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小さい子供から大人まで人気のある、ポケットモンスターというゲームに登場するウツボットというポケモンがいます。そのウツボットのモデルになっているのがウツボカズラという食虫植物です。今回はそんなウツボカズラの育て方についてご紹介しましょう。
ウツボカズラに最適な日当たりは季節によって異なります。
まず、春〜秋は日当たりの良い場所が適しています。ただし、強い日差しには弱いので真夏は明るい日陰で育てるようにしましょう。
直射日光などに浴びせると葉が焼けて傷んでしまったり枯れてしまう原因になります。できれば20%〜30%の遮光をすると良いでしょう。遮光ネットや寒冷紗などで対策しておきましょう。
真夏以外は、日光の良く当たる場所で育てます。気温が30度以上の気温に達してきたら風通しの良い環境に移してあげましょう。ベランダに吊るしてみるのも一つの手です。
そして冬は、ウツボカズラは寒さに大変弱いため、気温が20度以下になる場合には、屋内で管理する準備をしましょう。日中は日の良く当たる窓際などに置くのがおすすめです。夜になったら保温することが重要ですので、ダンボールやビニール袋を被せて対策しましょう。
また、ウツボカズラは乾燥も苦手なので、たまに葉水を行ってあげましょう。また、植物用の温室や保湿設備を作って万全に育成してあげると、より元気に育てられますよ。
ウツボカズラは、15度を下回る気温になったら室内に取り込んで育てましょう。
ウツボカズラは湿度の多い環境を好む植物ですので、水苔など土の表面が乾いていたらたっぷりと水を与えるようにしてください。
ウツボカズラは空中湿度を好む植物ですので、1年中霧吹きを使って株の全体に水をかけてあげてください。空中湿度とは、株周辺の湿度が70%以上の状態を示しています。夏場は毎日の水やりが必要です。
水苔を使って育てている場合は、適度な保湿を維持しましょう。夏場であれば「夕方以降」に水やりを行うようにしてください。
秋になるとウツボカズラの生育は鈍ってきます。15度以下になったら水やりも減らすようにしていきましょう。
冬に入ると土の表面が乾いていたら水やりを施すようにします。冬でも湿度を保つために葉水を行いましょう。
ウツボカズラには、ほとんどの場合肥料を施す必要がありません。もし与えるのであれば、生育期間の4月〜10月の間に、3か月1度に液体肥料を与えると良いでしょう。
元々肥料というのは葉が垂れて元気がないときや、生長の手助けをするときに利用されるもので、その一つが液体肥料です。固形の肥料との違いは短時間で吸収することと、異なった目的の液肥を短い時間で与えることができることです。
液肥の種類には有機肥料と化成肥料があります。有機肥料には、生物などの自然由来を原料としてつくらせているものです。成分はタンパク質などを主体とした肥料になります。
植物に欠かせない栄養素である3要素(窒素・リン酸・カリウム)を加えているもの、ホウ素などの微量要素が足されているものもあります。
化成肥料には、尿素や塩化カリなどから作られている無機質肥料のことです。液肥と略されたり、水肥と記されることもあります。市販で購入することができるので安易に手に入れることができます。
ウツボカズラは主に「水苔」を用いて育てていきます。
ウツボカズラは根が弱いので、水苔を使用することで水不足の予防になります。湿度の多い環境を保つことができるので、生長も良くなります。
ちなみに日本にある水苔を使用することもできず、販売もされていません。ほとんどの場合、ニュージーランドから輸入された水苔が販売されています。日本の水苔は保護対象の生物になっているので採取は不可能です。
水苔のほかにも、ピートモス・鹿沼対・赤玉土・ココナッツファイバーなども利用できます。
ウツボカズラの植え替えは、毎年5月から6月に行います。植え替え手順は次の通りです。
元々植えてあった鉢から株に付いた傷んでいる水苔を丁寧に取り除きます。根の腐敗して黒色に変色している部分は、はさみなどを使って切り落としましょう。
新しく水苔に水で濡らしておきます。底に株を植え替えたら完了です。つる性であるため生長し始めてくると茎が倒れてきます。このときに支柱で補強することで、倒れないようになります。
ウツボカズラを植え付けるときは、鉢底から3分の1程度の軽石を敷き詰めてウツボカズラの株を植え付けましょう。株には水苔を巻きつけておきます。
また、ウツボカズラでは種まきからでも育てることができます。
種まきは微粒の日向土と泥炭か粉末にした乾燥の水苔を混ぜ合わせた用土を用意します。その上に種子を撒きます。その後、ラップなどで覆って湿度を高く保ちます。1〜3か月で発芽が見られます。
発芽までが困難とされています。ウツボカズラの種子は半年で発芽力が衰退してしまう品種が多いため非常に難関であるとされています。
最も短いもので2か月で発芽の力を失ってしまう品種もあります。種子は新鮮なものを手に入れるようにしましょう。運良く発芽したときは、本葉が数枚生えてきたらラップを取って通常管理に戻します。
ウツボカズラの増やし方は、「挿し木」や「取り木」が一般的です。
挿し木は5月〜6月が最適です。茎が徒長してきたら挿し木のタイミングです。徒長は茎や葉などが長く垂れてきた状態のことを指します。挿し穂は株の上から葉っぱが3〜4枚を残して切除します。
これを1本の頂点挿し穂とします。そこから2節ごとに葉のすぐ下の部分を切り、いくつかの挿し穂をつくりましょう。
挿し穂には「潜芽」と呼ばれる若い芽が出てくる部分が付いているようにします。潜芽は葉の上部に窪んだところがあります。もし潜芽の無い挿し穂を挿して育てると、発根を見られますが発芽はしません。
挿し穂にした葉っぱは、全体から見て半分程度切り詰めておきます。半分にすることで水を大気中へ放出することを抑えるようにしておきます。剪定を行い、切った挿し穂を水に浸けたら、水苔を水中に入れて挿す準備をします。
そのほか、瓶に水を張って浸けたまま発芽させることもできます。最も重要なことは、水分を供給する大元に当たる根が、まだ成長していない状態であることです。
挿し木のときは切り口が水を通す道の役目となるので、潰さないようにはさみなどで切ります。雑菌の繁殖を防ぐためにも清潔な用具と水と土を使用してください。夏の高温の時期や生育が衰える冬は避けておきましょう。
およそ1か月〜3か月経てば発芽をし始めます。
また、ウツボカズラには取り木で増やす方法もあります。取り木では、舌状剥皮を行って水苔を巻いていきます。
舌状剥皮とは、取り木に使用する枝の表面を全て剥ぎ取らないで舌を出しているように切り込みを入れていくことです。
水で湿らせた水苔に切り口に挟んでいきます。水苔で全体が包まれるようにしたら完了です。後は発芽するのを待ちましょう。
ウツボカズラは病気にもかかりにくく、害虫の被害に遭うことも少ないです。ただ、株が弱まってしまうと発生しやすくなります。主にカイガラムシやハダニには注意しましょう。
春と秋に薬剤を散布しておくと良いでしょう。ただし30度以上の高温状態で撒いてしまうと、ウツボカズラに薬害が出てきてしまいます。曇っているときか早朝または夕方に作業しましょう。
ハダニなどは繁殖が増えると1度の薬剤散布では駆除しきれません。1週間に2・3回撒き散らして駆除していきましょう。
病気に関しては、カビが原因の炭そ病、褐色斑点病などがあります
ウツボカズラには根に寄生する「センチュウ」と呼ばれている害虫の問題もあります。
センチュウが寄生してしまうと駆除対策がないので厄介です。新芽が萎縮して根が腐ったような状態になってしまいます。
センチュウが発生する主な原因は植え替えをずっとしていなくて古い土のまま直に置いたことが多く考えられます。定期的に植え替えを行って新しい土と快適な環境に整えてあげましょう。
ウツボカズラは高温多湿を好む植物です。乾燥と低温は苦手なので、そのことをきっちり把握しておきましょう。28度以上の気温を一定にキープして、湿度を80%位上にしてあげるとよく生長することができます。
35度よりも上回ったら、扇風機の風を鉢に当ててミストを掛けてあげてください。こうすることで鉢が冷えて温度が下がり適正温度を保つことができます。
15度よりも下になる気温であれば室内に取り入れましょう。20度を切るようになってきたら室内への移動をすると頭に入れておいてください。
越冬も15度以上が上限ですので環境にあった場所に移しましょう。
ウツボカズラには、雄と雌の株があり、その株が立派に育つと6月〜7月に小さな黄色い花が花びらを4枚付けて咲かせます。
ウツボカズラの花の大きさは1cmにも満たない、極小サイズです。
小さい花を咲かせるウツボカズラの花言葉には、「甘い罠」「油断」「絡みつく視線」の意味があります。
捕虫植物のウツボカズラの育て方についてご紹介しました。虫を捕まえる独特な構造をしており、日本では珍しい植物です。また、ウツボカズラは袋を美しく付けさせることで、より観賞価値の上がる食虫植物です。
ほかの方法には、テラリウムやハンギングも似合います。
ポケモンでも知られている「ウツボット」と比較してどう似ているのか検証してみても面白いかもしれませんね。
どのようにして虫を捕らえているのか観察してみてください。
※トップ画像はたいちさん@GreenSnap
GreenSnap編集部