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黄色の小さな実を結ぶ「キンカン(金柑/金冠)」は、ミカン科キンカン属に分類される、ガーデニング初心者にもおすすめな果樹です。ビタミンCやカルシウムたっぷりな実は、収穫して食べることもできます。今回はそんなキンカンの育て方や収穫時期、方法などについてもご紹介します。
キンカンの育て方のポイントは、「日当たり」と「剪定」です。
あたたかい場所で、たくさんの日光に当たることで、キンカンの実は甘さを増します。たくさんの実に日光を当てるためにも、混み合った枝や葉をこまめに剪定し、風と日光の通しをよくしてあげましょう。
キンカンの栽培適温は平均気温16℃前後で、温暖な日当たりの良い場所を好みます。
耐寒性も多少ありますが、暖地で育つと実が大きく甘く育つため、できるだけ温暖な気候が好ましいです。氷点下を下回るような気温が続くと、枝が枯れはじめてしまうため注意しましょう。
寒い地域でキンカンを栽培するならば、鉢植えがおすすめです。キンカンは低木性の果樹ですので、5号鉢以上のサイズなら鉢植えでも簡単に栽培することができます。
基本的に「キンカン類」と「ユズ類」は栽培方法に共通点が多く、似ています。植え付け、剪定、受粉、摘花などの作業は「かんきつ系」とほぼ同じ工程ですので、ぜひ参考にしてみてください。
キンカンは、水はけの良い土を好みます。
鉢植えで育てる場合は、水はけを良くするために鉢底石を敷きましょう。土には「赤土(小粒)5:腐葉土3:鹿沼土2」に少量の粒状肥料を混ぜたもの、もしくは「赤玉土5:腐葉土5」の配合土に元肥となる有機質配合肥料をlkg/株ほど与えたものを用います。
庭で育てる地植えの場合も、12〜1月頃に元肥として有機質配合肥料を1kg/株ほど、庭土に加えておきましょう。
キンカンの苗は、必ず接木苗を購入しましょう。また、種類品種によって、実のなり方に違いがあるため、事前に性質をしっかり確認しておきましょう。
大実キンカン | 実が大きいのが特徴。暖地で育てると、より実が大きくなります。 |
長実キンカン | 酸味が強めの、楕円形の実が特徴。1年おきにしか実がならない隔年結果性が弱いです。 |
丸実キンカン | 丸い実が特徴。 |
キンカンにも種類があります。「大実キンカン」は名前の通り、大きな実をつけます。暖地で育てるとさらに大きく結実させることができます。「長実キンカン」は酸味が強い実をつけます。実のつきが多い年、弱い年の差が出る「隔年結果性」が比較的弱いタイプと言われています。球の果実がつく丸実キンカンもありますね。好きなタイプを育てましょう。
キンカンの植え付けに適した時期は、3月下旬から5月上旬です(秋植えもできますが、春植えが一般的です)。気温が暑くなりすぎる前に行うのが良いでしょう。
植え付け方法は、以下の通りです。
直径40〜50㎝前後の穴をつくります。
用意した用土を穴に入れます。
苗の根鉢と肩についた土を軽く落とします。
移植ゴテなどで、根鉢の側面に3cm間隔ですじを入れます。
植え穴に、接木部分が地上部に出るように、浅めに苗を植える。
土を被せ、苗の外側に円を描くように地面に溝をつくる。
ひたひたになるくらい、溝にたっぷりと水を与える。
土をならし、株元に土寄せする。
支柱を立てて、完了です。
地植えの場合は、雨水でそれ以上に水をあげる必要はありません。ただし、あまりにも日照りが続いた場合は、水を与えましょう。
鉢植えの場合は、表土が白く乾いたときに、たっぷりあげましょう。乾燥に弱いため、夏は毎日水やりが必要です。
キンカンを元気に成長させるためにも、肥料は必ず必要になります。肥料を与える時期は、3月と7~9月頃で、有機肥料がおすすめです。
地植えの場合は、2月頃と10月頃に肥料をあげることで、年間の健康維持にも役立ちます。鉢植えの場合は、2月頃(新芽の栄養のため)と5月頃(実の栄養のため)と10月頃に、肥料を与えます。
地植えの場合は、植え替えは特に不要です。
鉢植えでの場合は、根詰まりを防ぐためにも、2年に1回程度行います。
キンカンはさほど手のかからない樹木ですが、葉が生い茂ると、実が甘くならないだけでなく、病気になりやすくもなります。おいしい実を収穫するためにも、枝を整えて風通しと日当たりを良くしてあげましょう。
詳しい剪定については以下の記事を参考にしてくださいね。
キンカンは四季咲きのため、5・8・10月頃の年3回ほど開花します。この時期になると、小さくて白い花を、数日間咲かせます。
キンカンは、比較的たわわに実がなりやすい果樹です。放っておいてもたくさんの実がつく一方、実の大きさが小さくなりがちです。
適度な大きさのキンカンを収穫するためにも、9月頃になったら、傷のついたものやサイズの小さなものを摘果しておきましょう。
キンカンの収穫時期は、およそ1〜5月頃です。花が終わると約5ヶ月ほどで実がなりますが、夏の花後の実つきが最も良いです。
最も甘さが出てくるのは、3月頃に収穫時期を迎えるキンカンです。
色が青から黄色になってなっているものが収穫どきの実です。
キンカンの実がなったら、剪定ばさみやキッチンばさみなどで収穫しましょう。手でも摘み取れないわけではありませんが、実に傷が付きやすくなってしまうので注意してください。
キンカンの実を放置すると、木が傷んでしまうので、なるべく熟しきる前に収穫しましょう。
キンカンの木の寿命は、20〜30年と長いです。そのため、実がならない原因のほとんどは、寿命以外にあると考えられます。
キンカンは前年に実をつけすぎると翌年に実がつきにくくなる「隔年結果」という性質を持っています。これにより、実のつき方が年によってまばらになってしまっている可能性があります。これを防ぐためには、こまめな「摘果」と適した時期の「剪定」が重要になります。
キンカンの増やし方は「接ぎ木」が一般的です。
種からの発芽率は悪くないので、果実から種をとって育てることもできますが、品種的に親株より劣ったキンカンができてしまいます。そのため、キンカンの種まきはあまりお勧めしません。
接ぎ木は「休眠枝接ぎ」あるいは「芽接ぎ」で増やしていきます。
春先に行う接ぎ木のことを休眠枝接ぎと呼びます。キンカン以外にこの方法で増やして行く樹木にはぶどう、キウイ、ブルベリー、いちじくなどがあります。芽接ぎは夏の終わり、8月下旬に行う接ぎ木の一種です。
病気に関しては気にすることはありません。
害虫は、すす病の原因となるカイガラムシに気をつけましょう。たまに果実が黒くなっていたり、葉に黒点が付いているのを見ることがあります。あれが、すす病です。このすす病の原因となるのがカイガラムシといわれています。
予防は、風通しをよくすることです。葉が密集したりするとカイガラムシが多発する環境は風通しが悪い場所です。予防対策以外の対処方法は、カイガラムシを見つけたらすぐに駆除することです。
金柑は、鑑賞用として栽培するだけでなく、食用、薬用としても利用ができる樹木です。実がなったら、そのままもぎ取って生のまま食べても柑橘系特有の爽やかな味わいを愉しむことができます。
たくさん実った場合は、蜂蜜に漬けたり、甘露煮にしたりして保存します。金柑には他の柑橘類同様に多くのビタミンCが含まれています。また、皮ごと食べることができる金柑には、皮の部分に含まれている栄養素に、発がんを抑制する効果や、血流改善効果があるといわれています。
春先に黄色の実をつけ、季節を感じることができるキンカンを、ぜひ地植えや鉢植えで楽しまれてはいかがでしょう。
七尾びび
GreenSnap編集部