warning
error
success
information
細かい花が集まり、小さなまりのような形をしているコデマリ(別名:スズカケ、テマリバナ)。1〜2mほどの低木で、枝先に集まって花が咲く姿や紅葉する姿がかわいいと、江戸時代より庭木として好まれてきました。そんなコデマリの育て方や増やし方、剪定の方法などについてご紹介します。
コデマリは鉢植えでも育ちますが、すぐに株が大きくなるので、地植えの方が適しています。風通しが良く、日当たりが良い環境でよく育ちますが、半日陰の場所でも育つ初心者でも育てやすい樹木です。
乾燥しすぎないように、きつい夏日や西日が当たりにくい場所がいいでしょう。鉢植えの場合は、窓からの適度な日差しが入るところが適しています。
コデマリは、植えつけをして根が張るまでは水やりをします。
根がついてからは、地植えの場合は基本的に水やりは必要ありません。ただ、夏の日差しが強い日で、かなり土壌が乾燥するなら、朝か夕方に水やりをして、乾燥しないように注意することが必要です。
鉢植えの場合は、土を触って乾燥しているときは水やりをしましょう。水やりを忘れたり、株が大きくなり根詰まりで水がいきわたらなくなったりして葉や新梢が枯れたときでも、一回りほど大きい鉢に植え替えると、次の年に新しい葉ができて生きかえります。
コデマリの栽培には、寒肥(かんごえ)として、油かす10割に対して骨粉を3割程混ぜた有機質肥料を1〜2月頃に与えます。
寒肥は、休眠期のあとに根がよく伸びるように置肥として与えます。そのため、時間をかけて分解される緩効性の有機質肥料が適しています。与えるさいは、根に触れないように、根の先端のあたりに施肥をしましょう。
花を咲かせたあとの5〜6月頃にはお礼肥(おれいごえ)を、花を咲かせて疲れたコデマリの木を早く回復させるために与えます。お礼肥の肥料は、すぐに効果がある化学肥料が適しています。コデマリの根の先端あたりに、深さ10cmくらい掘って施肥をします。
コデマリに与える肥料は、寒肥とお礼肥の2回だけです。夏を過ぎてから肥料を与えると、枝が伸びて次の年に花ができないので、夏から寒肥をするまでは追肥の必要はありません。
コデマリはどの土壌でもほぼ育ちますが、弱酸性で適度に湿り気がある土壌を好みます。用土には、中粒から小粒の赤玉土を6〜7割ほど、腐葉土を3〜4割ほど混ぜた土を使います。庭に植える場合は、根鉢より大きめに穴を堀り、腐葉土に少しの堆肥を混ぜます。
コデマリは土をそれほど選ばないので、赤玉土や堆肥などの配合がすでになされている市販の花木用の土を利用してもいいでしょう。
コデマリの植え替えは、葉が落ちる10月〜11月か2〜3月頃が適しています。株が大きくなるので、株をいくつか植える場合は間を広くとって植えます。
根鉢より倍ほど大きめの穴に腐葉土や堆肥などを混ぜて植え付けをします。あまり深く植えると根腐れすることもあります。植え付け時は十分に水をやります。
地植えの場合は、一般的に植え替えをする必要はありません。鉢植えの場合は、株が次々と増えていくので、2〜3年に1度、一回り大きな鉢に植え替えます。新しい鉢に植え替えたら、日当たりのいい風通しのいい場所に置きましょう。
コデマリは植え付けの時期に「株分け」したり、「挿し木」で増やすこともできます。
株分けは、4〜5本ほどの枝がついた株に切り分けて、植え付けと同様の方法で植えます。
挿し木は、まず3月頃に前年に新たに出てきた枝を、10〜15cmほどカットして挿し穂にします。挿し穂の先端の葉を残してそれ以外の葉はカットします。挿し穂を数時間水につけてから、新しい小粒の赤玉土に挿します。半日陰で風が当たらない場所に置いて、水をたっぷりやると1か月くらいで芽や根がでてきます。
コデマリは、花が終わった5〜6月頃の時期に剪定します。その年の秋に伸びた枝についた花芽を切り落とさないよう、花芽がつく秋冬の時期には剪定しません。コデマリの剪定は、花をつけない3年以上たった古い枝は花を、地際から切り落としていきます。
しっかりと剪定をすることで、秋に新しい柔らかい枝が伸びて、春にはたくさんの花をつけるため、枝がしだれのように垂れてきれいな形に育ちます。
花が終わったあとにすぐに剪定をすれば、花芽が次第にふくらんできて、春までそのままにしていても自然に枝垂れたコデマリが見られますよ。
コデマリの株が増えすぎた場合や風通しが悪い場所だと、うどん粉病にかかり、株や葉にカビが生えて粉をまぶしたような斑点がつきます。次第に葉全体に広がり、黄色くなってついには枯れることもあります。
初夏や秋の雨と晴れの日が交互に繰り返されるとなりやすいので、予防をしておくことが必要です。
株が白くなったら、株を剪定して空気がよく通るようにします。うどんこ用の殺菌剤で、株に近い部分を重点的に散布し、葉の表裏両方にも散布をします。うどんこ病を見つけたら、その葉はすぐに摘み取りましょう。
株が多くなり枝が茂って通気性が悪い状態だと、コデマリにアブラムシがびっしりとつくことがあります。また、肥料の窒素が多いと葉にアミノ酸が生成され、そこへアブラムシが寄ってくることがあります。
葉や幹の栄養を吸って弱ってくる以外に、糞尿からすす病になることもあります。近くに野菜がなければ殺虫剤をまくか、柔らかい歯ブラシや手で取り除きます。
カイガラムシは、風通しが悪い場所を好み、葉や枝、幹に白っぽいカメムシのような形をした虫です。そのままにしておくと、株の栄養をとって株が弱ります。排泄物からすす病になることもあるので、幼虫のうちに殺虫剤を散布します。成虫になると、殺虫剤が効かなくなるため、ヘラで1匹ずつとります。
コデマリは開花時期の4〜5月頃になると、約1cmほどの小さな花が集まって、まりのような形で花を咲かせます。
暑さや寒さに強いので、地植えにしてそのままにしていても、春の季節には一面に花が咲きます。
コデマリの花言葉には、「優雅」、「友情」、「努力」、「上品」といった意味があります。
昔から日本人に親しまれてきたコデマリ。枝に小さい花がたくさんついて手鞠のような形をしている木として、庭や川沿いなどに植えられてきましたね。
地植えでは、最初の植え付けに水をしっかりとやり、後は極端に乾燥しないように気をつければ、ほとんど水やりも必要ない初心者にも育てやすい低木です。
花が終わったあとの剪定が、次の年の花をきれいに咲かせるかどうかの決め手なので大切です。花を切って飾ると、部屋が明るくなり優雅ですね。初心者でも挿し木や株分けでつきやすい木なので、庭に白い手毬をたくさん咲かせてみませんか。
※トップ画像はなさん@GreenSnap
GreenSnap編集部