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春から夏にかけて旬を迎えるアスパラガスは、「鮮度が命!」と言われるほど、採れたてが美味しい野菜です。家庭菜園で育てるのは難しいと思われがちですが、根株から育てると、初心者でも気軽に栽培できるのでおすすめです。
今回は、そんなアスパラガスの育て方を詳しくご紹介します。
アスパラガスは、ユリ科アスパラガス属の多年草です。南ヨーロッパからソ連南部が原産とされ、日本には江戸時代にオランダ人によって伝えられました。
アスパラガスは、栽培期間は長いものの、栽培難易度はそこまで高くありません。初心者の方は根株から育てると簡単に収穫できますよ。定期的な追肥などの手間はありますが、一度植え付けてしっかり手入れをすれば、なんと10年もの間、毎年収穫が楽します。
アスパラガスは、種まきから育てると栽培期間が長く、発芽してから3年目まで収穫ができません。初心者の方はホームセンターや園芸店などで市販されている「根株」と呼ばれる苗を使って育てるのがおすすめです。
根株は、すでに数年育てられたアスパラガスの根っこを指します。根株には「小苗」と「大苗」があるので、大苗を選んで植え付けましょう。大苗はすでに数年育てられた苗なので、2年目の根株を使って栽培すれば、翌年から収穫することができます。
ひとつの容器には、一株だけ植え付けるのがポイントです。水はけをよくするため、プランターの底には鉢底石を敷いてください。
アスパラガスは、一度植え付けると10年以上同じ場所で栽培するので、最初の土づくりが肝心です。アスパラガスは地中深くまで根を張るので、有機質の土を作って根を育てましょう。堆肥や鶏糞などの有機質が豊富に含まれた肥料を、植え付ける前に土にたくさん施すと良いでしょう。
プランター栽培のアスパラガスは、市販の野菜用培養土を使用しましょう。プランターの底には鉢底石を入れ、水はけをよくしておきます。
露地栽培のアスパラガスは、植え付け2週間前から土壌の準備を進めます。このとき、深めに土を耕しておくと、アスパラガスの根が張りやすくなります。
アスパラガスの苗(根株)を植える時期は、4月中旬〜5月中旬頃です。苗を植えるときは、根を傷つけないように、根が均一になるように植え付けましょう。
アスパラガスは根に水分を溜め込む機能があるので、比較的乾燥に強い野菜です。しかし、乾燥のしすぎと多湿の環境には注意が必要です。
夏場の暑い時期は、朝晩の涼しい時間帯に水やりをしましょう。太陽が出ている暑い時間帯に水やりをすると、根が蒸れて痛む可能性があるので注意してください。冬場は、アスパラガスが休眠期に入るため、水やりは控えめにします。
プランター栽培は、露地栽培よりも乾燥しやすいのが特徴です。アスパラガスを植え付けてから根が完全に根付くまでの期間は、しっかりと水をやります。その後は、土の表面が乾いていたら、たっぷりと水をやりましょう。
露地栽培のアスパラガスは、頻繁な水やりは必要ありません。雨が1週間以上降らなければ、たっぷりと水やりをしましょう。地上部の葉が黄色くなってきたら、水分不足のサインです。土の表面が乾燥しているのを確認して、水分を十分に与えるようにしましょう。
アスパラガスは、植え付けから2ヶ月ほどすると、茎葉が茂り、草丈が大きくなってきます。苗が風や雨で倒れてしまわないように、四隅に支柱を立てましょう。
アスパラガスの栽培には、定期的な追肥が欠かせません。根に養分を与えてしっかり育てることで、太くて良い株を収穫することができます。根株から育て始めた場合は、収穫の時期を避けて、1カ月に1回の頻度で追肥を施しましょう。
有機栽培の場合は鶏ふんや草木灰(そうぼくばい)を追肥しましょう。
5月上旬〜5月下旬、株の周囲に追肥を行います。一株につきひと握り(20〜30g)の化成肥料を、株から10cmほど離れた場所に施します。肥料と土を混ぜてほぐし、株元に土寄せしてあげましょう。
6月上旬〜7月中旬、畝の肩に追肥します。株が成長したら、畝の脇に溝を掘り、ひと握り(20g)の追肥を溝に均等に施します。肥料と土を混ぜてほぐし、株元に土寄せしてあげましょう。
アスパラガスは肥料不足になると、細く弱々しい株になってしまいます。太いアスパラガスを収穫するには追肥が欠かせません。定期的な追肥を欠かさないようにしましょう。
アスパラガスの収穫時期は、3年目以降の4〜6月頃です。茎葉の高さが20~25cmほどに生長し、穂先が硬く引き締まっているものを選んで、株元からナイフで刈り取りましょう。
最初の年はヒョロヒョロとした細い芽ばかり生えてくるかもしれませんが、本格的に株が太り出せば、しっかりとした太いアスパラガスが収穫できるようになります。
翌年以降の収穫量を増やすためには、全て収穫しないことが大切です。太い芽を10本ほど残してそのまま成長させましょう。
アスパラガスは、多年草なので冬越しをします。アスパラガスはもともと冷涼な場所を好むので、冬越しについてそれほど神経質になる必要はありませんが、冬越しの時はふたつの手入れを行うのがポイントです。
アスパラガスの地上部の茎葉は、秋から冬にかけて黄色く枯れてきます。翌年の成長に備えて根元から5〜7cmほど離れた部分で刈り取りましょう。
刈り取った葉を近くに放置すると、病気の原因になってしまうので、集めて別の場所で処分してくださいね。
アスパラガスの地上部の茎葉を刈り取ったら、翌年の収穫に備えて追肥を施します。一株に対してふたつかかみ(1㎡に対して2kg)の堆肥を畝の両脇に施し、土とよく混ぜます。混ぜた土を、株元が少し出るくらいの部分まで土寄せしたら完了です。
露地栽培のアスパラガスには植え替えは必要ありませんが、プランター栽培の場合は1年に1度、3月頃に植え替えが必要です。アスパラガスは生育旺盛のため、プランター栽培では根詰まりを起こしてしまうことがあるためです。
鉢を大きくしたくない場合は、植え替えをするときに株分けをしましょう。株分けの方法は、次の章を確認してください。植え替えの方法は以下の通りです。
栽培年数が長くなり、株元の根が混み合って株が浮き上がるようになってきたら、株分けの合図です。全体を掘り起こして作業をしていきましょう。
アスパラガスによく発生しやすい病気にはいくつかあります。その中でも一番被害の多いのは、「茎枯病(くきかれびょう)」です。茎部分に褐色の斑点ができ、徐々に茎全体へと広がって最後には枯れてしまいます。原因は土の中のカビです。
予防するには、敷きワラやマルチなどで泥跳ねが起こるのを防いであげるだけでなく、風通しを良くするために、茎同士が混み入らないように管理を行います。
また雨よけ屋根などを取り付けるのも有効な手段です。その他には、「紫紋羽病(むらさきもんぱびょう)」があります。地上に出ている葉の部分が黄色くなり、生育不良を起こし枯れ、同時に地下部の根も腐敗が進み、内部が空洞状態となってしまいます。
害虫には、テントウムシに似た色を持つ「ジュウシホシクビナガハムシ」が茎葉の表面を食べてしまいます。「ネギアザミウマ」という体長2㎜程度の小さな幼虫や成虫は、葉を食べてしまい白斑にしてしまいます。
また、「ヨモギエダシャク」というシャクトリムシのような動きをする幼虫は、新葉を好んで食べてしまいます。
いずれも幼虫は発見次第、薬剤で駆除します。成虫は薬剤が効きにくい場合も多いため、歯ブラシなどを使って物理的にこすり落としてください。
根株から育てることで、収穫までの期間も短くできます。ぜひ家庭菜園で採れた、甘さとみずみずしさがたっぷりのアスパラガスを楽しんでくださいね。
七尾びび
GreenSnap編集部