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スカビオサはユニークな花姿で高原を彩る、爽やかなお花です。日本ではマツムシソウという和名の方が馴染みがあるかもしれません。野山にひっそりと咲いて、風に揺らぐ姿が美しく、さまざまな園芸品種が出回っているので、初心者でも楽しめるお花です。
今回はそんな魅力あふれるスカビオサの育て方をご紹介します。
スカビオサはもともと高い山に自生している植物です。したがって日当たりが良く、風通しがよいところを好みます。ほとんどの品種は比較的涼しい気候を好むので、高温多湿には注意しましょう。
鉢植えでも、地植えでも栽培が可能です。品種によっては夏の暑さに耐えられないものもあるので、移動して管理ができる鉢植えがおすすめです。草丈が80cm前後の高性品種についてはロングポットなどの深鉢を用意するといいでしょう。
スカビオサを鉢植えで育てている場合は、表面の土が乾いたら、鉢の底穴から水がもれるまで、たっぷりとあげるようにしてください。ただし、夏場は蒸れやすいので、朝か夜の涼しい時間帯に水やりするようにしましょう。
スカビオサを地植えで育てている場合、しっかりと根を張ったスカビオサであれば、乾燥に強く、少々水やりを欠いても問題ありません。ただし、4〜10月の育成期に乾燥させすぎると、花が咲かなくなってしまうので、土が乾いたら水やりをしてください。前述のとおり、夏場は朝か夜に水やりをしましょう。
スカビオサを鉢植えで育てる場合は、土の配合を赤玉土(小粒)4:軽石砂4:腐葉土2の割合でまぜるといいでしょう。市販の山野草培養土でも問題ありませんが、鹿沼土や山砂などを2〜3割まぜて水はけをよくしておく必要があります。
スカビオサを地植えで育てる場合は、1〜2週間前に土の準備をしておきます。植え付ける土を耕して、掘り起こした土に対して2〜3割の腐葉土をすきこみます。また、洋種のスカビオサはややアルカリ性の土を好むので、苦土石灰を1割ほど混ぜておくといいでしょう。
地植えの場合、移動して管理ができず、真夏の直射日光を長時間うけてしまいます。耐暑性が弱い品種はとくに、株元を藁や腐葉土でマルチングして、過熱をやわらげてください。
スカビオサを植え付けるときには、元肥として緩効性化成肥料を混ぜておきましょう。
追肥については、春から秋の育成期には規定量に薄めた液体肥料を1週間に1回、もしくは緩効性化成肥料を1ヶ月に1回ほど施します。ただし、暑さに弱る真夏の7〜9月と、休眠期の冬には肥料を控えてください。
スカビオサの植え付けは、3〜4月、もしくは9〜10月が適しています。鉢植え・地植えともに、前述の用土を準備しておきましょう。なお、草丈が80cm以上になる高性の多年草品種については、株間を30cmほどあけて植えるようにしてください。一年草などの短期間での栽培の場合には、詰めて寄せ植えしても構いません。
スカビオサの植え替えは、3〜4月の間に行いましょう。一年草、二年草の品種であれば必要ありません。多年草の品種を鉢植えで育てている場合は、1〜2年に1回、1回り大きな鉢に植え替えてください。とくに高性種の場合は、成長に応じて支柱を立てて育てるようにしましょう。
地植えの場合も3年に一度程度、株分けも兼ねて植え替えをするとよいです。
スカビオサを種まきで増やす場合、3〜4月、もしくは9〜10月が適期です。種の寿命が短いので、入手したらすぐ種まきを行ってください。肥料が入っていないバーミキュライトなどの清潔な土を育苗ポットに入れ、種を砂などで少し揉んでから蒔いていきます。日陰で管理し、発芽までは乾燥させないように水をあげてください。1週間ほどで発芽します。
スカビオサの株分けは、3〜4月に行いましょう。多年草の品種は3年に一度、株分けするのがおすすめです。根を傷つけないように掘り起こしたら、芽が3つ程度のこるように根元から分けていきます。あとは前述の植え付けどおりに植えて、たっぷり水をあげます。
スカビオサの挿し芽も、3〜4月が適期です。新鮮でハリのある茎を7cmほどカットして、切り口を数時間水につけてから、バーミキュライトなどをいれた育苗ポットに挿してください。その後が乾かないように水やりをして、根付いたら秋頃に植え替えをしてください。
スカビオサは過湿に弱いので、枯れた花は早めに摘み取ってください。また、多年草の品種の場合には、花後は草丈が半分くらいになるように剪定していきます。こうすることで、株全体の風通しも良くなり、活発な成長につながります。
スカビオサは基本的に病害虫に強いですが、株が蒸れると灰色カビ病が発生しやすくなります。発生すると、葉に灰色のまだら模様のカビがでてきます。発生初期は、病気になった部分を取り除いて管理しますが、株全体がかかると完治できないので処分しましょう。
スカビオサは、華奢な細い茎に、小花を密集させてて咲かせる、花姿がユニークな花です。一年草、二年草、多年草など品種もさまざまで、現在は80種ほど開発されています。紫や青、白などの寒色系のほかにも、サーモンピンクや赤などの色を咲かせる品種もあります。
スカビオサの花言葉は「不幸な愛」「私はすべてを失った」など、悲しげなものが多いのが特徴です。西洋には青い花を悲哀の象徴とする傾向があり、高原に儚げに咲く、青色のスカビオサの花が、伴侶を失った未亡人を思わせたのが由来です。
スカビオサは菊の花を思わせる咲きぶりが日本の和風にも、イングリッシュガーデンにも合い、まさに和洋折衷な花です。ユニークな花姿がお庭にあると、いいアクセントになるかもしれません。ぜひスカビオサの育て方を覚えて、園芸を楽しんでください。
GreenSnap編集部