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クレマチスは「つる植物の女王」ともいわれ、バラとも相性のいい多年草です。地植えでも鉢植えでも育てることができ、アーチやトレリス、フェンスなどに誘引して楽しめますが、その分、ガーデニング初心者には難しいと思われがちです。
こちらの記事では初心者でも失敗しないクレマチスの育て方の基本やコツをご紹介しているので、ぜひご参照ください。
クレマチスは寒さに強いため、鉢植えだけでなく地植えで育てることもできます。
ガーデニング初心者の方からすると、「つる植物は手入れが多くて難しいのでは?」と心配になるかもしれませんが、クレマチスの育て方はポイントをおさえれば意外と簡単です。
なかでも初心者に気をつけてほしいポイントは、「季節に合わせた水やり」と「種類に合わせた植え替え・剪定」です。
クレマチスは種類によって下記のように開花時期が異なり、この開花時期(種類)によって植え替えや剪定の時期も異なります。そのため、自分が育てているクレマチスがどの種類に当たるのかを把握しておくことがとても大切なのです。
ちなみに、初心者には『新旧枝咲きの四季咲き』クレマチスがとくにおすすめです。剪定に失敗してもまた次の花が咲きやすく、育てがいがありますよ。
クレマチスの苗が多く出回る時期は、3〜5月です。
3月はまだつるが伸びていないポット苗の状態のものが多く出回ります。対して、5月は開花株が多く出回り、実際の花を見て選ぶことができる、という違いがあります。
5月の開花株のほうが一見かんたんそうに思えますが、5月の開花株はほとんどがあんどん仕立てという、支柱につるを絡ませた状態で出回っているため、植えるときに「一旦つるをほどく作業」と「それを再度誘引する作業」が発生します。
よって、好みのトレリスやフェンスに誘引して育てたいという方もしくは初心者の方は、3月頃に出回るポット苗を選ぶことをおすすめします。
この作業の途中でつるを痛めたり茎を折ってしまうと、そこから病気にかかって枯れてしまうという可能性もあるので、できればポット苗を購入して成長とともに好みのトレリスやアーチなどに誘引して育てましょう。
なお、苗を選ぶときは「節間(葉がついた茎の間隔)がつまっていて、徒長していないもの」を選びましょう。
また、庭に地植えしたい場合は「5号以上の苗」を入手するようにしましょう。
葉がついた茎の間隔がつまっていて、徒長していない、3月頃に出回るポット苗を選びましょう。
クレマチスは日光を好むので、半日以上よく日が当たる場所に植えるようにしてください。
半日陰でも明るさがあれば育ちますが、日当たりが悪いと充実した花を咲かせるまで時間がかかるので、最低でも一日に4時間以上は日が当たる場所を選びましょう。
ただし、真夏の直射日光には弱いので、地植えなら落葉樹の木漏れ日が当たるような場所、鉢植えなら明るい日陰に移動するか日除けを設置してあげるとよいです。
クレマチスのつる性質を活かすことで、狭いスペースであっても鉢植えを楽しんだり、壁やフェンスを有効活用するなど可能性は広がります。
ただし、一旦根を張ると繁殖力があり、つるをどんどん伸ばしてほかの植物の日光や水分を吸い取ってしまうこともあります。
初心者の方や枯れ枝の手入れなどがまめにできない人は、鉢植えで育てましょう。
クレマチスは「弱酸性」の土を好みます。また、「水はけと水もち、肥料もちのよい用土」が必要になります。
クレマチスを地植えする場合は、植え付けより2週間前から土づくりをはじめます。
まず、庭土1ℓあたりに5gほどの苦土石灰をよく混ぜて、1週間ほど寝かせます。その後、庭土に対して2割ほどの量の「腐葉土1:牛ふん堆肥1」をよく混ぜます。さらに規定量の緩効性化成肥料もしくは骨粉入り油かすを混ぜ、さらに1週間ほど寝かせて完了です。
もし自分でクレマチスの土を配合する場合は、「赤玉土小粒4:鹿泥土小粒3:腐葉土3」の割合で配合します。このとき、用土1ℓにつき20〜30gほどの緩効性化成肥料を元肥として混ぜておきましょう。
なお、クレマチス専用土という培養土も売られているので、初心者の方はこれを利用すると簡単です。
クレマチスを植える時期は、真夏と真冬を避けた3〜6月もしくは9〜11月です。
クレマチスの生育温度は15〜25℃ですので、平均気温が15度を上回る日が増えてきたら、植え付けタイミングの目安にしましょう。
なお、初心者の方は3〜9月の時期に植え付けするのがおすすめです。クレマチスにとって厳しい環境となる真夏や真冬になる前にしっかりと根が張れるので、夏越しや冬越しもしやすくなりますよ。
クレマチスは植え替えを嫌うため、植え付けする場所はしっかりと計画を立てましょう。
クレマチスを庭植え、地植えにするときの植え方をご紹介します(ポット苗などを鉢に植え替えるときは、こちらの項目をご参考ください)。
クレマチスの植え付けのポイントは深植えにすることです。1〜2節地中に埋めることで、地ぎわから数本の茎が立ち上がる株立ち樹形をつくると、株のバランスもよくなり誘引もしやすくなります。
このほか、フェンスではなくトレリスや支柱などに誘引する場合は、植え付けと同時にトレリスや支柱がぐらつかないよう地中深くに固定するように設置しておくといいでしょう。
クレマチス栽培で、初心者がよく失敗してしまうのが水やりです。クレマチスは丈夫な植物ですが乾燥を嫌うので、ほかの草花と同じペースで水やりをしていると、水切れを起こして枯れてしまうことがあります。
鉢植えか地植えかで水やりの頻度も違うので、下記を参考に、季節に合わせた水やりをしましょう。
地植えのクレマチスの水やりは、根付いてしまえば基本的に水を与える必要はありません。根付くまでは、土が乾いていたら水やりして、新芽が伸び出したら水やりを控えましょう。
とはいえ、雨が降らない日が2週間くらい続く場合や、葉がぐったりとしおれていたら水やりをするようにしましょう。とくに4月から梅雨前の期間は水をよく吸いますし、雨も少ない時期なので乾燥に注意してください。
なお、梅雨の時期や夏から秋にかけてのゲリラ豪雨・台風シーズンには、水が多過ぎて加湿状態になることがあります。そのため、この時期だけでも株の周りにドーナツ状の溝を掘っておくか、株元に盛土をして排水性をあげておきましょう。
鉢植えのクレマチスの水やりは、基本的に土の表面が白っぽくが乾いてきたら、水が鉢底から流れ出るまでたっぷりゆっくりと水やりします。
とくに真夏は乾きやすいので、朝と夕方の1日2回水やりをするといいでしょう。ただし、与えすぎると根腐りを起こすので鉢皿に水が溜まりっぱなしにならないようにしてください。
冬のクレマチスは休眠状態にはいっていて、活動もゆるやかになります。表土が乾いてすぐに水やりするのではなく、7〜10日に1回ほど、晴れる日の午前中に与えましょう。
肥料は生育が盛んになる春から秋にかけて肥料を与えます。ただし、梅雨と夏は基本的に肥料は少なめにするか控えたほうがいいです。冬期はクレマチスの休眠期なので肥料はいりません。
このほかにも元肥として、地植えなら植え付けのときに、鉢植えなら植え替え毎に肥料を土に混ぜますが、詳しくは植え替えの項目でご紹介します。
与える肥料の種類については、こちらの記事で詳しくご紹介しているので、参考にしてくださいね。
クレマチスの開花時期は4〜9月頃です(※品種によって異なる)。
クレマチスの花をより美しく咲かせるには、剪定や誘引といった手入れが必要になります。
クレマチスは2月下旬から3月上旬、芽の動きが確認できるようになったら剪定します。枝先から根本に向かって節を一つ一つ確認して、膨らんできている芽を残すように剪定します。
二回目の剪定は花が終わってからです。咲き終わってからできるだけ早く、株全体の半分くらいになるように剪定します。これによって二番花が咲きやすく、葉枯れが目立ちにくくなります。
とはいえ種類によって詳しい剪定のやり方や時期が異なるので注意しましょう。また剪定して切り取った枝は挿し木で増やすこともできます。
詳しくは別の記事で紹介しているので、こちらを参考にしてみてください。
誘引はこの葉柄を切ってつるをほどくことから始めます。時期は新芽が出て、枝が固くなり蕾が見え始めた頃から行います。枝が折れてしまっても完全に切れなければ、丈夫な植物なので気にせず、枝を全体に散らすように誘引します。
また、種から育てて2回以上冬越した2年生以上の苗だと花がよく咲きます。
クレマチスは冬の間、地上部が枯れる品種とつるだけ残る品種があります。
「新枝咲き」は地上部分が枯れ、「旧枝咲き」と「新旧枝咲き」はつるが真冬も残ります。そのほかにも、クレマチスは品種によって常緑性・落葉性が異なり、とくに落葉性のクレマチスは冬になると地上部は枯れてしまいます。
冬に枯れてしまっても、つるや根を切って切り口の断面に青っぽい部分があれば、まだ根が生きている証拠です。休眠期に入っているだけなので、定期的な水やりは忘れずに行いましょう。
芽が出る前の3月から開花するまでの間に水切れをすると、花の数が極端に減ってしまうため注意してください。
クレマチスの植え替え時期は、旧枝咲き品種は2〜3月、新枝咲き品種は1〜3月、新旧枝咲き品種なら2〜3月中旬までと、種類によって若干異なります。この時期以外にも9〜10月なら植え替え可能です。
とはいえ、基本的にはポット苗が出回る時期と同じく3月に植え替えをしておくといいでしょう。
クレマチスは基本的に植え替えを嫌うため、地植えの場合は植え替えはしません。
鉢植えの場合は、頻繁には行わず、2年に1回程度の頻度で行いましょう。
鉢の底から根が出ていたり、根腐れして株が元気がないとき、水やりをしても水がなかなか吸い込まないときは、根詰まりをおこしているので植え替えのサインです。
とくに3月にポット苗を植え替えするときに忘れがちになるのが支柱です。最近では100均にもリング付き支柱があるので、それさえ一緒に埋めてしまえば簡単にあんどん仕立てで楽しむことができますよ。
地植えと同様、鉢植えにするときもクレマチスは深植えするのがポイントです。クレマチスの株は、地中にひと節を深植えすると、株元からつるがたくさん出て、株立ちになりたくさんの花を咲かすことができます。
クレマチスの主な病気は「うどんこ病」です。うどんこ病は湿度が低いときに発生しやすい病気です。葉や茎がうどん粉をはたいたような症状が出たら、発症部分を切り取り処分します。
クレマチスの主な害虫は「アブラムシ」や「ナメクジ」です。春から夏に発生し、新芽や若い葉を吸汁したり、食害します。発生初期に駆除することが大切です。風通しをよくし、薬品をスプレーすることでどちらも防ぐことができます。
バラのパートナープランツとして有名になったクレマチスの花。バラと同じ時期に咲き、バラにはない青系の花色がバラを引き立て組み合わせ楽しめるのが理由といわれています。
クレマチスは水やりと風通しに気をつければ、狭い場所にも対応でき楽しみ方は広がります。また、一旦根をつければ、どんどんつるを伸ばしていき、多少の枝折れも気にすることなく育てることができる丈夫な花木です。
丈夫で生育が盛んであることと、花の種類が多種多様に渡っていることから、世界に愛されている近年注目の植木ですよ。
松原真理子
GreenSnap編集部