皆様はこの植物知ってるでしょうか?
Googleで検索しても花の写真も出ませんが、これでもヒルガオ科では普及種なんです!
ipomoea bllataの特徴
イポメア ブラータ(ipomoea bullata)は塊根アサガオと呼ばれるニッチすぎて誰にも伝わらない界隈の中では、ホルビーやプラテンシスよりはマイナーかも知れませんが、それでも普及種で、都道府県に一人位は持ってる人もいると思います。
特徴はトライコーム(葉に生える産毛)のあるカシワの葉のような鋸歯のある厚めの白っぽい葉っぱが目印です。
日本において、鉢植えでは余程の暖地でなければ通常花も咲かず、フリルのある7センチ強の花芯(花の中心部)が赤紫色で花弁は極めて白に近いピンクの花で見分けるのは難しいと思います。多花性で毎日多くの花が開花します。開花時期は8月から10月です。
また、ヒルガオ科の中でも塊根を作るグループでは株の充実具合によって葉の形が変化する事がありますが(異形葉性)、ブラータも円心形で鋸歯が強くないタイプの葉が付くことがあります。株が充実すると鋸歯が強くなる傾向がありますがこれは一般的な現象であり、その変化には葉の発生における複数の遺伝子の発現量や場所に変化が生じる事で発生している物と思われ、遺伝子に変化が生じている訳ではないと思われます。
ヒルガオ科と言えばアサガオのイメージからつる性と思いますが、ブラータも例に漏れずつる性植物です。とは言っても、鉢植えで育てている場合、行灯は必要なく立派な茎が自重を支えている様に見えると思います。
塊根部分はサツマイモなどと同じ所謂塊根です。一部のヒルガオ科植物は根の肥大ではなく、茎が肥大するタイプもあるので植え方には注意が必要です。
やや細長く灰色から茶色に近いお芋が出来ますが、芋は全て埋まっているのが本来の姿です。一般的には芋を鉢に少し出して植えている姿で売られていますが、全て植えた方が圧倒的に成長速度が良くなります。
ipomoea bullataの育て方
ブラータは一般的なipomoea属の塊根植物の特徴にもれずサツマイモが育つ環境がちょうど良いです。具体的には高温で水切れしやすい乾燥した土地が良く、サツマイモと一緒に混植しておくと特に灌水せずに大きく育ちます。何かに巻きつけて高く育てなくても、お互いに茎を絡めながら育ちます。
10月中旬でも葉は繁っていますが、切り詰めて、15度を下回る前に掘り起こして籾殻の中で10度を下回らない様に保管するのが管理しやすいですが、本来は多年草ですから、温室があるなら鉢上げして、23度程度で管理する方が安全でしょう。
沖縄や九州、四国の温暖な場所、紀伊半島、房総半島の南部、太平洋側の冬でも10度をきらない暖かい地域なら、黒マルチで地植えした上で、冬の寒い風に当たらない様に簡易温室を作れば越冬出来ます。
葉が厚く凍結には耐えれませんので貴重な植物を育てている事を自覚し、無理な生育はしない様にしましょう。
植物全般に言えますが、冬の寒さの影響は気温だけでなく風の影響も大きいため、気温だけでなく、体感気温が10度を下回らない様にしましょう。
繁殖について
結実についてはアサガオ同様に容易に自家受粉しますので、近くに同一種を用意する必要はありません。そもそもこんなのの同一種が植っている場所は研究所くらいでしょうが…。
アサガオの受粉は自家受粉性が強く、滅多な事では他家受粉しません。理由としては、花粉の受け渡しが蕾が開く時におこなわれているからですので、交配するなら、一般的なアサガオ交配方法と同様に花弁を除去して、おしべを取り除く必要があります。詳しいやり方は九州大学あさがおホールページなどを参照下さい。
染色体数は調べていないため、交配は試しておりませんが、素人見解ではありますが、ホルビー(ボルシアーナ)、ウェルウィッチー等が可能性が高く、次点でプラテンシス、バタタス(サツマイモ)付近、確率は低いですが、タルメンシス、アルピナ、等も可能性はあるかも知れません。
灌木タイプのラピドサやアルボレッセンス、ムルコイデス、テオティトラニカ等とは結実しない気がします。今後試していきますので、情報ある方はお気軽にお声掛けください。
他愛もない感想
害虫については、サツマイモと同様の病害虫に気を付ける必要があるが、うどんこ病にはやや注意が必要だと思われる。
入手方法はネットを中心に探すのが良いと思うが、滅多に見かけることはないので、関東圏ならグランカクタスやヨネヤマプランテンション、関西圏なら山城愛仙園やカクタスニシなどを見てみるか、相談すれば手に入るルートが見つかるかも知れません。私も一度だけ、ヨネヤマプランテーションで見かけた事があります。
写真の花はipomoea batatas(サツマイモ)です。日本では一般的には開花しませんが、この株は突然変異により年中開花する様になっています。バタタスとブラータは比較的近縁種だと思われますので、ブラータとサツマイモを接木すると、開花が早まる可能性があります。誰か試してみて下さい。