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桜の花が散った後、代わりのように咲き始めるハナミズキ(=花水木、和名:アメリカヤマボウシ、学名:Cornus Florida)の花。日本におけるハナミズキの植栽は、日本が贈った桜(ソメイヨシノ)の返礼としてアメリカ合衆国から贈られたことから始まりました。桜と同じように花が満開になった後に葉が出始めます。
ハナミズキは街路樹としてよく目にするほか、庭木としても人気の高い樹木です。白・赤・ピンク・黄色の花びらに見える部分は、実は花びらではなくガクが変化したものです。ガクの中央にまとまってついているのがハナミズキの本来の花びらです。
ハナミズキを植えるのは、日当たりが良く水はけが良い土がある場所にしましょう。土はやや乾き気味で風通しの良いところが理想です。
ですから街路樹として、日当たりや水はけが良く風が通る道路脇に植えられているのは理にかなっているといえます。
日当たりが良くても暑さにはやや弱いので、幹に強い西日が当たり続ける場所は避けて植えましょう。半日陰でも育ちますが、花や実が付きにくかったり紅葉しにくかったりします。
初めて植え付けをしたさいには、たっぷりと水を与えてください。普段の水やりのタイミングは土の表面が乾いた時だけで十分です。
鉢植えの場合、夏は地面が熱くなる前の朝に水やりをしましょう。
地植えした場合は、しょっちゅう水をやる必要はありません。ハナミズキは乾燥気味の土を好みますので水のやりすぎには注意してください。
ハナミズキの植え付け時には、有機肥料を与えます。
2月に冬の寒さから樹勢を回復させるために肥料を与え、そのほか花を咲かせた後の5月と、9月は実を結んだあとのお礼肥(おれいごえ)として、固形肥料を与えてください。
ハナミズキには水はけの良い用土が適しているので、排水性や通気性の良い赤玉土を配合するといいでしょう。赤玉土は排水性や通気性だけでなく保肥性にも優れており、ハナミズキ以外の用土にも幅広く使われています。
●アメリカシロヒトリ(発生時期6月~9月)
糸を張って巣を作り、巣から出てきた毛虫が葉を食害します。その後成虫になると葉に卵を産み付けます。薬剤散布をして駆除しますが、見つけ次第駆除するようにしましょう。
●コウモリガ(発生時期4月~7月)
幼虫が樹木の内部に入り込み食い荒らします。ハナミズキの周りの雑草を処理しておくことで予防できます。駆除の際はコウモリガが食害した穴に薬剤を入れて入り口をふさぎます。
ハナミズキの苗を植え付けるのに適している時期は3月です。ちょうどこの時期にはたくさんのハナミズキの苗が店頭に並びます。
日当たりと水はけの良い場所の土に腐葉土を混ぜ込み有機肥料も加えてください。
土をスコップでよくかき混ぜたらハナミズキの苗に付いた土をくずしてから植えましょう。このとき根がしっかり隠れるように、また周りの土の高さと同じ高さになるように土をかぶせます。
かぶせ終わったら水をやり、土を棒などで突いて安定させます。仕上げにもう一度水をやりましょう。
植え替えは特に必要ありませんが、日当たりが悪くなったり庭のレイアウトを変えたいときには、苗の植え付けと同じ手順で植え替えをします。
鉢植えの用土は赤玉土と腐葉土を7:3の割合で配合し有機肥料を加えてつくりましょう。
ハナミズキの鉢は日当たりと水はけの良い場所に置くようにしてください。鉢植えの場合、ハナミズキが小さいうちは毎年一回り大きな鉢へ植え替えしましょう。
鉢がある程度大きくなってきたら、3年に1回ほどのペースでの植え替えをします。植え替えの時期は、12〜3月がいいでしょう。
ハナミズキは種まきや挿し木、接ぎ木で増やしますが、時期はそれぞれの増やし方によって異なります。
種まきは2月頃に行います。秋に実った果実が熟してから採取し果肉を取り除いておきます。日当たりと水はけの良い場所にまきましょう。
さし木は6月頃に新枝を10cmほど切り土にさします。用土には赤玉土を準備しましょう。さし木は種まきやつぎ木に比べて成功率が高くありません。
つぎ木は3月頃に行います。台木には種まきで育った木を使用するのがおすすめです。接着部分が安定するまでは乾燥させないように注意しましょう。
ハナミズキの剪定時期は、葉が落ちたあとの12月~2月頃が適しています。花芽がついている枝を避け、枝分かれした箇所の付け根から切り落とすようにしましょう。
●ベニバナハナミズキ:赤花品種
ハナミズキの花色(花びらに見えるガクの色)は基本的に白ですが、ベニバナハナミズキの花は紅色であることでこの名前が付きました。
●スウィートウォーター:赤花品種
花は濃く暗い紅色で、ベニバナハナミズキの一種です。まっすぐに伸びて縦長の樹形になるのでスペースの少ない場所へも植樹できます。
●チェロキー・チーフ:赤花品種
花は薄紅色で大輪の花を咲かせます。ベニバナハナミズキの一種。花芽が付きやすく、街路樹としてよく植樹されるなじみのある品種です。
●チェロキー・サンセット:赤花品種
花は濃いピンク~紅色です。チェロキー・チーフと同様にベニバナハナミズキの一種。日向だけでなく半日陰でも育ちやすい珍しい品種です。葉は黄色やオレンジ色が入り、紅葉しても美しいので花が散った後も長く観賞を楽しめます。
●チェロキー・ブレーブ:赤花品種
赤みがかったピンクに白が入った花色です。13cmにもなる大輪の花は、赤花品種の中で最も大きく存在感があります。ハナミズキの中でも病気に強く、うどんこ病にもかかりにくい品種です。
●クラウドナイン:白花品種
純白で大輪の花を咲かせます。花芽は付きやすいのですが毎年花が咲くとは限りません。環境にもよりますが花は隔年で咲きます。寒さにも強いので北海道から沖縄まで日本全国で育てることができる品種です。
●ジュニアミス:赤花品種
外側がピンク色で中心が白の花色です。小さいうちから花芽が付きやすい品種です。葉が落ちにくく比較的長く観賞することができるのでハナミズキの中でも人気が高い品種です。
●レインボー:白花品種
白い花色で、チェロキー・サンセットと同じように黄色の班が入った美しい葉が特徴です。紅葉したときの赤と黄色の色どりも鮮やかです。
●レッドジャイアント:赤花品種
花は濃い紅色で、ジャイアントという名前のように、花びらに見えるガクの部分が大きく存在感があります。小さいうちから花付きが良く、日本生まれなので特に育てやすい品種です。
ハナミズキの日本での花言葉には、「華やかな恋」、「私の思いを受けてください」、「返礼」といった意味があります。
「返礼」という花言葉ははじめに紹介したように、日本から桜を贈った返礼としてアメリカからハナミズキが贈られてきたことに由来します。
西洋でのハナミズキの花言葉には、「永続性」、「耐久性」といった意味があります。
イエス・キリストがはりつけにされた十字架がハナミズキであり、キリストの姿を見たハナミズキは悲しみ、それを忘れないために十字架の形を咲かせたという説からきています。
桜が散った後の寂しさを埋めてくれるように咲き始めるハナミズキ。毎年見る人の目を楽しませてくれます。庭木や街路樹として人気の高いハナミズキについて、育て方や用土・増やし方・種類・花言葉などを紹介いたしました。
※トップ画像はLucas(ルーカス)さん@GreenSnap
GreenSnap編集部