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どんより気分に陥りやすい梅雨の時期は、街の色彩も全体的に暗い雰囲気になってしまいます。しとしと雨の向こうに紫のアジサイを見つけると、少しだけ心が和らぎます。
今回は、アジサイの仲間である、小ぶりなヤマアジサイ(山紫陽花)の育て方を紹介します。
ヤマアジサイは別名「サワアジサイ」とも呼ばれ、湿気のある場所や沢沿いの水辺に自生しています。そのため、日当たり加減は、半日陰か明るい日陰が適しています。できれば午前中はやわらかい光が入ってくるような、半日陰の場所がいいでしょう。
直射日光が当たる日当たりの良い場所だと、夏などは葉焼けを起こす可能性が高くなるので、日陰に近い所を選びましょう。
少々日当たりが悪くても、花つきもそれほど悪くなりにくいので、生育にはあまり影響を及ぼしません。
ヤマアジサイを育てるならば、鉢植えにするより庭植えや地植えがおすすめです。
鉢植えだと小さく育てられますが、湿り気のある肥沃な場所に地植えする方が生育がよりよくなります。
強い西日が差し込むと乾燥しやすくなるので、できれば庭でも東向きの所に植え付けてください。
鉢植えにするならば、風通しのよいところで半日陰の場所に置きましょう。鉢の素材も素焼きのものよりは、プラスチックか駄温鉢が適しています。素焼きだと通気性がよすぎるので、乾燥しやすくなります。
しかし、プラスチックは保湿力がありますが、ヤマアジサイの風情を活かしにくいので、できれば駄温鉢や漆黒性の盆栽鉢に植え付けると風情を活かすことができます。
ヤマアジサイの湿気を好むので、夏場は特に水切れがないように注意しましょう。水切れすると途端に元気がなくなってしまいます。太陽の光で土がすぐに乾燥するようであれば、十分に水を与えてください。
ヤマアジサイの花つきをよくするためにも、夏場は1日に3回ほど土の乾き具合をみて、乾いていたらあげるといったようにしてみましょう。
冬場の水やりは、夏ほど蒸発が早いわけではないので、1日のうち朝と夕方と様子をみて、土の表面が乾いていたら水をあげるといったようにしましょう。冬場は空気が乾燥しやすいので、葉水などで湿った環境をつくってあげてもよいです。
夏も冬も、どちらの季節も水切れがないように心がけましょう。
ヤマアジサイを育てるときは、お礼肥料を与えてください。
ヤマアジサイは梅雨の時期に花を咲かせるので、梅雨が過ぎたあたりの花が咲き終わったあとに肥料を与えるのがよいです。そうすることで、開花に使ったエネルギーがチャージされます。しばらくすると、8月頃に花芽が出てきます。
また、ヤマアジサイの花が咲いている時期には、液体肥料などを1週間に1回程度与えると花つきがよくなります。
冬などの活動低迷期は、油かすなどの固形肥料を追肥するといいでしょう。
ヤマアジサイを育てるときは、市販されている培養土を用いるので問題ありません。
ただし、アジサイの特徴として、土のpHが酸性かアルカリ性かによって、花の色に影響を与えることがあります。
セイヨウアジサイなどは土のpHに作用されず、酸性でもアルカリ性でも花の色に変化はあまりみられませんが、ヤマアジサイは土中のpH濃度に作用されやすいです。好みの花色があるならば、土中の濃度を調節してみてもいいでしょう。
酸性に偏ると青みがかり、アルカリ性だと赤みがかかります。紫や赤に近い色を咲かせたいのであれば、土の酸性化を防ぎましょう。
方法としては、石灰を根本にまいたり、水やりの水を水道水からアルカリ性のものに変更したりすると、アルミニウムイオンが根から吸収されにくいので、赤色になりやすくなります。
多少難しいですが、咲かせたい色になるよう、土作りにこだわるのもいいかもしれません。培養土に含まれている化合物をみて、足し合わせたり混ぜたりして、酸性やアルカリ性に近いものにすると、化学の知識も身につきますね。
ヤマアジサイの植え付けは、鉢植えよりも地植えをおすすめします。
ヤマアジサイの土から上の地上部が大きくなりやすいので、どの大きさの鉢に入れているかにもよりますが、鉢だと土の体積がそれ以上増えません。すると水切れが起こりやすくなり、水やりの手間がかかります。
一方、ヤマアジサイを地植えした場合は、その手間がありません。また、大きな鉢に植え替える手間も省けますし、水やりの一部を自然の降雨に任せられたりします。
ヤマアジサイは水を好むので、あらかじめ鉢の土の体積が決まっているようであれば、水切れの心配が常につきまといます。
ヤマアジサイの鉢植えで、植え替えをするならば特に決まった時期はありません。
ヤマアジサイは植え替えよりも剪定が大切です。
剪定は花が咲く前の7月頃までに済ませておくことが大切です。8月以降に行うと、来年の花が咲く花芽まで切り落とすことになるので、できれば夏までに済ませておくことです。
ヤマアジサイの増やし方には、「挿し木」と「株分け」という方法があります。
挿し木は、剪定で切り取った枝から増やすことができます。夏が来る前に剪定し、6月頃に夏ざしするといいでしょう。
株分けは、あまり小さくなりすぎると親株も切り取った株もだめになるので、あまり小分けしすぎないほうがよいです。
ヤマアジサイを育てていると、生育期である春から初夏にかけて、アブラムシ、オオミノガ、カイガラムシが発生しやすいです。
オオミノガはみのむしとして知られている虫です。ミノに隠れて葉や樹皮を食い荒らします。見つけ次第捕殺するようにしましょう。
ヤマアジサイの原産地は日本なので、元々日本の気候に適しています。自生地が本州福島より南になるので、それより北上で育てるのであれば寒さ対策が必要になります。
ヤマアジサイの花言葉は「乙女の愛」、「切実な愛」です。
今回はヤマアジサイの育て方を紹介しました。控えめであっても存在感のあるヤマアジサイは、日本の梅雨によくあった花です。
雨の時期にどんよりしないよう、ヤマアジサイを植えて育ててみましょう。
GreenSnap編集部