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古代ペルシャ・ローマの時代から栽培されてきたバラは、ガーデニングで根強い人気を誇ります。長年品種改良を重ねられその種類も膨大。一般的に育て方が難しいとされているバラですが、栽培のコツをつかめばキレイに花を咲かせ、お庭を美しく彩ることができます。
今回は園芸で大人気のバラの育て方を、地植えと鉢植えそれぞれの場合に分けてご説明します。
バラは種類がたくさんあるため、まず育てたいバラの樹形タイプを理解することが大切です。バラは、大きく次の3つの樹形タイプ(①木立性、②半つる性、③つる性)に分けられます。
バラは何年も花を楽しむことができる魅力がある一方、きちんと「剪定」をしたり、「肥料」を与えないと、美しい花を咲かせることができません。
また、バラには種類がたくさんあり、大きく次の3つの樹形タイプ(①木立性、②半つる性、③つる性)に分けられます。
それぞれで育て方が少しずつ異なるため、まずは育てたいバラの「樹形タイプ」を理解することが大切です(各特徴については、以下の表を参考にしてください)。
樹形タイプ | 開花時期 | 特徴 | 主な品種 |
木立性バラ | 5〜6月、6〜11月頃 ※品種による |
枝先が上を向いていて、しっかり自立する樹形です。ブッシュローズともいいます。 | モダンローズ、四季咲き、ミニバラ(※各一部) |
半つる性バラ | 5〜6月、6〜11月頃 ※品種による |
木立性と半つる性の間の樹形で、枝先は斜め横に広がっていきます。シュラブローズともいいます。 | イングリッシュローズ、オールドローズ(※各一部) |
つる性バラ | 5〜6月、6〜11月頃 ※品種による |
枝が長く伸びる樹形です。アーチやフェンスに用いられますが、自ら枝が巻きつくわけではないため、仕立て作業が必要になります。 | 一季咲き(※各一部) |
ここでは、最も一般的な木立性のバラの育て方について解説していきます。
バラの苗には「新苗」「大苗」があり、それぞれ植え付け時期や水やりの頻度が異なります。どちらにもメリット・デメリットがありますが、しいていうなら初心者は大苗から育てるほうがおすすめです。
新苗とは前年の秋以降に接ぎ木をしてつくった若い苗のことで、安価で入手できるメリットがある反面、花が咲くまでに時間がかかったり、生育が安定していないので栽培が比較的難しいです。
接ぎ木の接着部分に巻いてある保護テープは、入手してから次の秋がくるまでは取らないようにしてください。
大苗は接ぎ木したあと1年以上育苗した苗のことをいいます。新苗よりも高価ではありますが、枝ぶりがどっしりとしていてその年から花を咲かせます。ただし植え付け後、根づくまでに時間がかかるので、安定するまでは少しデリケートです。
接ぎ木の接着部分に巻いてある保護テープは、取り除きましょう。
バラを育てるときは、基本的に日当たりがよい明るい場所、そして風通しのよい場所を選ぶことが重要です。日陰で風通しの悪い場所では、うどんこ病などの病害虫の被害にあいやすくなるので気をつけましょう。
バラを地植えで育てるときは、直射日光が長時間当たる場所は避けるようにしましょう。鉢植えと違い移動させることができないため、真夏の日照時間や梅雨時の風通しなど、生育条件を考慮して植える場所を選びましょう。
また、ガーデンスペースがあるなら、木立性の大型バラのスタンダード仕立てなどのダイナミックな楽しみ方ができます。
バラを鉢植えで育てるときは、季節や天気に合わせて鉢の設置場所を移動しながら育てましょう。好ましいのは柔らかい日差しに3時間ほどあてることです。梅雨や台風の時期は雨風をしのげる場所に移動させましょう。冬の間も防寒対策をすれば、屋外で越冬できます。
バラは水はけと水持ちのバランスのいい土を好みます。地植えの場合は、庭土に堆肥と元肥を混ぜながら、庭土を利用しましょう。おおよそ1㎥分の範囲で土づくりをするなら、庭土に対して乾燥牛ふん堆肥10ℓ、緩効性化成肥料600gが適正です。
上記は1㎥分の目安なので、植える苗の大きさや範囲に合わせて計算し直してください。
バラを鉢植えで育てるとき、自分でブレンドする場合は「赤玉土(小粒)6:乾燥牛ふん堆肥3:ピートモス1」の配合を参考にしてください。もしくは市販されているバラ専用の土なら、初めてバラを育てる初心者の方にも簡単です。
バラの苗の植え付け時期は、「新苗」と「大苗」で異なります。
新苗の植え付け時期は、4月中旬〜6月上旬にかけての時期です。大苗の植え付け時期は10月中旬~3月下旬の間におこないます。
平均気温が5度前後の時期を目安にするようにしてください。暖かすぎたり、氷点下になると根が活着しづらいので気をつけましょう。
植え付け方法については、地植えか鉢植えかによって異なります。
バラの水やりは健康に育て美しく花を咲かせるための大切なポイントです。ただ水やりをすればいいというものではなく、水の量や頻度、与え方について、バラの状態に気を配りながら調節することが必要です。
バラには、基本的には表面の土が乾いたら水やりをすればOKです。ただし、季節によって調節が必要です。
例えば真夏の暑い時期には葉や花にかかった水はあっという間に熱湯状態になり、株を弱らせる原因となります。なるべく朝の早い時間帯に水をあげるようにしましょう。バラの休眠期となる冬場には、控えめな水やりで十分です。
バラを地植えで育てるときは、生育期であっても基本的には水やりをせずに育てます。雨の水分でまかないますが、真夏に長期間雨が降らずに乾燥するようであれば、朝の気温が上がり切る前にたっぷりと水やりをします。
ただし、植え付け3週間ほどは土が乾いたら水やりをしましょう。また、一年目の新苗の場合は、生育が安定するまで1週間に1回ほど水やりをします。
バラを地植えで育てるときは、冬の間もいっさい水やりをせずに育てます。断水することで耐寒性があがるので、乾燥しているからといって水やりをしないようにしましょう。
ただし新苗の場合は、株の様子をみながら1週間に1回ほど水やりをします。
バラを鉢植えで育てるとき、春から秋の間は基本的に表土が乾き切っていたら水やりをしましょう。基本的には涼しい朝の時間帯に水やりをします。真夏は水が乾きやすいので1日1回を目安にしますが、土が乾いていたら夕方にも水やりしましょう。水の量は鉢の底穴からもれでるくらいたっぷり与えてください。
このとき葉に水がかかって数日乾かないままだと病気にかかりやすくなります。できるだけ株元に水やりをするようにしましょう。ただし、その日のうちに乾燥しそうであれば、葉水をかけてあげるとハダニ予防につながります。
バラを鉢植えで育てるときの冬の水やりも、変わらず表土が乾き切きることが目安にしてください。ただし春から秋よりも格段に水が乾きにくくなっているので、必然的に水やりの回数は減ります。
植え方 | 春〜秋の生育期 | 冬の休眠期 |
地植えの場合 | 基本的には降雨のみで問題なし。しばらく雨が降らなかったときのみ、朝方に水を与える。 | 基本的に水やりは不要。 |
鉢植えの場合 | 表土が乾いたら、朝もしくは夕方に、鉢底からあふれるくらいたっぷり水を与える。 | 表土が乾き切ってから適度に水を与える。 |
「花の女王」と呼ばれるほどの美しい花を咲かせるだけあって、バラは多くの肥料を必要とします。
与える肥料はN(窒素):P(リン酸):K(カリ)の割合が均等に配合された888緩効性肥料がおすすめです。最近ではバラ専用肥料も市販で出回っているので、そちらも活用するといいでしょう。
バラへの肥料はその役割によって3種類に分類でき、それぞれ肥料を与える時期は下記のとおりです。
肥料の種類 | 与える時期 |
元肥 | 植え付けのときに与える肥料、植え付け時のみ。 |
寒肥 | これからの1年の体力の礎となる肥料、1〜2月上旬に与える。 |
追肥 | 次の花を咲かせるための栄養になる肥料、3月、6月、9月に与える。 |
なお、肥料の与え方は、以下の通りです。
バラを地植えで育てるときは、植え付け時に底穴に元肥をほどこします。年1回の寒肥は地中深くに埋めるようにほどこし、年3回ある追肥に関しては枝先の真下に株を囲うようにまきます。
バラを鉢植えで育てる場合は元肥と寒肥は不要で、追肥だけ定期的に与えるようにしましょう。鉢植えのバラには、3・6・9月に粒状肥料を表土にまくか、4〜9月の間1週間に1回、水やりのかわりに水で希釈した液体肥料を与えます。
バラを鉢植えで栽培している場合は、少なくとも1年に1回の頻度で植え替えをしてあげましょう。
植え替えの時期は、新苗と大苗の両苗とも10月中旬~3月下旬の休眠中です。植え付けと同じように、平均気温5度を目安にしてください。
なお、植え替え方法については下記の記事にて詳しくご紹介しています。
バラの増やし方には「挿し木」や「接ぎ木」といった方法があります。
春から夏の初めにかけての、気温が20度を超えた頃が挿し木に適した季節です。
ちょうど秋咲き前の剪定時期にあたるため、剪定で切った枝を挿し穂にするとよいでしょう。植え替えまでは清潔に保つことを心掛けます。
詳しくは下記の記事にてご紹介していますので、参考にしてみてください。
バラは年に何度も美しい花を咲かせるだけあって、幹本体は疲弊しやすく老化の早い植物です。そのため、よい芽を伸ばし、花つきをよくするための剪定は欠かせない作業です。
バラの剪定は種類によって大きく異なりますが、基本的には開花の2〜3ヶ月前におこないます。一季咲きのバラなら冬剪定を、四季咲きのバラなら冬剪定と夏剪定をして、春と秋の開花に備えます。
地植え・鉢植え共にバラにつく病害虫や病気は共通です。丹精込めて育てたバラの開花のために日ごろからしっかりチェックしておきましょう。
春先の3月下旬あたりに、バラの新芽にきやすい害虫の代表がアブラムシです。駆除に有効な薬剤は、スミチオンやオルトランの1,000倍希釈液を、新芽周りを中心として株全体に散布しておきましょう。
また、有機質土壌を好むコガネムシは、バラが植えられたふかふかの土壌が大好きです。成虫は、初夏から秋にかけて葉や花弁を食べ、3年間も土中にいる幼虫は夏から翌春にかけてバラの根を食べてしまいます。
できれば、元肥を与える際に幼虫のうちに退治するといいでしょう。成虫駆除に有効な薬剤はベニカ水溶剤をまいておきます。
突然バラのツボミが乾燥したようにしおれてしまったら、まず間違いなくバラゾウムシの仕業です。成虫にはスミチオンなどの殺虫剤を散布して対処します。落ちた新芽やツボミは卵が産みつけられている可能性があるため拾い集めて処分します。
うどん粉病は、粉をまぶしたような白いかびが生える病気で、特に蕾につくと開花を阻害するため注意が必要です。カビ胞子が風で飛散するため見つけたらすぐ摘み取ることが大切です。症状が出ている葉や蕾を見つけたら摘み取り処分します。
また、黒点病は葉に黒い斑点ができた後黄変して、落葉してしまう病気です。バラの葉を減らしてしまうので成長が遅くなり、花が咲きにくくなります。雨の多い時期に多く発生する理由は、土の中の黒点病細菌が雨で跳ね返ってしまうからです。
バラと一緒に宿根草やコンパニオンプランツを植えたり、あるいは鉢の中で他の草花との寄せ植えを楽しむとさらにバラの美しさが引き立ちます。
地植えでスペースに余裕があるなら、「ツルバラ×クレマチス」はあこがれのイングリッシュガーデンの定番植栽。また春に咲く宿根草や球根類を植えておくとバラの開花時期とあいます。
ハチやプランターでの寄せ植えなら楽しみ方はさらに広がります。
ムスカリなどの小球根なら植えっぱなしで手間いらず。パンジーなどの小さな花と合わせるのもおすすめです。
園芸愛好家なら一度は夢見るローズガーデン。広い芝生がひろがる庭があればと夢見てしまいますが、小さなお庭であっても狭いベランダであっても自分の好きなお花が咲く場所こそマイガーデンです。
ぜひ今年こそ好きなバラを選び、自分だけのローズガーデンを実現しましょう。
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GreenSnap編集部