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オモトは、万年青々とした葉を楽しめることから「万年青」という名前がつけられました。元々は日本や中国に自生する植物で、室町時代から栽培が始まったといわれています。江戸時代から品種改良が繰り返され、さまざまな美しい形や模様は「葉芸」と呼ばれ愛されてきました。葉が落ちにくく、縁起の良い植物として人気の高いオモトについてご紹介しましょう。
オモトの育て方では、「日当たり」と「水やり」が大切です。季節によって、たくさん日光に当てたり控えたり、たっぷりと水をあげたり控えたりと、メリハリをつけて育てていくことで、丈夫な株が育ってくれます。
オモトは基本的に半日陰となるような場所を好みます。オモトには耐陰性があるため、一日のうち半分が日陰でも育ちます。ただし、オモトを育てるときは、季節によって置き場所を変えてあげるとなおよいでしょう。
鉢植えの方が管理しやすい植物ですが、寒冷地でなければ地植えで楽しむこともできます。地植えの場合は、日向よりもずっと日陰となる場所に置いておく方がよいです。
夏と冬は、オモトの休眠期にあたります。この時期は日光を必要としないため、日陰となる場所に置きましょう。
多少の日光であれば当たっても問題ありませんが、1日1時間以内くらいにおさめましょう。
また、オモトは-5℃までの耐寒性がありますが、寒風や凍結には弱いです。気温が13℃を下回るくらいになったら、室内に取り込んであげた方がよいでしょう。
なお、室内で育てる場合は、エアコンの風が直接当たらないように注意してください。
春と秋は、オモトの成長期にあたります。風通しが良く、午前中に日光が当たるような半日陰においてあげましょう。
この季節は直射日光に当たっても問題ありませんので、たくさん日光に当ててください。
また、オモトは多湿を苦手とするため、梅雨の時期は高温多湿を避けるためにも、雨の当たらない場所に移動するのがおすすめです。
オモトは水はけさえ良ければ、あまり土を選びません。
川砂や軽石だけでも育ちます。ほかには日向土や富士砂がおすすめです。川砂と混ぜて使いましょう。
オモトは種から育てることもできますが、管理がとても難しいため、基本的には苗から育てるのが一般的です。
植え付け時期は、3〜4月と9〜10月頃が適期です。
鉢植えに植え付けるなら、3分の1ほど土を入れて苗を植え、ぎゅっと押しながら土を被せましょう。乾燥対策として、土の表面に苔を敷くという方法もあります。
地植えの場合は、半日陰になり、水はけの良い土壌の場所を選んで植え付けます。苗よりやや大きめの穴を掘って、そこに植え付けてください。
夏・冬はオモトの休眠期にあたるため、水やりは控えめにします。小さい鉢であれば1週間に1回、大きい鉢であれば1ヶ月に1回程度の頻度で水やりをしましょう。
冬は水やり後に土が凍結する可能性があるため、日中の暖かい時間帯に水やりをしてください。
オモトは乾燥を嫌いますが、同時に多湿も苦手とします。
基本的には、土が乾いたら毎日たっぷり水やりします。ただし、多湿になってはいけないため、鉢底に溜まった水はこまめに捨ててあげましょう。
なお、昼頃に水やりをすると、土が高温で蒸した状態になってしまうので、水やりは早朝か夕方以降に行います。
オモトには、あまり肥料は必要ありません。
与えすぎると逆に株が傷んでしまうため、春と秋の成長期に液体肥料を希釈して与える程度にしてください。
オモトは1〜2年に1度、植え替えが必要となります。植え替え時期は、3〜4月と9〜10月頃が適期です。
植え替え方法は、以下の通りです。
オモトは「株分け」で増やすことができます。株分けは植え替えと同じ時期に行うと、効率的に数を増やせます。
まず、植え替えのときに洗った株の根元を、手で分けます。このとき、1つの株に白い根が残るように、分けましょう。あとは植え付けの手順と同じです。
オモトは根茎にステロイド強心配糖体を含有しています。中国の医学では、茎を強心剤や利尿剤として利用していますが、とても毒性の強い植物で、一般的には薬用として扱いません。
食べると嘔吐や頭痛といった症状が出て心肺停止に至ることもあり、死亡例も確認されています。
また、葉や実にも毒性があります。特に小さな子供が葉などを口にしないよう、注意してください。服用後1時間以内なら胃洗浄や下剤の使用、人工呼吸、抗痙攣剤の投与、強制利尿による処置が有効とされています。
もし誤って口にしてしまった場合は、「公益財団法人 日本中毒情報センター」の中毒110番に連絡し、処置方法を確認してください。
参考:日本中毒情報センター
オモトは半日陰を好むため、あまり日光にあたりすぎると葉焼けしてしまいます。日当たり加減に注意してあげましょう。
また、葉焼けと似ていますが、株の一番下の葉っぱが枯れる原因は「寿命」です。オモトの株の一番下にある葉っぱは、1年に1回落ちるので、これは特に気にする必要はありません。
オモトがかかりやすい病気は、芋腐れ病です。主に根が傷ついたところから腐敗菌やカビが侵入し、根茎を腐らせてしまいます。この病気にかかってしまうと、オモトの価値はがくっと下がってしまいます。
もし芋腐れ病にかかったら、元気な所以外は念入りに切り離して、鉢植えを中性洗剤などでしっかりと洗い、土を入れ替えてください。
また、風通しが悪く埃っぽい環境では、カイガラムシという害虫が付きやすくなるので、そちらも注意しましょう。
硬い殻で覆われると殺虫剤で駆除できないので、綿棒や歯ブラシで慎重に擦り落とすようにして取り除きます。カイガラムシはあらかじめ薬剤で防虫することができます。
葉っぱを楽しむことがメインのオモトですが、実は4~5月頃になるとクリーム色の小さな花を咲かせます。
オモトの花は少し変わった形をしていて、茎の先に柄のない花をつける穂状花序になっています。花被片は6枚で、小さな花がたくさんつけます。トウモロコシにも似ています。
花後には赤い実をつけますが、これには毒性があるので注意しましょう。
とても縁起の良い植物として親しまれているオモトをご紹介しました。
乾燥も過湿も苦手なので水やりが少々難しいですが、1年を通して葉姿を楽しめる観葉植物として人気があります。
鉢植えなら場所を移動させやすくお世話しやすいので、ぜひ育ててみてください。
※トップ画像はPhoto by ポンピーさん@GreenSnap
松本光男