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ベゴニアはシュウカイドウ科に属する植物で、主に温かい地域に分布しています。
大きくて綺麗な花を咲かせることから園芸種として人気が高く、多くの品種改良種が作られて広く販売されています。
今回は、そんな園芸の定番、ベゴニアの育て方を解説します。
ベゴニアには、大きく次の3タイプがあります。タイプによって細かな育て方は異なりますが、どれも生育温度は15〜30度なので、真夏と冬は室内に取り込むことで、毎年開花を楽しめます。
冬の気温が15度より大幅に低くなる地域では、地植えで育てられないので、基本的には鉢植えにして育てましょう。とくに木立性ベゴニアと根茎性ベゴニアは日陰にも強いので、観葉植物として扱うほうが元気に育ちます。
タイプ | 開花時期 | 特徴 |
球根ベゴニア | 4〜5月、9〜10月 | 比較的大きな花がよく咲き、開花時期にはよく花壇に植えられている。草丈はだいたい30cm以下。 |
木立性ベゴニア | 4〜12月、品種による | いくつもの茎が立ち上がり、シャンデリアのように広がった葉の隙間から花を咲かせる。葉の模様が美しく、観葉植物としても楽しめる。 |
根茎性ベゴニア | 3〜6月 | 地下に根茎を伸ばし、横へと広く伸びていく。日陰に強い。花も咲くが葉の模様や色がさまざまで観葉植物・カラーリーフとしても楽しめる。 |
ベゴニアは日陰に強い一方、強い日光を苦手とするので、風通しのいい明るい日陰で育てましょう。
木立性ベゴニアと根茎ベゴニアは、夏は室内の明るい日陰か、レースカーテン越しの窓際におきましょう。春・秋・冬はガラス越しの日光に当てると元気に育ちます。ただし、葉がシルバーがかっていたり、斑入りの品種は葉焼けしやすいので注意してください。
球根ベゴニアは春から秋までは午前中だけ日が当たる半日陰か、明るい日陰に置いて、冬以降は鉢ごと室内か軒下に移動させてください。
ベゴニアはタイプに限らず、水分を好む植物です。とくに成長期である春〜秋は、成長のためにたくさんの水分を必要とします。夏場はとくに水分不足に陥りやすいため、定期的に観察し、土が乾いていたらたっぷりと水やりしてください。乾いた状態が続くと、ベゴニアは弱って枯れてしまします。
ただし、湿度が高い状態や水浸しのままの状態で管理すると、根腐れを起こしてしまう危険もあります。気温の低い朝方に水やりし、鉢植えで育てている場合は受け皿に水がたまった状態で放置しないようにしてください。
また、葉に水がかかると葉が傷んで弱ってしまうため、葉に直接水がかからないように注意して水やりを行ってください。
冬場気温が下がるとベゴニアはあまり生育しません。そのため水分もさほど必要としなくなります。
水を吸わない分、根腐れ起こす危険性も高まるため、少し温かい室内で育てるような場合は、むしろ少し乾かし気味に管理するほうが元気に育ちます。
もちろん、温度調節が可能なビニールハウスなどを用いて、夏場と同じような温度で育てることが可能な場合は、夏場と同じようにたっぷりと水を与えます。
ベゴニアは熱帯性の植物であるため、温度が高いほうがよく育ち、年中を通して水分をたっぷり与えたほうが、株に迫力がでます。
ベゴニアは栄養分が乏しい土でも育つことができます。
用土を準備するさいに、元肥として、腐葉土や、緩やかに作用するようなタイプの化学肥料(緩効性肥料)を混ぜ込んでやれば、ほとんどそれだけで十分です。
逆に夏場の温度が高い時期に大量の即効性の高い肥料などを与えると、肥料障害を引き起こして反対に弱ってしまう原因になりかねません。また、用土自体を傷めてしまう原因にもなるため、夏場は肥料を控えましょう。
冬場に関しても同様で、追肥などは特に必要ありません。
追肥を与えるのであれば、春先や秋口がベストですこれらの時期に追肥を与えることにより、葉の色が良くなります。ただし、与え過ぎには注意する必要があります。
ベゴニアは切り戻しをすると、より健康で見た目にも美しく育ちます。そもそも葉がよく茂る植物なので、そのまま剪定せずに育てると株が蒸れて弱るため、定期的に切り戻しをしましょう。
ベゴニアの切り戻しをする時期は下記のとおりです。タイプによってどの程度切り戻すかは異なりますが、根茎性ベゴニア以外は基本的にわき芽の1〜2cm上の位置で切り戻しします。
タイプ | 剪定時期 | 剪定方法 |
球根ベゴニア | 初夏の開花が終わったら | 草丈が半分になるようにわき芽の上で切り戻しする。 |
木立性ベゴニア | 5月中旬〜10月上旬 | 混み合うように伸びる茎は、分岐の根本から剪定する。株全体を小さくしたいなら、全体をわき芽の上で切り戻しする。 |
根茎性ベゴニア | 6〜8月の湿度が高い時期 | 混み合った葉や枯れた葉があれば、茎の生え際から間引くように剪定する。 |
このほか、花が終わったら花がら摘みをしておくと、種子をつくるエネルギーを使わないですむので、葉や次の花が健康に育ちます。
木立性ベゴニアや根茎性ベゴニアの植え替えの時期は、真夏を避けた5〜9月の間です。鉢に対して植物が大きく成長しすぎて窮屈そうに見えるときや、鉢の下の部分から根がはみ出しているのを目安に、1〜2年に1回ほどの頻度で植え替えをしましょう。
また、水をやったときになかなか用土が水を吸収しない場合は土の中で根が張りすぎて、根が窮屈になっている場合が多いので、このような状態がみられる場合も植え替えを行った方が良いです。
なお、球根ベゴニアは2〜3年程度なら球根を植えっぱなしのまま育てられます。
ベゴニアを植え替えするときは、木立性・根茎性のベゴニアなら観葉植物用の培養土。球根ベゴニアには草花用の培養土を用意しましょう。どちらもホームセンターや通販などで市販されています。
ベゴニアは水を好む植物ですが、ずっと湿った状態だと根腐れを起こしてしまうので、土は水はけ・通気性のいいものを用意しましょう。
一方、鉢はプラスチック製などの保水性の高い素材のものがおすすめです。
ベゴニアは耐寒性が低く、日本の冬の寒さにはあまり強くありません。そのため冬越しをさせるには温度管理や寒さ対策が必要です。
とくに10度を下回ると枯れる危険性があるので、屋外に置いていた場合は秋頃になったら室内に取り込むか、ビニールハウスなどを利用して、温度が低くなりすぎないように気をつける必要があります。
室内にいれていても、暖房を切ったり夜間も窓際に置いていると10度を下回ることがあります。このようなときは、二重鉢といって、鉢ごと一回り大きい鉢にいれて隙間に土を入れる方法や、発泡スチロールに鉢とホッカイロを入れて、草が出ている部分だけくり抜いたフタを被せておくと安心です。
そのほか、休眠中は水やりをかなり控えめにし、肥料も与えないでください。
とくに木立性ベゴニアや根茎性ベゴニアは、挿し木という増やし方で簡単に株を増やすことができます。ベゴニアの挿し木の時期は5月上旬ごろがもっとも適していますが、ビニールハウスや室内で夜間でも暖房が効いているのなら通年行えます。
この記事では、木立性ベゴニアのマクラータという品種を例に、挿し木のやり方をご紹介します。
大きく育って伸び放題のベゴニアを、切り戻ししながら挿し木していきます。花が咲いている時期はすなわち生育期なので、開花中に挿し木しましょう。
切り戻しの項目にならって、わき芽の上で切り戻しします。
花がついている茎はその後わき芽が出にくいので、挿し木をするときは花がついていない枝を挿し穂にしましょう。
中間部分の茎もわき芽さえあれば挿し穂にできます。切り戻しで剪定した茎が長い場合は、大体10〜15cmくらいの長さに切り分けましょう。
切り分けるときは、わき芽のすぐ上の葉、もしくはわき芽が出ている葉を残して、それ以外の中間部の葉は切り落とします。
ベゴニアの葉が大きい品種は、半分程度にカットしましょう。こうすることで根から吸い上げる水分と葉から蒸発する水分のバランスが取れます。
また、切り口は写真のように斜めに切り戻しておきましょう。
挿し穂がすべて整ったら、切り口を1〜2時間ほど水につけて水分を吸収させます。
このとき発根促進剤を水に適量混ぜておくと、発根率があがって活着もよくなります。
挿し木する鉢はプラスチック製がおすすめです。鉢底ネット、鉢底石をしいたら、9分目まで挿し木用の培養土を入れておきましょう。
挿し木用の培養土は市販にあるほか、赤玉土でも代用できます。
鉢の側面のほうに、割り箸などで5cmほどの植え穴をあけ、そこへ挿し穂を植えていきます。
4号程度の鉢に4〜5本の挿し穂を挿し木することができます。鉢の側面を均等に一周するように植えていきましょう。
挿し木ができたら、たっぷりと水やりをして完了です。挿し木後は明るい日陰で土が乾きすぎないように管理しましょう。
マクラータなどの水を好む品種は、ビニールやラップをかぶせたり、簡易温室などに入れておくと安心です。
ベゴニアの病気としては、細菌斑点病、灰色カビ病、うどんこ病などがあります。
細菌斑点病や灰色カビ病の原因としては、水のやり過ぎによる蒸れによって菌やカビが繁殖してしまい、それが植物の傷などから植物の体内に入り込むことによっておこります。
このような病気が現れた場合は、病気になってしまった茎や葉を切り落とし、ほかの部分に病気が広がらないように対処する必要があります。
また、水はけを良くして通気性を保つことが菌やカビの増殖の防止につながるため、日頃から水はけを良くして管理することが重要です。
うどんこ病に関しては、土の中に存在しているカビが葉につくことによって起こります。土が乾燥すると、何かの拍子に土が巻き上げられ、土に含まれるカビが葉に付着してうどんこ病が発生します。
空気が乾燥しやすい冬場はうどんこ病に注意しましょう。うどんこ病の予防には、必要に応じて定期的に水やりを行い、長期間土を乾燥させないようにして管理することが効果的です。
害虫に関しては、ホコリダニが発生しやすいです。
ホコリダニは柔らかい芽などから植物の栄養分を吸い尽くしてしまい、結果、植物が弱ってしまいます。
春から秋にかけてはよく観察を行い、もしホコリダニを発見した場合は、殺虫剤を用いて駆除を行いましょう。
ベゴニアは歴史が古く、数多くの品種改良種が存在しています。その中から自分のお気に入りを見つけることができることも、ベゴニアを育てる醍醐味です。
皆さんも是非自分のお気に入りのベゴニアを見つけて育ててみてください。
松原真理子
GreenSnap編集部