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ヤツデはウコギ科のヤツデ属に分類されている常緑低木です。日本では庭木や玄関の飾りとして古来から親しまれている縁起の良い植物です。こちらの記事では、そんなヤツデの育て方や特徴などをご紹介いたします。
陰樹であるヤツデは、半日陰でジメジメと湿り気のある環境を好みます。強い日光はあまり得意ではなく乾燥にも弱いので、年間を通してあまり日の当たらない半日陰か明るい日陰で育ててあげましょう。
日光に当てすぎてしまうと葉焼けをおこしたり、葉っぱの色艶が悪くなってしまうので注意してください。
ヤツデは暗めの日陰にも耐性はありますが、一日中日の当たらない場所にいると、流石に下葉が落ちてヒョロヒョロに育ってしまいます。そのため、日当たりとしては一日に2〜3時間程度日が当たるような環境が理想的です。
室内でも地植えと同じく日当たりに気をつけて、半日陰の場所に置いてあげましょう。
ヤツデは湿気と日陰に強い半面、夏場の乾燥と冬の寒波には弱いので、乾燥した場所と風の強い場所も避けてあげましょう。
日当たりと乾燥と風の3つに気をつけていれば、一般的な樹木が育たないような環境でも、強く育ってくれるので園芸初心者でも比較的簡単に育てることができます。
また、地植え以外でも鉢植えでも育てることができるので、室内で観葉植物として育てることも可能です。
ヤツデを地植えする場合は、根がしっかりと張ってからは雨水だけで水やりはほとんど不要です。ただし、真夏などあまりにも土が乾燥するという際には水をあげてください。
鉢植えの場合は、一般的な樹木や苗木と同じように土の表面が乾いたら水を与えます。このように水やりに関してヤツデはあまり手間がかかりません。
冬場の水やりは夏ほど気を配らなくても大丈夫です。地植えしている場合は水やりは不要で、鉢植えの場合も土が乾ききったら与える程度でOKです。
ヤツデは肥料を与えなくても十分丈夫に育ちますが、肥料をあげることで新しい枝や新芽の成長が促されます。肥料を与える際は、2〜3月の間に、油かすや骨粉を混ぜたものを株元に施すのがおすすめです。
また、鉢植えで栽培している場合は、葉の色が薄くなったり、黄色く変色してくることがあれば油かすや緩効性化成肥料を少量あげてみてください。
ヤツデは強い粘土質の土さえ避けていれば、どのような土質でも育てることが可能です。湿り気のある土を好むので、水もちと通気性の良い土をつくってあげるとなお良いでしょう。
ヤツデを鉢植えで育てる場合は、赤玉土と腐葉土を6:4の割合で混ぜてつくるのがおすすめです。地植えする場合には苗を植える1〜2週間前に周囲に3割くらい腐葉土を混ぜて寝かせておくと良いでしょう。
また、植える周囲の土の水はけが良すぎる際には腐葉土と一緒に堆肥を混ぜ込むと水もちが良くなります。
ヤツデの植え替え・植え付けは、4〜5月頃に行います。
ヤツデを鉢植えで育てている場合は、2年に一度のペースで植え替えを行って、用土の通気性を良くします。植え替えをする際は、根鉢を三分の一ほど崩します。
植え付けは、できるだけ根っこがしっかり張っている株を選ぶようにするのがポイントです。葉っぱが大きすぎると、そこから水分が抜けていってしますので、ある程度大きな葉は剪定してから植えるようにしましょう。
植え替えや植え付けに使う用土は保水性の高いものが適しているので、腐葉土や堆肥を混ぜ込んでおくのがおすすめです。
ヤツデの増やし方には「種まき」と「挿し木」の2種類の方法があります。
ヤツデの種は花が咲いたあと、しばらく経った5月頃に熟すので、それを使用します。このとき採取した種をすぐにまかずに取っておく場合は、種が乾燥しないように少し湿らせた川砂を一緒に混ぜてビニール袋に冷蔵庫で保管します。
種まきを行う時期は地植え・鉢植えともに3〜4月の時期が適しています。
最初はいきなり地植えせずに、ポットやセルトレイに土を入れて発芽させるのがおすすめです。種をまいたら発芽して、根が十分に生えてくるまでは、土を乾燥させないようにして日陰で管理しましょう。
この種まきに使う用土は、赤玉土とピートモスを1:1の割合で混ぜたものを使用すると良いです。なお、種まきからヤツデを育てるとm庭木の大きさになるまで大体5年ほどかかります。
挿し木で増やす場合が7〜8月頃が適期となります。やり方は、若い枝の先を10cm程度剪定し、赤玉土などに挿し込みます。この際、上の方に付いている葉っぱを数枚だけ残し、下葉は全て取り残します。
また、残した葉っぱも半分くらいの大きさに剪定して、根への負担を減らすようにします。枝を土に挿し込んだあとは、十分に発芽するまで土が乾かないようにして管理します。根と葉っぱがしっかりと生長してきたら植え替えを行って通常通りに育てます。
ヤツデの葉と根と茎には、ヤツデサポニンという毒性があるので、害虫は多くはつきません。
ただし、気温が高くなってくる5〜7月頃に、まれにカイガラムシが発生する可能性があります。カイガラムシがつくと樹液や葉の水分が吸われて、株が弱ってしまいます。発見した際には、幼虫の場合は薬剤を使って、成虫はブラシなどでこすると落ちるので退治するようにしましょう。
カイガラムシをそのまま放置してしまうとカイガラムシの排泄物が原因となって、すす病を併発させてしまう恐れがあります。
すす病とは、枝や葉っぱがすすのような黒いカビで覆われる病気で、それが原因で光合成が出来なくなり葉っぱが枯れてしまったり生育不良にもつながるのでなるべく初期のうちに対処しましょう。
ヤツデには、前述にもある通り、葉と根と茎に少量の毒が含まれており、人間や動物が口にすると腹痛や嘔吐などの体調不良を引き起こしてしまいます。昔はこの毒性を利用して、ヤツデの葉で殺虫剤つくっていたそうです。
ヤツデには毒がありますが、ヤツデの葉にはベータアファトシンやサポニン・アルファアファトシンという薬用成分も含まれており、薬として使用されることもあります。「八角金盤」と呼ばれる乾燥させた葉っぱは、生薬として鎮咳・去痰などの治療に使われています。
また、乾燥させたヤツデの葉は入浴剤としても利用されており、リウマチや疼痛、腰痛などに効果があると言われています。
ヤツデは毒にも薬にもなる植物として、古くから日本人の生活に親しまれているのです。
ヤツデは日本が原産国の植物なので、一年を通して温度管理は不要でそのまま育てることができます。ただし、寒さには少し弱いので東北や北海道などの豪雪地帯での栽植は少し難しいかもしれません。
ヤツデは、5月頃に熟した種を収穫することができます。収穫した種をまくことで新たにヤツデを育てることができます。
ヤツデの花言葉には「分別・健康・親しみ」などがあります。
存在感のある大きな葉っぱと不思議な花がとってもユニークなヤツデ。湿気や日陰に強く、手間がかからず特別な手入れも必要ないので、観葉植物やお庭のシンボルツリーとして簡単に育てることができます。
風水では魔除けや金運アップの効果があると言われていて、縁起が良い植物として日本では昔から親しまれています。
あなたもそんなヤツデを育ててみませんか?
GreenSnap編集部