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トロピカルフルーツのひとつとして有名なパッションフルーツは、甘酸っぱくてフルーティーな味わいが特徴の果物ですね。時計の文字盤に似た美しい花が咲くので、観賞用として育てるのもおすすめです。
今回は、そんなパッションフルーツの育て方についてご紹介します。
パッションフルーツは、南米ブラジル原産のつる性の熱帯果樹です。時計に似た美しい花を咲かせることから、別名「トケイソウ」とも呼ばれています。
卵型の果実には、トロリとしたオレンジ色の柔らかくて甘酸っぱい果肉に包まれた種がぎっしりつまっており、生食はもちろん、お菓子やジュースに加工して食べられます。
パッションフルーツは家庭でも育てやすく、初心者の栽培にもおすすめの果樹です。つるをフェンスに這わせることで、グリーンカーテンに仕立てることもできますよ。株の寿命は7〜8年ほどなので、あらかじめ挿し木を行って株を更新しておきましょう。
パッションフルーツは果実の色によって品種が異なります。熟すと実が紫色になるものを「ワワイマナロ」「ネリケリ」、黄色になるものを「イエー」「セブシック」と呼び、両者の交雑種も存在します。
どちらか片方だけでは受粉しにくく実がならないので、両種を1株ずつ一緒に育てるのがおすすめです。片方だけ育てる場合は、人工授粉を行ってくださいね。
実がならない観賞用の品種もあるので、好みの品種を選んで栽培しましょう。
パッションフルーツは南国の植物なので、強い日差しを好みます。1日を通してよく日が当たる風通しがよい場所を選んで栽培しましょう。日光が足りないと弱り、実のつきが悪くなってしまいます。
パッションフルーツは耐寒性にも優れていますが、数回霜に当たると枯れてしまうので注意しましょう。霜が当たらない地域では、屋外で垣根に這わせて育てることもできます。
霜が降る地域では冬越しが難しいので、室内で管理できるようにプランターや鉢植えで育てるのがおすすめです。
パッションフルーツは種から栽培することもできます。ただし、植え付け苗が完成するまで時間がかかるので、基本的には苗から栽培するのがおすすめです。パッションフルーツの苗は、ホームセンターなどで入手することができますよ。
種まきからの栽培に挑戦する場合、5月〜9月に種まきして育苗していきましょう。
パッションフルーツは水はけが良く、肥沃な土壌を好みます。植え付けの際には必ず元肥を土に混ぜ込みましょう。沖縄などの温暖な気候の地域であれば、地植えでも栽培できます。
パッションフルーツをプランターや鉢植えで栽培する場合は、市販の果樹用培養土と川砂を8対2くらいの割合で混ぜたものか、火山灰の一種である鹿沼土と腐葉土を7対3くらいの割合で混ぜたものを使うのがおすすめです。
パッションフルーツを地植えで栽培する場合は、粘土質ではなく砂質の土壌が適しています。植え付け2週間前には苦土石灰を施し、植え付け1週間前に腐葉土と化成肥料を土壌にすき込んでおきましょう。
パッションフルーツの苗を植える時期は、4月下旬〜5月上旬が適期です。市販の苗を購入するときは、葉色がよく、葉が大きく育っている苗を選びましょう。
プランター・鉢植えに植え付ける場合は、ポットよりもひと回大きな容器に植え付けていきます。根をよく張るので、大きめの容器に植えると良いでしょう。プランター・鉢植えの底には鉢底石を敷き、水はけの良い状態を作ります。
地植えの場合は、日当たりの良い場所に植え付けます。地植えの場合は、地面と株の境目あたり(地際)から腐ることがあるので、深植えせず浅植えで植え付けるように注意が必要です。
パッションフルーツは、生長が早く、葉の水分蒸発量が多い果樹です。初夏〜収穫前の時期には著しく生長するので、特にたっぷりと水を与えましょう。それ以外の季節は、表土の土が乾いた状態を確認したら水やりをしましょう。
地植えの場合は、基本的に自然に降る降雨で育つので水やりは必要ありません。晴天が続き、地面がひび割れるなど、極度に乾燥しているときは、朝夕の涼しい時間帯にたっぷり水をやりましょう。
パッションフルーツは、アサガオなどのようにつるを伸ばしながら生長します。鉢植え、地植えに関係なく支柱を立てて生長をサポートしてあげましょう。
「あんどん仕立て」とは株の周囲に複数の支柱を立てて、紐や支柱用の輪がついたフレームを設置し、伸びたつるが支柱に巻き付くように誘導する方法です。
生長してきたつるは、横方向(地面と平行)に誘引してあげましょう。株全体が「扇」の形になるようなイメージです。横に伸びたつるは支柱のフレームに優しく固定しましょう。
パッションフルーツは、生育旺盛なので、グリーンカーテンのようにネットにつるを這わせて育てることもできます。
つるの先をネットに誘引し、巻きついてきたら麻紐などで固定しましょう。最初は水平に誘引し、主幹が1〜1.5mに生長したら上向きに誘引していきましょう。ある程度まで大きくなれば、つるは勝手に生長していきます。
梅雨入り前になり、パッションフルーツの株の高さが30cmを超えたら、親つるの先端を摘心します。また、混み合ったつるを剪定して風通しを良くしていきましょう。摘心と剪定を行うことで、子づるの成長が促されて実がたくさんなります。
剪定後、残ったつるを横か下向きに伸ばすように仕立てていくと、花芽がつきやすくなりますよ。
果実の収穫が終わった9月ごろには、伸びすぎた枝や混み合った部分を全体的に切り戻す強剪定を行います。株全体を、1/3まで切り詰めましょう。
パッションフルーツは、肥料食いな植物です。2月と8月に、追肥を行いましょう。肥料を根から離れたところに緩効性肥料や油かすを土に埋めるかたちで与えます。
チッ素肥料を施すことで株を大きくできますが、多すぎると肥料過多になり花芽がつきにくくなります。株がある程度の大きさまで生長したら、リン酸肥料に切り替えて施しましょう。
葉が黄色くなってきたときは、肥料不足を疑います。肥料切れの症状が出たときは、液体肥料を追加して様子を見ましょう。
パッションフルーツの花の時期は、5月〜6月と10月ごろです。パッションフルーツが開花したら、人工受粉を行いましょう。黄色種と紫色種を2種栽培している場合は、自然に受粉するので人工受粉の必要はありません。
ただし、パッションフルーツは虫が花粉を運んできて受粉する植物なので、高層階のベランダなどで虫が飛んでこない場所で育てている場合はしっかりと受粉を行いましょう。どちらか一種類だけ栽培している場合も、人工受粉を行います。
晴れた日の午前中に、雄しべを摘み取って雌しべに花粉をつけます。筆や綿棒を使って受粉させても良いでしょう。
パッションフルーツは一日花です。開花は1日限りなので、咲いた日を狙って人工授粉をさせ、結実させなければなりません。タイミングを逃さずに受粉を行いましょう。
また、栄養不足になると花芽が落ちてしまうこともあります。葉が黄色い、全体的に弱々しいなどの症状があれば、液体肥料を施して様子をみましょう。
パッションフルーツは、受粉から2カ月ほどで収穫時期を迎えます。果実が紫色になれば収穫適期です。自然に落ちるまで待つと甘い実を収穫できますよ。
また、早めに収穫してしまった場合も、収穫した果実をしばらく室内で保存し、シワができるまで待つと甘酸っぱくてジューシーなパッションフルーツを楽しめます。
パッションフルーツは、受粉しないと実がなりません。基本的には虫が花粉を運んで受粉しますが、1種類だけで育てている場合や、高層階のマンションなどの環境で育てている場合は人工授粉を行って実をつけてくださいね。
パッションフルーツは、挿し木で増やすことができます。株の寿命が7〜8年なので、挿し木を作って株を更新する準備をしておきましょう。挿し木を行うためには、まず挿し穂を作りましょう。
夏の剪定時に出た枝を使えば、気温の管理が容易で、そのまま室内で冬越しできるのでおすすめです。
パッションフルーツは根がよく生長する植物です。鉢植えのパッションフルーツは、1年〜2年で根が回ってしまうので、植え替えを行いましょう。
これまで植えていた鉢よりも一回り以上大きな鉢を用意して植え替えます。
パッションフルーツは南国の植物なので、基本的には温暖な気候を好みます。霜や雪が降らない地域ではそのまま越冬できますが、霜が降る地域では越冬できないので、室内に取りこみ、日当たりがよく暖かい場所に置いて管理しましょう。
パッションフルーツは病害虫に強いため、ほとんど心配は要りません。ただし、新芽が出る時期はアブラムシの被害に注意しましょう。
また、風通しが悪くなるとカイガラムシが付くことがあります。風通しが悪くなると病気や害虫の被害に遭いやすくなるので、こまめに枯れた葉や枝を取り除きましょう。
パッションフルーツは、丈夫で生育旺盛なので、家庭菜園でも育てやすい果樹のひとつです。つるが元気に伸びるので、夏場の日除けにも使うことができますよ。
鉢植えやプランターを用いて気軽に育てることができるので、ベランダや庭先などの限られたスペースで育てるのもおすすめです。ゼリーのような甘酸っぱくてフルーティーな実を、ぜひ味わってみてくださいね。
七尾びび
GreenSnap編集部