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山草の一覧

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梔子(クチナシ) アカネ科クチナシ属の常緑低木。温暖な地域の山野に自生し、庭や公園にも植えられる。甘い香りを放つクチナシは、春の沈丁花(ジンチョウゲ)、秋の金木犀(キンモクセイ)と並び三大香木として知られる。卵形の葉は光沢が強く、基本は対生だが、時として三輪生することがある。花期は6~7月。直径5㎝ほどの手裏剣のような形の白い花が咲く。花弁は6枚に見えるが実際には漏斗形の花が6つに裂けたもの。花の中心で*の形に見える部分が雄しべ。橙色の果実は冬に熟し先端に萼片が残る。果肉にカロチノイド色素を豊富に含み、飛鳥・天平時代から黄色の染料とされ、乾燥させたものを『山梔子(さんしし)』と呼び用いていた。無毒なので、栗きんとん、たくあん、チョコレートなどの天然着色料としても使われている。1㎏の果実からたった5g程度の色素しか採れない。果実の中にぎっしり詰まる種子は、平べったく赤くて硬い。冬の間にヒヨドリなどが実をつつき、種ごと果肉を食べて空洞にする。 実が熟しても口を閉じて種を出さないことから『口無し』といわれている。碁盤の足はこの実をまねてつくられていて、碁を打つ際は無駄口をたたくなとか助言無用を意味しているのだという。 出典『都会の木の花図鑑』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』
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荻(オギ) イネ科ススキ属の多年草。水辺に生える。高さ1〜2.5m。ススキのように株を作らず、根茎が長く横に伸び、しばしば大きな群落を作る。葉は長さ50〜80㎝、幅1〜3㎝で、花期には下部の葉は枯れて無い。葉舌はごく短い。花期は9~10月。花序は長さ25〜40㎝とススキより大きく、枝も密に出る。小穂は長さ5〜6㎜で、基部に小穂の2〜4倍の長さの銀白色の毛が密生する。両性の小花の外花頴にはふつう芒(のぎ📝イネ科の種子にみられる細く尖った糸状の付属物、針のような毛)がなく、あっても短く、小穂の外に出ることはない。果実は頴果。狭披針形でやや平たい。 万葉集をはじめ、奈良時代のほかの文献にも登場する。古くから屋根葺き材として知られていた草で、ススキに似ているが、銀白色の花序は馬の『尾』のように見えた。草丈は大きく、約2mにも達した草であるが、長く、太い茎が『木』に思えた。『尾の木』がオギになり、万葉仮名の『乎岐』『乎疑』『乎支』『乎木』などを当てた。その後、中国名で『荻』と書くことが知られて、オギに荻の字を当てた。 よく似た薄(ススキ)との主な識別点は次の通り。 オギ ・湿った場所に生える ・地下茎から本ずつ茎が出る ・小穂に生える毛は銀白色 ・小穂に芒がない ススキ ・乾燥した場所に生える ・茎は叢生して大きい株をつくる ・小穂に生える毛は黄金色 ・小穂に折れ曲がったが芒ある 出典『野に咲く花』『草木の種子と果実』『野草の名前 秋冬』
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仙人草(センニンソウ) キンポウゲ科センニンソウ属のつる性多年草または半低木。道端や林縁など、日当たりの良い所に生える。茎はよく分枝して広がり、葉柄でほかの木や草に曲がりくねって絡み付く。葉は対生し、3~7個の小葉からなる羽状複葉。小葉は厚くてやや光沢があり、長さ3~7㎝の卵形または卵円形で、先端は小さく突出する。ふつう鋸歯はないが、茎の下部の小葉は2~3の切れ込みがある場合もある。花期は8~9月。葉腋から円錐花序を出し、白い花を多数つける。花は直径2~3㎝で上向きに咲く。白い花弁のように見えるのは萼片で4個あり、十字形に開く。萼片は倒披針形で、縁に白い毛が多い。果実は痩果。長さ7~9㎜の扁平な広楕円形。長さ3㎝ほどのフサフサした羽毛状の花柱が残る。茎や葉に皮膚にかぶれを起こす有毒物質を含む。漢方では根を威霊仙(いれいせん)と呼び、利尿、鎮痛などに用いる。 花が終わると花柱が伸び、白くて長い毛が密生する。これを仙人のひげや白髪に例えたのが名前の由来。 観賞用に栽培されるテッセンやクレマチスも同じ仲間。センニンソウ属は本種のように花が上向きに咲くグループと、半鐘蔓(ハンショウヅル)のように下向きに咲くグループとに分けられる。見た目は同じ属のように思えないが、葉が対生し、痩果の花柱が羽毛状になる点でひとつの属としてまとめられている。 よく似た牡丹蔓(ボタンヅル)との違いは次の通り。 センニンソウ ・葉は羽状複葉で鋸歯はない ・萼が長く雄しべが短い ・花色は白色 ボタンヅル ・葉は3小葉で鋸歯がある ・萼と雄しべはほぼ同じ長さ ・花色はわずかにクリーム色 出典『野に咲く花』『四季の野の花図鑑』『草木の種子と果実』
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メタセコイア ヒノキ科メタセコイア属の落葉高木。中国南西部原産。街路樹や公園樹として植えられる。整った三角樹形で、高さ25m以上になる。樹皮は縦に裂け、うねが目立つ。葉は明るい緑色で、鳥の羽根のような柔らかい質感。秋は淡いオレンジ色〜レンガ色に紅葉し次第に色濃く褐色化し、側枝ごと落葉する。花期は2〜3月。雌雄同株。雄花は黄色、雌花は緑色を帯びる。果実は球果。楕円形のセコイアボックリが2個ずつ長い柄でぶら下がる。茶色に熟してくると果実に割れ目ができ、隙間から翼つき種子がこぼれ落ちる。翌春まで枝にしがみついて少しずつ種子を落とす。 6万5千年ほど前の新世代初期から湿地林を作っていたというが、気候変動に合わせて分布域を移動できなかったために絶滅した。1939年に古生物学者の三木茂博士が日本国内の化石層から針葉樹の化石を発見し、セコイアに似るが異なることからメタセコイアという学名をつけた。メタは『高次元』『次のもの』を意味する。当時は絶滅種とされていたが、1946年に中国湖北省の祠で神木とされていた樹木がメタセコイアだったことが分かり注目された。その後、カリフォルニア大学のチェイニー博士が種から発芽させ、1949(昭和24)年に天皇陛下に苗木が献上され吹上御所に植えられた。吹上御所で元気に育つメタセコイアの姿に戦後の復興を重ねた天皇によって『アケボノスギ』と命名された。その後、全国に配布され挿木繁殖で広がった。 出典『樹木の名前』『都会の木の花図鑑』『都会の木の実・草の実図鑑の』『日本大百科全書』
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伊呂波紅葉(イロハモミジ) ムクロジ科カエデ属の落葉高木。日本のカエデの仲間の代表種。野山に生えるほか、庭や公園にも植えられて園芸品種も多い。葉の縁に細かい重鋸歯が並ぶ。葉は小型で5~7、ときに9深裂する。拳状に裂けた葉には、風や雨の抵抗を受け流し、葉の表面に溜まる水はけをよくする効果がある。花期は4~5月。長い柄のある花序を垂らす。雌雄同株で同じ花序に雄花と両性花がつく。花弁と萼片は5枚で直径約5㎜。両性花はプロペラ状の翼を水平に広げた2個セットの翼果に育つ。種子は広卵形で縁は稜になり、翼には葉脈状の筋がある。 晩秋に晴れた日が何日も続いた後で急に冷え込むと紅葉は一気に進む。谷間は冷気がたまり、湿度が高く葉が新鮮に保たれるため特に紅葉の色も鮮やかになる。 この仲間をカエデとモミジ、両方の名で呼ぶ。 ・カエデは旧カエデ科(📝以前はカエデ科だったが新しいAPG分類体系ではムクロジ科になった)の樹木全体を指す言葉で、正式な植物の名前として学術的にも使われる用語。語源は、葉が蛙の手に似ていることから蛙手に由来し、現在は楓の字があてられる。 ・モミジは紅葉(こうよう)の意味で、紅葉する旧カエデ科以外の樹種にも使われる。語源は、古い時代に渡来したベニバナから紅を採り出す作業に『揉出(もみず)』がある。揉出とは、ベニバナの花びらをよく揉むことである。イロハモミジの葉が秋に紅葉するのを、ベニバナの揉出になぞらえた。『もみず』は動詞なので名詞の『もみじ』に変化した。モミジの代名詞存在の本種の葉は拳状に5~9裂するが主に7裂で、7裂した葉の数がイロハニホヘトと合致することからイロハモミジの名が付いた。また、モミジの名所、京都西北部の高雄山にちなんでタカオモミジ、タカオカエデとも呼ばれる。 出典『里山の植物 ハンドブック』『里山の花木 ハンドブック』『樹木の名前』
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醜男
韮(ニラ) ヒガンバナ科ネギ属の多年草。河原の土手、草地など日当たりのよい場所に生える。もともと日本に自生していたとする説と、古い時代に大陸から持ち込まれたとする説がある。古事記や日本書紀にも記述があり、万葉集では久々美良(くくみら)という名前で登場する。野菜として栽培されるが、1株から多数の種子ができ、よく発芽するため、いたるところに野生化している。全体に特有の臭気がある。地下の鱗茎が分かれて殖える。鱗茎は小さく、シュロ状の毛に包まれ、横に連なっている。葉は扁平な線形。花期は8~9月。花茎は高さ30から50㎝になり、先端に白い花を散形状に多数つける。花被片は狭長楕円形で先は尖る。果実は熟すと裂けて黒い種子を落とす。 名前は、古事記に『加美良(かみら)』の名前で登場し、これが訛ったという説がある。韮は漢名。 江戸時代の農書では韮黄の作り方などが述べられているが、そのにおいが強いためか、ほとんど市販されなかった。第二次世界大戦後、中華料理が身近なものになって、ニラは大衆野菜となった。品種に花茎とつぼみを食べる『花ニラ』や、軟白栽培して食べる『黄ニラ』、葉の幅が広い『大葉ニラ』などがある。ニラはカロテンのほか、ビタミンB1・B2・C、各種ミネラルが含まれている。なお、別種である帰化植物の花韮(ハナニラ、別名 西洋甘菜)はニラとつくが全体に有毒成分を含み、ニラと間違えて食べると下痢を起こすので注意が必要。 出典『四季の野の花図鑑』『散歩の草花図鑑』『食材図典』『都会の草花図鑑』
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犬柘植(イヌツゲ) モチノキ属モチノキの常緑小高木。低地〜山地の林にふつうに生える。耐陰性があり剪定にも耐えるので庭木や生け垣、トピアリーにされる。葉が小さくて節間が短いぶん、芽を摘まれても新しく芽吹いて再生する能力に優れ、枝や葉の向きが雑然としている性質も刈り込みに適する。葉は互生し鋸歯がある。花期は6~7月。雌雄異株。花は黄白色で、雄花は葉腋に数個つき、雌花は1個つく。果実は核果。球形で秋に黒く熟す。径約6㎜で潰すと黒い果汁が出る。核は三角状楕円形で丸みがあり、数本の縦の筋がある。核果に核は2〜3個入る。葉がより丸く、反り返るマメツゲや、新芽が黄金色になるキンメツゲなどの園芸品種もある。 よく似たツゲ科のツゲは材として緻密で均質なので細かな彫刻に適している。それで櫛、印鑑、将棋駒などの加工に使われていた。一方本種はツゲに似ているが彫刻などに適さない。庭木や盆栽になるか、鳥もちがとれるくらいで役に立たないので『異な』の意味の『犬』がついた。ツゲの名前の由来は、葉が層をなして密に、次々につくさまによって『次ぐ』から、あるいは、ツヨキメギ(強木目木)の意味など諸説ある。 よく似たツゲとの違いは次の通り。 イヌツゲ ・葉は互生し楕円形で微鋸歯がある ・雌雄異株 ・果実は球形で黒く熟す ツゲ ・葉は対生し倒卵形で全縁 ・雌雄同株で数個の雄花の中に1個の雌花 ・果実は倒卵形で緑褐色に熟す 出典『草木の種子と果実』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『里山の花木 ハンドブック』『樹木の名前』『由来がわかる 木の名前』『樹木 見分けのポイント図鑑』
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烏瓜(カラスウリ) ウリ科カラスウリ属のつる性多年草。やぶなどに生える。葉は長さ、幅とも6〜10㎝の卵心形または腎心形で、ふつう3〜5浅裂する。表面は粗毛が密生し、光沢はない。花期は8~9月。夏の夜にレースのような繊細な花を咲かせる。日没後しばらくすると咲き始め、20時頃には満開となり翌朝にはしぼんで小さな白い玉になる。夜咲く花は、月明かりでも目立つ白や黄色の花色と花の香りで虫を誘うものが多い。烏瓜は白いレース部分と甘い香りで花の存在をスズメガ類にアピールする。そこから星形の花びらで蜜のある花の中心部を示し、スズメガ類はその中心に細長い口吻を伸ばして蜜を吸う。その時口吻に花粉がついて雌花に運ばれ受粉する。果実は液果。雌雄異株で雄株には果実はできないが、雌株には6㎝ほどの楕円球の果実がいくつもできる。果実ははじめ緑色でスイカのような縞模様があるが熟すと朱赤色になる。朱赤色になるのは理由がある。動物が果実を食べると種子も噛み砕かれてしまうが、その点、鳥類は果実を丸呑みにし、消火管も短いので種子はそのままの形で排泄されて発芽できる。そこで多くの植物は鳥だけに分かるよう赤く熟す果実をつけるよう進化した。鳥類は赤を認識できるが、類人猿以外の哺乳動物は赤と緑の識別が苦手だからである。 上に向かって伸びていたつるは秋になると地面に向かって伸び、先が地中に入って小さい塊根をつくる。翌年新しい塊根から芽が出て生長し生育範囲を広げていく。種子と塊根の二段構えで種の存続を図っている。地下の塊根にはデンプンやアミノ酸を含み、漢方薬やしもやけの薬にもなる。昭和初期まで『あせも』にはキカラスウリの根のデンプンで作った真正の天瓜粉(てんかふん)が使われた。現在ではバレイショデンプンと亜鉛華を原料としている。また、烏瓜の実の中にはカマキリの頭に似た形の種が20~30個ある。この種を上から見ると大黒様の打出の小槌に似るため、財布の中に入れるとお金が貯まるとのいい伝えもある。 名前の由来は多くの説がある。紅い果実が蔓に残るのをカラスが食べ残したように見える、唐朱瓜の意味で唐伝来の朱墨を製造する原鉱石の辰砂が朱赤色でこの果実に似ていたことによるなど。また、昔の人は植物の名前をつける時、よく知っている動物の名前を借りてつけた。特に大きさの大小を表すことが大切な時は、名前だけで大きさが想像できる動物を選んだ。それが雀瓜に対する烏瓜で、雀と烏は実や草姿の大きさを示す名前であったとする説もある。 出典『野に咲く花』『夏の野草』『里山さんぽ植物図鑑』『薬草の呟き』
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野茨(ノイバラ) バラ科バラ属の落葉低木。身近な山野の日当たりの良い場所に生える。枝には鋭い刺が下向きに付いていて、動物の摂食を防ぐと同時に、他物に寄りかかりよじ登る武器としても機能する。刺は樹皮が変化したもので強く押すと取れる。葉は卵形の小葉が3〜4対つく羽状複葉で、葉軸の根元にくし状に裂けた托葉があるのが特徴。花期は5〜6月。白色〜淡紅色の香りの良い5弁花を円錐状につける。果実に見えるのは花托が肥大し液果状になった偽果。卵円形の壺状で秋に赤く熟して枝に残る。りんごのような味で食べられる。酸っぱくて渋いが、霜に当たると少しだけ甘くなる。果実は痩果で偽果の中に5〜12個入る。 病気に強く園芸品種のバラの台木に使われる。防犯用に生け垣にされたり、花は香水の原料にもされる。果実は漢方で営実といい利尿剤などの薬として使われる。 イバラは元来、刺のある低木の総称。野は野生を意味する。ノイバラは『万葉集』には『うまら』の名で登場しており、それが『マラ』となり、やがて訛って『バラ』になったといわれる。 学名のマルチフロラは、房咲きになるという意味。栽培バラの育種にあたって、ノイバラのこの房咲きの性質が導入された結果、『フロリバンダ』と呼ぶ房咲きの系統の品種群が誕生し、さらなる交配により『グランディフロラ』の品種群も生まれた。 種形容語 multifloraは、ラテン語で『花が多い』を意味する。サクラバラは中国で見出された紅花半八重咲きで、一株に七色の花が咲くことから、中国では『七姉妹』とされる。 属名Rosaは、バラを意味する古代ラテン語に由来し、その語源は赤色を意味するケルト語 rhodまたは rhoddであるとされる。 出典『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『草木の種子と果実』『里山の花木 ハンドブック』『ボタニカルアートで楽しむ花の博物図鑑』
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野紺菊(ノコンギク) キク科シオン属の多年草。日本の野菊を代表するのが本種で山野の至るところに普通に見られる。高さ0.5〜1m。地下茎を伸ばして殖える。茎はよく枝分かれし、短毛が密生する。葉も両面に短毛が生え、ざらつく。根生葉は卵状長楕円形。花茎の根生葉は花の頃は枯れる。花期は8~11月。頭花は直径約2.5㎝。中心に黄色の筒状花が多数あり、周りに淡青紫色の舌状花が1列に並ぶ。総苞は半球形で長さ4.5〜5㎜。総苞片は先端は紫色を帯び、3裂に並ぶ。果実は痩果。長さ1.5〜3㎜の扁平な倒卵状長楕円形。冠毛はヨメナより長く、長さ4〜6㎜。地下茎を伸ばして殖えるが、風で種子も飛ばす。 よく似た紺菊(コンギク)は自生品種の中から選ばれた栽培品種で古くから観賞用に栽培されている。花色が白いものはシロバナコンギクといい稀に見つかる。嫁菜(ヨメナ)にも似るが、ヨメナの葉はつるつるしていて、冠毛は短い。 観賞用の栽培品種に花が濃青紫色の紺菊(コンギク)があり、それに対して野に生える紺菊の意味で野紺菊の名が付いた。菊の語源については諸説ある。一説として、中国の『本草綱目』(1578年)によると、『菊は蘜と書き、鞠と同じ。鞠は窮の意。九月に咲く。九は陽の数の最後。窮極の華だから菊』という。 出典『野に咲く花』『秋の野草』『帰化&外来植物見分け方マニュアル 950種』『草木の種子と果実』『野草の名前 秋冬』
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背高泡立草(セイタカアワダチソウ) キク科アキノキリンソウ属の多年草。土手や河川敷、空き地などに生える。明治時代に観賞用として入り野生化した北アメリカ原産の帰化植物。北九州に進駐した米軍の貨物に混じっていた種子から広がったともいわれ、戦後急速に分布を拡大し、現在では各地に大群落をつくる。地下茎を網の目のように伸ばして殖える。茎や葉には短毛があってざらざらする。葉は長さ6~13㎝の披針形で先は尖る。花期は9~11月。茎の先に大型の円錐花序をだし、直径約6㎜の黄色の頭花を多数つける。頭花は中心に3~5個の筒状花、周りに10~18個の舌状花が並ぶ。花期が長く晩秋まで咲く。花の少ない時期の貴重な花は昆虫の蜜源で、綿毛付きの種子は野鳥の食糧となる。晩秋まで花があるので、蜜源として養蜂業者が全国に広めようとしたこともある。かつては花粉症の原因と騒がれて草刈り運動も起きたが、虫媒花のため花粉はほとんど出ずとんだ濡れ衣だった。 名前のセイタカとは草丈が高いことを示す。アワダチは泡立ちのことで、黄色い小さな花、あるいは花後の綿毛が泡立つように見えることからついた名前。この綿毛(痩果の冠毛)は長さ約3㎜で風により遠くに運ばれる。 数ある帰化植物の中で背高泡立草だけがこれほど繁殖したのはいくつかの理由がある。 ①戦後の高度経済成長とともに、全国的に大規模な土地の造成が行われた。造成されて生き物がいなくなると、生態系内のポジションに空きができ、そこに合致する背高泡立草が入り込んだ。 ②帰化植物であるため日本に天敵や病害虫がいない。 ③地下茎と種子の両方で繁殖する。1本で4万個(一説には27万個)の種子を作り、さらに地下茎を縦横に長く伸ばし、1本が3年ほどで10数平方メートルの土地を占領する。種子には軽くて白い冠毛があり、風で広範囲にばらまかれる。 ④群落をなして生育し、背が高いため群落の中は暗く、発芽に光を必要とする多くの雑草の種子が発芽し成長するのが難しい。 ⑤根からアレロパシー物質という他の植物の生育を妨げる除草剤に似た特殊な成分を出し、周りの植物を枯らしながら勢力を拡大する。しかし、殖えすぎると自家中毒を起こして消えるため、1970~80年頃をピークに最近は減少傾向にある。 出典『雑草のはなし』『したたかな植物たち 秋冬編』
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山査子(サンザシ) バラ科サンザシ属の落葉低木。中国原産で、江戸時代中期の1734年に薬用植物として渡来した。最初は小石川植物園と駒場薬園に植えられた。その後、鑑賞用に鉢植えにされたり庭に植えられるようになった。野生はない。葉は互生した倒卵形。花期は4~5月。棘のある枝先に白い5弁花をつける。秋に赤または黄色に熟す果実をつける。果実はナシ状果の偽果で1.5〜2㎝の扁球体。果実は収穫後3〜4日で肉質が軟化し芳香が出る。生食もできるが、蜜煮、シロップ漬けなとが美味。中国では果実を砂糖漬けや蜜漬けにし、消化促進のため食後に食べられていた。 ヨーロッパ原産で紅色の八重咲きの花をたくさん咲かせるセイヨウサンザシの品種アカバナヤエサンザシや、直径2.5㎝の大きな果実をつけるオオミサンザシなども庭木や鉢植えにされる。 中国の生薬名で実を意味する『山樝子』を音読みにしたものがサンザシ。山査子の『査』は元は『樝』の字で、クサボケ(シドミ)やコボケを指す。サンザシとクサボケの実は味が似るという。山査子や五味子(ゴミシ)といった『子』のつく名称の中には、本来は実を指していたが、植物そのものの名称としても用いられるようになったものもある。17世紀初めに編纂された『日葡辞書』にもサンザシの記載があることから、日本では渡来する前から薬として知られていたと考えられる。 出典『樹木の事典 600種』『薬草の呟き』『食材図典』『生薬単』『樹木の名前』『由来がわかる 木の名前』
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ピラカンサ バラ科トキワサンザシ属の常緑低木。ピラカンサはトキワサンザシの仲間の総称で、日本では主にトキワサンザシ、ヒマラヤトキワサンザシ(別名 カザンデマリ)、タチバナモドキの3種類がピラカンサと呼ばれている。雑種も多く、識別するのが難しいケースもある。いずれも一年中細い枝に艶やかな濃緑色の小さな葉をつける。花期は5〜6月。木に雪が降り積もったように白い花が枝を埋める。秋から冬にかけて枝がたわむほど果実が実る。果実は偏球形の偽果(ナシ状果)。美味しそうに見えるが毒があり、まとめて食べれば鳥も毒にあたる。3種類とも耐寒性、耐暑性に優れ剪定にも耐える。 名前は属名の音読み。属名はpyro(炎)+acantha(刺)の合成語。果実の熟した鮮やかな果色を炎にたとえ、枝に刺があることを表す。 3種類の違いは次の通り。 常磐山査子(トキワサンザシ) ・西アジア原産で明治時代中期に渡来した ・赤い果実は扁平で小さめ ・葉は靴べら形 ヒマラヤ常磐山査子(別名 花山手鞠カザンデマリ) ・ヒマラヤ原産 ・赤い果実は3種類の中で最も大きい ・葉は細長い 橘擬(タチバナモドキ) ・中国原産 ・果実は黄橙色 ・果実の色と形がミカン科のタチバナに似るのが名の由来 出典『樹木の事典600種』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『樹木 見分けのポイント図鑑』『草木の種子と果実』
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