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ポポーは「森のカスタードクリーム」と称される、クリーム状の果肉が特徴のフルーツです。香りの強い果肉は、バナナとマンゴーを混ぜたような独特の甘い風味が特徴で、最近では道の駅などでも見られる、知る人ぞ知るフルーツですね。
今回はそんなポポーの木の育て方について、苗木の植え方や剪定方法など詳しくご紹介します。
ポポーは、北アメリカ東部原産のバンレイシ科の果樹です。果実自体は賞味期限が3日ほどしか保たないので、スーパーなどには流通しない幻のフルーツとも呼ばれています。
そんなポポーですが栽培自体は意外と簡単で、どちらかというと温暖な気候を好みますが耐寒性が高く、品種によっては-30度まで耐えられるので日本全国で栽培することができます。
落葉性高木なので収穫以外にも紅葉や裸木、新緑など四季の変化も楽しい果樹になりますよ。
ポポーは苗木1年生から育てて実がなるまで、地植えなら4~5年、鉢植えなら3〜4年かかります。また、1本でも果実をつけることはあるのですが、2品種を一緒に植えるか近くで育てるとより実つきが多くなりますよ。
ポポーの実をなるべく早く、確実に結実させるには、開花時期(収穫時期)が近い2品種を選ぶことがポイントです。品種によって開花時期や耐寒性も違うので、栽培地域に合わせて品種をチョイスしましょう。
品種名 | 収穫時期 | 果実の重さ | 耐寒性 | 特徴 |
ウェールズ | 中生種 | 300〜400g | ◎ | 実つきがよく、耐寒性が高いので北海道でも栽培可能。日本国内で普及している品種。 |
サンフラワー | 早生種 | 200〜250g | ◯ | 実つきがよく、種が少ないので食べやすい品種。果肉は黄金色。 |
NC1 | 早生種 | 300〜400g | ◎ | 濃厚な甘さで種が小さく少ないため人気の品種。寒さに強く北海道でも栽培可能。 |
ウィルソン | 早生種 | 300〜400g | ◯ | 甘みが強く果実が大きいのが特徴。栽培が比較的簡単で家庭菜園におすすめ。 |
スイートアリス | 晩生種 | 200〜250g | ◯ | コンパクトな樹形で狭いスペースでも育てやすい品種。実つきがよく甘みも強い。 |
ポポーの苗木を入手したら、一般地〜温暖地であれば12月に植えましょう。寒冷地の場合は3月ごろに植えるのがおすすめです。
もし入手したポット苗が1年生であれば、翌年までポットのまま育てて養生した方が植え替えのときに枯れるリスクを軽減できます。その場合も12月になって落葉したころに植えるといいですよ。
ポポーの木を鉢植えで育てる場合は、苗木より一回り大きい6~7号鉢に植え付け、成長と共に鉢上げしていきましょう。なお、必ず1株につき1鉢で育ててください。
ポポーを鉢植えで栽培する場合、株が大きくなったら植え替えしましょう。適期は植え付け時期と同じく12月か3月です。根づまりを防ぐため、2~3年に1度は一回り大きな鉢に植え替えます。ゆくゆくは13号ほどの大きさで育てるようにします。
ポポーの木を地植えで育てる場合は、できれば2品種を5mの間隔をあけて植えましょう。そこまでスペースがないときは1.5〜2mほどの間隔をあけて植えて、ゆくゆくは株立ち樹形のようにして育てるといいですよ。
ポポーは乾燥に弱い植物です。鉢植えで栽培する場合、とくに若木のうちは水切れしないように、しっかりと水やりします。
8・9月は朝夕2回を目安にたっぷりと水を与えます。冬場は土が乾いたら日中に少量水やりしましょう。1週間程度の外出なら、水を入れた大きなプラケースなどに鉢を入れておきましょう。
地植えの場合は水やりはとくに不要です。雨が降らず乾燥が15日以上つづくようであれば、10〜15ℓほどたっぷりと水やりしてください。
12月頃のポポーの植え付け時に、元肥として、有機質配合肥料1kgを目安に施します。3月には、化成肥料を100gほど与えるとよいでしょう。お礼肥は、9月上旬に化成肥料50gを目安として与えましょう。
ポポーの剪定は12月から1月にします。ポポーは直立性で放っておくと背が高くなりすぎてしまうので、伸びた枝を切り返し変則主幹性という樹形に仕立てます。主幹を低く切りつめ、3・4本主枝を伸ばしていくイメージを持つといいでしょう。
なお、花芽は主枝から出る新鞘の中部〜根元のほうについています。新鞘の先端には葉芽がついていますが、丸みがある芽が花芽なので確認しながら切り戻していきましょう。
ポポーの木は4〜5月に人工授粉をさせて、より確実に結実を目指します。
春ごろになると花が満開になり花の色が濃く変化するので、それを受粉の目安にしましょう。ポポーの花は中心に5本ほど雌しべがあり、そのまわりに雄しべが生えているので、ハケなどで優しく雄しべと雌しべをなぞりましょう。
ポポーの木を一本で育てている場合は、先に咲いた花を摘み取って紙で包み冷蔵庫で保存しておきましょう。後で咲いた花の受粉に使うといいですよ。
なお、人工授粉をするとポポーは1カ所に多くの実をつけることがあります。果実が多い場合は摘果しましょう。目安は、葉10枚につき1果、1枝につき1~2果です。
ポポーの実の収穫時期は9月から10月です。収穫時期の目安は、果実の緑色が薄くなり茶色い部分がでてきた頃を目安にしましょう。
実が熟すと自然に落果するので、その少し前に収穫して数日追熟するとよいでしょう。香りが強くなってきたら食べごろです。もしくは、落果したものを拾って食べることもできます。
実にはネットをかけておくと、落果予防になり鳥害も防げます。
ポポーには1果あたり、大きな種が数個入っています。この種を使って種まきから育てることもできるので挑戦してみましょう。
とった種は、濡れた新聞紙などに包んで乾燥しないようにし、冷蔵庫で保存し寒さにあてます。
気温が25~30度くらいになったら、種まき用培養土か赤玉土に種をまきます。発芽まで2週間~2カ月かかるので、水やりは欠かさないようにします。
ポポーの木は接ぎ木で増やすことができます。4〜5年生になって、幹の太さが小指ほどの太さになればこの苗を台木にして接ぎ木ができます。接ぎ木は3〜4月の生育期に行いましょう。
ポポーは、熱帯性植物が中心のバンレイシ科のなかでは数少ない温帯性の果樹です。耐寒性があり、日本国内のほとんどの場所で育てることができます。なおかつ病害虫にも強く、育てやすい果樹です。
若木のうちは乾燥に気を付けて、しっかりと水を与えましょう。春に咲く赤紫色の花は美しく、観賞用の樹木としても楽しむことができますよ。
ちょっとめずらしい果樹を育ててみたいという方は、ぜひポポーの栽培にチャレンジしてみてはいかがですか。早生種など品種のバリエーションも多いので、ぴったりの品種を見つけてみてください。
GreenSnap編集部