warning
error
success
information
ブルーベリーは「ベリーの王様」ともいわれ、日本でもよく知れ渡っている果樹です。食用としても販売され、目を良くしてくれる効果があるといわれています。実がなるまでに2年ほどかかりますが、育て方は果樹の中ではとてもかんたんな方。今回はそんな人気のブルーベリーの木の育て方のコツを、家庭菜園士の七尾びびさんに詳しく聞いてみました。
ブルーベリーの品種には、暖地向きで育てやすい「ラビットアイ系」、寒さに強い「ノーザンハイブッシュ系」、広範囲で育てられる「サザンハイブッシュ系」の3系統あります。
ブルーベリーの育て方は、いずれも果樹の中では簡単な方ですが、実がなるまでに2年ほどかかります。うまく実をつけさせるためにも、同系統2品種以上の苗を植えて、受粉させると良いでしょう。
また、多くのブルーベリーは酸性の土壌を好むため、土にピートモスなどを混ぜ、ふかふかの状態にしておきましょう。
同系統のブルーベリーでも、品種によって小粒であったり大粒であったり、味の特徴もさまざまです。詳しい品種の特徴や選び方については、こちらの記事を参考にしてください。
ブルーベリーは寒さに強く、限られたスペースでも栽培できるため、鉢植えでも地植えでも栽培可能です。
ブルーベリーの実を収穫したい場合は、なるべく日当たりの良い場所で栽培しましょう。
鉢植え栽培の場合も、基本的には日当たりの良い場所で管理します。
半日陰で配置する場合は、数時間だけにしておきましょう。ブルーベリーは耐陰性が強いため、半日陰で管理することも可能ですが、花や実のつき方が悪くなってしまう可能性もあるので注意しましょう。
また冬の時期は、寒冷地に積もる雪に耐えかねて、枝が折れてしまうことがあるので、雪が積もらない軒下などの場所に移すようにしましょう。もしくは、雪が降りはじめる時期が来たら、鉢ごと倒して春になるまでそのままの状態で管理するのもいいでしょう。
夏場、西日が強く当たる場所は向きません。西日が強く当たらず、日中の日当たりがよい場所で栽培しましょう。
ブルーベリーの栽培には、水はけと水持ちの良い酸性の土を使いましょう。
酸性の土を使用する理由は、酸性の成分である土でなければ栄養素が吸収できなくなり、ブルーベリーの苗木が段々と弱くなって、最終的には枯れてしまうからです。
酸性の用土をつくるには、ラビットアイ系は「赤玉土1:腐葉土1」の割合で、ハイブッシュ系は「ピートモス4:鹿沼土3:腐葉土3」の割合で配合するのがおすすめです。なお、鹿沼土は庭土でも問題ありません。
苗穴周辺だけでなく、植え付ける場所全体を掘り、土をふかふかの状態にしておきましょう。
プランターや鉢植えにする場合も、同じ配合土で問題ありません(地植えの場合は、鹿沼土は庭先にある土でも可)。また、市販で販売されているブリーベリー専用の土を使うのもおすすめです。
市販の培養土に4割のピートモスを混ぜてもOK!
ブルーベリーは種まきから育てることも可能ですが、初めての栽培は苗木の植え付けが一般的です。
苗木の植え付け時期は、温暖地域は11〜12月、寒冷地域は3月頃です。葉が落ちて、芽や根が休眠期にはいる秋以降に行いましょう。
なお、植え付け方法は以下の通りです。
ブルーベリーは苗木1本では実がつきづらいため、相性のよい二品種を混植しましょう。お店で取り扱っているブルーベリーの苗木の相性は販売店で聞いてみるとよいですよ。
ブルーベリーは乾燥に弱いうえ、水分の吸収力が強いため、水がとても大好きな果樹です。それゆえ、水やりは欠かさず行いましょう。
夏場の気温の高い気候のときは、朝と晩の2回水やりをしましょう。
鉢植えの場合は特に水切れに注意してください。水の量は、鉢底から水がたっぷりでるくらいです。
冬でも乾燥させないように定期的に水やりをします。乾燥する日が継続した場合は、水やりの間隔を短くして与えましょう。
土が白い色になっているときは乾燥している証拠です。放っておくと水の吸収率が悪くなってしまうため、バケツに鉢ごと入れて水を注いであげましょう。浸水時間は10分程度です。
表面が乾き過ぎないように、株元にマルチングしておくことがおすすめですよ。
ブルーベリーへの追肥時期は、1月頃です。
また、ブルーベリーの実がつきやすい5〜6月と、8〜9月にお礼肥(花を咲かせたあとや実を収穫したあとに、消耗した植物を回復させるために行う作業のこと)として、追肥を行う場合もあります。
ブルーベリーは酸性の土壌を好む性質がありますが、一般的な化成肥料を使うと、土壌が中和され生育不良を起こすことがあります。
ブルーベリーに肥料を与えるときは、窒素分に「硫酸アンモニウム」が使われているものを選ぶか、ブルーベリー専用肥料も販売されているので、そちらを使用しましょう。
ブルーベリーの枝を良い状態で保ったり、病害虫予防や果実がよくつくようにするためにも、剪定作業はとても大切です。
季節 | 剪定方法 |
夏 | 夏はブルーベリーの成長期にあたるので、剪定の効果が出やすいです。 6月下旬頃に長く伸びている枝先を1/3ほど剪定しましょう。 |
冬 | 冬の時期の剪定は、ブルーベリーの木の成長が止まる落葉期(12〜2月頃)が適期です。 寒い地域の場合は、雪が積もる前に枝を切り落としておくと良いでしょう。 |
なお、ブルーベリーは植え付けてからの年数別でも、剪定の仕方が少し異なります。詳しくは下の記事を確認してください。
ブルーベリーの実を収穫するには、2品種以上植え付ける必要があります。特にラビットアイ系は直結実性がないため、1品種だけでは実がなりません。同じ系統から2品種以上を並べて育てるようにしましょう。
また、より実つきをよくするために、花を人工授粉させるのも良いでしょう。ブルーベリーの花の開花時期は、5〜9月頃です。人工授粉の方法は、以下の通りです。
ブルーベリーを鉢やプランターで栽培している場合は、2年に1回新しい土に植え替えると良いでしょう。
このとき根を切らないように古土を揉みおとし、ひと回り大きな鉢へ植え替えます。鉢底にはある程度の新しい土を敷いておいてください。苗木が深植えにならないように注意しましょう。植え替えが終わったら、たっぷり水をあげておきます。
ブルーベリーの増やし方には、「種まき」と「挿し木」があります。
ブルーベリーの種まきを行う場合は、完熟した実をすり潰して種を取り出しましょう。ブルーベリーの種には白色と茶色の種がありますが、茶色の方を収穫するようにしてください。白色の種は発芽しません。
種は乾燥させられる場所で管理し3月頃まで保管しましょう。市販で売っているガーゼを水で濡らして上に種を置きます。ガーゼは乾かせないようにこまめに水で湿らせておきましょう。
発芽が確認できたら、種まき用のポットにブルーベリー専用の用土などを入れて育てていきましょう。
ブルーベリーの挿し木には、緑枝挿しと休眠挿しの2種類の方法がありますが、ここでは緑枝挿しの方法をお教えします。
新梢(新しい枝や葉)を用いて行います。樹勢が良いのは新しくできた枝や葉の年数が多いことです。この新梢を約10cmほどの長さにカットします。2枚の葉を残して、そのほか全部取り除きます。
2枚の葉をさらに半分に切断しておきましょう。摘み取った先端を、ナイフなどで斜めに切除します。育てる容器の用土を入れて挿します。
病気や害虫の被害があまりない果樹なので、無農薬で栽培されていることがほとんどです。
ただし、まれに灰色かび病という病気にかかることがあります。灰色カビ病を見つけたらすぐにその株を切って処分しましょう。切ったあとは、殺菌剤を使用して防除しておきましょう。
また、アブラムシもつくことがあります。特に新梢の所につきやすいです。アブラムシを発見したら、すぐさま駆除に取り掛かりましょう。
虫ではないですが、花や実を食べに狙ってくる鳥がいますので鳥対策も施しておきましょう。鳥対策には、ネットを貼って防護するのが一番です。
ブルーベリーの収穫時期は、サザンハイブッシュ系は5月下旬〜7月中旬でハイブッシュ系は6月中旬〜8月上旬で、ラビットアイ系は7月中旬〜8月上旬頃が目安となっています。
収穫時期の目安は、果実だけでなく軸の部分も赤紫色に変わって数日が経過してからです。完熟したものから、摘み取っていきましょう。
熟した実はすぐに落下しますので、収穫期を逃さないように気を付けてくださいね。
2品種以上植え付けてもブルーベリーがうまく実結しない場合は、まず土、肥料、水の3点に問題がないかを考えてみましょう。
ブルーベリーを栽培している土が固くなっている場合は、土をふかふかの状態にしてみてください。ブルーベリーの根は細いため、固い土では根が上手く成長しないことがあります。
また、肥料のバランスも大切です。ブルーベリーは硫酸アンモニウムなどの窒素肥料を混ぜ込むことで、より実がつきやすくなります。
それでも実がならない場合は、水が不足している可能性もあります。マルチングをするなど、乾燥対策を施してあげてください。
ブルーベリーの果実にはアントシアニンが豊富に含まれていて、目に良い果物だといわれています。また、ブルーベリーは皮ごと食べることができるため、ほかの果物と比べても食物繊維も豊富。さらには必須アミノ酸もたくさん含まれているなど、とても栄養価が高いのです。
ブルーベリーの栽培はさほど難しくなく、栽培地域に合わせた品種を選べば、地植えでほったらかしにしても育っていきます。大株になると毎年たくさんのブルーベリーを収穫できますよ。
初心者にも育てることができることができるのでこちらの記事を参考にして育ててみてください。
七尾びび
GreenSnap編集部