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ジャガイモはビタミンCや葉酸、カリウムを豊富に含んでいる野菜で、家庭菜園初心者の方にもおすすめの野菜です。そんな人気のジャガイモの育て方について、種イモの植え方から収穫時期・方法についてまで詳しくご紹介します。
ジャガイモの栽培・育て方のポイントは、種イモの下準備と植える向きです。また、とくにプランター栽培の場合は、生育段階に合わせた水やり頻度も大切です。
ジャガイモは環境を選ばないので初心者でも簡単に収穫できますが、味や大きさ、収穫量などを追求すると奥が深い野菜です。
この記事でご紹介する植え方や水やり頻度などを参考に、試行錯誤しながら栽培を楽しんでくださいね。
ジャガイモを植える時期は、春植えなら2下旬〜3月、秋植えなら9月が適期です。
初心者は春植えの栽培がおすすめです。秋植えは種イモが暑さで腐りやすいので管理が難しい傾向があるので注意しましょう。秋に植えるのであれば最高気温が25度前後と、十分に涼しくなったときにしてください。
植え付けするときには土作りにかかる時間も考慮して準備を進めましょう。土作りには最低でも2週間かかりますが、天候なども考慮して3週間前からとりかかると安心です。
ジャガイモは日当たりの良い場所で育てましょう。
ジャガイモは地表からでている大きな葉っぱから光合成をして、芋にでん粉を溜め込んでいきます。光合成をよくさせると大きくたくさん収穫できますよ。
なお、ジャガイモは気温が30度に達すると暑すぎて枯れてしまいます。逆に5度近くにまで下がると、寒さに耐えきれず枯れてしまうなど、暑さも寒さにも対策が必要な野菜であり、10〜25度ほどが栽培適温となります。
畑や地植えでジャガイモを育てる場合は、植え付け2週間前に畑1㎡あたり100〜200gの苦土石灰をまいてよく耕しましょう。1週間後、1㎡あたり堆肥を2kg、化成肥料を100gほどまいてよく耕したら畝を立てます。
畝の大きさは横幅70〜80、高さ13cmほどにつくり、さらに1週間馴染ませてから植え付けします。
ジャガイモをプランターで育てるときは、市販の野菜用培養土を使うのが手軽です。できればジャガイモ専用土か、根菜用の培養土を用意しましょう。
自分で配合する場合は、植え付け2週間前に[黒土3:赤玉土小粒3:バーミキュライト3:川砂1]の土と、1ℓあたり20〜30gの化成肥料を加えてよく混ぜておきます。その1週間後、苦土石灰を土1ℓあたり2gほど混ぜて、さらに1週間なじませてから使いましょう。
プランターの大きさは?
ジャガイモを育てるプランターは、深さ30cm以上あるものを準備してください。プランター以外にも、土嚢袋や園芸用土が入っていた袋なども活用できます。
土作りと同時に種イモの準備もします。種イモは園芸店などに12月〜4月ごろに出回っています。
なお、種イモは寒さにあたると腐ってしまうので、初心者が3月以降、十分に暖かくなった時期に入手するといいです。
まずは種イモの芽だしをします。植え付け2週間前から日中の時間帯によく日に当てるようにしてください。寒さには弱いので夜は室内に取り込むようにするといいでしょう。次第に芽が生えそろってきます。
植え付け前日になったら、種イモを一つだいたい30〜40gになるように切り分けていきます。このとき、芽が集まる頂芽部を縦に割っていくように2〜4分割してください。芽の数が偏ってしまうと、のちの発芽や収穫量などにばらつきが出てしまいます。
切った種イモは、日当たりがよく風通しの良い場所に移動して半日乾かします。
秋植えジャガイモの場合は、黒マルチで畝を覆ってから植えると、水分の蒸発や雑草を予防できるので、より生育が安定します。
なお、プランターに複数植えたい場合は20cm以上の間隔をあけるようにしてください。
ジャガイモは通常種イモの切り口を下に向けて植えますが、切り口を上にして植える逆さ植えにすると病気に強いジャガイモが育つようになります。
なぜなら切り口を上にすると、一度芽は下に伸びてからUターンして上に芽を伸ばしていくため、弱い目は生長を停止して強い芽だけが上に生長していくからです。
切り口を下にした通常植えで育てると収穫量が多くなり、切り口を上にした逆さ植えにすると、収穫量は少なくなりますがひとつひとつが大きく育ってくれます。
地植えや畑などでジャガイモを育てているときは水やりをする必要はありません。自然の雨に任せましょう。ただし、10日以上雨が降らず、土が乾燥しているようなら水やりをします。
また、種イモを植え付けした直後も、根付くまでの1週間ほどは、土が乾かないように水やりをしましょう。
プランターでジャガイモを育てているときは、土が乾いたら、鉢底からもれ出るまでたっぷり水やりするようにしましょう。
ジャガイモは生育初期の段階で水を多く欲しがるので、植え付け後1〜2ヶ月間はたっぷり与えてください。ただし、水を与えすぎると種イモが腐って育たなくなるので、必要最低限の頻度にして、一回の水やりで与える水の量を増やすといいでしょう。
その後は逆に、葉がしなってから水やりするなど、乾燥気味に育てていくようにすると、よくイモが増えて充実していきます。
種イモを植えてから10日経った頃、芽がどんどん生長してきて草丈が10cmほどになってきたら、丈夫な芽を1〜2本残して、花芽がついているような芽や細い芽などは株元から切り取って芽かきします。
芽かきはプランターでの栽培だけでなく、地植えの際も重要になってくるので欠かさず行いましょう。
ジャガイモの栽培中、追肥は収穫までに2回行います。
1度目は植え付けから1か月以上経ったころに芽かきと同時に。2度目は苗に蕾が付いているときに施しましょう。
一株あたり10gほどの化成肥料を与えて、周りの土とよく混ぜながら同時に土寄せもしてください。
なお、化成肥料を与えると甘みが弱くなってしまう可能性があるので、栽培に慣れてきたら肥料の種類を油かすや熔リンに変えるのもおすすめです。
また土寄せは芽かきと肥料の手入れをしたときと同じタイミングで、定期的に作業しましょう。やり方は簡単、芽をしっかりと土で埋め直すだけでOKです。
ジャガイモは種イモの上に小さいジャガイモがどんどんと生まれていきますが、日数がある程度経って大きくなると、地中にでてきてしまうことがあります。ジャガイモは日光を浴びるとソラニンという毒を持って緑に変色してしまうので、定期的に土寄せをして防ぐようにしてください。
ジャガイモの収穫は、春植えなら5〜7月、秋植えなら11月下旬〜12月上旬です。収穫の目安となるのは地上部の茎葉の色です。茎葉が黄色く変色したら収穫時期といえるでしょう。
ただし黄色く変色してからもイモは肥大していくので、数日時間をおいてから収穫する方法もおすすめです。
より詳しい収穫時期、掘り方や乾燥のやり方などはこちらの記事を参考にしてみてください。
ジャガイモにの葉っぱに黒い斑点が浮かんでいるときは、「モザイク病」にかかっている可能性が高いです。また、葉っぱが黄色くなったり茶色くなって変色するときは「べと病」の可能性があります。
ただし、ジャガイモは収穫期を迎えると自然と地上部が枯れてきます。春に植え付けしたのなら早いと11月ごろから枯れ始めるので、その時期に下葉が黄色くなってきたら収穫のサインの可能性もありすよ。
ただし、収穫期ではない時期に地上部がしおれるように元気がない状態になったり異変が見られた場合は、なんらかの病気にかかっている可能性が高いので、こちらの記事を参考に対策をしてみてください。
ジャガイモは地下に埋まっているのでなかなか害虫被害に気づけず、収穫したときに発覚することもあるので徹底して対策したいところですよね。ジャガイモの虫食いの原因となるような食害する害虫は次の3種類です。
害虫を予防するためには、必ず病原菌検査済みの栽培用種イモを使うことと、栽培中根元を保護しておくことも効果的です。根元の保護は、半分に輪切りにした500mlペットボトルを株元からスポット被せて、1〜2cmほど土に埋めればOKです。こうすることで、ネキリムシを物理的にブロックできます。
もし害虫が発生してしまった場合は、プランターなら新しい用土に植え替えるか、農薬を使うしかありません。植え替える際も容器ごとキレイに洗い流して土を一つ残らず掃除してください。イモも洗って数日天日干しをして乾いてから植え替えましょう。
とくにセンチュウ類は目視ではほとんど見えないくらい小さく、わずかに残った土にも潜んでいる可能性があるので注意が必要です。
ジャガイモ栽培で石灰を使ってはいけないというのは、ジャガイモがかかりやすい「ソウカ病」を防ぐためです。ただ、石灰を使うこと自体に問題があるのではなく、使う量に問題があります。
ソウカ病とは、ジャガイモの塊茎の表面の皮がでこぼこ状態になる病気のことで、アルカリ性の土壌が原因で発生します。そのため、土づくりときに石灰を多く入れすぎて土がアルカリ性に傾くと、ソウカ病にかかって全滅する恐れがあるのです。
とはいえ、適量の苦土石灰を使えば問題ありません。あくまで使いすぎてはいけない、という話でしょう。
ジャガイモの栽培で適正な土壌酸度はpH5.0~6.0です。pHを1.0上げるのに必要な苦土石灰の量は、およそ1㎡(深さ10cm)の範囲に対して150gほどなので、酸度計で測ってから苦土石灰の量を決めるようにするといいですよ。
スーパーなどの食用野菜として売られているジャガイモでも、種イモとして栽培できます。ただし、栽培用の種イモと違って農林水産省の品質検査を受けていないので病気にかかりやすく、収穫に失敗する可能性がかなり高いです。
とくにセンチュウやソウカ病などの病害虫は、地上部に変化が起きにくく、収穫して初めて発覚するということも多々あります。せっかく大切に育てていたのに、気付かぬうちに台無しになっていたということがないように、栽培用の種イモを入手して育てましょう。
収穫したイモも種イモにできますが、こちらも同じ理由で使い回しせずに栽培用の種イモを用意したほうがいいです。
ジャガイモの栽培には、ほとんどが畑を耕して育てることが多いですが、ベランダでも栽培しやすいプランターやコンテナでも育てることができるので、ぜひ挑戦してみてください。
プランターなどで育てるときは支柱を立ててあげると、風に煽られて折れたりする可能性が低くなるのでおすすめです。ぜひ自分で育てたジャガイモを収穫してみてください。
小野未花子
GreenSnap編集部