟」「発酵」と記載されている鶏ふんを使います。
ネギを種から育てている場合は、草丈が30cm〜40cmになった頃に畑に植え替えます。苗から育て始める場合は、植え替えの必要はありません。
また、ネギの品種によっては、生育のために真夏に植え替えを行うものもありますが、家庭菜園でネギを育てる場合は必要ないでしょう。
ネギは一度植え替えをすると太く育つといわれています。移植の際に根が切れてもう一度根を張るため太くなるのでしょう。そのような方法は「スパルタ栽培」などとも呼ばれます。
ネギの収穫時期は、12月上旬〜翌年の3月中旬までです。最後の土寄せから3週間ほどで収穫適期を迎えます。
よく育ったものから順番に、株元の土をよけて引き抜きましょう。土が硬い場合は、根を傷つけないように畝の片側を掘り出して収穫します。
ネギは、寒い時期に一度霜に当たると、甘みが格段に増して美味しくなります。春になるととうが立って味が落ちるので、3月上旬までに収穫を終わらせるのがコツです。保存するときは、泥をつけたままにしておきましょう。
ネギは多年草に分類されますが、基本的に植えっぱなしにしておくことはおすすめしません。ネギの栽培では、土づくり作業が大切になってきます。良い状態のネギを収穫するためには、適度に植え替えてあげる方が良いでしょう。
ただし、葉ネギなどのネギの種類によっては、植えっぱなしでも育つ場合もあります。
ネギを植えっぱなしにしていると、とう立ちし、やがて「ネギ坊主」と呼ばれる、タンポポの綿毛のような形をした白っぽい花を咲かせます。ネギの葉の先端部分に、小さい6弁花が数十〜千輪ほど球状に集合します。
ネギ坊主ができたあと(とう立ちしたあと)のネギは、芯が固くなったり、味が落ちるため、収穫して食すのには向いていません。なるべく、ネギ坊主ができる前に収穫しておきましょう。
ちなみに花が咲ききる前の蕾の状態のネギ坊主であれば、それ自体を収穫して、天ぷらなどにして食べることができます。
種まきから育ったネギ(中サイズ)の苗は、乾燥するまで少しの間干すことによって、再び土に戻したときに刺激が加わり、発根性が高まり、株が大きく育つという効果があるといわれています。
干しネギ栽培の方法は、以下の通りです。
白くて長いネギを収穫するためにも、土寄せは大切な作業の一つとなります。植え付けから1ヶ月後とその1ヶ月後、さらにその1ヶ月後の、合計3回目ほど土寄せを行ってあげると良いでしょう。
なお、土寄せをするときには、必ず追肥も同時に与えることを忘れないようにしてくださいね。
黄色にやや白みがかった斑点が部分的に広く広がっている場合は、「べと病」という病気を発症している可能性があります。
べと病は湿気が多い時期に発生しやすく、最終的には葉が枯れてしまいます。予防剤を散布したり、土の水はけ具合をチェックするなどの予防が大切となりますが、もしすでに発症している場合は、放っておくと斑点がどんどん広がってしまうので、直ちに葉を取り除きましょう。
ちなみに褐〜黒色の斑点が細かく点々とついている場合は、「さび病」という病気を発症している可能性があります。こちらもべと病と同じく事前の予防が大切となります。
ネギは、水耕栽培でも育てることができます。事前に用意するものも少なく、時期を問わず栽培できるので、初心者の方にもおすすめです。
ネギは、さび病やべと病などの病気にかかりやすい野菜です。また、ナメクジやアブラムシ、ネギコガなどの幼虫などの被害にも注意しましょう。病気にかかると、黄色く変色して枯れてしまったり、株が腐ってしまうこともあります。
乾燥に強い一方で、水はけの悪い場所や酸性の土壌、高温多湿の環境に弱いのがネギです。生育環境には十分に気をつけましょう。ネギの病気について、詳しくは関連記事を参考にしてくださいね。
葉の汁を吸い病気を発生させるアブラムシにも注意が必要です!アブラムシを見つけたら指で潰すか、「油石鹸水」を自作して噴きつけると効果絶大です。植物油と無香料の食器洗剤を使って作る簡単で効果がある殺虫剤です。
ネギは栄養が満点で、寒い冬の時期の風邪予防にもぴったりの野菜です。自宅で育てれば、いつでも必要な時に新鮮なネギを収穫できるのでとても便利ですね。
長ネギは追肥と土寄せの手間がかかり、初心者さんには難易度の高い野菜ですが、一度育て方を覚えてしまえば何度でも畑で栽培できますよ。
ぜひ美味しいネギを栽培してみてくださいね。
七尾びび
GreenSnap編集部