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春先に花を咲かせる沈丁花(ジンチョウゲ)は、初夏のクチナシ、秋のキンモクセイと並び称される三大香木のひとつです。花の美しさだけでなく香りも楽しめる、沈丁花の育て方を紹介していきます。
ジンチョウゲは日当たりのよい場所を好み、日なたや半日陰で育てられます。ただし、極端に日当たり悪いと花数が減ってしまうので注意してください。また、西日や夏の強い直射日光が当たる場所、風の強い場所は傷んでしまうので避けましょう。
このほか、ジンチョウゲは寒さにやや弱いため、地植えは東北以南の地域でのみ育てることができます。
ジンチョウゲは根はりが浅く、細い根も少ないため乾燥に弱いという性質があります。
地植えの場合は基本的に水やりは不要ですが、夏の乾燥が激しいときは、根元の様子を見て水やりをするといいでしょう。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら鉢底からあふれるほどたっぷり、水やりをします。
ただし、水やりの頻度が多すぎると根腐れなどの原因になるので、土の様子を確かめてから水やりするように心がけてください。
ジンチョウゲを植え付ける前に、元肥として油かすや鶏糞などの有機肥料を混ぜておきます。そして、ジンチョウゲの花が咲く前の2月頃や、涼しくなる前の8月頃に追肥をします。
ジンチョウゲの木に肥料が直接触れないよう、根元から少し離れた位置に固形肥料などを置くといいでしょう。
ジンチョウゲを育てるときは、酸性やアルカリ性のどちらかが強い土壌でも問題はありません。ただし、水はけがよく、養分を含んだ軽い土が適しています。
地植えで植え付ける際は、植え穴に腐葉土を多めに入れてやや高植えにすると、土壌の水はけがよくなります。
ジンチョウゲの鉢植えの場合には、水はけがよく保水性の小粒の赤玉土と、培養土を6:4の割合で混ぜた土などを使用します。
ジンチョウゲは病気や害虫に比較的強く育てやすい花木ですが、白紋羽病などに注意が必要です。白紋羽病になると、葉がしおれて落葉し根が腐っていきます。この病気が発生した場所では、一度土を消毒するか新しく土を入れ替えるようにしてください。
また、春にできる新芽にはアブラムシがつきやすくなります。アブラムシはウイルス病などの原因にもなるため、見つけたら薬剤で早めに処理しましょう。
ジンチョウゲの植え替え時期は3~4月頃、もしくは9月頃が適しています。
ジンチョウゲの根が鉢いっぱいに回ったら一回り大きい鉢に植え替えをしましょう。ジンチョウゲは根が弱いので、根を切ったり折ったりしないように気を付けて植え替えましょう。植え替え後はたっぷり水やりをして土を固めてください。
また、地植えしている株の植え替えはすると枯れやすいので、基本的に植え替えをしないようにしてください。
ジンチョウゲは赤い実がなる雌株と、実がならない雄株があります。日本にあるジンチョウゲはほとんどが雄株のため、実がならず種を取ることができません。そのため、ジンチョウゲの増やし方は、「挿し木」が一般的です。
庭に植え付けたジンチョウゲを別の場所に植えたいというときでも、植え替えで移動するより、挿し木で増やす方がおすすめです。
挿し木をするには、花が終わったあとの4月頃に枝を切ります。切った枝は下葉を落とします。花が咲いている状態の枝を切って花瓶に飾ったあとでも、枝が腐っていなければそれを挿し木にできます。
切った枝は、8~10cmの長さにして切り口をくさび形に切り、枝先の葉は葉先から半分ほどを切り落とします。乾燥しないうちに挿し穂の切り口を1時間ほど水につけ、土にさします。土には、水はけのよい小粒の赤玉土か鹿沼土が使えます。挿し木したジンチョウゲは、翌年の3~4月頃には太い根を出しているでしょう。
十分に発根したあと、根を傷つけないように挿し木を1本ずつ丁寧に鉢上げします。地植えにするときは鉢上げから3~4年ほど鉢植えで育ててから植えると枯れにくくなります。
ジンチョウゲの木は、約1m程度までしか伸びないので、高く伸び過ぎないように枝を刈り込む必要がない花木です。枝の形も自然に整いやすく、とくに剪定をしなくても問題はありません。
伸びすぎた枝などの気になる部分があれば、花が咲き終わったあとに軽く剪定します。
ジンチョウゲは、3月から4月頃になると、芳香性のある小さな花を密集して咲かせます。花は内側は白く、外側は紫がかったピンク色をしています。
ジンチョウゲの花言葉には、「栄光」や「勝利」といったポジティブな意味がつけられています。
今回はジンチョウゲの育て方や植え付けの方法などをご紹介しました。
病害虫対策に手がかからず、剪定の必要もほとんどないなど、育てるのが比較的簡単な花木です。日常に緑のある生活を送りたいけれど、まめに植物を手入れするのは難しいという方にも向いています。
丸く集まって咲くかわいらしい花とその芳香は、季節が訪れるたび生活に彩りを与えてくれるでしょう。気になる香りの花木を身近に感じられるよう、ご自宅で実際に育ててみるのも素敵ですね!
※トップ画像はSAKUTOMOさん@GreenSnap
GreenSnap編集部