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お寿司や刺身などにつける調味料としても親しまれているワサビは、鼻を通る爽快感と香りが特徴的です。家庭菜園のイメージはあまりないですが、実は、畑だけでなく、ご家庭でもキットなどを使うことによって簡単に栽培できます。
今回は、そんなワサビの育て方についてご説明します。
ワサビの栽培方法は、沢ワサビと畑ワサビでは異なります。一般に私たちが「ワサビ」として食しているのは、根茎が太くなる沢ワサビです。
畑ワサビは、葉ワサビとして葉や茎を食します。沢ワサビは、きれいな水が流れる川の浅瀬で栽培しますが、畑ワサビは一般の野菜と同じように畑で育てます。
畑ワサビは陸ワサビとも呼ばれ、直射日光があたらない半日陰で、涼しい18℃くらいの温度が保てる場所での栽培が適切です。そのうえ保水性があり、水はけがよい土壌が適します。自宅に庭がない人でも、プランター栽培が可能です。
沢ワサビの栽培はきれいな水が流れる浅瀬が最も適しています。とはいえ、お家で水耕栽培することが可能です。家で水耕栽培をする場合は、水槽やペットボトルなどの水をためることができるものを準備します。水が循環するように酸素循環器を準備し、薄日が当たる場所が適します。
年間を通して温度が10℃~18℃くらいが適しています。水温は15℃くらいがベストです。沢ワサビの方が、しっかりと根茎が育ち、葉茎と根と両方食せるので理想的です。
畑ワサビは湿潤に保つために、水やりをたっぷり行います。プランターで育てる場合は、乾燥しないように特に水の管理が大切です。水はけが悪く、土が浸るほど水があることは避けましょう。
沢ワサビは水が濁ることが良くないので、まめに水を替えてきれいな水を保ちます。
ワサビを育てるとき、元肥には窒素分を少なくしたものを使います。元肥は植え付けのときに混ぜるため、1年目は12月に1回のみ肥料を与えます。その後の追肥は、ワサビの成長期である4~5月頃と9~10月頃に、1㎡あたり50gほど行います。
畑ワサビの場合は、年に2回ほど、緩効性肥料を根株の周りに混ぜるか、液体肥料を施肥します。
沢ワサビの水耕栽培では、目が細かいネットやガーゼ、ストッキングなどに入れて水に沈め、流れないように固定します。夏や冬は成長がストップする時期なので施肥しません。
ワサビはPHが中性の土壌を好みますが、微酸性の土でも生育します。土壌の中に鉄分やカルシウムがあまり多いとうまく育ちません。
また、細かい砂や礫の土壌が良く、水はけが悪い腐植質や粘土質の用土は適しません。そのため、水はけがよく、保水性がある赤玉土に川砂を混ぜたものを使いましょう。
ワサビを畑に植える場合は、畝幅を60cm、株の間を30cmほど開けて、根株が隠れるほどの穴を掘ります。苗を置いて、その周りに根株が隠れるように土をかぶせます。
ワサビを地植えで育てる場合は、用土を混ぜてそこに穴を掘って苗を植えます。土は市販の野菜用培養土でも構いません。根付くまでは、風通しがいい直射日光が当たらない場所で管理し、水をしっかりと与えます。子株ができるたら9~10月頃に株分けし、植え付け時と同様にして植え替えます。
気温が10~18℃ほど、水温が15℃くらいになる9月~10月頃が植え付け時期です。水耕栽培用のプランターなどに川砂を敷きます。そして、苗の根株がしっかりと埋まるように植えます。土より上に水が数センチほど上がるように水を静かに入れます。直射日光を嫌うので、半日陰で栽培します。子株が出来たら植え替えも同様に行います。
ワサビの増やし方には「種まき」や「株分け」などの方法があります。
ワサビの種の採取は、花が咲いた後から50日~60日くらいの、5月中旬~6月上旬が適します。採取した種を水洗いし、種とその3倍の川砂を混ぜて中温の冷蔵庫内で保管します。保管した種は、3月か10~11月に25~30cmのすじをつけた場所にすじまきします。種を置いたら、その上に肥えた土で軽く覆います。
秋まきの場合は温度が低いと発芽しないため、12℃以下ならビニールで覆うといいでしょう。春まきの場合は、風通しがよくすることと直射日光が当たらないように遮光ネットなどをする必要があります。
根株に子株がつくので、それを丁寧にカットして植え付けと同じように植えます。
軟腐病は高温で多湿のときに起きるおきる病気で、最初は柔らかい花や実、茎や根に侵入し、浸水状の病斑ができます。その後、感染が広がり腐って株全体に広がります。軟腐病にかかると治癒できないため、ほかの株にうつらないように早めに処分し、薬剤の予防散布をします。
白さび病は、葉の先の方で斑点ができ、次第に乳白色の斑点に変わります。その部分が敗れると白い粉のようなものが出ます。茎にでると、病斑部が肥大し曲がってきます。花に出ると、落花せずに次第に葉のような形になってきます。放置すると胞子が広がり、次の年まで被害が出ます。早めに病斑部分を取り除き、薬剤を散布します。
うどんこ病は、4~10月にかけてうどんこがついたような白い粉状の斑点がつきます。そのままにすると、病斑が広がり葉の光合成ができなくなるので成長が阻まれます。早めに薬剤をまいて病気の葉は取り除きます。
モンシロチョウの幼虫であるアオムシや多数のアブラムシは、柔らかい葉を食べつくします。早めに駆除しないと、いつの間にか光合成が必要な葉がなくなってしまいます。すると、ワサビの生育が悪くなるので、害虫を見つけ次第、こそげ取るか薬剤を散布して駆除します。
秋に種まきをする場合は冬越が必要なため、ビニール栽培が適します。さらに地植えの場合は、支柱を立ててトンネルのように丸くビニールシートで覆い、温度を一定に保ちます。
また、ワサビは夏に弱いので、風通しを良くして温度が18℃以上にならないような涼しい場所に置いて、寒冷紗などで覆います。
沢ワサビの栽培も半日陰がふさわしいので、日が当たりにくい場所ではLEDライトを使って日当たりを良くしましょう。水温が上がりすぎないように一定を保ち、プランターなどの水はこまめに取り替えます。濁りができると、育ちが悪くなり病気になる可能性もあります。
ワサビは、植え付けから収穫までに2年ほど要します。ワサビの収穫時期に栄養が葉にいきわたるように花を摘み取っておきましょう。
葉ワサビは1年中の収穫が可能です。葉ワサビは、しょうゆ漬けやお浸し、漬物などで食べます。
根茎ワサビは太さが3~5cmほどのときに堀り、伸びているひげ根を取り除いて収穫します。根茎はすりおろして刺身醤油やソバなどの薬味にします。
ワサビは高温に弱く、自宅で水耕栽培するには、水温と室温の管理が一番大切です。栽培用のプランターやペットボトルはきれいなものを使い、雑菌が増えないようにします。年中温度は一定にする必要があるので、プランターやペットボトルなら暑い夏や寒い冬は移動して温度が一定に保つように管理できます。
畑では冬はビニールハウスやビニールで覆い、夏は直射日光が当たると葉焼けを起こすため、遮光シートや寒冷紗などで覆います。ワサビは、葉茎や根茎をたべるので、花は種を取る以外は摘み取ります。
畑ワサビは葉や茎を主に食し、沢ワサビは大きくなる根茎を主に食べます。
ワサビは、殺菌作用があり昔から薬味として親しまれてきました。収穫してすぐのワサビは、独特の風味を味わえます。温度管理が難しいワサビですが、市販の水耕栽培キットだと比較的育てやすいです。まめに温度や水質の管理をする必要がありますが、採りたてのワサビを食べるために自分でワサビを栽培したいですね。
※トップ画像は花子さん@GreenSnap
GreenSnap編集部