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人参(にんじん)はカロテンを豊富に含む緑黄力野菜の代表です。栽培期間は少し長いですが、栽培自体は難しくないので、初心者の方にもおすすめですよ。今回は、人参の種まき、間引きの方法や収穫時期などを、畑栽培とプランター栽培に分けて詳しくご紹介いたします。
人参は、栽培期間は長いですが、栽培自体は簡単です。地植えはもちろん、プランターを使ってベランダや庭先でも育てることができます。
人参の栽培に使うプランターは、5寸人参などの短根種であれば深さ20cm以上が適しています。長恨種の場合は深く根を張るので、30cm以上の深さのある深型プランターを使うといいでしょう。標準的な650サイズのプランターでは、8〜10本ほどの収穫量が見込めます。
また、種まき時期は春でも夏でも可能ですが、生長すると暑さに弱いので、家庭菜園で育てるときは夏まきがおすすめです。
7月に植える早まきは裂果したり病害虫の被害に遭いやすいため、中間地で栽培する場合には、できれば8月の初旬に植えるようにするのがおすすめです。
人参は冷涼な気候を好み、日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。耐寒性は強いですが、暑さには弱いので、春まきで育てるときは一日中直射日光が当たる場所は避けた方が良いでしょう。
人参は、砂地のような水はけの良い土壌を好みます。地中に石などがあると、きれいな形の人参が収穫できないので、ゴミを取り除き、細かい土になるように丁寧に深く土壌を耕しておくのがポイントです。
また、人参は酸性の土壌を嫌うので、地植え栽培ではあらかじめ苦土石灰をしっかりとまいておきましょう。
プランターで人参を育てる場合は、市販の野菜用培養土を用意しましょう。人参などの根菜の場合は堆肥が根の変形の原因になるので、できれば「根菜用」の野菜用培養土がおすすめです。
地植え栽培の人参は、種まきの2週間前から土壌の準備を行います。人参は深く根を伸ばすので、品種に応じて30〜50cmほどの深さまで土を耕すことで、長くて太い人参の良作につながりますよ。
また、人参の栽培には堆肥は必要ありません。堆肥は一定量のかたまりになっていることが多く、人参が根を伸ばすときに邪魔になります。
又割れやいびつな形の人参ができてしまうので、堆肥は施さないように注意してくださいね。
人参は栄養が豊富で、ややサラサラとしている砂質の土壌を好みます。黒土などの粘土質よりも水はけがよい土の栽培のほうが向いていますよ。調合が難しければ市販の培養土で栽培しましょう!
人参の種まきの時期は、年2回あります。3月中旬〜4月中旬に種まきする「春まき」と、7月〜8月上旬に種まきする「夏まき」です。
人参は発芽させるのが難しく、水分不足や強い日差し、寒さで枯れてしまう場合があります。家庭菜園の場合は、日差しが弱く乾燥しにくい梅雨時に種まきをする「夏まき」がおすすめです。
人参の栽培では、発芽が一番難しい作業です。乾いた土では発芽率がかなり下がるので、発芽するまでは水を切らさないことがポイントです。
種まきから5〜10日で発芽しますが、それまでは常に土が湿った状態を保つようにしてください。特にペレット状の種は乾燥厳禁です。
また、畑などの広範囲の地植え栽培の場合には、敷きわらや不識布をベタ掛けして、湿度を保つのもいいでしょう。
人参の種は好光性種子なので、日光の光を受けて発芽します。種まきのあと、土はごく薄めにかぶせ、プランターなら日当たりのいい場所に置いておくとよく発芽します。
播種後、土の表面に濡れた新聞紙をかけておく・湿ったパーライトを覆土として使うのもおすすめですよ。
ただし、人参の種は光を感知して発芽するため、あまり分厚くかけず、光を通す程度にしましょう。
人参は、収穫までに3回ほど間引きを行いましょう。人参は、生育初期は生長がゆっくりです。成長の早い雑草に養分をとられてしまわないように、間引きの作業時に、必ず雑草を抜いておきます。
このとき、株元の土も軽く耕しましょう。間引き菜もサラダなどに利用して食べることができます。
人参は小さいうちは複数植えのほうがよく育つといわれていますが、ある程度大きくなったら間引きは必須です。ひとつの株を肥らせましょうね。
人参の追肥は、2回目の間引きの2週間後に行います。
人参の収穫時期は、春まきの場合は7月上旬〜8月下旬、夏まきの場合は11月上旬〜2月下旬です。種まきからだいたい110〜130日で収穫できます。
人参は、地上部に出ている根の直径が4〜5cmになったら収穫のサインです。収穫適期の前に根の肩が出ていたら、土を寄せて日光が当たらないようにしてください。葉の根元を持って、引き抜いて収穫します。収穫が遅れると根が割れてしまうので、時期を逃さないように注意してくださいね。
人参は、夏の高温多湿の時期に黒葉枯病や黒斑病が発生しやすい野菜です。他にもうどんこ病、なんぷ病、モザイク病が発生しやすいので、薬剤などで防除してください。
害虫の被害では、キアゲハやヨトウムシなどの芋虫、人参アブラムシ、ブチヒゲカメムシなどが発生します。虫を見つけたら、すぐに駆除してください。
根(実)が足のように二股になった人参を見たことがありませんか?あの状態は「岐根(きこん)」「裂根(れっこん)」と呼ばれます。
セルトレイやポットで育苗し、その後植え替えをすると、根が切れてのちに岐根・裂根になりやすいです。あとは、土のなかに肥料が固まっている場合、石などがある場合、完熟・発酵していない未熟なたい肥を使った場合などにも岐根・裂根になりやすいですよ。
人参は、種まきから栽培するのが一般的です。人参のような根野菜は植え替えのときに根が切れると「裂根」や「岐根」という状態になります。そのため、苗が出回ることはないので、種まきから育てましょう。種まきの時期は、種まきの時期を確認してくださいね。
ただし、人参は、水耕栽培で再生栽培をすることもできます。水耕栽培で再生栽培した人参を土に植える時期は3〜4月、もしくは9月後半〜10月がおすすめです。
人参の栽培適温は15〜25℃なので、適した気温に時期に植えてあげると、元気に育っていきますよ。
家庭菜園士 七尾びび
人参と相性がいいのはアブラナ科の野菜です。とくに同じ直根性で根を邪魔し合わない大根、ラディッシュ、カブなどがおすすめです。そのほかに、ゴボウや枝豆などもおすすめです。一緒に植えるのがNGなのはセロリやインゲンがあまりよくないといわれています。
ダイコンは栽培期間が人参と近いので、一緒に種まきをしても良いでしょう。ラディッシュやカブは1ヶ月程度で収穫できるので、後から一緒に育てることもできますよ。
人参はセリ科ですが、科の違う植物を近くで育てることで、互いが被害にあいやすい害虫を遠ざけることができます。家庭菜園は無農薬で育てられることもメリットのひとつです。コンパニオンプランツを活用すれば、害虫対策にもなるのでおすすめですよ。
家庭菜園士 七尾びび
収穫した人参が細くて小さかったという失敗談はよく聞きますよね。人参が大きくならない原因は、間引きをしていなかったり、足りなかったことなどが考えられます。
間引きの項目で説明した通りのタイミングで、正しい株間を開けるように間引きしましょう。欲張って間引きをしないで育てると、細くよわよわしい人参しか収穫できなくなります。
反対に、しっかりと株間をあけることで、一株ずつに適切な量の栄養や水分がいきわたり、ぐんぐんと育つようになりますよ。
間引きまでは水分を切らさないこと、生育の中盤までにきちんと追肥することでかたちのよい人参が育ちます。
家庭菜園士 七尾びび
収穫した人参がスカスカなときは「トウ立ち」が原因と考えられます。
トウ立ちとは、野菜が茎を伸ばして花を咲かせることです。トウ立ちすると、根の繊維が締まって硬くなり、野菜としては食べられないほど実がスカスカになり、元に戻すこともむずかしくなります。
人参がトウ立ちすると、太く長い花茎が伸び、茎葉も細くならず、葉をつけずに長く伸びていきます。この原因の多くは、低温に当たること、日照時間が長くなることの2つです。
15℃以下のときに種まきをしたり、発芽後も15℃以下の低温にさらされるととう立ちしやすくなります。また、日光を浴びる時間が12時間を超えるのNGです。春まきだとこの現象が起こりやすくなります。これが初心者に夏まきをおすすめした理由です。
家庭菜園士 七尾びび
人参は、発芽させるのが一番難しい野菜です。発芽さえ成功させれば、その後は順調に育つので、種まきを失敗しないように管理してくださいね。家庭菜園の方は、夏の種まきが失敗が少なくなるのでおすすめです。どんな料理にも万能に使え、栄養満点の人参を、ぜひ家庭菜園で育ててみてくださいね。
七尾びび
GreenSnap編集部