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世界中の多くの人に愛飲されているコーヒーの原料がとれる「コーヒーの木」。正式名称はコーヒーノキです。コーヒー豆の収穫のために多く栽培されています。発芽から3〜4年ほどで、ジャスミンとよく似た香りの白い花を咲かせます。
今回はそんなコーヒーの木の自宅での育て方について簡単にご紹介します。
コーヒーの木の育て方は、観葉植物の中で難易度はやや高めです。
ただし、日当たり加減や管理温度にさえ気をつければ、観葉植物初心者でもうまく育てることができます。
コーヒーの木を育てるのに適した温度は25℃前後です。夏はレースカーテン越しの半日陰、冬は最低でも8℃以上ある室内に置いておきましょう。
コーヒーの木の原産地は熱帯アフリカやマダガスカル島という熱帯地域で、本来は日光を好むので、基本的には適度な日光を当ててあげられる日向に置いて育てましょう。
耐暑性はかなり強いのですが、真夏の強すぎる直射日光は避けるたほうが良いでしょう。
真夏は戸外に置いても直射日光が避けられる場所を選ぶか、午前中だけ屋外に出し、午後からは屋外で管理する。もしくは室内ならば、レースカーテンやブラインド越しに育てるのが無難です。
コーヒーの木は耐陰性があるため、一年中室内で育てることも可能です。
しかし、より強く元気に生育し花を咲かせるためには、真夏以外はできる限り日光に当ててあげた方が良いので、春や初夏、秋の時期などは、なるべく外に出してあげましょう。
一方で、コーヒーの木は冬が苦手です。気温が10℃以下になる11月以降は、必ず室内で育ててください。
冬場は室内でも窓際は温度が下がるので、可能ならば、室内でも温度変化の少ない暖かい場所へ移動させる、もしくは夕方以降から朝方の特に冷え込む時間帯はダンボールなどに入れて防寒対策をしてあげましょう。
冬の寒さで落葉しても枯死するわけでないですが、寒さに当たりすぎると、春先になって突如枯れ始めて回復しない場合もあります。落葉を見つけ次第、速やかにより暖かな場所へ移動させてあげるようにしましょう。
ただし、春先すぐに屋外に出すと、急な温度変化・環境変化に耐えられず葉が変色する場合もあります。日光への耐性をつけるためにも、少しずつ場所を移動させるようにしましょう。
コーヒーの木の育て方ポイント
なお、苗が小さい時期は葉焼けしやすく、班入りの葉をもつ種類は、特に斑の部分が葉焼けしやすいため日光に当てて育てる際には注意して管理してください。
コーヒーの木は、春から秋にかけてよく生長します。春から秋にかけての水やりは、土の表面が乾き次第鉢の底から水が出てくるまでたっぷりと行いましょう。
夏場は特に水が切れると、葉が萎びてしまうので、その都度水を与えましょう。基本はその後復活しますが、根詰まりや水の与えすぎなどによって回復しない場合もあるので、よく様子を見てみてください。
また夏場の真昼に水を与えると、水がの温度が上昇して根を傷める可能性が高いので、朝か夕のどちらかのタイミングで与えるようにしましょう。
なお標準的な頻度としては、夏の水やりはおおよその目安として週に2、3回の頻度で与えます。分量は1回のうちに水が鉢底からあふれるぐらいにたっぷりです。
葉の先や新芽が萎れているのは、水不足のサインなのでよく観察しておきましょう。
コーヒーの木は、冬の季節は基本的に休眠します。そのため、冬の季節はあまり水を与えず、乾燥気味にしておく方がよいでしょう。鉢の土全体が乾燥し始めたら、水を与える程度の頻度で問題ありません。
標準的な頻度としては週に1回程度です。与える分量は通常よりも少し少ないぐらいにしておきましょう。萎びれていたら、少し回数を増やしてみても良いでしょう。
コーヒーの木にとって、肥料は元気に育ちやすくなるのに必要な条件です。
したがって、基本生長期である5月〜9月にかけて、固形の緩効性化成肥料を2ヶ月に1回ほど、株の根本から少し離れた位置に置いて、水やりで徐々に土に溶け込んでいくようにしましょう。
もしくは観葉植物用の液肥を月に1回、または速効性液体肥料を1週間〜10日に1回の頻度で与えるとよいでしょう。葉の色があせているときは特に速効性の液体肥料を与えると効果が出やすいでしょう。
そのほか、鉢替え後、盛夏、生長期ではない厳寒期の冬には、肥料を与える必要はありません。
コーヒーの木が好むのは、清潔かつ腐植質で水はけのよい土壌です。
市販の観葉植物の培養土でも問題ありませんが、配合土を選ぶのならば、かたい鹿沼土2・バーミキュライト5・腐葉土3の割合か、赤玉(小もしくは中粒)6・ビートモス2・バーミキュライト2の割合で混ぜたものが最も適しているでしょう。
コーヒーの木は根の生育がかなり旺盛です。したがって根詰まりを防ぐため、最低でも2年に1度、早くて毎年の植え替えが必要となります。
植え替えの方法は詳しく紹介していますので、以下の記事を参考にしてくださいね。
コーヒーの木の増やし方には、「種まき」や「挿し木」といった方法があります。
種まきは、生長期である5月〜9月の時期に行うのが適切です。よく熟した果実の皮を剥いて、タネの周りについているぬるぬるしたものをよく洗い流しましょう。
赤玉土などに、タネの大きさと同じくらいの深さを掘って埋め込みます。気温は15℃に保つように心がけてください。
発芽するのには数か月かかる場合があるので気長に待ちましょう。その間もお水やりを忘れないようにします。子葉が完全に開いた時点で鉢上げしてください。植え付けの処理は、植え替えの処理の後半の過程とほぼ同様です。
果実がつくほど大きくなるには、4〜5年かかります。種は自家採集したものを蒔くと比較的発芽しやすいですが、生豆は難しく、市販のコーヒー豆は煎られているので飲用としては使えません。
挿し木の場合は、切り戻した際の枝を使いましょう。
虫などのついていない丈夫な枝を選び、4〜5節あたりを目安に切り取ります。先端の2節ほども使わないので切り落とした上で、川砂や市販の挿し芽、種蒔き用の用土に挿しましょう。
約1ヶ月ほどは直射日光を避けて日陰に置き、2ヶ月経ってから芽を確認できたら鉢に植え替えて育ててください。
コーヒーの木の気をつけるべき虫はハダニやカイガラムシです。
空気が乾燥し始めると現れるハダニやカイガラムシは、植物の栄養を吸い取ったり、葉を白くしたりします。見た目を悪くするだけでなく、生育にも悪影響を与えるので、霧吹きなどで予防しましょう。万が一発生した場合には、薬剤を散布することをおすすめします。
ただし、カイガラムシは薬剤が効きにくいので、見つけたらすぐに古歯ブラシなどでこすり落としましょう。
気をつけるべき病気は、葉脈以外の葉っぱが白っぽくなる「クロロシス」でしょう。
ミネラル不足や肥料過多、もしくは質の悪い肥料、水不足が原因だったりと、管理方法が問題なので自身の生育方法を見直すことが重要になります。ただ葉焼けの初期症状も葉が白くなることがあるので、判別をしっかり行いましょう。
今回はコーヒーの木の育て方について紹介しました。
コーヒーチェリーと呼ばれる果実をつけ、それがコーヒー豆のもととなる種子を内部につくりだします。果実が成熟して甘くなるまでに9か月ほどかかるうえ、わずかな量しか収穫できないため、家庭で育てても実が利用されることはほぼありません。
日本の園芸の世界では、コーヒーの木は「観葉植物」として広く認知されていています。育て方のポイントさえ気をつければ、難易度が高い植物ではありません。
深い緑色の葉に癒されることはもちろん、白い花や赤い実が家をさらに彩り豊かにしてくれますので、ぜひコーヒーの木をおうちで育ててみてください。
松原真理子
GreenSnap編集部