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ナツミカンは、ジューシーでほどよい食感の果肉と、爽やかな酸味が楽しめる果実です。大きな果実であることから、庭木として育てる印象があるかもしれませんが、鉢植えでの栽培もできます。果樹の栽培にチャレンジしたい方のために、今回はナツミカンの育て方についてご紹介します。
ナツミカンは、日当たりがよい場所を好みます。ただし、西日や寒風が強く当たる場所は避けるようにしてください。葉から水分が蒸発して乾燥し、枯れてしまうことがあります。
ナツミカンは丈夫なので、ある程度の寒さであれば耐えられますが、−3度以下になると生育不良になるので、温暖地での栽培が向いています。関東地方以北の寒冷地で育てる際は、場所を移動して温度管理ができる鉢植えでないと栽培は難しいでしょう。
ナツミカンを栽培している土の表面が乾いていたら、鉢底から水が出るぐらいたっぷりと水やりをしましょう。地植えの場合は、雨が降らず土が乾燥している場合にはたっぷりと水を与え、それ以外は水やりをする必要はなく、降雨のみで大丈夫です。
ナツミカンへは、寒肥として2月に油かすなどの有機質肥料を、6月と10月に即効性化成肥料を施肥します。なお、肥料過多になると花がつかないことがあるので、基本的には年3回で問題ありません。
ナツミカンを育てるときは、水はけと同時に保水性も優れた、有機質を含んだ栄養のある土壌を用いましょう。地植えの用土は、植え付ける際に掘り起こした土に腐葉土を混ぜ合わせて使います。
鉢植えにおいては、赤玉土小粒と腐葉土、川砂を6:3:1の割合で混ぜ合わせた用土が適しています。また、果樹用培養土を単体で使うことも可能です。
ナツミカンの植え付け・植え替え時期は、3月下旬〜4月上旬が適期です。
地植えの場合は、まず深さ・幅それぞれ50cm程度の穴を掘り、腐葉土を混ぜた土を半量埋め戻します。そして苗木を置き、隙間に土をしっかりと埋め込みます。植え付け後、地表から高さ50cmぐらいになるよう切り詰め、支柱で固定したっぷりと水を与えれば完成です。
鉢植えの場合は、鉢底ネットを入れて鉢底石を敷き、用土を1/3入れます。そして苗木を置いて土をかぶせていきます。地表から高さ25cmになるよう切り詰めた後、たっぷりと水やりをしましょう。
ナツミカンの増やし方は、「接ぎ木」でが一般的です。接ぎ木は4月〜6月、もしくは9月〜10月が適していますが、春に行ったほうが活着率が高まります。接ぎ木の手順は、以下のとおりです。
ナツミカンは、2月〜3月頃に重なっている枝や込み入っている枝、枯れ枝を根元から剪定し、木の内部にも日が当たるようにしましょう。また、剪定には風通しをよくすることで、害虫をつきにくくする効果もあります。
不要な枝を剪定したあとは、長さ30cm以上の枝のみ先端から1/3程度を切り詰めます。それ以外の枝は剪定せずにそのままにしてください。
花芽は枝先につくため、短くしすぎると花芽が落ちて花が咲きません。花が咲かなければ実はつかないので、切り詰めすぎに注意しましょう。
ナツミカンを植え付けたあとは、果実を収穫できるようにするために間引き剪定をし、2〜3年かけて樹形を作っていく必要があります。ナツミカンの樹形は、骨格となる枝を2〜3本誘導して半円形にする「半円形仕立て」、もしくは横に広げるスペースがあまりない場合は、ピラミッド型の「主幹形仕立て」が向いています。
ナツミカンの収穫時期は4月中旬〜6月頃で、よく色づいている果実を収穫していきます。寒冷地の場合は、寒さにより自然落果することもあるので、1月頃に収穫して酸味が落ち着くまで保存しておくとよいでしょう。
ナツミカンはカビによるソウカ病や黒点病、細菌によるカイヨウ病にかかることがあります。感染すると葉や果実に病斑ができ、放置していると伝播してしまいます。
感染したらその箇所を取り除いて薬剤を散布しましょう。雨風に当たると発生しやすいので、鉢植えの場合は、軒下など雨風に当たりにくい場所に置くようにすると防げます。特に雨が多い梅雨時期や、台風が発生する時期は注意が必要です。
また、アゲハチョウの幼虫から食害を受けることもあります。見つけたらすぐに取り除きましょう。
豊富に実をつけるナツミカンですが、実を全部つけたままだと木に負担がかかり、翌年は不作になることがあるので、7月〜8月に摘果する必要があります。また、摘果することで、実が大きく成長します。
50枚ぐらいの葉に対して1果になるよう間引きましょう。鉢植えの場合は2〜3果残してそれ以外は全て摘果してください。摘果した果実の果汁は、調味料やドリンクなど、さまざまな形で活用できます。
ナツミカンは丈夫でよく育つうえ、病害虫の被害も少ないほうなので、初心者でも管理がしやすい果樹です。自分で大切に育てて収穫するのは、大きな楽しみとなることでしょう。ぜひ一度育ててみてください。
※トップ画像はたかのマウンテンさん@GreenSnap
GreenSnap編集部