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柿は古くから日本で愛されてきた果実のひとつですね。『さるかに合戦』などのおとぎ話にも登場することから、子どもにもなじみが深いでしょう。今回は、そんな人気の果樹、柿の育て方について詳しくみていきます。
『桃栗三年柿八年』ということわざがありますよね。「桃や栗の実は木を植えてから3年ほどで収穫できる一方、柿が収穫できるまでには8年かかる」という意味で、転じて物事を成就させるためには、長い年月が必要である、という趣旨のことわざです。
このようなことわざが有名ですが、柿は育てる環境や品種によっては、植え付けてから約3年ほどで実を収穫できることも多くあります。
また、柿の木の寿命は100年以上にものぼるといわれ、長寿の木としても知られています。
柿は日当りを好む植物です。柿の木を地植えするにしても鉢植えするにしても、一日を通してよく日が当たる場所を選んであげましょう。
柿の木は耐寒性や耐暑性に優れていますが、一方で乾燥に弱いため、水持ちのよい土の状態にしてあげる必要があります。腐葉土を混ぜる、植えたら根元の地面に藁を敷くなど乾燥対策をしてあげましょう。
柿の木を鉢植えした場合は、生長期にあたる5月から9月にかけては、こまめに朝晩と水やりをします。
地植えした場合は、雨が降るに任せて問題ありません。ただ少雨になってしまった、気温の高い日が続いているなど、気候の条件が変化したら水やりをしてあげます。
冬の時期に施す肥料のことを「寒肥」といいます。柿の木には、この寒肥が必要です。
寒肥を与える時期は真冬の12月から1月にかけてが適期です。追肥は初夏の7月と実を収穫したあとになります。ただし、肥料の与えすぎには十分に注意が必要です。肥料を与えすぎると次の年に実のつきが悪くなる、隔年結果という事態を招く可能性があります。
柿の苗木の植え付け時期は、休眠期にあたる12月から1月にかけてが適期です。
地植えの場合は50㎝四方、深さもあわせて50㎝ほど穴を掘ります。堀った土に腐葉土や有機肥料などを混ぜたら、半分は植える前に穴に戻します。柿の木を穴に植えたら、残った土をかぶせてしっかりと埋めます。倒れそうなら支柱で支えてあげましょう。
植え付ける作業が終わったら、根つきがよくなるようにたっぷりと水やりをします。
柿を植え替える場合は、休眠期にあたる12月から1月を避けた11月から3月にかけて行います。
鉢植えの場合も地植えの場合も時期は同じです。鉢植えの場合はこれまでよりも一回り大きいサイズの鉢を用意しましょう。地植えした柿の木を植え替える場合も根が生長できるスペースを確保してあげるために大きめの穴を掘り、元肥を施したうえで植え替えます。
柿の木の剪定をするときに注意しなくてはいけないのが、切る枝を選ぶ作業です。
柿は枝の先端にあるいくつかの芽しか花をつけません。そのため枝を切りすぎると、実をつける前の段階の花を咲かせる芽がついた枝をすべて切り落としてしまった、という事態になりかねないのです。
柿の木の枝を剪定するときのポイントは、込み合っている枝がある部分だけを「梳いて」挙げることです。枝越しに景色が見える程度にとどめるのがいいでしょう。
柿の木を増やす方法には、果実からとれる種を使う「種まき」という方法と、「接ぎ木」の2つがあります。
種から育てる方法は『桃栗三年柿八年』とのことわざのように、8年を要することはないものの、結実するまで数年かかります。また、柿には優性遺伝という性質があることから、甘柿の実からとった種を植えたからといって、甘い柿が実るとは限らないのです。
そのため、種まきから育てることはおすすめできませんが、種から発芽させた柿は鑑賞用としても楽しむことができますよ。
柿の木を増やしたいのなら、接ぎ木が現実的な方法といえるでしょう。
前年までに伸びた枝を10㎝ほどの長さで切り落とし、接ぎ穂(接ぎ木するための素材)とします。株元から3㎝ほどのところを切って、台木(土台となる木)とし、接ぎ穂を差し込むための切り込みを垂直に入れます。
接ぎ穂を台木に入れた切り込みに合うようにカットし、台木の切り込みに差し込みます。台木と差し込んだ接ぎ穂を専用の接ぎ木テープで固定したら、株全体をビニール袋で覆い、袋の口を縛って完成です。4月になって萌芽して、被せているビニール袋に枝葉が触れたら外しましょう。
柿を育てるときに注意したい害虫に、毛虫やヘタムシがいます。ヘタムシはその名のとおり、柿の実のヘタ部分だけを残して実を落としてしまう害虫です。名前のとおりヘタに寄生しますので、見つけたら薬剤を散布して駆除します。
柿の葉っぱに黒い斑点が出て葉が落ちはじめたら、落葉病の疑いがあります。黒い斑点のある葉はすべて切り落とさないといけません。春から夏にかけて、5月から7月に薬剤を撒くと落葉病を予防できます。
柿の実の収穫時期は、品種によって異なりますが、だいたいが秋の10〜11月頃にピークを迎えます。ただし、早い品種のもので、8月頃から収穫できるものもあります。
柿の果実がオレンジ色になった頃が収穫するタイミングの目安です。剪定バサミを使って、実がついている茎の根元を切りましょう。実がついたまま放置されると、翌年の柿の木の成長が鈍ってしまうため、できれば全て収穫してあげると良いでしょう。
柿の木の花言葉には「優美」「自然美」「恵み」など自然から人間が受ける恩恵を思い出させてくれる言葉が並びます。種から育てたとき、実がなるまでに年月を要する柿の実から、自然の恵みのありがたさを人々は実感していたのかもしれませんね。
甘柿の種を植えても渋柿になってしまう、一見難しい性質を持つ柿の木。しかし古来から日本で愛されてきた果樹であることは間違いのない事実です。柿の渋抜きの方法もありますし、うまくいけば毎年秋には美味しい柿の実を食べることができます。ぜひ柿の木を育ててみませんか?
七尾びび
GreenSnap編集部