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ハエトリソウ(ハエトリグサ)は、貝殻のような形をした捕虫葉を持ち、葉に触れると開いている葉を閉じて獲物を捕獲する食虫植物です。そんな不思議な性質と独特な見た目を持ち合わせていることから、人気を集めています。初心者でも失敗せずに栽培できるよう、今回はハエトリソウの育て方をご紹介します。
ハエトリソウはその性質上、地植えにできないため鉢植えで栽培します。
暑さに弱いので、夏場は風通しがよく半日陰になる場所、それ以外の時期は日がよく当たり、風通しのよい場所で育てましょう。一方寒さにはとても強く、凍結しない限りは枯死せず越冬します。
冬の間は、室内ではなく屋外での管理が良いでしょう。
湿地性の植物であるハエトリソウは、水切れしないようにすることが重要です。よって、浅めのお皿に水を高さ1〜2cmほど入れ、そこに鉢を置いて吸水させる「腰水栽培」をすると、用土を湿った状態に保てます。
冬はハエトリソウの休眠期なのでそれほど乾燥しませんが、水が腐らないよう定期的に取り替えましょう。
ハエトリソウは根から栄養を吸収できるので、肥料を与える必要はありません。施肥するとかえって生育が悪くなってしまいます。
ハエトリソウを育てるときは、肥料分の少ない土を用います。水ゴケ単体や小粒の鹿沼土と赤玉土、ピートモスをそれぞれ同量混ぜたものが適しています。
ハエトリソウは年に1回、休眠期である12月〜2月頃に植え替えましょう。この時期に植え替えレバ、株に与えるダメージを抑えられます。
植え替えは用土、もしくは水苔単体を用います。まず根をなるべく切らないように気をつけながら、根についている土を水で洗い落とします。また、枯れた葉や腐っている根も取り除きましょう。
もともと根が黒いので、腐っている根と見分けがつきづらいですが、腐っている根は溶けて非常に柔らかくなっているので、根を洗っているときに簡単に取れてしまいます。そのため、それ以外の残った根は無理に取る必要はありません。
水はけをよくするために、鉢に鉢底ネットを敷き鉢底石を2cm程度入れましょう。それから用土を入れて株を植えていきます。
水苔の場合は、以下の手順で行います。
水苔は通気性と保水性に優れているため、管理しやすい点がメリットです。
ハエトリソウの増やし方は、「種まき」または「株分け」により増やすことが可能です。
種まきの場合は、花が咲き終わってから実った種を採取してまきます。種は採取してから時間が経つと発芽力が劣っていくので、採取後早めにまいたほうが発芽率が高まります。
株分けは、植え替えのタイミングで行うとよいでしょう。1株に葉が3枚程度つくように株を分けて植えます。
「ハエトリソウ」という名前であることから、ハエを食べて育つイメージがあるかもしれませんが、実は虫(エサ)を与えなくても十分育ちます。
また、ハエトリソウを屋外で栽培している場合は、自然と虫が葉に引っかかることもあるので、無理に与えると消化不良になり虫とともに葉も腐敗してしまいます。根から栄養を吸収できるため、エサは一切不要です。
ハエトリソウの葉が閉じたり開いたりする様子を見たいがために、むやみに触って動かすとエネルギーを消耗させてしまい株が弱くなります。ハエトリソウには極力触れないようにしましょう。
また、健全に育てるには水やりなども重要ですが、冬の温度管理も大切なポイントです。ハエトリソウは、春からの生育期に向けてエネルギーを蓄えるために、冬の寒い時期は休眠します。
しかし、暖房が効いた暖かい室内に置いておくと休眠ができず、春に生育が鈍くなることがあります。そのため、冬は0〜5度程度の気温の場所で管理するようにしましょう。
病害虫による被害は少ないほうですが、アブラムシやナメクジ、ハダニがつくことがあります。食虫植物であることから、害虫も全て捕獲してくれると思いがちですが、そのようなことはできません。
ハエトリソウの捕虫葉は、葉についている「感触毛」に虫が触れると反応し捕獲する仕組みです。虫をおびき寄せて捕獲する性質は持っていないので、以下の害虫がついている場合は適切に駆除する必要があります。
アブラムシは葉につきやすく、すす病やウイルス性の病気などを引き起こし、生育に悪影響を及ぼします。群れで発生することが多いほか、放っておくとあっという間に増殖するので、薬剤を散布して駆除しましょう。
蒸れると発生しやすいため、風通しをよくしておけば防げます。
ナメクジは葉を食害します。見つけたらピンセットなどで取り除きましょう。また、ハエトリソウに捕獲され、葉の中にいることもあります。その場合は、葉ごと取り除きましょう。消化不良によりナメクジとともに葉も腐ってしまうことがあるからです。
ナメクジは多湿を好むことから、梅雨時期に多く発生します。周辺の雑草や落ち葉を取り除き、湿気がこもる場所を作らないようにして防除しましょう。
ハダニは葉を吸汁し、株を弱られてしまう害虫です。葉にクモの糸のような薄い膜を張ることもあり、症状がひどい場合は枯死してしまいます。高温で乾燥していると発生しやすいため、夏場は特に注意が必要です。
また、繁殖力が高いので根絶するのが非常に大変です。見つけたら薬剤を散布して駆除し、被害を広げないようにしましょう。
ハエトリソウは、通常の草花と違い独特な生態を持っていますが、栽培は難しくないので初心者にもおすすめです。また、鉢植えでの栽培しかできないことから、場所を取らずに育てられます。個性的なハエトリソウを、ぜひ育ててみてください。
※トップ画像はwxxwさん@GreenSnap
GreenSnap編集部