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カランコエは花がよく咲く多肉植物として、鉢花や花壇にもよく使われる植物ですね。ですが、思うように花が咲かなかったり、ひょろひょろと間延びするように伸びてしまったり、不恰好な株姿になって困っている方も多いと思います。
そこで今回は、多肉植物のカランコエについて基本の育て方から、花を咲かせるコツや間延びする原因と対処方法についてご紹介します。
カランコエはベンケイソウ科の一種で、夏型の多肉植物です。(品種によっては春秋型のものも一部あります)
夏型というのは、夏に生育期を迎える多肉植物の生育タイプのことで、反対に5度以下の冬の時期は休眠期に入ります。夏といっても適温は18〜25度なので晩春・早秋も生育期ですが、その一方で真夏日以上の環境では少し生育が鈍ります。
季節によって置き場所や水やりの頻度を変える必要はありますが、基本的には丈夫な性質をもっているので初心者でも育てやすい植物ですよ。
また、ほかの多肉植物よりもたくさん花を咲かせるので、育てがいもある多肉植物です。品種によってかなり見た目も変わるので、ぜひこちらの記事もチェックしてみてくださいね。
開花時期 | 11月、12月、1月、2月、3月、4月 |
植え替え | 5月、6月、9月 |
剪定 | 5月、6月、9月 |
肥料 | 4月、5月、6月、7月、9月、10月 |
カランコエは春や秋の時期には日当たりの良い場所で管理します。ただし、強い直射日光に浴びせてしまうと葉焼けを起こすことがあるため避けるようにしてください。
また、カランコエは高温多湿に弱いので戸外の雨の掛からない風通しのよい場所が適しています。風通しが悪いと蒸れて腐る原因になるので注意しましょう。
夏は直射日光・西日・強い日差しを避け、明るい日陰ほどの場所に移して育てましょう。この時期はとくに蒸れやすくなるので、風通しが確保できなければサーキュレーターなどを定期的に回しておくといいですよ。
カランコエは冬の寒さには弱いため、気温が10度を下回る時期になったら室内で管理するようにしましょう。日当たりも大切なので、窓際の日当たりのいい場所に置いてください。
ただし、冬の夜は窓際の温度変化が激しくなるので、夜になったら室内の中ほどに移動させるか、窓に保温シートなどを貼って防寒対策をしておきましょう。また、暖房の風があたる場所も避けましょう。
カランコエは葉にたくさんの水を蓄える乾燥に強い多肉植物なので、4〜9月には土が乾ききったら、鉢底から流れ出るまで水やりをします。このとき、葉や花に水がかからないよう、葉をかきわけて株下の土に水やりするようにしてください。
なお、カランコエは根が細く水を吸収する力が若干弱めです。そのため水やりの頻度が多すぎると根腐れを起こしてしまうので注意してください。
また、真夏の時期は気温が低い朝方か夕方に水やりしましょう。気温が高くなる時間帯に水やりをすると鉢の中の温度が上がって腐ってしまうので、水やりの時間帯にも気配りが必要です。
休眠期の冬はやや乾燥気味に育てていきます。気温が15度を下回るようになってきたら、だんだんと水やりの頻度を落とし、10度以下になったら土が乾いてから4〜5日後に水やりを行うようにしましょう。5度以下の場合、もしくは12〜3月の間は断水することで耐寒性が増すので、完全に水やりを止めるのもおすすめです。
また室内は暖房などで乾燥しやすい状態になっているので、霧吹きを葉に吹きかける葉水をしてあげるとハリのある姿を楽しめますよ。
カランコエの肥料には、春と秋に液体肥料を与えます。2週間に1度のペースで、薄めてあげましょう。
ただし真夏は根腐れを引き起こしやすいので控えましょう。休眠期である冬も生長する時期ではないので与えないようにしてください。
カランコエの花を長期間楽しみたい場合は、リン酸の成分を多く含んでいる肥料がおすすめです。
カランコエの開花時期は、およそ11〜4月ごろの冬から春の間です。
ただし、品種によって開花時期は異なり、よく花壇に地植えされているカランコエの代表品種ブロスフェルディアナは11月開花、釣鐘型の花がかわいいカランコエテッサは2〜3月などばらつきはあります。とはいえ、1日の日照時間が短い時期に開花を迎えることが多いです。
そもそもカランコエは「短日植物」といって、日に当たる時間が12時間以下になり低温に当たることで花が咲く性質をもっているため、冬時期の室内では花が咲く条件に満たないことが多いのです。
たとえば下記のような環境で育てていると、カランコエの花が咲かない原因になります。
なお、低温に当たると咲く、といってもカランコエの自生地である熱帯地方にとっての低温なので、気温15〜10度ほどが目安です。カランコエの耐寒温度は5度ほどですが10度以下になると成長が緩慢になるので、花芽も形成されず花が咲かなくなってしまいます。
では、どうやってカランコエの花を咲かせるのかというと、「短日処理」をしてあげればいいだけです。
短日処理とは、室内で育てながら外のような日照条件の環境を擬似体験させることで、簡単にいうとダンボールなどを被せて暗闇をつくるだけです。
冬は室内に取り入れて、夕方5時〜朝7時までダンボールをかぶせるか押し入れにしまうなどして、暗闇の時間を14時間作ってあげます。そのあとは柔らかい日光に10時間ほど当てて、また夕方5時になったら暗闇をつくるのです。
これを30〜40日間繰り返えすと、この期間に花芽が形成されて花がよく咲くようになります。
カランコエの花が終わったら、花がら摘みをして余分な体力を使わせないようにしましょう。
カランコエはよく花が咲く多肉植物なので、開花時期を迎えると次々と開花します。そのため最近咲いた花と枯れた花が入り混じることもあるのですが、枯れた花をそのままにしておくと種子の形成にエネルギーを使い始めてしまうので、次の花が咲かなくなったり株全体も弱ってしまいます。
そうならないように、カランコエの花が終わったら花がついていた茎(花がら)ごと根元から折り取る、もしくは清潔なハサミでカットして取り除きましょう。
切り戻し剪定をする時期は、5〜6月か9月ごろです。ちょうどこの時期は植え替え時期でもあるので、同時に作業するのもおすすめです。2年に1度くらいの頻度で切り戻し剪定をするといいでしょう。
カランコエを長く育てていると、どんどんと茎葉だけが伸びて風通しが悪くなったり花つきも悪くなるので、定期的に切り戻し剪定をしましょう。
またひょろひょろ間延びしてしまった茎も、切り戻し剪定をすることで仕立て直すことができます。切り戻せばその後はどっしりしと力強く伸びていきますよ。
切り戻し剪定とは、茎を途中で切って株をコンパクトに仕立て直す剪定方法のことです。(花がら摘みは根元から切って取り除きますは、切り戻し剪定は途中出来ってまた生やす剪定方法です。)
カランコエの切り戻し剪定の方法は簡単で、地上から10cm上の部分にある葉の付け根上2〜3mmのところでバッサリと切るだけです。短くしすぎて不安に思うかもしれませんが、数ヶ月もすれば切り口の下の成長点からどんどんと新芽が伸びてくるので安心してくださいね。
ただし、カランコエは数年育てると株元が木質化することがあります。このようなときは、木質化が緑の茎に切り替わる部分から10cm上を目安に切り戻しをしてください。
切り戻しで切った茎は挿し木で増やすこともできます。挿し木のやり方はこちらの記事を参考にしてみてくださいね。
カランコエの植え替え時期は、5〜6月または9月頃が適期です。基本的に1〜2年に1回の頻度で植え替えするのが望ましいですが、下記の状態を目安に植え替えしてもいいでしょう。
カランコエの土には、水はけ・通気性のいい土を選びましょう。初心者であれば、市販の多肉植物専用の培養土やサボテン専用の培養土を用意するのがおすすめです。
自分で配合土をつくる場合は、赤玉土小粒5:川砂3:ピートモス2の割合でつくりましょう。草花用の培養土を流用したい場合は、川砂を3割混ぜてください。
なお、同時に切り戻し剪定をした場合は、根をほぐしたときに根を5分の1ほど切って長さも揃えるようにするといいですよ。
カランコエを育てていると、茎や葉がひょろひょろと間延びするように伸びて不恰好になることがあります。このような状態を「徒長」というのですが、ひょろひょろに伸びる原因には下記が考えられます。
カランコエがひょろひょろ伸びる一番の原因は日当たりです。日当たりが悪いと茎葉はできるだけ日が当たっている方向へ伸びていこうとします。その結果、節間が詰まっていない間延びしたような茎が伸びてしまうのです。
そうならないためにも、通年を通して直射日光を避けた日当たりのいい場所に置くことが必要です。
カランコエに限らず、植物は地下の根と地上の茎葉の量を比例させるように伸びていきます。
鉢の中で根が増えすぎて根詰まりを起こしていたり、根腐れを起こしていると、地上部の茎葉を貧弱にしてなんとか均衡を保とうとするので、結果的に茎がひょろひょろと伸びてしまうのです。
徒長状態から立て直すときは、切り戻し剪定をして植え替えしましょう。根詰まりする前に定期的に植え替えしておくのも大切です。
カランコエは先述の通り、寒さに弱いので基本的には地植えでは育てられません。鉢植えにして季節によって置き場所を屋外や室内に移動させるのが一般的です。
とはいえ、カランコエの中には寒さに強い品種があり、一般地〜温暖地であれば地植えで越冬することもできます。とくにおすすめなのが、弁慶草(ベンケイソウ)はカランコエの中でも寒さに強く地植えで育てられます。
それ以外の品種でも霜にさえ当たらなければすぐに枯れることはないので、徐々に寒さに慣らして屋外で越冬した翌年、地植えにして試してみるのもおすすめです。
ただその場合は部分的にビニールトンネルを張って防寒対策するなどのお手入れが必要になります。
カランコエを寄せ植えするときは、春秋型の多肉植物、もしくは夏型の多肉植物と組み合わせるといいですよ。
春秋型の多肉植物にはエケベリアやセダムなど、メジャーな多肉植物がたくさんあります。夏型にはアロエやアガベなどのがあります。
また、カランコエ属同士で寄せ植えするのもおすすめです。とくに月兎耳や熊童子、猫の手など、アニマル系寄せ植えなども最近人気なので挑戦してみてはいかがでしょうか。
葉や花が枯れていて放置していると、灰色かび病になる恐れがあります。枯れた葉や花がらを見つけたら、摘み取って被害を抑えましょう。
カランコエは、オンシツコナジラミやアブラムシなどの害虫にも食べられやすい多肉植物です。
アブラムシが発生したときは、早急に薬剤を撒いて退治します。コナジラミは葉の裏にくっついて液汁を吸い取る、生育に悪影響を及ぼす害虫です。見つけ次第薬剤を散布して駆除しましょう。
子宝に恵まれるようにという花言葉があるカランコエの育て方についてご紹介しました。母親の様な、強く美しい多肉植物は古くから親しまれています。今回を機にカランコエを育ててみてはいかがでしょうか。
GreenSnap編集部