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エーデルワイスは、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌「エーデルワイス」で一躍有名になった花です。トラップ大佐がドイツに併合され消えゆく祖国オーストリアを想い、その象徴としてエーデルワイスの花を愛おしみながら歌うシーンはとても印象的でした。でも、エーデルワイスという名前を聞いたことがあっても実際に花を見たり、まして育てている方は少ないかもしれませんね。
今回はそんなエーデルワイスの育て方を紹介します。
高山植物のエーデルワイスは、気温が低く日照時間が短い、冷涼な環境を好みます。高原や関東以北の寒冷地では庭や花壇に植えることができますが、その他の地域では地植えは避けた方が安心です。
エーデルワイスは夏の花とはいえ、暑さには極端に弱い性質があるので、直射日光の当たる場所は避けましょう。広葉樹・落葉樹の下など半日陰の場所が適しています。
また多湿を嫌うので、ロックガーデンなど水はけの良い場所で育てます。梅雨や秋の長雨の時期は軒下に移動させたり、夏越し対策を施したりしてください。
エーデルワイスの育て方には少し工夫が必要になるので、鉢植えの方が管理しやすいかもしれません。
エーデルワイスへの水やりは、朝夕に土の乾燥具合をチェックしながら行ってください。土がやや乾燥していたら、たっぷり水を与えます。
エーデルワイスは乾燥を嫌う植物ですが、一方で多湿な環境も苦手で、常に土が湿っているような過湿状態では根腐れを起こして枯れてしまいます。冬は少し乾燥気味に育てますが、完全に乾燥してしまうと枯れてしまうので注意が必要です。
エーデルワイスを育てるときは、元肥として少量の緩効性化成肥料を混ぜ込むだけで、あとは不要です。エーデルワイスはもともと石灰岩がゴロゴロしているような岩場で生育するため、多くの肥料を必要とするような植物ではありません。
逆に肥料を与えすぎると、茎ばかりがひょろひょろと長く伸びてしまい草姿が悪くなってしまいます。追肥は成長具合をチェックしながら、必要であれば9月と3月に草花用の緩効性肥料を少量与えてください。
エーデルワイスを育てるときは、水はけの良い土が適しています。
弱アルカリ性の土壌を好むため、土壌にあらかじめ苦土石灰を混ぜて酸度調整をしておきましょう。具体的には、日向土(小粒):赤玉土(小粒)を半々の割合で混合した土か、市販の山野草用の培養土を用います。
エーデルワイスを地植えしたい場合は、直射日光が当たらない半日陰の涼しい場所に植え付けましょう。あらかじめ少量の苦土石灰を混ぜて、弱アルカリ性にしておくと生育がよくなります。
水はけを良くするためには、ロックガーデンがおすすめです。上手に石を組み込みながら植えつけてみましょう。株と株の隙間や表面をしっかりマルチングして乾燥を防いでくださいね。
エーデルワイスを鉢植えしたい場合は、市販の山野草用の培養土を使い、鉢は素焼きのものを使用して植え付けます。高温多湿に弱いので、梅雨と秋の長雨の際には軒下に移動させたり、夏は風通しの良い半日陰で管理してください。
エーデルワイスは根詰まりを起こしやすく、そのままにしておくと株が傷みます。鉢植えの場合は、1~2年に一度、株分けを行うか、一回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。
エーデルワイスの増やし方には、「種まき」や「株分け」という方法でがあります。
エーデルワイスは成長が早いので、簡単に種子から育てることができます。エーデルワイスの種の発芽温度は15~20度と、涼しくて日照時間が短い環境を好むので、秋まきをおすすめします。
開花したエーデルワイスから採取した種を使うなら、直ぐに蒔かない種はビニール袋に入れて冷蔵庫で保存しておきましょう。
種は花壇や鉢植えに直接まくのではなく、播種トレイにまきましょう。種同士が重ならないように間隔をあけ、覆土はせず霧吹きで保水してください。通気性のよい日陰で管理し、発芽後は日中は日光をしっかり当てて育てましょう。
乾燥したらしっかり水を与えます。本葉が2~3枚になったら植え替えて育てましょう。
株分けの適期は、春なら3月中旬から4月中旬、秋なら9月中旬から10月中旬を目安に行いましょう。暖かい地域なら秋に株分けをして冬を越す育て方がおすすめです。手順は下記の通りです。
現在日本に流通しているエーデルワイスの苗は種から平地で育てられたものなので、ある程度の耐暑性はあります。ただし、それでも暖地での栽培は難しく、花がきれいに白くならなかったり、暑さによって開花しないこともあります。
そのため、エーデルワイスの夏越しおよび栽培難易度は高めといわれています。
エーデルワイスは、基本的に剪定は不要な植物です。
花後には枯れた下葉を取り除き、風通しをよくしておいてください。鉢植えの鉢は、一年を通じて、半日陰の風通しの良い場所に移動させて管理しましょう。
特に、夏場はコンクリート等のベランダに直接置くことを避け、ハンギングバスケットにして軒下に吊るすなど、思いつく限りの風通しが良くなる方法を工夫してあげてくださいね。
エーデルワイスを酸性土や水はけの悪い土壌に植えた場合、葉や茎の先端が白や黄色になって成長が止まることがあります。多湿や蒸れによる根腐れと乾きすぎによる痛みにも注意が必要です。
ほかにも、気を付けたいのは以下の病気です。スス病:植物の表面が黒いススのようなもので覆われ、アブラムシのフンを食べて繁殖します。うどんこ病:窒素成分が多すぎるのが原因で白い粉で覆われたようになります。
また、春から夏の間に発生しやすいのは以下の害虫です。アブラムシ:葉や茎を食害で枯らすため、見つけ次第殺虫剤を散布して駆除して下さい。ハダニ:夏の乾燥する時期に発生するので、ハダニ専用の駆除液を散布して予防しましょう。
エーデルワイスの花の開花期は7月から9月です。エーデルワイスは、花期になると伸びた茎の頂部に頭花を数輪まとまって咲かせます。星型の花びらのように見えるのは「苞(ほう)」と呼ばれる変形した葉であり、本当の花は中心の黄色い部分です。
花は小さな筒状で、数輪が集まって径5~6㎜の頭花となり、頭花は茎頂部に数輪が集まり、さらにその周りを苞葉が囲むという構造になっています。
エーデルワイスの花には、高地環境に適応するため白い綿毛が密生しています。ふわふわと羊の毛のように見えることから、16世紀の博物学者コンラート・ゲスナーは、「Wollblume(=wool flower)」と呼んでいたそうです。この白い毛は寒さや乾燥などから花を守る役目を果たしています。
冬には地上部を枯らして宿根し、春に再び芽吹きます。開花後の白い花はドライフラワーとしても楽しめますので、風通しのよい場所に吊るしておきましょう。ちょうどクリスマスの時期に乾燥が終わるので、クリスマスにぴったりですよ。
エーデルワイスの花には、「奥ゆかしい美しさ」「高貴」 「崇高」「勇気」「忍耐」「初恋の感動」「大切な思い出」などの数多くの花言葉があります。西洋では「高潔な勇気」「大胆不敵」などの花言葉がつけられています。
白く高貴な星型の花・エーデルワイスは、今も昔も変わらず、登山家たちの憧れの花です。花序の形から「Gletscherstern( 氷河の星)」「Silberstern 銀の星)「Alpenstern( アルプスの星)「Alv etèrn( 永遠の白)」など、いろいろ素敵な呼び名があるようですが、あなたはどの名前が好きですか。エーデルワイスの苗はとても貴重なものなので、大事に育ててあげてくださいね。
※トップ画像はわいちゃんさん@GreenSnap
GreenSnap編集部