クレソン／和蘭芥子(オランダガラシ)

アブラナ科オランダガラシ属の多年草。ヨーロッパ原産の帰化植物。ほぼ世界中で蔬菜として栽培され、また、野生化している。日本には江戸時代渡来の説と、明治時代初期に洋食文化とともに渡来した説がある。明治時代初期に東京上野の精養軒付近の水辺で繁殖し、全国伝播へと繫がった。小川のせせらぎから宅地の用水路まで、水の流れる場所に幅広く群生する。葉は常緑だが、冬には赤茶色になる。小葉は先が細くなる卵形、先端は丸みを帯びる。花期は4～7月。小さくて白い十字花を房状に咲かせる。果実は長さ1～2㎝の長角果となる。熟すと裂けて種子を散らす。繁殖は種子、挿し木(芽)、株分けである。同じ株で2〜3年の収穫ができるが、3年目以降は生育の衰えることが多い。畑状態でも乾燥土壌でなければよく育つ。独特の辛味と苦味があり、花が咲く前の茎を収穫し、西洋料理のつけ合わせやサラダにする。野生のものは寄生性の害虫の心配があるので、茹でて用いるようにする。ヨーロッパでは全草を消化、解熱、利尿の民間薬に用いている。

茎の節から糸のような細い根を出し繁殖するほか、ちぎれた茎からすぐに根を出し殖える。繁殖力が強く各地の水辺で際限なく殖え、水路を塞いだり、生態系を乱したりと、様々な影響が出ている。

クレソンはフランス語の日本読み。和名はオランダガラシまたはオランダミズガラシ。別称にはミズガラシ、西洋ゼリなどがある。オランダガラシのオランダは『外来』の意味で使われていて、食べると辛味があることから『外国から来たカラシ』という意味になる。

出典『野菜・山菜ハンドブック』『野に咲く花』『帰化＆外来植物見分け方マニュアル 950種』『日本帰化植物写真図鑑』『薬草の呟き』