梅花空木(バイカウツギ)

アジサイ科バイカウツギ属の落葉低木。山地に生えるが多くない。枝が二又に分枝し、卵形の葉が対生する。葉はまばらな鋸歯が少し飛び出し、葉脈は基部から３本あるいは５本に分かれて伸び、くぼんで凹凸が目立つ。花期は５～７月。花は白色、半開きにうつむいて咲く。花弁が５枚で雄しべが１０本あるウツギの仲間とは異なり、本種は花弁が４枚で雄しべは多数ある。里山には分類が違うのに『◯◯ウツギ』という植物がたくさんある。代表種だけで約２０種類あり、その大半は落葉低木で、葉は鋸歯があり、対につくという共通点がある。

名前は、茎が中空であるためウツギ、梅に似た花の形状のためバイカがついた。南方に多いためについた別名の薩摩空木(サツマウツギ)は鹿児島県に由来するが、鹿児島県の固有種ではなく、本州、四国、九州で広く見られる。

この仲間には花の大きな西洋梅花空木(セイヨウバイカウツギ)があり、八重咲きや花の香りの強い園芸品種ベル・エトワールなどもある。香りの強い近縁種が南ヨーロッパにあり、Mock Orange(ニオイバイカウツギ)の名で日本でも市販される。

出典『樹木の事典 600種』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『樹木の名前』