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オモトは緑の葉を一年中茂らせていることから、災難を防ぎ、家が万年栄えるという言い伝えがある観葉植物です。
また、赤い実が濃い緑の葉に包まれるように成る様子が、子を抱き抱えて慈しむ母親と重なることから「母性の愛」という花言葉がつけられています。
正月飾りとしてはよく使っていても、植物としてどういうものかはあまり知られていないかもしれません。
オモトは日本と中国に自生する、30〜60cmの多年草で、年中緑色の葉をつけています。
4月から6月にかけてクリーム色の小さな花が棒状に連なって咲き、その後から真っ赤な実が緑の葉の中心に実ります。
根に毒があるため、その扱いだけは注意したいところです。
オモト栽培の歴史は古く、徳川家康が江戸城に入る際、家臣が献上したとも伝えられています。
一説には、その後江戸の平和が長く続いたため、縁起のいい植物とされたとも。
その後大名の間で好んで栽培されていましたが、徐々に市民にまで広がっていき、江戸の中期には多数の園芸品種が生み出されるほどのブームになりました。
嘘か誠か、一芽百両の値段がついたものもあったとか。
こういったブームはどうも定期的に起きたようで、1877年頃には京都を中心にブームになり、この時は一株千円(現在の価値に直すと1億)の例があったそうです。
古くから園芸種として身分を問わず親しまれてきた植物です。
観葉植物としても育てやすく、乾燥や過湿に弱いと言っても、簡単なコツをつかめば初心者でも十分育てられます。
日本にある古典園芸植物ではおそらく最も種類が多く、登録されている品種だけで1000種を超えます。
芸と呼ばれる葉の状態や葉姿、柄の特徴の出方で、同じ株でも呼び名が変わるなど、奥の深い世界を持っています。
初心者でも触れられて、上級者になっても触り続けられる、なんともやり込み派向けの観葉植物です。
※トップ画像はPhoto by 池さん@GreenSnap
徳原鉄二