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日本代表の花木の一種で古くから親しまれている椿(ツバキ)。鉢植えでも地植えでも育てられることから、庭木として育てたり、盆栽として育てたりする人も多くいます。ここでは、そんなツバキの育て方や増やし方、手入れ方法などについて細かくみていきます。
ツバキは耐陰性のある花木で、日陰は得意ですが、日当たりが良すぎると木が乾燥し枯れてしまうこともあるので注意してください。
また、買ってきた苗木を植え付ける場合には、丈夫な苗木を選んで植えることも大切です。苗木を選ぶときは、葉の色が濃くて艶のあるもの、株元にぐらつきのないものを選ぶようにしましょう。
ツバキは半日陰となるような場所を好みます。
また、ツバキに冬の冷たい風に当たらないようにします。乾いた冷たい風に当たると蕾が落ちたり枝葉が枯れる原因になります。育てる場所は、北風と西風が当たらない場所や、建物の東か南に位置する湿度が高めの場所がおすすめです。
なお、ツバキの生育適正温度は、成長段階ごとに異なります。芽を出させるには10℃から20℃、蕾をつけさせるには20℃〜10℃へと変化をさせてあげることが重要です。
ツバキの栽培に使用する土に、特に決まりはありませんが、粘土質の土は避けておきましょう。育ちが良くなる土の特徴は、水はけがよく弱酸性の土です。
土を自作する場合は、「赤玉土1:鹿沼土1:腐葉土1」の配合土を使うと良いでしょう。腐葉土のほか、パーク堆肥でも可能です。
ツバキは種の発芽率が悪いため、苗木から育てるのが一般的ですが、種まきから育てることも可能です。採りまき(採取してそのまま蒔く方法)になるため、種ができる9〜10月頃が種まきの適期です。
もし採りまきしない場合は、収穫した種を湿った川砂をタッパーなどに入れて冷蔵庫で保管します。赤玉土を均して種の大きさの3倍になる穴をつくって種を撒いていきましょう。
ツバキの植え付け時期は、3月中旬〜4月または9月中旬から10月中旬頃です。
植え付け方法は、以下の通りです。
夏の時期は、表面の土が乾いたらたっぷり水を与えます。必ず早朝もしくは夕方にしましょう。気温が高い中で水やりをすると、土中の水温も上がり、株が傷む原因にもなります。
花を咲かせる秋から冬の時期には、花弁を広げる力を使うので、さらに水分を必要とします。
冬の時期の水やりは、早朝や夕暮れ後を避け、温かい日中にたっぷりと水をあげるようにしましょう。
植え付けから2年が経過するまでは、鉢植えと同じように、表面の土が乾いたらたっぷり水を与えます。
2年経過し根が安定したら、地植えの場合は基本的に自然に降る雨のみで十分です。真夏の間や、雨量が少なく土の表面がカラカラに乾きそうなときのみ、水やりをしましょう。
鉢植えの場合、肥料は1年に2回(春と秋)に与えましょう。
春は花が咲き終わったのち、秋は蕾の成長が安定するときに肥料を与えます。肥料には、油かすまたは化成肥料を使いましょう。
春と秋に肥料を与えるとき、同じ場所にしてしまうと生育不良になる可能性があるため、春と秋では与える場所を変えてください。
地植えを行ったときは、新年が明けてから春頃にかけて、緩効性化成肥料を与えます。
肥料を与えるときは、株から20cm程度の間隔を開けて与えましょう。株の近くに肥料を撒いてしまうと、根に当たって肥料焼けを起こしてしまいます。
肥料焼けとは、根が吸収する力が弱くなり水分が奪われて枯れてしまう状態のことを指します。株に直接肥料が当たらないように注意しましょう。
ツバキの植え替え時期も、3月中旬から4月または9月中旬から10月中旬頃です。
植えている場所の底に、ゆっくり効くタイプの化成肥料や有機質肥料を元肥として入れましょう。
ツバキの花の増やし方には、「挿し木」と「取り木」という方法があります。
挿し木の適期は6月〜8月です。うまく育てば、同年の9月には鉢に植え替えすることができます。
ツバキの花を挿し木で増やすには、伸長した枝を10〜20cmの大きさの挿し穂をつくって植え付けます。
枝を剪定したあとは、直射日光の当たらない明るい日陰で管理するようにしましょう。
取り木は、新しい株が十分に育ったら、根の下を剪定して植え付けを行う繁殖方法です。
取り木で増やすには、まず植物の茎や枝の一部の皮を剥ぎ取って、そこから発根させ新たに株をつくります。樹皮を3cmの大きさにして、幹の内部まで切り取って水苔に包みます。
水苔は十分に水に湿らせておきます。包み込んだらビニール袋で覆って、紐などを使って乾燥しないようにします。その後は、水苔が乾かないようにこまめに水を与えましょう。
根が発根したら、枝から切り離して土に植え替えてあげましょう。
ツバキは、すす病や花腐菌核病にかかることがあります。
すす病は、害虫の排泄物が原因で葉や枝にすすのような黒い模様ができる病気です。光合成の妨げになるので、見つけ次第、傷んだ葉や実、害虫などを取り除きましょう。その後、殺菌剤と殺虫剤の両方を撒いて対策を行いましょう。
花腐菌核病は、花弁に茶褐色の斑点ができ広がって腐敗して枯れさせてしまう迷惑な病気です。この病気が進行すると花びらの上に黒い菌核を作り始めます。主に雨が原因で起こる症状で長期間雨が振り続ける場合には注意が必要です。さらに水やりを行うときも、花びらに水がかからないように気をつけて与えましょう。
また厄介なのがカイガラムシやチャドクガといった害虫です。
カイガラムシは、殻で覆われている害虫なので木べらなどを使って取り剥がしましょう。幼虫を発見したのであればすかさず薬剤を散布して被害を抑えましょう。
チャドクガの発生を防ぐには、葉の裏についた卵の塊があるときに葉っぱごと取り除くことが手っ取り早いでしょう。もし見逃してしまい、卵から生まれてきてたとしても、彼らは集団行動をしていることが多いので、そのときに退治しましょう。
チャドクガは人間の肌に触れると皮膚がかぶれる場合があります。発見しても素手で触らないように注意しましょう。
ツバキの花の開花時期は2月〜4月で、赤色や白色、ピンク色の花などを冬の寒い季節に咲かせます。
ツバキは6月に花芽分化を行う植物であるため、翌年以降も花を咲かせるためには、花が咲いたあとから花芽が出てくる頃までに剪定を行う必要があります。時期外れに剪定を行うと翌年に花は咲きません。
日本の庭木でも有名なツバキについてご紹介しました。もの寂しい冬の時期に、鮮やかな赤い花が咲き誇るので、ぜひお庭でも育ててみてください。
また、ツバキの花言葉には「愛」をテーマにした意味も多いので、花を大切な人に贈ってみても良いかもしれませんね。
松原真理子
GreenSnap編集部