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アデニウムは砂漠のバラと呼ばれる植物です。株元がぷっくりと肥大し、女性がガードルを履いた姿に見えるものや、八方へ伸びた根元など、ユーモラスなフォルムから、盆栽のように仕立てる方も増えています。
そんな個性的なアデニウムの育て方をご説明します。
アデニウムは砂漠や高原などの乾燥地域に自生する植物で、別名砂漠のバラとも呼ばれます。
アデニウムはでっぷりと太った幹に水分を貯めて生きているため、水やりは控えめにして、風通しと日当たりのいい場所に置いて育てるのが育て方のポイントです。
季節に合わせた水やり頻度と置き場所さえマスターしてしまえば、意外と簡単に育てられますよ。
アデニウムは、1年を通して日当たりのよさと風通しの良い場所を好みます。基本的には4月から10月頃までは屋外に置いて、冬は室内に取り込んで育てましょう。
それぞれの季節の置き場所について、詳しく解説していきます。
春から秋のアデニウムは、屋外の半日陰(午前中だけ日が当たる場所)に置きましょう。真夏の日差しが強すぎる場合は遮光ネットをかけてあげるといいです。
この時期に気をつけたいのは、雨ざらしにならないようにすることです。雨に長く当たると根腐れを起こして枯れてしまうので、軒下や一時的に室内に置くなど、工夫をしましょう。
春から秋も室内に置く場合は、窓ガラス越しの日光が当たる場所に置いてください。また、室内に置くときはサーキュレーターなどを回すなど、風通しをよくするのが元気に育てるコツです。
寒くなり始める11月ごろからは、室内に取り込んで日が当たる温かい窓際に移動させましょう。その際、夜間の窓際の気温低下に注意してください。できれば気温の下がりやすい時間帯は、二重鉢にしたり鉢ごと発泡スチロールなどにいれるなど、防寒対策をしておきましょう。
アデニウムは気温が8℃を切ると落葉し、休眠状態に入ります。5℃ぐらいの気温であれば越冬できますが、連日0℃を切る気温になれば、休眠状態であっても再び春に返り咲くことは難しくなります。
来年も花を咲かせたいのであれば、冬の管理方法には注意してください。
アデニウムは春から秋にかけては生育期なので、鉢の土が乾ききったらたっぷりと水やりをします。とはいえ、アデニウムは幹に水を蓄えられる乾燥に強い塊根植物なので、乾燥気味に育てましょう。
また、夏場は気温が低い朝方に水やりをするようにしてください。日中に水やりをすると鉢の中が蒸し風呂状態になって弱ってしまいます。
乾燥気味に育てる場合、水やりは土がカラカラに乾いてからおよそ4日〜1週間ほど間を明けてからたっぷりと水やりをするようなイメージです。
アデニウムへの水やりは気温15℃を切るようになったら、だんだんと頻度を落としましょう。8℃以下で落葉して休眠するので、冬の休眠中は一切水やりはせずに断水します。春が近づいたら徐々に再開していきます。
ただし、15℃以上が保たれる室内に避難させているのであれば、冬であっても、夏場と同じように乾燥したら水をたっぷり与えてください。気温さえ保たれていれば。美しいあでやかな花が冬でも見られますよ。
アデニウムを育てるときは、年間を通して、肥料をあまり過度に与える必要はありませんが、元気がないと感じたら4〜10月の間であれば追肥をしましょう。
与える肥料は、市販の多肉植物・サボテン用の肥料がおすすめです。固形の緩効性化成肥料なら1〜2ヶ月に1回。液体肥料ならば月1〜2回の頻度で、稀釈したものを定期的に与えましょう。
冬は養分が吸収できずに枯れる原因となり得ますので、肥料は不要です。
アデニウムは水はけのよい土を好みます。
ネット、ホームセンター、植木屋で売っている、一般の観葉植物用の培養土や、またはサボテンや多肉植物専用の培養土を使用します。
とはいえアデニウムは花がよく咲くので、草花用培養土をベースにつくるのもおすすめです。
自分で配合する場合は、草花用培養土6:鹿沼土1:軽石1:腐葉土2の割合で混ぜて、肥料や殺虫材を加えたものを使用しましょう。その際には、しっかりと排水ができるように、鉢底の石を少し多めに下に敷き入れて上げても良いです。
アデニウムの植え替え時期は、4〜9月の間です。アデニウムの成長スピードにもよりますが、だいたい2〜3年に1回は植え替えしてあげると、大きく太く育ちます。
もとの鉢に対して膨らんだ株元が窮屈そうだったり、鉢の底から根が出ていたりしたら、植え替えの目安になります。
アデニウムを太く育てたいときは、生育期の間に剪定をしましょう。アデニウムはそもそも上へ上へと伸びていく性質があるので、そのまま育てていると根本は太くなりますが、幹が痩せ細って伸びていきます。
そうなるとアデニウムの魅力が半減してしまうので、このようなときは脇芽の上で幹をスパッと剪定してしまいましょう。
脇芽は幹の途中から出ている葉のような芽の部分です。この上で剪定すると、脇芽が新しい分岐した枝となって伸びていき、もとの幹は太く育ちます。
アデニウムの増やし方には、「種まき」と「挿し木」の2つの方法があります。種まきよりも挿し木の方が手間がかからないので、初心者の方には挿し木での増やし方がおすすめです。
まず元株の生長した枝を剪定し、下葉を取り除きます。枝をカットする際は、消毒したハサミを使いましょう。切り口から細菌が侵入する確率が格段に減ります。
切り口を3日ほど乾かし、挿し木用の土に挿します。水やりはすぐにせず、一週間ほど経った後にしましょう。挿し木は春から夏に行うと、根の生えるスピードが早いです。秋や冬は休眠期に入り成功率が下がるので控えてください。根が生えたら、新しい鉢に植えましょう。
挿し木の注意点は、アデニウムの個性とも呼ばれる株元があまり膨らまないことです。株元がぷっくり膨らんだ、ユニークな姿に育生するには、種まきでの増やし方がいいようです。
アデニウムの種まき時期は、厳しい暑さが始まる前の、爽やかな初夏の時期です。この時期に種をまいておくことで、本格的な冬を迎える前に株を大きくさせ、越冬に負担がかからないよう少しでも生長を促しておきます。
まず、土の粒子が細かい用土を準備します。土に人差し指をうずめ、第一関節ほどの深さの穴を開けます。一定の間隔に穴を開けたら、そこに種をまきます。
発芽するまでは、乾燥を防ぐためにラップをかけたり、ビニールで覆ったりして、蒸発をなるべく防ぎます。発芽したら、今度は覆いに穴を開けて、植物が呼吸できるように空気の通り道をつくってあげましょう。
ある程度の大きさまで育ってくれたら、定植します。生長の度合いによって、鉢の大きさはその都度変えていくのがよいです。
アデニウムがかかりやすい病気は特にありません。
気を付けるべきは害虫です。アブラムシ、カイガラムシ、ハダニ、赤ダニなどは放っておくと養分が奪われて、生命力が低下していきます。
特にハダニは弱った植物につきやすく、ハダニが繁殖すると光合成ができなくなり、最悪の場合は枯れてしまうこともあります。アブラムシは春の時期に多く発生し、新芽や新葉の陽文を吸い弱らせます。
カイガラムシは約400種類以上も存在が確認されている害虫で、葉の裏に寄生して養分を奪います。ダニ類も葉の裏から吸汁すると植物を弱らせていきます。見つけ次第駆除しましょう。
「粘着くん」と呼ばれる天然由来薬剤は、でんぷんが主成分になる駆除剤です。アブラムシ、ダニ類の両方の害虫を窒息死させ、駆除することができます。
カイガラムシは薬剤を散布するよりも、歯ブラシで発生箇所をこすり落とす方が早いです。
砂漠のバラと呼ばれ、ユニークな形状のアデニウムの育て方を紹介しました。
冬の時期は気温管理が難しいかもしれませんが、大事に育ててあげると、周年で花を咲かせてくれるので、育てがいのある植物かもしれません。
数多く育てて、個々にどんな株元の形状に生長するか、コレクションしてみると面白くなりますね。
松原真理子
GreenSnap編集部