青木(アオキ)

ガリア(アオキ)科アオキ属の常緑低木。日本固有種。日陰を好む陰樹で、照葉樹林や雑木林に生え、植栽もされる。深緑色の葉は対生し、長楕円形で粗い鋸歯があり、乾くと黒くなる。花期は３～５月、花は紫褐色。雌雄異株で、雄花は雄しべが４つあり雌しべが退化している。雌花は花の真ん中に緑色の凸起があり雄しべはない。雌株につく果実は核果で楕円形。果期は１２～５月で、ヒヨドリなどの鳥を引き寄せるために赤く熟す。色がまだらで形がいびつな果実は、アオキミタマバエの幼虫が寄生した虫こぶの果実で種子はできない。白や黄色の果実や斑入り葉などの栽培品種もある。

昔は緑色も青といった。小枝も幹も青色の木、または一年中青々としている木だから青木の名がついた。

雌雄異株のため雄株と雌株が側にないと結実しない。１７８３年にスウェーデン人植物学者ツンベルクが『日本植物誌』に青木を紹介したところ、常緑で陰樹のため欧米人に注目された。果実のついた株がイギリスに運ばれて温室で育てられた。花は咲くものの、雌株だけのため何年たっても果実はつかなかった。それから７８年後、イギリスの植物ハンターによって雄株が採取され軍艦で運ばれ、間もなく果実がつくようになった。

出典『里山の植物 ハンドブック』『樹木の名前』