warning
error
success
information
春にはかわいい花が咲き、夏に甘い実を付けるモモ。本格的な果樹のイメージも強く、育てるのは難しそうと感じる方も多いのではないでしょうか?実際モモは、病害虫が多く、薬剤散布や摘果、袋がけなど多くのお手入れもあり、簡単に育てられる果樹ではありません。しかし、育つのが早く、植え付けた翌年から果実を楽しむことができ、早く結果を出せる果樹なのです。
今回は、そんなモモの育て方をご紹介します。
モモを育てるには、何より日当たりの良さが重要です。特に、夏の成熟期は日にたっぷり当て、降雨を避けてあげましょう。
モモは過湿を嫌うため、乾燥気味に育てます。
モモを地植えしている場合は、植え付け直後こそ乾燥させないように水やりをしますが、苗が落ち着いてからは、特に水やりの必要はありません。夏に降雨がない日が続き、土が乾ききってしまったときだけ水やりしましょう。
モモの果実の成熟期に水分を抑えた方が、果実の甘みが増します。
モモを鉢植えしている場合は、土の表面が乾いたら、たっぷり水やりしましょう。
モモの植え付け時に、元肥として緩効性の化成肥料を与えます。地植え・鉢植え共に、寒肥として2月頃、実が付く5月頃、収穫後のお礼肥として10月頃にそれぞれ有機質肥料か速効性の化成肥料を与えてあげましょう。
モモを育てるときは、水はけがよく、水持ちの良い土を用いましょう。赤玉土小粒7に対し腐葉土3位の割合の用土に苦土石灰を少々加えます。市販の果樹用培養土を用いてもよいでしょう。
モモの植え付け時期は、11月中旬~4月中旬頃です。寒冷地では3月~4月中旬、暖地では11月中旬~12月が適しています。
予め苗の根を水につけ、吸水させてから植え付けましょう。穴を掘ったら、準備した用土と掘り出した土を混ぜ、穴半分位まで入れます。根を広げながら苗を植え、残りの土を入れてください。苗が倒れないよう、支柱を立て、最後にたっぷり水やりしましょう。
モモの植え替えは、根詰まりを防ぎ、通気をよくするのが目的です。根のまわり具合を確認しながら、少なくとも2~3年に1回は一回り大きな鉢に植え替えましょう。
モモの増やし方は、「種まき」か「芽接ぎ」が一般的です。
モモの種は、乾燥させたりせず、すぐに種まきします。硬い殻を割って中身を取り出し、薄皮を剥いてまきましょう。
台木にする木の接ぐ部分周辺の枝を、切り落としておきます。次に、芽接ぎするモモの芽を葉が少し残るように削ぎ、台木に切れ込みを入れ、台木の切れ込みに芽を密着させましょう。最後に、接ぎ木テープで固定します。9月頃に行いましょう。
モモは病気や害虫の被害が多い果樹です。そのせいで花芽が付かない、果実が収穫できない、場合によっては枯れてしまうことさえあります。病気・害虫共に予防できる殺菌・殺虫剤を定期的に散布することをおすすめします。
縮葉病:若い葉がかかりやすく、葉が赤色に縮れ、膨らみ、やがて落葉します。感染拡大を防ぐため、病気にかかった葉はすぐに取り除いてください。予防するには、発芽前に薬剤を散布しておきましょう。
灰星病:収穫期が近くづく頃、果実表面に斑点ができ、腐ってしまいます。病気にかかった果実はすぐに取り除いてください。予防するには、感染しやすい梅雨時に薬剤を散布し、果実がついたら果実に袋をかぶせて感染を防ぎましょう。
黒星病:葉に淡褐色または黒色の斑点ができ、斑点は次第に大きく広がり、やがて落葉します。感染拡大を防ぐため、病気にかかった葉や落ちた葉はすぐに取り除いてください。予防するには、定期的に薬剤を散布しましょう。
モモせん孔細菌病:葉、枝、果実に感染する病気です。葉では、まず葉が白っぽくなり、褐色に変色し、穴があき落葉します。果実が感染すると、黄色くしおれたり、褐色の斑点ができ、やがて深い亀裂を生じます。
また、枝に感染すると、枝表面が紫黒色に変色し、へこみ、ひび割れへと進行し、細い枝だと枯れてしまうこともあるので注意が必要です。感染した部位はすぐに取り除いてください。
アブラムシ:新芽や葉に寄生し、汁液を吸います。病気も媒介するので注意が必要です。
ハダニ:葉に寄生し、汁液を吸い、発育不良を招きます。
カメムシ:新芽や葉、枝、幹にも被害を及ぼしますが、何より果実の汁液を吸い、果実に大きなダメージを与えるため注意が必要です。
シンクイムシ:新芽を食べてしまう、果実の中に侵入し食べてしまうなどの被害があります。果実の中に侵入してしまうと駆除が難しいです。ご注意ください。
カイガラムシ:葉、枝、幹に寄生して、汁液を吸い、発育不良を招きます。また、カイガラムシの排泄物は病気を誘発するため、間接被害も怖いです。
モモハモグリガ:幼虫が葉を食害します。
花粉がない品種のモモの場合、花粉がある品種の花粉を人工授粉しなければいけません。つまり、2種類のモモの木を育てる必要があります。風がない日の午前中を選び、八分咲きの時と満開時に行いましょう。
モモの枝の先端についた上向きの蕾や、1節に2つ以上ついている蕾をやさしく摘み取り、間引きましょう。2月下旬~4月中旬頃に行います。
美味しいモモの実にするために摘果します。枝の長さにより、1枝に1~2個の実になるよう間引きましょう。5月~7月頃に行います。
大切な果実を病害虫から守るため、果実に袋をかけます。風で袋が取れないように、しっかりと枝に結びつけましょう。
モモの木は、若い枝に花芽をたくさんつけるため、休眠期の12月~2月下旬頃に剪定をし、若い枝が伸びやすくしてあげましょう。たくさんの花芽がつけば、実付きもよくなるため、休眠期の冬剪定は欠かせません。
また、風通しをよくし、不要な枝に栄養が取られるのを防ぐため、夏剪定として7月下旬~8月頃に、花芽が付かない徒長枝を中心に不要な枝を剪定しましょう。
モモの収穫期は、果実の色と香りで判断します。果実が色付いてきたら袋を外し、1週間程、日に当てて着色を促しましょう。緑色が消え、しっかり色付き、モモの香りが強くなったら食べごろです。収穫しましょう。実が落ちる直前が一番甘いのでしっかり見極めてください。
実をつけるモモは、3月下旬~4月頃に、白や赤、ピンク色の、八重桜に似たかわいい花を咲かせます。花の大きさは3~4cmで、一重咲きや八重咲きなど、花姿にバリエーションがあります。
モモの花言葉には、「私はあなたの虜です」「あなたに夢中」「気立ての良さ」「チャーミング」「天下無敵」などの意味があります。
今回は、モモの育て方やお手入れ方法などをご紹介しました。病害虫も多く、成長ごとにいろんな手入れをしなければいけないモモは、決して簡単に育てられる果樹ではありません。手のかかる子供ほどかわいいといいますが、モモも一緒です。苦労して、手をかけた分、おいしい実を付けた時の感動はひとしおでしょう。
また、実はもちろん、かわいい花も魅力です。春にかわいい花が咲き、夏にいい香りのおいしい実をつけるモモの栽培にチャレンジしてみませんか?
※トップ画像はHana to Nekoさん@GreenSnap
GreenSnap編集部