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ナデシコ(なでしこ・撫子・ダイアンサス)は4〜10月にかけて咲く、日本の気候にもあっていて育てやすい一年草・多年草です。ナデシコは、秋の七草のひとつとして知られ、「なでしこジャパン」など日本では女性を例える花としても有名です。
今回はそんな古くから愛されるナデシコの育て方のほか、種まきや切り戻しなどのお手入れについて紹介します。
ナデシコの育て方のポイントは、定期的に切り戻しをすることと、土の通気性・排水性をよくしてあげることです。多湿な環境に弱いので、土の環境をよくして、切り戻しをして風通しをよくしてあげます。
また、寒さには弱いので多年草品種ならマルチングなどで防寒対策を。一年草なら種を採取して種まきから育てることもできます。
ナデシコの種まきをする時期は、9月〜10月頃です。ナデシコは発芽率が高く、種まきからでも簡単に育てられるので、初心者の方でも挑戦しやすいですよ。
ナデシコの苗を植える時期は3〜5月の春か、9〜10月の秋ごろです。平均気温が15度ほどのときに植えましょう。多年草品種を鉢植えで育てるときは、1〜2年に1回、春か秋に植え替えをしてください。
ナデシコは多湿に弱いので、植えるときの土は排水性や通気性を高めておくのが上手に育てるポイントです。
ナデシコを置く場所、植える場所は、ほどよい日当たりと風通しの良い場所です。
ただし真夏の強すぎる日差しの下では暑さで株が痛み、場合によっては枯れてしまうこともあるため、遮光するなど工夫をしてあげた方がいいでしょう。
寒さには比較的強いのですが、霜に何度も当たると葉が痛んで枯れてしまうことがあります。多年草品種の場合は冬などの寒い時期は霜よけを用意するか、軒下に移動してあげるといいでしょう。
暖かい室内ではうまく生育せず、花が咲かないこともあるので、一年を通してできるだけ室外で育てるようにしましょう。
ナデシコは乾燥気味の環境を好む植物なので、水やりは土の表面がしっかり乾いてから、鉢底から流れ出るまでたっぷり与えるようにしましょう。
土の表面が少し白っぽくなったら、1日から2日ほど間隔を空けてから水を与えるようにします。気温が高く、日差しの強い昼間の水やりは根を痛めやすいので、朝もしくは夕方に水やりしてください。
また、葉に水がかかると周りが蒸れやすくなるので、水やりをするときはなるべく根元の土に注ぐようにして与えましょう。とくに夏の時期はナデシコが苦手な高温多湿の環境になりやすく、弱ってしまうことが多いので気をつける必要があります。
ナデシコを地植えした場合は、植え付けのときに水をやれば、それ以降は基本的に雨の水分で育つので、日常的な水やりは必要ありません。
冬の水やりも夏と同じように、土が乾いたのを確認してから与えるようにしてください。冬は水の蒸発量が減るため、少し控えめの回数で充分でしょう。
ナデシコは、春から秋の4〜10月の間、粒状緩効性肥料か液体肥料を定期的に与えます。
粒状緩効性肥料の場合は月に1回、液体肥料の場合は7〜10日に1回程度与えます。いずれの場合も、草花用のリン酸、カリウム分が多い製品を用意しておきましょう。
とくに一年草品種の四季咲きのナデシコ品種の場合、肥料切れによって花つきが悪くなることがあるので、液体肥料を使って様子をみながら管理してみてください。
ナデシコは梅雨時期や夏の高温多湿の時期に、切り戻しをして風通しをよくしてやると、病害虫を予防できて元気に育ちます。
草丈が高い品種は、花後に花茎ごと株本から切り戻します。草丈が低い品種の場合は、花後に草丈が半分ほどになるよう、わき芽の上で切り戻ししましょう。
ナデシコの増やし方は、「種まき」、もしくは「挿し芽」や「株分け」といった方法があります。ナデシコは株が古くなると枯れやすくなったり、生育速度が遅くなりやすいので、数年に一度は株を更新をするためにも種まきや挿し芽で増やしていった方がいいでしょう。
挿し芽は春の4月から6月、秋の9月から10月頃が適しており、気温が安定しているため、うまく根を張る可能性が高くなります。
挿し穂には、まだ花がついていない若い芽を選んで切り取って、1時間ほど水に浸けましょう。水から挿し穂を取り出したら、用土を入れたポットに挿し穂を挿します。2週間から3週間ほどが経過し、十分に根が張ってきたら、鉢や庭などに移してあげましょう。
株分けで増やす場合は9月から10月頃の時期が適しています。
株は張りがあって元気なものを選び、芽が3つほどそれぞれの株につくように手で分けましょう。株分けを終えたら、根を広げポットや鉢に植え、根が張るまでは日陰で管理しましょう。
風通しが悪く、蒸れた環境が続くと立ち枯れ病や灰色かび病、黒さび病が発生しやすくなります。
黒さび病などが起きると葉に斑点が出て来るので、そのような状態を確認したら、すぐに発生した部分を切り取るなど対策をするようにしましょう。
そのほかにも、ナデシコの生育期にはアブラムシやヨトウムシなどが発生することもあります。
栄養を吸われて成長や開花が遅くなる原因にもなるので、こちらも見つけ次第駆除するようにしましょう。薬で予防する場合は、オルトラン粒剤が効果的です。
ナデシコには強い耐寒性があり、寒さには非常に強い植物です。
真冬のマイナス15℃ほどの寒さの中でも枯れることはなく、休眠することで、次の春には花を咲かせることもあります。暑さにもある程度の耐性は持っていますが、夏の時期に高い気温が続くと生育が弱まることもあります。強い直射日光を避ければ、夏越えも難しくないでしょう。
種から発芽するには20℃ほどが適した条件となっています。また、生育温度としては15〜25℃ほどが適しており、春や秋など気温が安定した時期に花を咲かせることが多いです。
ナデシコの種や草は、中国では生薬としても使われてきました。生薬ではカワラナデシコや中国原産のセキチクといった品種が使われます。
開花したとき、地上部に出ている全草を瞿麦(くばく)、秋頃に収穫して乾燥させた種の部分を瞿麦子(くばくし)と呼び、中国では瞿麦が、日本では瞿麦子が好まれて用いられていました。
消炎や利尿効果があるとされており、尿路疾患などに用いられています。生薬として用いる際は乾燥させた全草や種子の部分を水で煎じて飲みます。
今回は日本でも昔から親しまれてきた花である、ナデシコ(なでしこ・撫子・ダイアンサス)の育て方についてご紹介しました。
自然の中で自生してきたナデシコは乾燥や寒さにも強いため育てやすく、また四季咲きの品種も多いため1年を通して楽しむことができる花です。
ナデシコは種類が多く、日本の野原では見ることができない品種も多いので、ぜひ観賞用として庭やベランダで育ててみてください。
松原真理子
GreenSnap編集部