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イヌホオズキ
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so.ra
2025/03/15
so・raの小さな物語
** たぬき桜 ** その 15
健太が帰宅すると、家の外までシチューの良いにおいがしていた。
ただいまぁ
母さん!今日はシチューでしょう?
健太はランドセルを下ろすと、たぬ吉のかごに直行しなから、台所の母に声をかけた。
そうよ!あなたの大好きなシチュー、できたてよ!
たぬ吉君にエサをあげたら、お父さんが牛小屋の掃除をしてって言ってたわ。急いでお手伝いを終わらせて、ご飯にしましょうね。
健太は、わかった!
弾むような声で返事をすると、かごの中からたぬ吉を抱いて、机の前に座った。
その時だった。
玄関の戸がガラリと勢い良く開き、一彦が入ってきた。
ケンチ!遊ぼうぜ!
一彦の声に、玄関に後ろ向きに座っていた健太は、膝に乗っていたたぬ吉のお尻を叩いた。たぬ吉は驚いて健太の膝から飛び出て、台所へと駆け込んだ。
健太は、ドキドキする鼓動を悟られないように、わざとゆっくり振り向いて言った。
ビックリしたぁ!
どうしたん?ケンチ。
今日遊びに来るなんて言ってなかったのに…
精一杯平静を装ってぎごちない笑顔を向けた健太の言葉などお構いなしに、一彦は靴を脱ぐと、ズカズカと居間に上がり込んできた。
おい!ケンチ!
今のあれ、なんだ?!
なんかいたろう?
お前ん所からあっちへ走っていったぞ。猫よりも大きいやつ。
犬?いや、尻尾がふさふさしてた。
なんだあれ?
そう言うなり、一彦は健太の言葉も待たずに、ズカズカとたぬ吉が飛び込んでいった台所へと入ろうとした。
一方台所では、急に駆け込んできた怯えた様子のたぬ吉を見て、何かあったと察した母が、たぬ吉をかごに入れ、台所から外の薪置き場の下に運んだ。そばにあったぼろ布をかごにかけ、上に薪をのせて隠し、素知らぬ顔で台所に戻ったちょうどその時、一彦が台所へ顔を出した。
おばさん!お久しぶりです。
今、ここに何か駆け込んで来ませんでしたか?
犬みたいな?
そうだ!…狸だ!
狸だ!あれ。
こっちへ来たはずなんだけど、見ませんでしたか?
台所をキョロキョロ見回している一彦に、母は落ち着いた声でこたえた。
あらー、一彦くん、久しぶりねぇ。しばらく見ない間に、また背が伸びた?
のんびりした物言いの母に、イライラするように一彦は続けた。
おかしいなぁ、ここに逃げて来たはずなんだけど。。
一彦くん、何の話?
私、ずっとここにいるけど、何にも来なかったわよ。気のせいじゃないの?それより、今日は健太が大好きなシチューを作ったのよ。一彦君も好きだったわよね。久しぶりに一緒に食べていく?
あらら、お鍋が焦げちゃうわ。
ごめんなさい。後で、ゆっくりお話しましょうね。
そう言うと、母は一彦に居間に戻るように促し、さりげなく台所のドアを閉めた。
母から閉め出される形で、しぶしぶ居間に戻った一彦は、あたりを見回すと健太に聞いた。
おい!
さっきのあれなんだよ?
絶対何かいたろう?
俺を騙そうったってダメだぞ!
あれ、狸だったよな?
何でお前んちに狸がいるんだ?
容赦ない一彦の追求に、
ちくしょう!
ばれたか!。
健太は心の中で舌打ちした。
健太の心臓は息苦しいほどドキドキと高鳴った。
ほら!図星だろう!
なんだよ、その顔。
子供の頃から一緒に過ごしてきた俺に、嘘なんか通用すると思うなよ!
いつも一彦が強く出たときは負けを認める健太だったが、父との約束を思いだし、強い口調で言った。
カズチ!
人ん家に勝手に上がり込んできて、
何喧嘩売ってんだよ!
何もいないよ。
今日は、父さんの手伝いをする約束なんだ。お前と遊んでる暇なんかないんだよ!
もう、帰れよ!
ほら、帰れよ!
今まで、一遊びにきた一彦に帰れと言ったことなどなかったのにと、一彦は健太の激しい言葉に驚いて目を見開いた。
おい、なんだよ!
急に帰れとか。
何怒ってんだよ。
そう言って座り込んで動かない一彦。健太は一彦のその腕をつかんで、玄関の方へと引っ張った。
おい!何するんだよ!
いいよ!
わかったよ!
もう、お前なんかと絶好だ!
2度と声をかけてくるなよ!
そう言うと、一彦は靴をはき、玄関の戸をいきおいよく閉めて出ていった。
台所から聞き耳を立てていた母が、居間に入ってきて、膝の上で握りこぶしを作り、ポタポタと涙を流している健太の肩に優しく手を置いた。
一彦くんを、怒らせちゃったわね。頑張ったわね。たぬ吉は隠したわ。
さぁ、お父さんの手伝いをしてらっしゃい。
母の言葉に背中を押されて、健太は涙を拭くと立ち上がって牛小屋に向かった。
牛の世話をしていた父は、いつもと違う様子の健太に気づいたが、「まずはこの仕事を片付けるのが先だ。」そう、心で呟くと、健太に指示しながら牛の世話をした。
さぁ、これで良い。
手伝いありがとう。
今日は母さんがお前の好きなシチューを作ってるはずだ。夕食にしよう。
いつもは大はしゃぎで、好物のシチューを食べる健太だったが、その日はみんな黙ったまま、黙々と食事をした。
食事が終わると、それまで押さえていた感情が溢れるように、健太の目から涙がポタポタとこぼれた。
どうした?
と、父が訪ね、
健太は、今日の出来事を父に報告した。
たぬ吉をカズチに見られた。そして、母さんがいなかったら、たぬ吉も捕まえられてたかも。ちゃんと、父さんとの約束を守ろうと、僕なりに頑張ったけど…カズチすごく怒ってたから、明日学校でとっちめられるかも。、
健太の話に耳を傾けていた父は、母に向かってたずねた。
お前がカバーしてくれて良かった。それで、今たぬ吉はどこに置いてる?
母は、薪小屋の下から、台所に連れてきて、さっきご飯をあげたと報告した。
そうか、ありがとう。
そう言うと父は続けた。
一彦くんは、両親に話すだろう、クラスの友達にも話すに違いない。子供たちの話を聞いた村の衆は大騒ぎになるだろう。何しろ、勝手に飼ってはいけない狸を飼っていたわけだからな。
さて、ここからが勝負だ。
絶対に狸を飼っていたと認めてはならん。例え、一彦くんが嘘つきと親に叱られたり、みんなに責められてもだ!
お前には覚悟をしなくてはならないと、たぬ吉を飼い始める時に約束したな。この先後悔することになるかもしれないと、それでもな、私も母さんも、お前が涙を流しながら『それでも、助けたい!』と言った言葉に、あの時、一緒に覚悟したんだよ。優しさだけが全てじゃない。それが、諸刃の剣になることもある。だがな、命を助けることを優先した、その気持ちを忘れないことだ。
健太は、改めて事の重大さに震えながら、父の言葉を聞いていた。
わしらがしてやれることはここまでだ。俺は今からたぬ吉を山に戻してこよう。幸い、怪我も大分治ってきた。難儀することもあるだろうが、この子は本当に賢い。きっとうまく生き延びるだろう。
僕も行く!
僕も連れてって!
涙を流しながら懇願する健太に、それはならん、と父はきっぱりと言った。
お前の気持ちはわかるが、夜中にお前と2人で歩いているところを見られたら、何と申し開きするかね?。わし一人なら、薪が足りなかったから拾いに行ったと言い訳も出来る。
そう言うと父は、納屋から籠を持ってきて、たぬ吉を入れた。
母と健太は、父を玄関で見送った。
夜になって風が出てきて、山にゴウゴウと風の鳴る音が響いていた。
🍂🍂🍂🍂🍂🍂
🌱 イヌホオズキ🌱
道の片隅で、イヌホオズキの花が綺麗に咲いていました。
【真実】
イヌホオズキの美しい花の「真実」という花言葉は真実を愛する心や、正直さを大切にすることを表しているそうです。人と人との関係や、社会においても、真実を伝えることが求められますが、イヌホオズキの花は、そのような真実を愛する心や正直さを象徴しており、私たちにその重要性を思い起こさせてくれます。
【嘘つき】
イヌホオズキは白い美しい花を咲かせますが、「嘘つき」という花言葉も持ってます、嘘をつくことや不誠実な行為をすることを表しているそうです。
真実と嘘つきという正反対の花言葉を持つ 『イヌホオズキ』一つの命にさまざまな想いを宿しながら、それでも、より良く生きようと前を向く心に、寄り添ってくれるような花だなと思いました。
@NOBU
2025/03/15
お久しぶりです
soraさんが書き終わるまで コメントは控えようと思いましたが 久しぶりに話しがしたくて😊
ポン吉の行く末 また健太のこれからが
ハラハラドキドキです
今日は感想は 控えます😊
soraさんの想いがブレては困るし👍
そうと まだまだ寒いですね
今年は桜の開花も遅いとか
梅の開花もまだ3分咲
早く春が来て欲しいものですね
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1
返信
so.ra
2025/03/16
@@NOBU さん
こんばんは。
最近は、夜更かし朝寝坊で😅こんな時間に失礼します。
和多志も、どうしてるかなぁと、投稿が止まっているので、ご自身やおばあちゃまの体調がお悪かったりしないかと心配していました。お声が聞けて安心しました(*^^*)コメントをありがとうございました。
たぬき桜の構想はほぼ固まっているのですが…この物語は和多志の中で健太が生きてて、その姿を見て涙が出たりホッとしたり…物語に入りこんでる感じで書いてます…可笑しいでしょう?😅 でも、言葉にするのはなかなか大変で。無事に最後までたどり着けたら、ぜひ感想を聞かせてくださいね🙏
暖かくなったり、急に寒くなったり、体調を崩しやすいので、お体大切にされてくださいね。今年も、NOBUさんの秘密の場所の迫力のある桜や、語りかけるような桜のお写真を楽しみにしています。
いろいろ大変な日本の世情ですが、花を愛するみんなの想いが、太い縄をなうように束なって、大きな大きな空に昇る花の龍に変わり、稲妻と雷鳴も轟かせて、この国の闇や悪い奴らを吹き飛ばせたらいいなって、そんな妄想をしたりします。
✨春よ来い!✨
ですね🤗
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1
返信
トントン
2025/03/16
@so.ra
様
詳しく花言葉を分かりやすく書いてくださりいつも感謝しております🙏😍
イヌホウズキを花束にして、石破総理に送りつけたい気持ちになりました😤😠
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1
返信
so.ra
2025/03/16
@トントン
さん
🤣🤣🤣
石バカさんに、
ぜひ!送りつけてやって下さい‼️
それにしても…花束にして と、言葉が入るところ、隠しきれない優しさが滲みますね😅
今日は氷雨
冷たい雨と見上げたら、霙のような感じで…。暖かい日が続いて、春だぁと庭の沈丁花も咲き始めたのに、びっくりしてるかなって。
お体冷やさないようにお過ごしくださいね。素敵な1日を✨
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1
返信
トントン
2025/03/16
@so.ra
様
返信嬉しかったです💘
今日も暖かくして部屋にこもってました🤭😆
お互いに健康に気をつけて、全身で春を感じましょうね🤗💓🫶👍
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1
返信
ハジー
2025/03/20
@so.ra
さん
初めまして今晩は😃
EMI さんの応援💬を見させて戴き来ました。
時間掛けて見させて下さいね
いいね
1
返信
so.ra
2025/03/22
@ハジー
さま
はじめまして😊
お立ち寄り下さって、ありがとうございます。
和多志は、花によせて詩や物語を書いています。詩を書き始めたのは、短く言葉を伝えられるようになりたかったから( *´艸) 目標1000本投稿、達成できたあと、物語も書き始めました。花をみて心に感じたことを、氣ままに綴った物語です。そのうちの一部をみどりのまとめにのせています。
読んで下さる皆さんに励まされて、投稿を続けてこれました。どれだけ心をあたためていただき、前を向く勇気をいただいたか、感謝しかありません。
拙い物語を読んでいただき、本当にありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします(⌒‐⌒)
いいね
1
返信
ハジー
2025/03/22
@so.ra
さん
まだ1話しか読めてません😳
ゆっくりゆっくり見させて下さいね
フォローをして下さりありがとうございます。
私からは付けずに気持ちは100%したつもりで読ませて戴きます
🥰
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1
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so.ra
お出かけ先で出逢った花にとても感動して、こんな感動をどこかに残したいと始めたGSでした。花に添える言葉が上手く書けなくて、それなら575とか、詩にすれば書けるかなと、詩を書くようになりました。でも、私はやっぱり口べたで、どうしようもない天然で‥。ちゃんと届けたい想いが言葉にできなくて‥。何度も、自己嫌悪にもう投稿をやめてしまおうと思ったりもしました。(一度止めて、このアカウントは再開したものです)でも、そんなとき、今はおほしさまになってしまった天美ちゃんが、初めて私の言葉を書きとめてくれて‥私は言葉を紡ぐ人になりたいと思いました。そして、挫折しそうになるたびに、みんなが声をかけてくれて‥そんなみんなの暖かさに支えられて続けてこれました。いつも、こんな私にいいね!をくれるみんな、心からありがとうございます。みんなが今日も明日もずっとずっと幸せでいられますように🍀
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GSの繋がりに感謝♡
小さな物語
so・raの小さな物語
たぬき桜
健太応援団
健太の冒険
植物
イヌホオズキ
イヌホオズキ
** たぬき桜 ** その 15
健太が帰宅すると、家の外までシチューの良いにおいがしていた。
ただいまぁ
母さん!今日はシチューでしょう?
健太はランドセルを下ろすと、たぬ吉のかごに直行しなから、台所の母に声をかけた。
そうよ!あなたの大好きなシチュー、できたてよ!
たぬ吉君にエサをあげたら、お父さんが牛小屋の掃除をしてって言ってたわ。急いでお手伝いを終わらせて、ご飯にしましょうね。
健太は、わかった!
弾むような声で返事をすると、かごの中からたぬ吉を抱いて、机の前に座った。
その時だった。
玄関の戸がガラリと勢い良く開き、一彦が入ってきた。
ケンチ!遊ぼうぜ!
一彦の声に、玄関に後ろ向きに座っていた健太は、膝に乗っていたたぬ吉のお尻を叩いた。たぬ吉は驚いて健太の膝から飛び出て、台所へと駆け込んだ。
健太は、ドキドキする鼓動を悟られないように、わざとゆっくり振り向いて言った。
ビックリしたぁ!
どうしたん?ケンチ。
今日遊びに来るなんて言ってなかったのに…
精一杯平静を装ってぎごちない笑顔を向けた健太の言葉などお構いなしに、一彦は靴を脱ぐと、ズカズカと居間に上がり込んできた。
おい!ケンチ!
今のあれ、なんだ?!
なんかいたろう?
お前ん所からあっちへ走っていったぞ。猫よりも大きいやつ。
犬?いや、尻尾がふさふさしてた。
なんだあれ?
そう言うなり、一彦は健太の言葉も待たずに、ズカズカとたぬ吉が飛び込んでいった台所へと入ろうとした。
一方台所では、急に駆け込んできた怯えた様子のたぬ吉を見て、何かあったと察した母が、たぬ吉をかごに入れ、台所から外の薪置き場の下に運んだ。そばにあったぼろ布をかごにかけ、上に薪をのせて隠し、素知らぬ顔で台所に戻ったちょうどその時、一彦が台所へ顔を出した。
おばさん!お久しぶりです。
今、ここに何か駆け込んで来ませんでしたか?
犬みたいな?
そうだ!…狸だ!
狸だ!あれ。
こっちへ来たはずなんだけど、見ませんでしたか?
台所をキョロキョロ見回している一彦に、母は落ち着いた声でこたえた。
あらー、一彦くん、久しぶりねぇ。しばらく見ない間に、また背が伸びた?
のんびりした物言いの母に、イライラするように一彦は続けた。
おかしいなぁ、ここに逃げて来たはずなんだけど。。
一彦くん、何の話?
私、ずっとここにいるけど、何にも来なかったわよ。気のせいじゃないの?それより、今日は健太が大好きなシチューを作ったのよ。一彦君も好きだったわよね。久しぶりに一緒に食べていく?
あらら、お鍋が焦げちゃうわ。
ごめんなさい。後で、ゆっくりお話しましょうね。
そう言うと、母は一彦に居間に戻るように促し、さりげなく台所のドアを閉めた。
母から閉め出される形で、しぶしぶ居間に戻った一彦は、あたりを見回すと健太に聞いた。
おい!
さっきのあれなんだよ?
絶対何かいたろう?
俺を騙そうったってダメだぞ!
あれ、狸だったよな?
何でお前んちに狸がいるんだ?
容赦ない一彦の追求に、
ちくしょう!
ばれたか!。
健太は心の中で舌打ちした。
健太の心臓は息苦しいほどドキドキと高鳴った。
ほら!図星だろう!
なんだよ、その顔。
子供の頃から一緒に過ごしてきた俺に、嘘なんか通用すると思うなよ!
いつも一彦が強く出たときは負けを認める健太だったが、父との約束を思いだし、強い口調で言った。
カズチ!
人ん家に勝手に上がり込んできて、
何喧嘩売ってんだよ!
何もいないよ。
今日は、父さんの手伝いをする約束なんだ。お前と遊んでる暇なんかないんだよ!
もう、帰れよ!
ほら、帰れよ!
今まで、一遊びにきた一彦に帰れと言ったことなどなかったのにと、一彦は健太の激しい言葉に驚いて目を見開いた。
おい、なんだよ!
急に帰れとか。
何怒ってんだよ。
そう言って座り込んで動かない一彦。健太は一彦のその腕をつかんで、玄関の方へと引っ張った。
おい!何するんだよ!
いいよ!
わかったよ!
もう、お前なんかと絶好だ!
2度と声をかけてくるなよ!
そう言うと、一彦は靴をはき、玄関の戸をいきおいよく閉めて出ていった。
台所から聞き耳を立てていた母が、居間に入ってきて、膝の上で握りこぶしを作り、ポタポタと涙を流している健太の肩に優しく手を置いた。
一彦くんを、怒らせちゃったわね。頑張ったわね。たぬ吉は隠したわ。
さぁ、お父さんの手伝いをしてらっしゃい。
母の言葉に背中を押されて、健太は涙を拭くと立ち上がって牛小屋に向かった。
牛の世話をしていた父は、いつもと違う様子の健太に気づいたが、「まずはこの仕事を片付けるのが先だ。」そう、心で呟くと、健太に指示しながら牛の世話をした。
さぁ、これで良い。
手伝いありがとう。
今日は母さんがお前の好きなシチューを作ってるはずだ。夕食にしよう。
いつもは大はしゃぎで、好物のシチューを食べる健太だったが、その日はみんな黙ったまま、黙々と食事をした。
食事が終わると、それまで押さえていた感情が溢れるように、健太の目から涙がポタポタとこぼれた。
どうした?
と、父が訪ね、
健太は、今日の出来事を父に報告した。
たぬ吉をカズチに見られた。そして、母さんがいなかったら、たぬ吉も捕まえられてたかも。ちゃんと、父さんとの約束を守ろうと、僕なりに頑張ったけど…カズチすごく怒ってたから、明日学校でとっちめられるかも。、
健太の話に耳を傾けていた父は、母に向かってたずねた。
お前がカバーしてくれて良かった。それで、今たぬ吉はどこに置いてる?
母は、薪小屋の下から、台所に連れてきて、さっきご飯をあげたと報告した。
そうか、ありがとう。
そう言うと父は続けた。
一彦くんは、両親に話すだろう、クラスの友達にも話すに違いない。子供たちの話を聞いた村の衆は大騒ぎになるだろう。何しろ、勝手に飼ってはいけない狸を飼っていたわけだからな。
さて、ここからが勝負だ。
絶対に狸を飼っていたと認めてはならん。例え、一彦くんが嘘つきと親に叱られたり、みんなに責められてもだ!
お前には覚悟をしなくてはならないと、たぬ吉を飼い始める時に約束したな。この先後悔することになるかもしれないと、それでもな、私も母さんも、お前が涙を流しながら『それでも、助けたい!』と言った言葉に、あの時、一緒に覚悟したんだよ。優しさだけが全てじゃない。それが、諸刃の剣になることもある。だがな、命を助けることを優先した、その気持ちを忘れないことだ。
健太は、改めて事の重大さに震えながら、父の言葉を聞いていた。
わしらがしてやれることはここまでだ。俺は今からたぬ吉を山に戻してこよう。幸い、怪我も大分治ってきた。難儀することもあるだろうが、この子は本当に賢い。きっとうまく生き延びるだろう。
僕も行く!
僕も連れてって!
涙を流しながら懇願する健太に、それはならん、と父はきっぱりと言った。
お前の気持ちはわかるが、夜中にお前と2人で歩いているところを見られたら、何と申し開きするかね?。わし一人なら、薪が足りなかったから拾いに行ったと言い訳も出来る。
そう言うと父は、納屋から籠を持ってきて、たぬ吉を入れた。
母と健太は、父を玄関で見送った。
夜になって風が出てきて、山にゴウゴウと風の鳴る音が響いていた。
🍂🍂🍂🍂🍂🍂
🌱 イヌホオズキ🌱
道の片隅で、イヌホオズキの花が綺麗に咲いていました。
【真実】
イヌホオズキの美しい花の「真実」という花言葉は真実を愛する心や、正直さを大切にすることを表しているそうです。人と人との関係や、社会においても、真実を伝えることが求められますが、イヌホオズキの花は、そのような真実を愛する心や正直さを象徴しており、私たちにその重要性を思い起こさせてくれます。
【嘘つき】
イヌホオズキは白い美しい花を咲かせますが、「嘘つき」という花言葉も持ってます、嘘をつくことや不誠実な行為をすることを表しているそうです。
真実と嘘つきという正反対の花言葉を持つ 『イヌホオズキ』一つの命にさまざまな想いを宿しながら、それでも、より良く生きようと前を向く心に、寄り添ってくれるような花だなと思いました。