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so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 22 たぬき騒動から二度めの春が訪れ、健太は6年生になっていた。 山里に遅い春が訪れ、小さな畑のわきに植えられた桜の花も満開になった。 騒動の後友達と遊ぶこともなくなった健太は、全てを忘れようとするかのように、両親の手伝いと勉強に熱中し、今では父と並ぶほど背も伸びて日に焼け逞しくなっていた。父もそんな息子と働く時間に幸せを感じるのだった。 この桜は、お前が生まれた記念に植えたんだよ。 立派な樹になったなぁ。 畑仕事を一休みして、父と見上げる桜は、光に透けてキラキラと光るようだった。 お前も6年生になった。次の春は隣町の中学まで長い距離を通わねばならん。一彦くんと一緒に通えたら良いんだが…。仲直りは難しそうなのか? 桜を見上げていた健太は、父に視線を移し そうだね。ぼくも一緒に通いたいけど…難しそうだ。 と答えた。 そして、少し間をおいて言葉を続けた。 父さん、離れてみて、カズチは大事な友達だったって、身に染みて思ったんだ。そして、本当の事が言えないって、こんなに辛いと思わなかった。だから、カズチがいつか困ったときに力になれるように、今は自分ができることを頑張っていくしかないと思ってるんだ。 そうか。 父もそれ以上はなにも言わず、桜の空を見上げた。 健太は、山に帰したたぬ吉の事を思い、父は一年後に中学に上がる健太のために、制服や自転車、あれこれと準備を考えていた。 書きかけ
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so.ra
み えないものも つ ながって ば らんすをとっている 厳しい 冬を越えて いのちを芽吹き いつかそれぞれ花開く ぼくも 繋がった いのちの一つ どんな芽を芽吹けるだろう 今日のお花 🌱 みつば 春の風景を見るたびに 自分も いのちの一つなんだと 春に包まれる喜びを感じます 写真は、庭のみつばです。 暖かくなったので、ぐんぐん大きくなって、まだ花も咲かないのに、小さな蜜蜂が飛んできてました。 日中の気温24℃ 街をTシャツで歩く人もいました。 🌱🌱🌱 so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 21 教室で起きた事件を、子供たちがそれぞれの家に帰って話したものだから、たちまち村中で噂になった。 親たちは、火のない所に煙はたたないと、村の数人が村長の家に押しかけ、健太の家で狸を飼っているという話が本当であれば村の一大事。確かめてくれと村長に迫った。 村長は、騒動のことは知っていた。一方、こんな騒動になっているのに、頭の切れる健太の父春彦が、狸を飼っている証拠を残しているとも思えなかった。しかし、村の騒ぎを納めるためには、誰かが確めなければ納得しないだろうとも考えた。 「それならわしが確かめてこよう」と村人らに約束をして、翌日の午後健太の家を訪れた。 春彦さん、すまないがちょっと確めたいことがあってのう。 庭で薪割りをしていた春彦は、村長を家の中に招くと、縁側に腰かけた。 仕事中にすまないのう。 実は、村の集から頼まれて確めたいことがあってきたんだ。 きたな。 と春彦は思ったが、何食わぬ顔で、さてなんの事でしょう? と返事をした。 あんたのところの健太くんが狸を飼っていて、それが原因で学校で一彦くんと大喧嘩になったと、子供たちが親に報告したらしい。あんたも、村では狸を飼うことはならん決まりだと、知ってるはずだが、確めてきてくれと村の集がいうもんだからのう。 村長の話を一通り聞くと、春彦は答えた。 わしも、学校でうちの息子と一彦くんが喧嘩したことは聞いたが、さて狸なんぞ飼ったこともなく、なんでそんなことになったかと思っている所です。ご覧の通りの貧乏暮らしで、猫の子一匹飼う余裕もない家ですからの。 そう言って笑った。 まぁ、調べねばならんとおいでになられたなら、散らかった家の中ですが、どうぞお調べください。 春彦にそう言われ、たとえ狸を飼っていたところで、もう何も証拠など 残っているはずがないと思った村長だったが、居間から台所、風呂場までぐるりと回り、家の外も牛小屋鶏小屋から薪置き場まで、春彦の案内で見て回ったのだった。 疑うようなことをして、すまなかったのう。何もおらなんだと、もうこれ以上噂をするのもご法度と村の集には話しておこう。 そう言って村長は帰っていった。 翌日、村長からその話を聞いた村人たちは、納得できない思いもあったが、確めたなら仕方あるまいと、騒動は幕引きとなった。それぞれの家では、子供たちにその話をしたすることは禁じられ、子供たちの噂も収まった。しかし、子供たちの中では、一彦が嘘をつき騒動が大きくなったという結論となり、教室の中で一彦によそよそしくなったのだった、 学校での喧嘩以来、一彦と話すことも、ましてや登下校を一緒にすることもなくなった健太は、教室でポツンと寂しそうにしている一彦を見るたびに胸が痛んだ。 兄弟のように過ごしてきた大切な幼馴染みと、たぬ吉を助けたことで、戻ることのできない溝ができてしまい、なす術もなく健太は布団の中で泣いた。 一方、わけもわからず健太と絶交状態になり、友達からも嘘つき扱いされた一彦の胸の内は、やり場のない寂しさや悔しさで一杯になった。どうして穏やかで楽しかった毎日が消えてしまったのか納得もいかないまま、一彦も夜が来るたび布団の中で泣いた。時が過ぎるほどにそれは怒りにも似た気持ちに変わり、一彦の胸の中で膨らんでいった。 健太は一彦と一緒にならないように、今までより早く家を出るようになった。 ケンチ、カズチと互いを呼びあいふざけあいながら通った学校への道には、畔にそって菜の花が咲き、道端には小さなつくしが顔を出し、再び春がめぐってきた。 🏷️たぬき桜 🏷️健太の冒険 🏷️健太応援団 🏷️GS繋がりに感謝
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so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 20 帰宅した健太は、今日の出来事を両親に話した。 すでに、担任の先生からの電話をもらっていた両親は、学校での出来事を知っていた。 黙って健太の話を聞いていた父が、ゆっくり口を開いた。 おそらく今夜一彦の親父が、事情を聞きに来るだろう。ニュースもない村の事、今日の話を聞いた村の集も、事情をききにくるやもしれん。 禁じられてる狸を飼っていたとなれば大事だ。面倒な事になったが、狸など知らないと押し通すしかあるまい。そう話す父の表情は険しかった。 健太、いのちを助けることは確かに尊い事だ。だが、どんな時も、嘘をつく事は、周り回っていつか自分を苦しめることもある。それを決して忘れちゃならん。 何かを犠牲にする正義などないんだ。ある人にとっての正義は、誰かの正義と衝突する。ただ愛と想いで行動していく時、覚悟が必要になることもある。今回の事でお前もいろいろ学んだだろう。 そして、一彦くんも、わけもわからず急にお前に冷たくされ、嘘をつかれ、クラスメートからまで非難された。お前以上に辛い思いをしてるかもしれん。その事も忘れちゃならんぞ。 人生には、その時はしっかり考えて判断した事でも、後ではそれが人生を狂わせて、深く後悔することもある。だから、大きな選択をする時は、本当にそれでいいのか?一足立ち止まって自分に問うことも大切な事なんだ。 父の言葉を聞きながら、健太は涙ぐんでいた。 父さん、カズチといつか仲直りできるかな。 父は黙って健太を見つめると、言葉を続けた。 仲直りできるかは、わしにもわからない。大切な友達なら、今は真心を持って接するしかないだろう。 とにかく、今は次に備えることだ。 今日は手伝いはいいから、お前は風呂に入ったら早く寝なさい。 父に促されて、いつもより早く夕食を食べて健太が布団に入ると、まもなく一彦の父がやってきた。 夜分にすまないね。 今日、うちの一彦とお宅の健太くんが学校で喧嘩をして、健太くんに怪我をさせてしまったようで、申し訳なかった。 そう言うと、一彦の父は、山で取れたものだと山ウドを差し出した。 健太の父は、子供同士の喧嘩でお互い様だ。たいした怪我でもなかったから、気遣いは要らないと断ったが、一彦の父がどうしても差し出すので、ありがたく受け取った。 ところで…。 と一彦の父が切り出した。 一彦が言うには、喧嘩の元は、お宅に遊びに来たときに健太くんが狸を飼っていたのを見つけて、あれは狸だろうと言ったのを、そんなものは居なかったと、健太くんが言い張ったものだから、喧嘩になったと言うことだが…健太くんから何か聞いてるかね? やはり、きたな。 健太の父は何食わぬ顔で答えた。 「うむ。わしも健太から、狸がおったと言われて、見間違いだと何度も言ったが、信じてもらえず喧嘩になったと聞いた。 ご覧のとおり、うちには狸どころか猫の子一匹いない。そんなものに餌をやる余裕もないからのぉ。」 そう言って笑った健太の父の目が、少しも笑っていないことに、一彦の父は気づいたが、証拠がなくては、とやかく言えないこともわきまえていた。 そうか。 あんたも、この村じゃ狸を飼うことは許されないことを知っているはずだから、まぁ、狸なぞ飼ってるはずはないと思っていたが…。 まぁ、健太くんも怪我が治ったら、また一彦と遊んでやって下さい。 遅くに邪魔してすまなかった。 そう言って帰っていった。 親たちの会話を、布団のなかで震えながら聞いていた健太は、一彦の父が帰った事でホッとしたが、明日からの学校のことを考えると、気が重くなるのだった。 今日のお花🌸 桜 東京 近所の公園の桜です。 夕暮れの光に、透けるように咲いていた桜が、とっても綺麗でした。
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 19 桜ばな いのちいっぱい咲くからに 生命をかけて わが眺めたり 岡本かの子さんの句です。 いのちをかけて眺める、その心のうちには、どんな思いを抱いたのでしょう。桜の花には不思議な日本の魂を感じます。 🌱🌱🌱 幸い健太の傷は浅かった。 さぁ、これで大丈夫。 怪我したところをぶつけたり、動かしすぎないように気をつけてね。 手当てを終え、保健室から教室に帰った健太は、先生に頭を下げると席についた。 クラスのみんなは健太をチラッと見たが、目線が交わるのを避けるように直ぐにノートに目を移した。 一方、一彦は健太の方を見ようともしなかった。 そうだよな、カズチは何にも知らないのに、僕のせいで巻き込まれちゃったもんな、怒るのも無理ないよな。もう、仲直りできないのかな。 先生の話も耳には行ってこない健太は、ぼんやりと窓の外に目を向けた。 その日の放課後、健太と一彦は先生に呼ばれ、喧嘩の理由を問われた。何度先生に尋ねられても、健太も一彦も、自分は嘘を言ってないと一歩も譲らなかった。 村では狸を飼うことは禁じられている事を知っていた先生は、それ以上深入りせずに、今後このような喧嘩をしないことを2人に約束させ、今日の事は双方の親に伝えると話し2人に帰宅を促した。 これ以上口論になる事を避けたかった健太は、教室に戻るなりランドセルを背負うと、一彦の顔も見ずに帰宅してしまった。 健太に腹を立てていた一彦だったが、思いがけず怪我をさせてしまった。そのことを謝ろうと思っていた一彦は、きっかけをなくし、心の中がやり場のない思いでいっぱいになった。 校庭に出ると、開き始めた桜のつぼみが、夕方の光の中で光るように咲き、数羽の小鳥が忙しく枝を飛び回っていた。 ふと、見上げた目線の先に、桜を見つけた一彦は、足をとめた。 咲いてるのか。 花見…去年楽しかったな。 健太と俺、もう戻れないのかな。 枝を見上げる一彦の頬を、涙が一滴ツーッと伝って落ちた。 🌸今日のお花 桜 今家の周りは2~3分咲きです。 この2,3にちの暖かさで、だいぶ開花が進みました。 満開の桜より、この時期の桜に惹かれます。
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 18 おい、健太!本当か? お前、狸なんか飼ってるのか? 一斉にみんなの視線を浴びながら、 健太は平静を装って答えた。 まっさかぁ。 そんなことあるわけないじゃん。 とぼける健太に、一彦が容赦なくつめよった。 おい!嘘つくのもいい加減にしろよ!お前の膝に抱いてた狸を、俺はこの目でちゃんと見たんだぞ! お前、この頃学校が終わるとダッシュで駆けて帰ってたじゃないか! 昨日は、俺に見られちゃまずいから、俺の事を慌てて追い出したんだろ! 幼馴染みの一彦はお見通しだった。健太は、一彦の言葉に動揺した。いつもの健太なら、ごめんと直ぐにも謝ってしまうところだったが、今度ばかりは絶対に認めるわけにはいかなかった。 こうなったら喧嘩になっても仕方ない!強気でいかなくちゃ! そう腹をくくった健太は、怒ったような声で一彦に応じた。 そっちこそ、いい加減にしろよ! 何も居なかったって言ってるだろ! 俺、父ちゃんに新しい靴を買ってもらうのに、手伝いする約束したんだ。だから駆けて帰ってたし、昨日は、父ちゃんに早く手伝いに来い!って言われてたから、追い出すみたいになっちゃっただけだ。追い出したことは謝るよ。…ごめん。 そう言って、健太は一彦に手を合わせ謝る仕草をした。一彦がそんなことで引っ込むとも、納得するとも思っていなかったが、どうしても嘘をつき通さなければならなかった。 そんな健太の様子を見て、2人のやり取りを興味津々で聞いていたクラスメートの一人が口を挟んだ。 おい!一彦! 健太がそんなの居ないって言ってるんだ。お前の見まちがいじゃないのか? 腕力はないが、勉強ができてしっかりものの健太は、皆から一目置かれていた。慌てん坊の一彦が、見間違って騒いでるだけなんじゃないかと、クラスの大半の子が健太に加担した。それが、一層一彦の感情を逆なでした。 一彦は真っ赤になって、健太の胸ぐらを掴んだ。 おい!健太! そんな謝ったふりしたって許すもんか!お前が嘘をつくから、俺が皆からも嘘つきにされてるんだ! 本当の事を言えよ! 一彦に押されて、勢いよく床に倒れた健太の上に一彦が馬乗りになった。両手で健太の胸を掴んで睨み付ける一彦の手を健太が振りほどこうと掴んだ。 おい!やめろよ! 知らないものは知らないんだよ! 手を離せよ! 倒れた拍子に机の金具にぶつかって傷ついた健太の腕から、血がポタポタと流れ落ちた。 そんな様子を見て、クラスメートがとめに入った。 おい!一彦やめろよ! 健太、怪我をしちゃったじゃないか! クラスが騒然となったその時、先生が教室に入ってきた。 お前ら何をしてるんだ! もうチャイムが鳴ってるんだぞ。 早く席につきなさい。 そう言うと、床に倒れた健太と、その上に馬乗りになっている一彦に、 喧嘩のわけは後で聞こう。 授業を始めるから席につきなさい。 と2人を離した。一彦は健太を睨み付けながら、しぶしぶ席についた。 床から起き上がった健太に手をかした先生は、腕から血が出ているのを見つけ、君はまず保健室に行って、手当てを受けてきなさいと言うと、教壇に立って教室を見回した。 さっき起きた喧嘩は、クラスメイトにとっては大事件だった。みんな頬を赤らめドキドキして、先生の言葉も上の空だった。 健太は、傷を手で押さえ、その場から離れて保健室に行けることでホットしていた。 危なかったな。 ほんと、危機一髪。 でも、絶対秘密を守り通さなくちゃ!大丈夫、きっとできる! できる! そんな言葉を心の中で何度も繰り返すのだった。 🌱🌱🌱🌱🌱 ノシランの花言葉 忍耐 終わりが見えていれば、あそこまで頑張ればって思えるけど、終わりの見えない忍耐は、本当に辛いですね。 いつも行く公園で、たくさんのノシランが青い実をつけていました。午後の光にキラキラ光って、宝石のようでとても綺麗でした💎✨。
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 17 雨に濡れる 小さな枝も やがて来る春を 知っている 届く雲間の光が いつか 心をあたためる そんな明日を信じてる 希望は どんな色か 君に尋ねたら 君は なんと答えるだろう 🌱 先日冷たい雨の日、雨の雫をまとって小さな花びらを広げた雪柳が、輝いて見えました。 🌱🌱🌱 あいつ、何だって狸なんか飼ってたんだ!それに、あいつだけでなくおばさんまで、知らんふりして! 俺の事をバカにして!見てろ! 健太の家から帰った一彦は、怒りが収まらず、帰るなり健太の家であった一部始終を、怒りに震えながら両親に話したのだった。 一彦の父は腕組みをして黙って話を聞いていたが、一通り話が終わると口を開いた。 この村では、山の獣を狩るのはまたぎの仕事。わしらが勝手に狸やら捕まえてきて飼うのは禁じられているのは、お前も知ってるだろう。 その狸を飼ってるなど、とんでもないことだ。 お前の話が本当なら、決まり通り村では暮らしていけない。あの春彦じいが、そんな事も知らんとは思えんし、わしも迂闊なことは言えん。明日、わしがこの目で確かめてこよう。お前も、それまではこの話は口にするな。友達にも話すんじゃないぞ。良いな。 両親は、一彦の話が作り話ではないと信じてくれたが、話すことを禁じられた一彦の不満は収まらなかった。 ちくしょう! 何で秘密なんだよ! その夜、一彦はなかなか眠れず朝方やっとまどろんだ。翌朝、遅刻すると起こされ、やっと布団から出て、朝食も食べずに学校へ駆けていった。 いつもは大食いの一彦が、朝食も食べずに家を出たものだから、2時間目にはお腹がグウグウなって友達らに笑われた。 おい、一彦。 腹が鳴ってるぞ! お前、朝めし食って来なかったのか? 寝不足、空腹で不機嫌な上に、みんなに笑われた一彦は、怒りが沸々と込み上げて、ついみんなの前で健太が狸を飼っていた事を口にした。 健太のやつ、狸を飼ってたんだよ! 俺、昨日ケンチの家で見たんだ。 それなのにこいつ!知らんふりして、俺に帰れって追い出したんだ! 俺、夕べ腹が立って眠れなかった。それで朝寝坊して飯を食ってる暇なかったんだよ! クラスでも腕力が強くガキ大将の一彦が、健太を指さして怒りながら話す話に、その場にいたみんながどよめいた。 おい!本当か? 狸は飼っちゃいけない決まりだよなぁ。なぁ! 健太、本当か? クラス中の視線を浴びて、健太は凍りつく気持ちだった。 やっぱり来た! 健太は、その場から逃げ出したいほど怖かったが、ひたすら堪えた。
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so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 16 月明かりもない暗く、風の冷たい夜だった。 山に着き背負ったかごから下ろすと、たぬ吉は父の足元でしばらくじっとしていた。 父が 『さよならだ。お前の家にお帰り』と声をかけてたぬ吉の背中を押すと、言葉がわかったかのように、たぬ吉は駆け出して繁みの中へ姿を消した。 寂しくなるな。 父は、ポツリと言うと、 畑の端に咲きはじめたボケの花を一枝折ってかごに入れ、家路を急いだ。 お帰りなさい。 誰にも会わずに行ってこれましたか? 帰宅した父は、心配して待っていた母に黙って頷くと、ボケの花を手渡した。そして、たぬ吉のために作った籠を鉈で壊し、かまどの火にくべた。たぬ吉が使っていた敷物も餌の鉢もかまどの中に次々とくべられ、赤々と燃えていく。 その火を父の隣で泣きながら見ていた健太に、父は静かに言った。 お前が大切に世話をしていたたぬ吉を急に山に帰す事になって、泣きたくなる気持ちはわかる。 だが、泣くのは今日までだ。 おそらく、一彦くんは、家族に今日の話をするだろう。学校に行ったら、友達にも話をするかもしれん。その時、一彦くんに何を聞かれようと、友達がどんな質問をしてこようと、誰かに責められようと、絶対に知らぬ存ぜぬを通すんだ。動揺して悟られてもならん。お前には辛い事だろうが、ここで生きていくためには、どうしても秘密を守ることが必要なんだ。 たぬ吉を助ける話をした時、お前に何度も覚悟があるかと確かめたが、わしも母さんも、覚悟して秘密を守らねばならん。 できるか? 父の言葉で、健太は明日からの自分の置かれる状況の厳しさに改めて気づいた。 恐ろしい事になった。 父さんが言っていた覚悟…。 こんなことになるなんて。 父さん、考えるだけで本当に怖い。でも、始まりは僕だ。 父さんも母さんも、巻き込んじゃったんだね。カズチにも嘘をついて…カズチ何にも悪くないのに、ぼく今日ひどい追い出しかたをした。これからもっと傷つけちゃうかも知れないね。…でも、たぬ吉をどうしても助けたかった。父さん、母さん、ごめんなさい。それから、一緒にたぬ吉を助けてくれてありがとう。 僕、もう泣かない。 きっと秘密を守り抜く。 頑張るよ! 涙を拭いて健太は父の顔を見上げた。 そんな健太を見つめていた父は、 お前なら出来る と一言言うと、 健太の頭に優しく手を置いた。 その夜、父が手折ってきたボケの花を母が食卓に飾った。一輪の花がひっそりとした家の中で、みんなの心をあたためた。 🌱今日のお花 ボケ 花言葉 平凡 花一輪 平凡のあたたかさ
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 15 健太が帰宅すると、家の外までシチューの良いにおいがしていた。 ただいまぁ 母さん!今日はシチューでしょう? 健太はランドセルを下ろすと、たぬ吉のかごに直行しなから、台所の母に声をかけた。 そうよ!あなたの大好きなシチュー、できたてよ! たぬ吉君にエサをあげたら、お父さんが牛小屋の掃除をしてって言ってたわ。急いでお手伝いを終わらせて、ご飯にしましょうね。 健太は、わかった! 弾むような声で返事をすると、かごの中からたぬ吉を抱いて、机の前に座った。 その時だった。 玄関の戸がガラリと勢い良く開き、一彦が入ってきた。 ケンチ!遊ぼうぜ! 一彦の声に、玄関に後ろ向きに座っていた健太は、膝に乗っていたたぬ吉のお尻を叩いた。たぬ吉は驚いて健太の膝から飛び出て、台所へと駆け込んだ。 健太は、ドキドキする鼓動を悟られないように、わざとゆっくり振り向いて言った。 ビックリしたぁ! どうしたん?ケンチ。 今日遊びに来るなんて言ってなかったのに… 精一杯平静を装ってぎごちない笑顔を向けた健太の言葉などお構いなしに、一彦は靴を脱ぐと、ズカズカと居間に上がり込んできた。 おい!ケンチ! 今のあれ、なんだ?! なんかいたろう? お前ん所からあっちへ走っていったぞ。猫よりも大きいやつ。 犬?いや、尻尾がふさふさしてた。 なんだあれ? そう言うなり、一彦は健太の言葉も待たずに、ズカズカとたぬ吉が飛び込んでいった台所へと入ろうとした。 一方台所では、急に駆け込んできた怯えた様子のたぬ吉を見て、何かあったと察した母が、たぬ吉をかごに入れ、台所から外の薪置き場の下に運んだ。そばにあったぼろ布をかごにかけ、上に薪をのせて隠し、素知らぬ顔で台所に戻ったちょうどその時、一彦が台所へ顔を出した。 おばさん!お久しぶりです。 今、ここに何か駆け込んで来ませんでしたか? 犬みたいな? そうだ!…狸だ! 狸だ!あれ。 こっちへ来たはずなんだけど、見ませんでしたか? 台所をキョロキョロ見回している一彦に、母は落ち着いた声でこたえた。 あらー、一彦くん、久しぶりねぇ。しばらく見ない間に、また背が伸びた? のんびりした物言いの母に、イライラするように一彦は続けた。 おかしいなぁ、ここに逃げて来たはずなんだけど。。 一彦くん、何の話? 私、ずっとここにいるけど、何にも来なかったわよ。気のせいじゃないの?それより、今日は健太が大好きなシチューを作ったのよ。一彦君も好きだったわよね。久しぶりに一緒に食べていく? あらら、お鍋が焦げちゃうわ。 ごめんなさい。後で、ゆっくりお話しましょうね。 そう言うと、母は一彦に居間に戻るように促し、さりげなく台所のドアを閉めた。 母から閉め出される形で、しぶしぶ居間に戻った一彦は、あたりを見回すと健太に聞いた。 おい! さっきのあれなんだよ? 絶対何かいたろう? 俺を騙そうったってダメだぞ! あれ、狸だったよな? 何でお前んちに狸がいるんだ? 容赦ない一彦の追求に、 ちくしょう! ばれたか!。 健太は心の中で舌打ちした。 健太の心臓は息苦しいほどドキドキと高鳴った。 ほら!図星だろう! なんだよ、その顔。 子供の頃から一緒に過ごしてきた俺に、嘘なんか通用すると思うなよ! いつも一彦が強く出たときは負けを認める健太だったが、父との約束を思いだし、強い口調で言った。 カズチ! 人ん家に勝手に上がり込んできて、 何喧嘩売ってんだよ! 何もいないよ。 今日は、父さんの手伝いをする約束なんだ。お前と遊んでる暇なんかないんだよ! もう、帰れよ! ほら、帰れよ! 今まで、一遊びにきた一彦に帰れと言ったことなどなかったのにと、一彦は健太の激しい言葉に驚いて目を見開いた。 おい、なんだよ! 急に帰れとか。 何怒ってんだよ。 そう言って座り込んで動かない一彦。健太は一彦のその腕をつかんで、玄関の方へと引っ張った。 おい!何するんだよ! いいよ! わかったよ! もう、お前なんかと絶好だ! 2度と声をかけてくるなよ! そう言うと、一彦は靴をはき、玄関の戸をいきおいよく閉めて出ていった。 台所から聞き耳を立てていた母が、居間に入ってきて、膝の上で握りこぶしを作り、ポタポタと涙を流している健太の肩に優しく手を置いた。 一彦くんを、怒らせちゃったわね。頑張ったわね。たぬ吉は隠したわ。 さぁ、お父さんの手伝いをしてらっしゃい。 母の言葉に背中を押されて、健太は涙を拭くと立ち上がって牛小屋に向かった。 牛の世話をしていた父は、いつもと違う様子の健太に気づいたが、「まずはこの仕事を片付けるのが先だ。」そう、心で呟くと、健太に指示しながら牛の世話をした。 さぁ、これで良い。 手伝いありがとう。 今日は母さんがお前の好きなシチューを作ってるはずだ。夕食にしよう。 いつもは大はしゃぎで、好物のシチューを食べる健太だったが、その日はみんな黙ったまま、黙々と食事をした。 食事が終わると、それまで押さえていた感情が溢れるように、健太の目から涙がポタポタとこぼれた。 どうした? と、父が訪ね、 健太は、今日の出来事を父に報告した。 たぬ吉をカズチに見られた。そして、母さんがいなかったら、たぬ吉も捕まえられてたかも。ちゃんと、父さんとの約束を守ろうと、僕なりに頑張ったけど…カズチすごく怒ってたから、明日学校でとっちめられるかも。、 健太の話に耳を傾けていた父は、母に向かってたずねた。 お前がカバーしてくれて良かった。それで、今たぬ吉はどこに置いてる? 母は、薪小屋の下から、台所に連れてきて、さっきご飯をあげたと報告した。 そうか、ありがとう。 そう言うと父は続けた。 一彦くんは、両親に話すだろう、クラスの友達にも話すに違いない。子供たちの話を聞いた村の衆は大騒ぎになるだろう。何しろ、勝手に飼ってはいけない狸を飼っていたわけだからな。 さて、ここからが勝負だ。 絶対に狸を飼っていたと認めてはならん。例え、一彦くんが嘘つきと親に叱られたり、みんなに責められてもだ! お前には覚悟をしなくてはならないと、たぬ吉を飼い始める時に約束したな。この先後悔することになるかもしれないと、それでもな、私も母さんも、お前が涙を流しながら『それでも、助けたい!』と言った言葉に、あの時、一緒に覚悟したんだよ。優しさだけが全てじゃない。それが、諸刃の剣になることもある。だがな、命を助けることを優先した、その気持ちを忘れないことだ。 健太は、改めて事の重大さに震えながら、父の言葉を聞いていた。 わしらがしてやれることはここまでだ。俺は今からたぬ吉を山に戻してこよう。幸い、怪我も大分治ってきた。難儀することもあるだろうが、この子は本当に賢い。きっとうまく生き延びるだろう。 僕も行く! 僕も連れてって! 涙を流しながら懇願する健太に、それはならん、と父はきっぱりと言った。 お前の気持ちはわかるが、夜中にお前と2人で歩いているところを見られたら、何と申し開きするかね?。わし一人なら、薪が足りなかったから拾いに行ったと言い訳も出来る。 そう言うと父は、納屋から籠を持ってきて、たぬ吉を入れた。 母と健太は、父を玄関で見送った。 夜になって風が出てきて、山にゴウゴウと風の鳴る音が響いていた。 🍂🍂🍂🍂🍂🍂 🌱 イヌホオズキ🌱 道の片隅で、イヌホオズキの花が綺麗に咲いていました。 【真実】 イヌホオズキの美しい花の「真実」という花言葉は真実を愛する心や、正直さを大切にすることを表しているそうです。人と人との関係や、社会においても、真実を伝えることが求められますが、イヌホオズキの花は、そのような真実を愛する心や正直さを象徴しており、私たちにその重要性を思い起こさせてくれます。 【嘘つき】 イヌホオズキは白い美しい花を咲かせますが、「嘘つき」という花言葉も持ってます、嘘をつくことや不誠実な行為をすることを表しているそうです。 真実と嘘つきという正反対の花言葉を持つ 『イヌホオズキ』一つの命にさまざまな想いを宿しながら、それでも、より良く生きようと前を向く心に、寄り添ってくれるような花だなと思いました。
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so.ra
so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 14 人が見えない絆を感じる時も 愛の奇跡に感謝する時も 順風満帆の時より 困ったり 悩んだり 悲しんだり 辛く苦しい時間に 身を置いている時の方が 多いかもしれないな 分かれたようで 繋がっている絆が いつか 花を咲かせ 人は 春を知る そんな自分の人生を 愛しいと思うとき 心のなかにも花が咲き 自分を信じる枝が少しずつ太くなる それが 自信に繋がっていく そんな 自信 を重ねて 生きていく人生を お前は憧れるか 山裾の草刈りが終わり、土手に腰をおろして父と一休みした2人の傍らに、ミツマタが光を集めるように咲いていた。 綺麗だね そんな言葉を交わしたあと、父の話した言葉の真意を、その時健太にはわからなかった。 まだ、良くわかんないや そう答える健太に いつか この花をみた時に お前と過ごしたこの時を 思い出してくれたらそれでいい 父はそう言うと、健太に優しく笑いかけた。 🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱 季節は少しずつ春に近づき、山々の木の芽もふくらみはじめてきた。 たぬ吉は今はだいぶ傷も癒えて、餌をもらった後、家の中で健太とおいかけっこをしてじゃれあうようになっていた。 健太は、そんなたぬ吉が可愛くて、授業中も時々ボーッとたぬ吉の事を考えては先生に注意され、クラスメイトに笑われるのだった。 幼い頃から兄弟のように過ごしてきた一彦は、そんな健太の様子を、何か隠してるんじゃないかと怪しむようになっていた。 よし!今日帰ったら、ケンチの家に行って確かめてみよう。 そんな一彦の思いも知らない健太は、その日も学校が終わると飛ぶように家に帰っていった。 🌱みつまたの花の名前は、 『枝の先端が三本に分かれて生えている』ことに由来するそうです。 花言葉 肉親の絆、永遠の愛 健太の父の言葉、今日の物語はこの花によせて書きました。 ミツマタの木にこんなに可憐な花が咲くことを、初めて知りました😊 今日は太陽が出て暖かです。 少しずつ春に近づいてますね。 皆さまにとって今日も良き日でありますように✨🍀 #GS繋がりに感謝
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 13 たぬきの子は、たぬ吉と名づけられ、学校から帰ると、真っ先にたぬ吉の様子を見に行くのが健太の楽しみになっていた。 いつもは一彦とふざけながら寄り道をして帰っていた健太が、授業が終わるとそそくさと支度をして走って先に帰ってしまう。 どうしたんだろう。ぼくケンチに何か悪いことしたかな? 仲良しの一彦は、急においてけぼりにされたようで、訳もわからないまま一人寂しく帰宅する毎日だった。 そして、ある日そんな思いに我慢しきれなくなった一彦が、健太に声をかけた。 おい、ケンチ! 面白い漫画あるんだけど、今日うちに遊びに来ないか? 健太は、一彦の誘いにドキッとしたが、そ知らぬ風を装って答えた。 ダメダメ!今うちの手伝いが忙しいんだ。また今度ね。 そう言うと、一彦の返事も待たずに駆け出した。その姿を見送りながら、一彦は小さく舌打ちをした。 なんだい! つきあい悪いの!! そして、胸のモヤモヤをぶつけるように、足元の小石を高く蹴りあげた。 家に帰ると健太はたぬ吉のかごに直行した。最初は人の姿を見て怯えていたたぬ吉も、少しずつ慣れて、今は健太の顔を見ると嬉しそうに近寄り、健太の用意する餌を美味しそうに食べるようになっていた。 その日、父と一緒に牛小屋の掃除をしながら健太は言った。 今日ね、カズチに漫画読みに来ないかって誘われたんだ。だけど、家の手伝いが忙しいからって、駆けて帰ってきちゃった。カズチのやつ、なんだい!!って膨れっ面してた。 あはは…カズチにもたぬ吉を見せたいなぁ。 健太のその言葉を聞いた父は、黙々と作業していた手を止めた。 そうか、それならたくさん手伝いをしてもらおう。 いつもと違う厳しさを感じる父の口調に、健太は驚いて父の顔を顔を見上げた。 えっ!ぼく、なんか悪いこと言っちゃった? 健太は改めて昼間のカズチとのやり取りを思い浮かべなから、父の言葉を心の中で繰り返した。 🌱 今日のお花 タンポポ 写真は、昨年の春、桜の季節に撮った一枚です。 空き地のタンポポも、だいぶつぼみが膨らんでました。 春が待ち遠しいですね🤗 タンポポの光るような黄金色 この花を見るたびに、力をもらい、前を向く勇気をもらう、大好きな花です。そんな大好きなタンポポを主人公にした以前書いた物語は、今も時々読み返しては、自分自身がその都度励まされる大好きな物語の一つです。 2枚目の写真は、私の庭の小さな薔薇です。11月から咲き続けてくれた薔薇🌹。先日の雨や雪で散ってしまいそうだったので、慌てて切って花瓶にさしました。5ヶ月咲き続けました。こんなに長く咲き続けてくれた事は初めでした。 この花に、たくさん癒され励まされてきました。今日ドライフラワーにしようと思います。 今日は雨が降って冷え込んでいます。皆さまどうぞ暖かくしてお過ごしください。今夜も素敵な夜を✨
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 12 夕食を食べ終わると、健太は今朝の一彦とのやり取りを両親に話した。 ぼく、本当に焦った! まさか、母さんがぼくが帰らないと隣ん家まで探しに行くと思わなくて…。 それを聞いて、母が口を開いた。 本当にごめんなさいね。 あなたも父さんも、こんな寒い北風が吹くなかを、真っ暗になっても帰ってこなかったから、何かあったのかもしれないと氣が氣でなくて、隣の家にも聞きに行ったのよ。 一彦くんのお父さんもお母さんもそれは心配してくれて。用水路に落ちたりしてたら大変だって、近くの田んぼや畑まで一緒に探してくれて。その親切は涙が出るほど有りがたくて…。一通り探したけど見つからなくて…私がもういいからって帰ってもらったのよ。父さんもまだ帰ってないから一緒かもしれないって。もし、夜になっても帰らなかったら、明日警察にお願いするからって、帰ってもらったのよ。 狸の子を見てビックリしちゃって、あなたたちも取り込んでいたようだから、お話しするタイミングを逃してしまって…ごめんなさい。 と、母が謝った。 健太はそんな大事になっていたとは知らずに、改めて青ざめた。 その話を聞いていた父は、 わしも知らなんだ。そんなに心配をかけてしまったか。お前にもきちんと話さずに、健太と出かけてしまって…どうしたもんかと、さぞ一人で心ぼそかったろう。心配かけて本当にすまなかったな。そう母に謝った。明日健太と一緒に詫びに行って来よう。 父の言葉を聞いて、母は小さく頷いてそっと目頭をぬぐった。 翌日、父と健太は、世話になったお礼にと畑で取れた作物を持って一彦の家に向かった。 父は、健太が自転車の鍵をなくしてしまい、2人であちこちと探して夜になってしまった。健太には厳しく叱った。本当に心配かけてすまなかったと詫びた。 一彦の両親は、お互い様だからと笑って、騒動は一通りおさまった。 『一つ嘘をつけば、次から次へと嘘を重ねなければならなくなる』父の言ってた言葉が健太の心をぐるぐる巡った。厳しいことを言って!覚悟なんて大袈裟だな!と思っていた健太だったが、早々に両親も巻き込んでしまったことに、氣が重くなるのだった。 🌱 みんな たった一つの命を 体をはって生きている 生きるとは そういうことだ 光の暖かさを感じることも 風に季節の氣配を感じることも 土の温もりや暖かさを感じることも 忘れてしまうと 根なし草のように ただ ふわふわと流されて 流されたことさえ氣づかずに やがて大切なことが 見えなくなってしまう 流されてはならんぞ 光には影ができる うつむいて影だけを見つめていても 光に氣づくことはない だから お前は前を向け 自分を信じて前を向け 厳しさの中で生まれた強さも知恵も 太い根っこになって きっと 人生を支えてくれる たった一度の人生を生きているんだ 一度しか歩めないからこそ 失敗を恐れずに 恐れに飲み込まれずに 全てを糧にして学んでいけばいい 立ち向かっていけばいい そうすれば どんな嵐にも流されない どんなに厳しいときも きっと 大丈夫と 自分を信じて歩いてゆける 父さんや 母さんは どんなときもお前の見方だ そしてお前を誇りに思っていることを 忘れないでいて欲しい 自分が言い出したことで 父や母にまで迷惑をかけたことを 叱られると思っていた健太は、 思いがけない父の言葉に 涙が溢れそうになるのだった。 🌱 その夜布団に入ってからも、健太の心は、これからの事で一杯だった。 ずっと、狸の子を隠し通さなくっちゃ。カズチに知られないように…どうしたらいい?思ったより大変そうだ😖💦 風にガタガタとなる雨戸の音に、健太は何度も目がさめて、その度にため息をついた。 🌱💎✨💎🌱 空の青さを撮したような ローズマリー 花言葉*静かな力強さ 本当にこの花にピッタリの花言葉です。 🌱ローズマリーにしか含まれないロズマリン酸という化学成分には、抗菌作用や抗ウイルス作用が認められているそうです。また、ロズマリン酸はアレルギーを和らげる作用があることも近年認められ、花粉症の症状緩和にも用いられるようになっているとのことです。 ロズマリン酸以外にも、ローズマリーには抗菌の油脂成分も含まれるため、アルコールで抽出したローズマリーエタノールは、消臭抗菌効果がさらにアップし、また香りで空間を浄化することもできます。 🌱作り方🌱 🫒材料 新鮮なローズマリーの枝 無水エタノール(薬局で購入) 蓋を密閉できるガラス瓶 🫒作り方 1.ローズマリーの葉つき枝を瓶の中に8割ほど入れる (たくさん入れれば濃い原液に) 2.無水エタノールを瓶一杯に注ぐ 3.エタノールが緑色に変化するまで、2~4時間ほど放置 4.ネットやろ過紙などで濾す 5.完成後は、密閉容器に入れて、なるべく冷暗所で保管 6.使用時は、原液をスプレー容器などに移し替え水で希釈して使用。原液を10~30%に薄めて、消臭や掃除などに使うと良いそうです🤗 好みでハッカ油なども加えたり、台所のゴミ箱やクツ箱の匂い消しにも良いですよ💖 真冬の寒風のなかも花をつけたローズマリーに、たくさん蜜蜂が訪れていました。花を飛び回る蜜蜂が嬉しそうで、花のない時期に咲いてくれるこの空のような花は、きっと蜜蜂の宝物だろうな。仲間に、見つけた!見つけた!って、嬉しくて報告するのかな?( *´艸)✨💎💖 そんな風に考えたら、いっそうこの花が愛おしく思えて、大好きになりました🥰💖 ありがとう ローズマリー💎✨
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 11 わずか15軒の小さな村だったが、健太の隣の家にも同い年の男の子が産まれ、名前を一彦と言った。 村の人たちは、子供が増えたとそれは喜んだ。 2人は、まだ口が回らず、ちゃん付けで互いを呼べなかった頃の呼び方のまま、ケンチ、カズチと互いを呼びあい、家の手伝いの時間以外は、朝から晩まで兄弟のように一緒に過ごしていた。そして、同い年の子供を授かったこともあり、2人の親も互いの家を行き来して仲良くしていたのだった。 健太が狸の子を連れ帰った翌朝、いつものように一緒に学校へ向かう道を歩きながら、一彦が健太に尋ねた。 ケンチ、昨日、お前の母ちゃんが うちの子がこんなに暗くなったけどまだ帰らないって、心配してうちに聞きに来たぞ。お前、昨日どこに行ってたんだ? 一彦の思いがけない言葉に、健太の心臓の鼓動が早くなった。 しまった。母ちゃんが余計なことを…。健太は慌てたが、とっさに 落とし物を探してたんだよ と嘘をついた。 ふうん。何を落としたん? …で、見つかったの? ひょっとしたら、父と一緒に帰るところを見られたかもしれない。何て答えよう。健太の心臓は早鐘のように鳴ったが、ドキドキを悟られないよう、健太は笑いながら答えた。 自転車の鍵だよ。 うっかり上着のポケットに入れてたのを忘れて、畑に落としたかもって…ずっと探してたんだ。きちんとしてないからだと、久しぶりに父ちゃんに叱られた。あはは…。 なぁんだ。そうか。 まぁ、見つかって良かったな。 幼馴染みだから、健太の言葉に何か引っ掛かるものを感じたのか、一彦が何か言いたそうな顔をした。 そんな一彦の様子を見た健太は、話を早々に打ち切るため、学校までかけっこだ!!と駆け出し、おい待てよ!と一彦が後を追いかけ話はそこまでとなった。 それは、健太と一彦のいつもと同じ風景だったが、その風景はいつもの輝きを失って、何かが変わってしまったことを健太は感じていたのだった。 🌱🌱🌱 今日のお花 デイジー 2022年1月のサイシャインの花壇のお花です。寒風に負けず咲くデイジーの花🌸が、小さな灯りのようで素敵でした。2月も残り4日✨春が待ち遠しいですね。 風が冷たいです。どうぞ暖かくしてお過ごしください。
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 10 日が落ちて真っ暗闇になった道を、2人は早足に家へと急いだ。 あまりに帰りの遅い2人を心配して、門口で待っていた母が、2人の姿を見つけると駆け寄った。 遅かったから、心配していたんですよ。 そんな母に目もくれず、父は家に入ると、健太に戸締まりをするように命じ、籠を背負ったまま家の奥まで入っていった。 母は、何が起きているかわからず、2人の後ろからビックリしたような顔でついていった。 台所の前のかまどには、あかあかと火が燃えていた。土間に面した縁側に籠を下ろすと父が口を開いた。 心配かけてすまない。 山で怪我をした狸の子を助けた。 わけは後で話す。とりあえず、手桶に湯と奥の棚から傷の薬瓶、それとボロ布と綺麗な晒しの布を頼む。 父の言葉を聞くと、母はてきぱきと準備して父の前に持ってきた。 そして、籠から取り出したぐったりした狸の子をみて、母はさらに目を見開いた。 まぁ、狸の子 ひどい怪我をして… 父は無言のまま、母から湯の入った桶を受けとると狸の子の傷を洗い、ムカデの入った薬瓶の傷薬で消毒し、晒しを巻いた。 手当ては、これで良いだろう。野生の狸が人から餌をもらうかわからぬが、とりあえず重湯を飲ませてみよう。 ぐったりしていた狸の子は、それでも重湯を少しずつ飲み、安心したのかコトンと寝てしまった。 父は狸を布の上に寝かせると、健太に風呂をすませ、母に説明するよう言いおくと、納屋に入り板を切って何かを作りはじめた。 健太から話を聞いた母は、驚いた様子だったが、お前が父さんと相談して決めたなら、狸の子の傷が治るまでしっかり看病しましょう。 そう言って、家の奥から古着を持ってきて、藁を入れて狸の布団になるように縫いはじめた。 先に風呂をすませた健太が風呂から上がると、父が作った木の小屋のなかで母の作った布団と布にくるまって狸の子がすやすやと眠っていた。 父さん!小屋を作ってくれたんだね。母さんも、ありがとう!良かった。すやすや寝てる。 助かるかな…。 うむ、野生の生き物だ。助かるかどうかは、この子の生命力次第だ。怪我が治るまでの間だが、決して村のしゅうには見つからないよう、このかまどの脇で世話をすることにしよう。お前も、絶対、誰にも氣づかれぬよう注意するんだぞ。 父に再び念を押されて、健太は深く頷いた。 🍂🍂🍂🍂🍂 新しい🏷️を3つ追加しました(*^^*) 🏷️健太の冒険 🏷️健太応援団 🏷️GSの繋がりに感謝♡ よろしくお願いいたします。
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 9 日暮れの道には、幸い村人の姿はなく、2人は誰にも会わずに狸を隠した藪についた。 父さん、ここだよ。 健太が藪の手前の枝をよけると、狸の子がぐったりと横たわっていた 遅かったかな 死んじゃったかな… 再びポロポロと涙をこぼす健太を、一瞥すると父は厳しい声で言った、 泣くな! 覚悟をしろと言ったはずだ! 守ると言うことは、どんな小さな事でも真剣勝負だ!自分の感情をコントロールすることもできんものが、どの命を守れると言うんだ! 父の厳しい言葉に、健太はハッとして袖で涙をぬぐった ごめん、その通りだ父さん。 もう泣かない。 健太の隣にいた父が、健太と入れ換わり藪の中に手を伸ばして狸に触れて言った。 まだ生きてるようだ 急ごう そう一言言うと、持ってきたぼろ布で狸の体をくるみ、罠からはずし始めた。 うむ…傷が深い。このまま山に放しても生きてはいけんだろう。 罠から外された狸の子は、ぐったりと動かない。 家に連れ帰って傷の手当てをしたら助かる?お願い父さん!助けたいんだ。 もう、涙を見せることなく、真剣な目で見つめる健太に、父は念を押すように言った 絶対に誰にも氣づかれてはならぬ。 そして、世話をするのは怪我が治るまでの一時だ。 いいな。 健太が頷くのを確認すると、父は、罠についた汚れを落とし、周囲の落ち葉や枯れ枝を元のようにかけると、狸をかごの中に入れた。 家へと急ぐ父の後からついていく健太は、ドキドキする胸の鼓動に、息をするのも苦しいほどだった。 残照が消え、空が薄紅から群青色に変わり、山は鳥の声もなくしんと静まり返っていた。山道を急ぐ2人の足元で小枝がポキポキと折れる音が、いつもより大きく聞こえて、健太の胸はいっそうドキドキと高鳴るのだった。 🌱🍂🌱🌱🍂🌱🌱🍂🌱 今日の花 梅 今日、東京は晴れて青空が広がりました。でも、昨日が雨水だったのが嘘のように、凍るような風でした。 今日のお花が梅だったので、少し足を伸ばした公園に行ってきました。梅は満開で緑色の小鳥が、たくさん来ていましたを 去年の梅、一昨年の梅と、写真と見比べながら、世の中が激動していても梅の花は何も変わらず、タイムワープしてるみたいだなぁとしみじみと不思議に思ったりしました。 そして 2年も3年もたったのに 相変わらず同じような失敗をして 同じような未熟さに 落ち込んだりしている自分 大人だと思っていた父や母も そうだったのかも知れないなぁ なんて思うと 今は空の上にいる父母と ねぇ、どんなことを考えていたの? なんて聞きたいなぁと思ったり😁。 梅の花 いい香りでした💖 本格的な春が待ち遠しいですね😊 今夜も素敵な夢を💞
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 8 拳を握りしめ、うつ向いている健太を、父は静かに見守っていた。 村に生きる ここで生きる 覚悟、覚悟! その厳しさを知っても 傷をおって苦しんでる狸の子を助けたい 胸の中でぐるぐるとめぐる想い。 健太の拳にポタポタと涙が落ちた 父さん それでも…僕は狸を助けたい どうしても助けたい 健太は顔を上げ、振り絞るような震える声で父に伝えた 顔を拭きなさい 父から渡された手拭いで顔を拭くと、今度は手をついて父に頼んだ。 父さん、僕の考えは間違っているかもしれない…でも、どうしても助けたい。僕では罠を外すことができなかった。お願い、父さん、助けて。 しばらく、健太の様子を見守っていた父が、念を押すようにもう一度尋ねた。 覚悟ができているんだな? 何があっても秘密を貫く事ができるのか? 健太は黙ったまま、強く頷いて父を見つめた。 父は腰を上げ よし!わかった。 助けにいこう。 そう言うと籠を背負って土間に立った。 まもなく沈む太陽が、キラキラと草を縁取って輝く山への草原。籠を背負った父と、その後からうつ向き加減に小走りでついていく健太の影が、長く伸びて土手の道を過ぎていく。 狸 生きててくれ そして、誰にも会いませんように 父の後を追いながら、健太は何度も何度も心で繰り返した。 ********** 今日の花 🌱カネノナルキ🌱 去年の今頃、満開に花をつけていたカネノナルキ。 夏に、たくさんの葉が枯れ茎だけになり、枝の根本から枝がポロポロと落ちて…枯れてしまうかもと心配した。そして、今…生きているカネノナルキ🌱 強さとは何だろう 雨にも風にも嵐にも 負けないことだろうか 負けたって良いじゃないか 折れて傷ついた枝は 新しく芽吹く枝に ただ生きる 強く生きる 葉をおとしても 枝を切り捨てても 何度でも生きることに立ち向かう この樹の前に来ると その強さが静かに伝わってくる 自分も きっと大丈夫って 思えてくる 大好きな樹です 今日も素敵な1日を💖
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 7 わしらが住んでいるこの村は、岩がごろごろした山と、野菜も大きくは育たない痩せた土地だ。生きていくための作物を作ることも、生活をしていくための収入を得ることも、なかなか大変なところだ。お前も田畑の手伝いをして、少しはその大変さを感じることもあったろう。 そんな所だから、みんなそれぞれの工夫をして生計を立てておる。 米や野菜だけでなく そばや豆を作るもの 牛や鶏を育てるもの 炭を焼くもの 竹細工をするもの 川で魚を捕まえるもの 山の獣を捕まえて金にするもの それでも、収穫がなくて食べていくのが大変になる事もある。そんな時はどうやって助け合ってきたかわかるか? わしらの村はわずか15軒、村のどの家が腹を空かせているか、見ていればみんなわかるんだ。だが、金を貸してくれといえば返さなくてはならない、そんな金すら作るのも大変な事も知っている。そして、いつの間にか、みんなで作り出した知恵があるんだよ。それは、わしが子供の頃からあったから、どれくらい前からのことかは知らないが…。 村はずれにお地蔵さまのお堂があるだろう。村の誰かが食べ物に困っていそうな時は、村のしゅうがこっそりおにぎりを作ってお地蔵さまのお堂に供える。いつもより多く野菜がとれた日は野菜を、魚がとれた日は魚を焼いて干したものを供えるんじゃ。 『お地蔵さまに供えたものは。一時経ったら、もう召し上がり終わるから、誰でも貰って良い』という申し合わせのようなものもいつの頃からかあって、食べ物に困った人が、そっと行っていただくから、いつの間にか供え物はなくなってるんだ。 そして、お堂の中は鳥や獣は入ってこれぬから、安心な場所というわけだ。こんな貧しい村だ。誰もが裕福な訳じゃない。だからこそ、そうやって支えあう知恵ができたのかもしれん。 わしらは、そうやって恩を着せないように配慮して、ささやかながら助け合ってきたんじゃ。 ここまではわかるか? 父に聞かれて健太は頷いた。 うむ。 言葉を止めて、健太の目を見つめていた父は、話を続けた。 もし、川に魚をとるために仕掛けた網に、魚が捕らえられていたら、お前は可哀想と逃がすか? 父に尋ねられて、健太は首をふった。 さて、獣を捕まえて生業にしてるものがいて、その罠に獣が捕まったのはどうかな? 獣らが、わずかな畑の作物を荒らしたり果物を食ってしまうから、捕まえてくれと村人に頼まれた者が、罠を仕掛けていたらどうか? それが狸でなくて、ネズミだったらどうだ? 生き物を大切に思い、傷ついた生き物を何とか助けたいと思う、お前の優しさは素晴らしいものだ。だがな、それは簡単な事じゃないんだ。 お前の見つけた狸の子供だが…。それは村人の誰かが仕掛けた罠で、何ヵ月もかかってやっと捕まえた大切な獲物だったのかも知れない。 たから、 お前に、一人前の男として聞こう。 そういうわけで、お前が狸の子を助けたとしたら、そのことは決して誰にも知られてならん。仲良しの友達にもだ!万に一つもだ。 一つの嘘を守るため、2つ目の嘘をつくこともよくあることだ。狸を助けるためについた嘘が、回り回って、とんでもない災いのもとになることだってあるかもしれない。 村の掟を破った重い荷物を、この先背負っていく覚悟があるか、しっかり考えてみなさい。 父に言われたことは。健太には初めての事ばかりだった。自分は狸が死にそうだと必死で、周りのことを何も考えもしなかった。 覚悟か…健太は膝の上で拳を握りしめて目を閉じた。 🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱 今日のお花🌹薔薇 心にいっぱいの 生きてるって 愛を詰め込んで きっと 花も 人も 咲いてるんだね ✨✨✨✨✨✨ 小さな庭の 小さな薔薇が 満開になりました🌹 一年に一度しか咲かない薔薇が 真冬に 2月のど真ん中に 花を満開に咲いています 健気すぎて 朝 姿を見るたびに 泣きそうになります 真冬に4ヶ月もかけて咲いてくれた薔薇に、毎日 頑張れ!頑張れ!とエールをもらっています。 あなたにもエールを💖 届くと良いなぁ 今日は 風がとても冷たいですね。 来週はもっと冷え込むとも。 風邪をひかないように、暖かくしてお過ごしくださいね💖 今日も素敵な夜を❣️
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 6 自分は一人 どこでも行って 生きていけると思ってた 孤独さえも忘れたと 強がって過ごしてた 生きることに精一杯だった日々 見えない根っこが 繋がって いのちを支えていることに ふっと氣づいた朝 見えない根っこが 繋がって どこまでも 暖かく 見守られていることに ふっと氣づいた朝 涙が 暖かいことに氣づいて 生きてるって心にしみたんだ 🌿年末の街角で、選定して切り落とした椿の枝をいただきました。 枝に付いていた小指の頭ほどの小さな蕾が2ヶ月経って、なんと!写真のように大きく育ち、ピンク色に膨らみました!その不思議に、いつか古武道の先生が教えてくれた言葉を思い出しました。 その者を生まれる前から死んだ後まで守護する神とされている産土の神様。他所に移住しても一生を通じ守護してくれると信じられている産土神。 人も花も、生まれた土地を離れても守られてるんだなぁと、いのちのありがたさを花に思い出させてもらいました。 生かされたいのちなら 今日を嘆くより 明日開く花のために 今日こそとひとふし 枝をのばそう そう、思いました。 暦の上では立春🌱 春の始まりですね!✨ 🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱🌱 so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 6 家に駆け戻った健(たける)は、牛の世話をしている父を見つけると駆け寄った。 父さん!大変なんだ。 狸がすごい怪我をしてて! 一緒に来て! 早くしないと死んじゃう! 涙声で呼びかける健の言葉を 一瞬手を止めて聞いていた父は 待ちなさい と言うと、背を向けて 牛の世話に戻った 自分の言葉が聞こえなかったのか? と思った健は、もっと大きな声で父に呼びかけた 早くしないと死んじゃうよ! お願い!お願い! 一緒に来て! その言葉を聞くと、父は強い声でピシャリと言った。 待ちなさいと言ったんだ。 牛の餌が先だ。 めったに声を荒げない父が強い語調になった時は、逆らえない。 足踏みをしていた健は黙って、牛の世話が早く終わるように手伝った。 まもなく、餌やりが終わり、父は汗をふきながら健についてくるように促して、家の中へと入っていった。 土間に続く縁側に腰をかけると、父が口を開いた。 何があったか聞こう 健は、山で罠にかかって怪我をした狸を見つけたこと。罠で傷ついた足の怪我が深くて、このまま放っておいたら死んでしまうかもしれないこと、直ぐに一緒に来て助けて欲しいと父に頼んだ。話ながらポロポロ涙を流す健に、顔を拭きなさいと手拭いを渡して、父は静かに話し始めた。 お前も大きくなった。 村に生きるとはどう言うことか、話をするときが来たようだな。 いいか、これはとても大切な話だ。しっかり聞きなさい。 そう言うと、父は真剣な顔で健を見つめた。
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その 5 同じじゃないと指さされ 咲けない自分を嘆いた時も いのちの中では 生きた全てが 少しずつ力になって 花咲くつぼみを育ててる みんな 自分の時をもつ 人と同じじゃなくて良い お前しかお前の花を咲かせることは できないんだ 焦ることも 悩むこともない その事を忘れないんだよ 父さんはそう言うと、 足元に咲いた一輪のツワブキを摘み 「母さんのお土産にしよう」 そう言って子供に笑いかけ、 そっと背負いかごに入れた。 🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁🍁 父の名前は春彦、母の名前は梅と言った。故郷に戻ってまもなく2人に子供が生まれ、名前を健太と名づけた。 健太は手のかからない子で、良く飲み良く眠りすくすくと育ち、3歳になる頃には、父や母の後をついて家で飼ってる家畜の世話も手伝うようになっていた。 健太が9歳の秋、畑からの帰り道藪の中で動くものを見つけた。 何だろう?猫? それは、子供の狸だった。 藪の中から低いうなり声をあげて健太を威嚇する狸の足元を見ると、血が流れていた。 お前、怪我をしてるのか? 草や枝をどけてみると、罠にかかった狸の足が、動きまわったためだろう皮膚が裂けて痛々しかった。 あぁ、これはひどいね。 僕じゃ外せないや。傷がひどくなるから動いちゃダメだよ。父さんを呼んでくるから待っててね。 再び枝や草で狸を隠すと、健太は家に向かって走り出した。 🌸今日のお花 ツワブキ 写真は11月23日撮影 新宿御苑のツワブキです 花言葉 🌱謙譲 困難に負けない ちょっと木陰でも、寒さに花が少ない時期に、固い土や石や岩だらけの場所で葉を広げ花を咲かせるツワブキ❣️素敵な花ですね。
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その4 光のあたった木の幹に ふれるとほんのりあたたかい 空にあった太陽が この子もあの子も見える全てを 母が乳飲み子を抱くように 優しく包んで暖めている 大きな樹に寄りかかって 母さんは空を見上げる 私も一緒 🍁 山際の田畑が見渡せる土手に腰かけて、父親と小さな男の子が、おにぎりを頬張っていた。 母さんのおにぎりは 美味しいね ぼく、お母さんのおにぎり大好きだよ。大きくなったらぼくも、お母みたいな人と結婚したいなぁ。 男の子の言葉に ははは。と父親が笑いながら、ぽんと手のひらをこどもの頭においた。 母さんは最高だよなぁ。 これは、母さんには秘密だぞ。 男の子は笑って頷きながら聞いた。 ねぇ、母さんは父さんと結婚する前、どこに住んでいたの? 母さんは町で育ったんだ。ここには働く所がなかったから、父さんは学校を卒業してから町に引っ越して、会社に勤めて、そこで母さんに出会ったんだよ。 そして、結婚してまもなくに、親父が、つまり、お前の爺ちゃんが突然倒れて亡くなってしまったんだ。。田畑も荒らしてしまうわけにはいかないから、どうしようかと父さんが悩んでいた時に、お前の母さんが、やってみようって背中を押してくれたんだよ。 母さんは農業も農家のことも知らずに育ったから、こんな田舎に来るのは、そりゃあ覚悟が必要だったと思うんだが、迷ってる父さんの背中を押してくたのが母さんだった。 あなたの故郷が 私の故郷になるのも面白いから 2人で新しい人生を楽しみましょう。 って言ってくれたんだ。 本当に、母さんは最高だろう? それで、父さんと母さんは会社をやめて、ここへ帰って来たんだよ。 そっかぁ、なんだか格好いいね。 大変だった? そうだなぁ。父親はしばらく思い出すように、遠くを見つめ、言葉を続けた。 はじめは若い人が戻ってきたと、村のみんなが歓迎してくれて、田畑の世話なんど教えてくれたが…そりゃあ、始めての事ばかりだから、思うように作物ができなくて、あそこの息子は野良仕事もまともにできないと馬鹿にされて笑われたよ。そうして、町の生活が恋しくなったこともあったよ。 それでも、いろいろ勉強したり、教えてもらったり、工夫したりしながら母さんと頑張って、2年、3年とたって、何とか一通り野良仕事はできるようになったんだ。はじめは大変なことも、できるようになると嬉しいもんだよ。 おにぎりを頬張りながら話をしている2人の頭の上を、トンビがゆっくりと舞っている。 色づき始めた木々が、秋の光の中でキラキラと光る空を指さして、父親が男の子を優しく見つめて語りかけた。 お前は 空が青いのは あたりまえだと思うかい あの山が赤や黄色に輝いて綺麗なのも、太陽がこうしてあたためてくれるのもあたりまえだと思うかい 母さんが握ってくれた このうまいおにぎりを食べられるのも あたりまえだと思うかい ありがたい という言葉は 有り 難い と書くんだが あるのが難しいほどのことが 今ここにあるんだよ お前には まだ難しいかも知れんが あたりまえじゃない幸せが周りに溢れていて 氣づかせてくれる言葉なんだよ その事を 忘れなければ 心に嵐がふくような時も 心が穏やかでいられる 父さんは きっと大丈夫って 辛いときも進んでこれた 親父が今のように 野良で一休みする度に 何度も 何度も そう教えてくれたんだ ありがたい その言葉に、父さんは何度も支えられてきたんだよ 男の子は お握りを一口かじり ぼくまだよくわからないけど このお握りは 大好き お握り ありがとうだね と父親に笑いかけた。 そんな子供の言葉に 笑う父の笑い声が 秋の山に木霊していった。 🍁たぬき桜 再開します😊。
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その3 お爺さんとお婆さんは、わずか15軒ほどの家がある山里の小さな村に暮らしていた。 書きかけ… NEWSを見るたびに、心がざわついてしまい…穏やかな心で物語を書きたいと思って野原のなかで、野の草花と空を見ながら考えてます。 今日本はメチャクチャです。私たちは、どこへ行こうとしているんでしょう?そんな時自分が届けたい思いは?と。 愛でいること、揺るぎない強さを持って生きることって簡単なようで、とっても難しいなって。大切な思いを大切に考えながら書きたいと思っています。 🌿今日のお花 ヨモギ 草餅を作りたくて、ヨモギの苗を買ってプランターで育てています😊 続いた雨で葉っぱがすくすく育っています。 例年より、2週間早くドクダミの花が咲き始めたので、今日はざるに山盛り花を摘んできました💖 短い間しか咲かないドクダミの花、 ドクダミの花で作った化粧水は最高です♪一年間使うのに、焼酎につけて瓶に2つ仕込みました🌱 蕾がついた柔らかな葉っぱは、薬湯用に日に干します🌅 自然の恵みが嬉しい季節ですね✨
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** たぬき桜 ** その2 午後の光がキラキラと クローバーの原っぱに降り注ぐ 背負ったかごを下ろして おじいさんは汗をふいた。 桜は柔らかな緑の葉を芽吹き 木漏れ日を吹きすぎるそよ風が 汗ばんだ体に心地よかった。 雑木林で摘んできたぜんまいが おじいさんの下ろしたかごの中から 顔をのぞかせていた さて、どうしたもんかのう。 おじいさんがため息と共に呟いた。 よく見ると、小さな動物がちょこんとおじいさんの隣に座って、おじいさんに頭を撫でられていた。 犬?猫? それは、小さなたぬきだった。 原っぱでは、野原一面に咲いたシロツメグサが、春を超特急で駆け抜けたような強い光を眩しそうに見上げてました。 🌱今日のお花 シロツメグサ 白詰草 花言葉「私を思って」「幸運」「約束」 #so・raの小さな物語 #たぬき桜
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so・raの小さな物語 ** たぬき桜 ** その1 あなたが生きている 私が生きている 花が咲いて 風に揺れるたび 弾ける光が 花びらから舞い上がる 一緒にいると こんなに あたたかい 一緒にいると こんなに 胸がいっぱいになる あなたが いる風景が 愛おしさで満ちてみちて いつの間にか 世界の全てが 花になる 光になる そして あふれた愛が 涙になって とめどなく頬をつたう 今 ハルジオンの 光のなかに✨ 🌱今日のお花 ハルジオン 花言葉♡追想の愛 この花を吹きすぎる風は みんな優しい風になる もしも 私が 広い広い 野原を持っていたら 一面に ハルジオンを 咲かせてみたいなって思う この花は薬草になります。 どうぞ 大切な人のために 覚えておいて下さい 🌱薬効・用い方🌱 🟢糖尿病予防やむくみをとる 乾燥した花や葉を混ぜて、1日約10グラムを、適量の水で煎じて、お茶のように飲用します。 糖尿病の予防には、乾燥した花を粉末にして、1回2グラムを服用します。 また、食用になります。 若芽はやわらかいので、適時採取して、塩を入れた熱湯でかるく茹でてから、水にさらしてアク抜きをしてから調理します。 おひたし、あえもの、油いため、佃煮などにします。特に若い葉は、そのままころもをつけて天ぷらにして香りを楽しむ事ができます。 🌱採集と調整 開花期に花を採取して、陰干しにして乾燥させます。葉は、随時採取して天日乾燥させます。 薬の撒かれてない、清潔な土地の花を探して下さいね。 🌱✨ 物語を始めます。 良かったら読んでください🤗 #so・raの小さな物語 #たぬき桜
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✨タンポポの小さな物語✨その6 朝になった。 約束通り、楽しそうにチュンチュンとさえずりながら雀がやって来た。 決まったかい? 雀がたずねると タンポポは嬉しそうに答えた。 うん! やってみる! きっと、こんなチャンス一生に一度だ。 できるかできないか考えて、ここでまた引っこ抜かれる事を心配して過ごすより、僕は可能性を試してみたいよ。 それに それに! 空から、僕たちの住んでる世界を見てみたいんだ! やっぱり! そう言うと思ったよ。 さぁ、それじゃ、僕の胸に捕まって! そう言うと、雀はタンポポの綿毛を胸に擦り付けた。綿毛のいくつかは、風に乗って舞い上がったが、何個かの綿毛が、雀の胸にうまく潜り込んだ。 うまくいったね。 じゃあ、行くよ! 雀は、空へと飛び立った。 雀の胸羽の中に小さくなって捕まりながら、タンポポは地上の景色を見下ろした。 地上の世界は、なんていろんな色で溢れて綺麗なんだ。みんな不思議なほどキラキラしている! あれが地上の世界なのか。 タンポポは、初めてみる風景にワクワクしながら景色を見下ろした。 小高い丘を越え、川を越え、畑を越えて、一面花の咲き乱れる場所に来た。 凄い! 木の枝みんな花だ! あんなの見たことない。 あれは何て言うの? タンポポが驚いて雀に尋ねた。 雀は、笑いながら答えた。 あはは。 そうかぁ、君は初めて見るんだね。 花壇にはないからね。 あれは桜って言う花だよ。 春になるとあっちでもこっちでも咲き出すんだ。 綺麗だろ。 タンポポはうっとりしながら答えた。 本当に綺麗だ。 そして、少し考えて続けた。 でも、僕がいたい場所じゃない氣がする。綺麗だけど…。 華やかな所より、もっと、穏やかに光が溢れてるところ。僕らしく咲けるところにいきたいなぁ。 そう言うと思ってたよ。 じゃあ、とっておきの場所に案内しよう。 そう言って、雀は向きを変えると、木々に囲まれた広い草原へと飛んで行った。 そこでは、朝の太陽の光を受けて、たくさんの小さな野の花があっちこっちに花を開きはじめていた。 初めてのはずなのに、なぜだろう。なんだか懐かしい。景色を見回していたタンポポは、ハッと氣がついた。 そうだ! ここは、いつか僕が居た場所だ! 初めて芽吹いた所だ! 雀くん、どうして知ってるの? こんな所にいたくないって、いつもどこか遠くに行くことばかり考え過ごしていたところだ。 周りの風景を見ることもなく、 声をかけてくれる小鳥たちと話すこともなく、自分にもっと相応しい所があるはずって、そんなことばかり考えていた。 あぁ、懐かしい風景。 太陽がなんてあたたかいんだ。 タンポポは雀に言った。 雀くん、ここで下ろしてくれないかい? 雀は笑いながら言った。 見つけたんだね!君の居場所。 君は僕を覚えてないかも知れないけど、僕もここで生まれたんだよ。 初めて草原を歩いたとき、君の花の黄色が眩しくて、君に話しかけたんだけどね。君は上の空で、僕を見ようともしなかった。 本当に? 雀くん! じゃあ、君はあの頃から僕を知ってたのかい?君の事を無視してた僕なのに、覚えてくれてたなんて…本当にありがとう。 僕ったら、生まれた場所が嫌で、こんなに素敵な所なのに、幸せを探して飛んでいきたくて空ばかり眺めてたんだ。 雀は嬉しそうに じゃあ、降りよう! と言うと草原に降り立ち、 パタパタと羽ばたいた。 その風でタンポポの綿毛は舞い上がり、草原のあちこちにふわふわっと飛んでいった。 雀は、タンポポの様子を見届けると、空へ舞い上がった。 これでお別れだ。 元気でね! ありがとう~!雀くん! 僕今度こそここでたくさん幸せを咲かせるよ。いつかまた来てね! 雀はチュンとひと鳴きすると、 空の彼方に小さくなって消えていった。 野原のあちこちで、タンポポは根をはって、花をつけて、広がっていった。 春が来て 夏が来て 秋になり 冬が来て 小さないろんな出来事もあったけど いつしか、野原はタンポポの黄金色の花で一杯になった。 時々葉を食い荒らす虫たちを、小鳥たちに退治してもらったり、 周りの花たちと、取り留めもない話をしたり。今は、そんな毎日がタンポポには夢のような日々だった。 タンポポの花の上に 風に乗って山桜の花びらが ひらひらと舞いおりる 春の光が 野原に降り注ぎ タンポポは大きく息をする 長いたび、いろんな事があった。 全ては僕に帰る旅だったんだ。 僕は生きてる なんて幸せなんだろう 🌱 タンポポの小さな物語を読んでくださって、ありがとうございます。 タンポポの花なら、最後はどこに根づくことを願うんだろう? 花の幸せって何だろう? そんなことを思いながら書きました😊あなたなら、どこに咲かせてあげるのでしょう? 花は、この世界で生きる人への神様からのエール、そんな言葉を聞いたことがあります。 日々の風景のどこかに見つけるタンポポの花。その度いつも懐かしい友達にあったような氣がして、優しい元氣をもらいます。そして、こんなに可愛い花が一年中身近にあるって、とっても素敵な事だなって思います。この小さな物語を楽しんでいただけたら嬉しいです🤗💖 大好きなタンポポから 愛を込めて💕 ✨この物語は、下の 🏷️タンポポの小さな物語🏷️ のタグを押していただくと、6話を見ることができます。 ぜひ、またタンポポに会い来てください🤗🌱
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✨タンポポの小さな物語✨その5 降り続いた雨でできた小さな水溜まりに、具合良く根っこをつけたタンポポは、ちょっぴり元気になると根っこを土に潜らせていった。 そこでは、花壇から草と一緒に抜かれた花たちも、根っこを伸ばして、あちこちで小さな花をつけていた。 タンポポは、思った。 そうさ、いつだって今が始まり。 どこに咲いても どんな時も 僕は僕なんだ! 花を咲かせよう! 咲けるかどうかなんて関係ない 僕は花!咲きたいんだ! そして、抜かれたときに一つ残っていた蕾を満身の力で育て、雨が上がり暖かな日が続いたある日、 小さな花をつけ、 やがて小さな綿毛をつけた。 やぁ! 復活だね! 声の方を見ると、いつかの雀だった。 君ならやると思ったよ! そろそろ花が咲くかなと思って、来てみたんだ。 雀との再会にびっくりしながらも、タンポポは嬉しくて、花びらをひときわ光りに輝かせてこたえた。 やぁ!雀くん! また会えて嬉しいよ。 そして、ほんとに君のお陰だよ! 君が助けてくれたお陰だ。 それに、あの時君とした話。もう終わりかもって思うたびに、君の言葉を思い出してた。 自分は誰のために咲くんだ? 君の言葉を心に繰り返してたんだ。 雀は嬉しそうにタンポポの周りを一回りすると言った。 思った通りだ! 本当に君は逞しくなったね! そして、突然何かを思いついたように、いたずらな笑みを浮かべると、タンポポに尋ねた。 ねぇ! 君冒険をしてみたくない? 空から地上を見下ろして、自分が根を下ろす場所を探してみたくない? 雀の提案にタンポポはビックリした。 えー! からかわないでよ。 僕は君のように羽はないし、風にのってせいぜい近くに飛んでいけるぐらいさ。 アハハ。 笑うと雀は続けた。 それは、普通はそうだろうけど…。 僕、思いついちゃったんだ! 君の綿毛を僕の胸羽に隠して空を飛ぶのさ。どこまで持っていけるかわからないけど…面白そうだと思わないかい? タンポポはビックリしつつ、ワクワクした。 凄い! できるのかな? でも、やってみたい! 雀は嬉しそうに、チュンチュンと小さくさえずりながらタンポポの周りを歩き回ると、 綿毛は明日頃がちょうどいい感じになりそうだと呟いた。 それじゃ、明日の午前中に来よう。 それまでに決めておいてね! そう言って飛び去った。 空が茜色になり、 やがて薄紅になり、 淡いブルーになり、 やがて星空になっても、 タンポポはドキドキしながら空を見上げて、その夜は眠れなかった。 続く 🌱ハナニラが小さな花を咲かせ始めました。固い土の地面からもしっかり顔を出して咲いてくれる 強くて可憐な花。 素敵な花ですね✨
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