勉強中_φ(・_・
アザミ
薊(あざみ) 別名:ノアザミを大薊(たいけい)、アレチアザミを小薊
薬用部位:葉、根
使用量:葉20~30g 根15g
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効用:利尿、解毒、止血、強壮
■調整法
夏から秋の花期に採取して、天日で乾燥させます。根は土を水洗いして落としてから天日で乾燥させます
■利用方法
葉20~30gに水400ccを入れて煎じ、約半量までトロ火で煮詰めたものを1日量として食前または食間に3回服用します。
◎止血
根を1日量15gとして同様に煎じて用います。出血、吐血、鼻血、痔出血などに効果があります。
◎外用薬として
葉の汁を腫れ物や乳腺炎などに外用する。
ホオズキ
酸漿(さんしょう)鬼灯
※日本では果実を登呂実という
薬用部位:根 果実 全草
使用量:3~15g
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効用:せき・たん 黄疸 小便不利 むくみ(浮腫・水腫)
ほおずきの歴史的仮名遣いは「ほほづき」で、語源は以下の通り諸説あるようです。
1.実が人の頬の紅色に似ていることから、「顔つき」や「目つき」などと同じ用法で「頬つき」からとする説。
2.果実から種子だけを取り除き、皮だけにしたものを口に入れて膨らまして鳴らす遊びがあることから、「ほほつき(頬突き)」からとする説。
3.「ホホ」というカメムシ類の虫がこの植物に集まってくることから、ホホがつく意味とする説。
4.実が火のように赤いことから、「ほほつき(火火着)」からとする説。 など
■調整法
7~8月ころの開花中に、地下茎および根を掘り取り、よく水洗いして日干しにします。これを生薬の、酸漿根(さんしょうこん)といいます。
また、全草を乾燥したものを、酸漿(さんしょう)といいます。
熟した果実は、水洗いして日干しにして、1日量8~15グラムを煎じて飲用します。
■利用方法
酸漿根(さんしょうこん)、酸漿(さんしょう)は、せき止め、解熱、利尿薬として発熱、黄疸、水腫に用います。
酸漿を、3~10グラムを1日量として0.3リットルの水を加えて煎じて、約2分の1量になるまで煮詰めます。それを食前に3回に分けて服用します。
酸漿根は、1日量10~15グラムも同様に用いますが、子宮の蠕動運動を盛んにして、緊縮(きんしゅく)する作用もあり、堕胎作用が生じるので妊婦の場合は用いることはできません。
トクサ
木賊(もくぞく)・砥草
薬用部位:地上茎
使用量:2~20g
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効用:下痢. 血便.痔.かぜ.むくみ(浮腫・水腫).
トクサの名前の由来は、茎が表面に珪酸(けいさん)を含んでいるために、
ざらつきがあり、非常に堅くなっていて、細工物などを、砥(と)ぐ草という
意味から、研ぐ草(とぐくさ)が転訛して、トクサの名前がついたとされています。
■調整法
春の4月ごろか、8~9月ごろ地上部を刈りとり、よく水洗いしてさっと熱湯に浸してから、日干しにして乾燥させます。これを、生薬の木賊(もくぞく)といいます。
■利用方法
◎腸出血・痔出血、淋疾や水腫
1日量15~20グラムを水0.4リットルで約2分の1量に煎じて3回に分けて服用します。
また、この煎じ汁は下痢止めにも用います。
◎かぜ
解熱には、1回量2~6グラムを水0.3リットルで2分の1量に煎じて服用します。
◎外用
トクサの茎葉(けいよう)を黒焼きにして、その粉を痔の脱肛(だっこう)にしぼり入れると効き目があるとされます。
カラタチ
枳殻(からたち・きこく)
日本ではダイダイやナツミカンの成熟間近の果実を枳殻(きこく)、未成熟果実を枳実(きじつ)という
薬用部位:成熟間近の果実
使用量:3~5g
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効用:消化器系の機能改善
カラタチは”中国中部を原産とし、古くから日本に渡来したもの”で、唐から来た
タチバナという意味。
枳殻と枳実の区別ははっきりしていなくて、大きいものを枳殻、小さいものを
枳実といったりしています。一般には苦みの強いものを枳実、苦味のうすいもの
を枳殻として扱っています。
■利用方法
◎多くは漢方処方の中で使われています。
◎健胃
食欲が無い時、ダイダイの果皮1~2gを1回分量として1日3回、食前服用
サルトリイバラ•サンキライ
バッカツ 山帰来(おうばく)
薬用部位:根茎
使用量:10~15g
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効用:利尿.解毒.
サルトリイバラは猿捕りイバラのことで、刺のある茎を四方にのばし、やぶの
ようになったところへ猿が追い込まれて捕ってしまうという意味です。
関西以西では、サルトリイバラの葉の大型のものを5月頃にとり、カシワの葉
と同じように餅を包む習慣があります。
■調整法
秋に根茎を掘り取り、細かく切って天日乾燥したものが、和の山帰来(さんき
らい)といい、中国産の土茯苓(どぶくりょう)の代用とします。
■利用方法
◎できものや腫れ物
乾燥した根茎10~15gを1日量として、水200ccを加えて煎じ、約半量まで煮
詰めて空腹時に3回に分けて服用します。
◎ニキビ
根茎10gとドクダミ15gハブ茶(エビスグサ)20gを混ぜて水500ccを約半量
まで煎じて、茶を飲むように1日数回に分けて服用します。
◎薬用酒
赤く熟した果実は、ホワイトリカーに漬けて薬用酒にします。
また、若葉を春先に、ゆでて水にさらして、おひたし、あえもの、天ぷらにし
て食べます。
キンミズヒキ
仙鶴草(せんかくそう)龍牙草(りゅうげそう)
薬用部位:全草
使用量:10~15g
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効用:止瀉.利胆.消炎.
「ヒッツキグサ」と言うと、ああっ!って思い出す方も多いと思います。
果実が衣類に簡単につきやすいことから、ヒッツキグサという別名があるのが、
キンミズヒキです。
キンミズヒキは金水引の意味で、花が鮮やかな黄色で、花穂の形が水引に似て
いるので付いた名といわれます。その名前から、祝い事に茶用にも使われます。
■調整法
夏から初秋の開花期に全草を掘り採り、水でよく洗って天日で乾燥します。
生薬名は仙鶴草(せんかくそう)龍牙草(りゅうげそう)といいます。
■利用方法
◎喀血、血便、子宮出血などの止血
1日量10~15gに、500ccの水で煎じて、3分の1まで煮詰めたものを
3回に分けて食間に温めて服用します
◎うがい
口内炎のとき煎じ液でうがいをします。
◎入浴剤
浴剤として、疲労回復、筋肉の疲れをとるときなどに風呂に用いられます。
◎しっぷ
皮膚炎、うるしかぶれ、にきび、などに全草を煎じた液で湿布します。
春、やわらかい若芽をおひたしやあえもの、汁の実として食用にします。
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キンミズヒキの名前の由来は、「水引」の意味で、夏に黄花の小花を細長く
穂のように咲かせる姿から「金色の水引」に見たてこの名前がつきました。
中国では、果実の刺毛が内側に曲がった姿から「竜の牙」を連想して
龍牙草という生薬名もあります。
トチュウ
杜仲
薬用部位:樹皮 葉
使用量:3~20g
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効用:精力減退.関節痛.腰痛.
トチュウ茶ブームにより、誰もが知っているトチュウですが、漢方ではもともと樹皮を使うことは、あまり知られていません。
トチュウ茶は、造船不況の折に、因島の日立造船が研究し、トチュウの葉っぱ
に樹皮と同様の成分があることを見つけたことに始まります。
■調整法
10年以上たった木を選び、樹皮を剥ぎ取り天日で乾燥したものが、生薬名で
杜仲(とちゅう)といいます。
■利用方法
性質は穏かで補養強壮薬として用いられていて、応用される領域は幅広く、
高血圧、動脈硬化予防、更年期症状改善、そして精力減退のいずれにも良好な
効果がみられています。
今はトチュウ茶を気軽に飲むことからはじめられます。
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葉、枝、幹皮ともに折ると銀白色の糸をひくことが特徴です。
これは、グッタペルカですが、強い血圧降下作用があるとされています。
また、このグッタペルカという物質は、科学的、物理的にも優れた性質を
もっていて、酸やアルカリ、塩類に強く、化学薬品、医療機器の部品材料、
電気絶縁材料として汎用されています。
センブリ
別名:当薬(トウヤク)
薬用部位:全草
使用量:0.3~1.5g 粉末0.1~0.5g
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効用:健胃.食欲不振.下痢.利胆.鎮痛.消炎
ちょっと季節外れですが、最近テレビなどで紹介されたことで、買い求められる方が増えてきていますので、お話しておきましょう。
ドクダミやゲンノショウコとともに、民間薬草として有名なセンブリは日本全土の日当たりと、少し湿り気味で、水はけがよい山野に自生する2年草。発芽した芽がそのまま冬をこして、翌年の秋に開花します。
■調整法
全草を利用する薬草類は、開花時期に植物の成長の頂点に達し、最もエネルギー旺盛な時期だからこのときに採取するのが基本です。
センブリも同様に開花期に全草を採取するとされています。土砂を洗い、日陰に吊るして乾燥させますが、緑色を失わないように仕上げるのがコツです。
注意:センブリは、2年草で自然界で自生する場合に根ごと採取してしまうときには、その種の絶滅が危惧されます。花期が終わって種子の散布が終わったあとでも効き目には変わりがないので、センブリの採取は開花期後の結実が終わる頃に採取することを心がけるとよいでしょう。
☆日本では主に苦味健胃薬(くみけんい)として消化不良、食欲不振、胃痛、
腹痛、下痢などに用います。
■煎剤として使用する場合
乾燥したセンブリ1~2本をそのまま折って、茶わんにいれ、熱湯を注ぎ、苦味成分が溶け出してから、冷やして飲みます。2~3回使用できます
■粉末にして使用する場合
1日3回0.03~0.15グラム(耳かき一杯ぐらい)を内服します。
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実は最近ブームの原因、育毛剤をつくる方が増えてきたからです。センブリには、毛根を刺激し、発毛効果を現す作用があります。
【センブリトニック】
センブリ15gとホワイトリカー200CCに漬けて密栓して冷暗所に2~3ヶ月保存し、こした液を頭皮に塗布します。
※ちなみに、テレビで放送したのは、センブリ60gとホワイトリカー1000CC
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センブリの名前の由来は、千回振り出しても(煎じても)まだ苦味が
残っているということからつきました。
また、当薬(とうやく)とは「当(まさ)に薬(くすり)」の意味から
きたもので、良く効くことをあらわしています。「良薬は口に苦し」とはセンブリにはぴったりの表現なのです。
マタタビ
又度(マタタビ)・木天蓼
薬用部位:虫こぶ
使用量:3~15g
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効用:補温.強心.利尿.神経痛.リュウマチ.腰痛
マタタビは、山地の山沿いなどに多く自生していて、若枝は蔓状に長くのびて
ゆるく周囲のものにからみつき、色は褐色をしています。
マタタビのつぼみの頃か、花の開く直前に「マタタビアブラムシ」という
小さな昆虫が、産卵すると、正常の形をした果実とはならず
いわゆる虫こぶのようになります。
これを、生薬の木天蓼(もくてんりょう)と呼んで薬用として用います。
この虫こぶは秋に採取して、熱湯又は短期間蒸してから
天日で充分乾燥させて保存します。
マタタビの蔓(つる)を乾燥したものは、天木蔓(てんもくつる)といい
虫こぶでない実を乾燥したものは天木実(てんもくじつ)といいます。
木天蓼(もくてんりょう)は、体を温めて血行をよくして強心、利尿の効き目があり、冷え性、神経痛、リューマチ、腰痛などに、
木天蓼10~15グラムを、600?の水で煎じながら約半量まで煮詰めたものを
こして、1日3回に分けて食間に服用します。
また、マタタビの乾燥した茎葉根・天木蔓(てんもくつる)も同じ効き目があるとされてるので、これも木天蓼(もくてんりょう)と同様に1日量を10~15グラムとして煎じて用います。
猫の病気には、木天蓼(もくてんりょう)の粉末を餌に混ぜて与えると良いとされます。
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【マタタビ酒】
木天蓼(もくてんりょう)200グラムとホワイトリカー1.8リットルに
ハチミツを適量加えて約3ヶ月冷暗所に漬け込みます。
布でこしてから1回さかずき1杯を毎日朝夕2回に分けて服用すると、
冷え性、神経痛、リューマチなどに効き目があり、利尿、強心の
はたらきも表します。
【塩漬け】
若い果実を塩で漬け込んで食べると、滋養強壮・冷え性に役立ちます。
【浴湯料】
乾燥した茎葉を袋にいれ、入浴剤とすると、保温、疲労回復、腰痛
熟睡安眠に役立ちます。
若葉、花をつみ、多めに塩をいれて熱湯でゆででから、水にさらして
おひたし、あえものなどに調理します。
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古くから、猫にマタタビと言いますが、実際に猫がマタタビにじゃれる様子は異常なほどすごく、名前の由来は、長旅に疲れた旅人がマタタビの果実を食べたら元気が出て、「また旅」をしたということから名づけられたというマタタビ語源説があります。
カリン(花梨)
薬用部位:果実
使用量:5~10g
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※カリンとボケは同じ効能で使います。
効用:鎮咳.鎮痙.利尿
中国原産の落葉性高木で日本全国で広く植栽されています。
カリンの実は、いかにもおいしそうに見えますが、堅い上に酸味と渋味が強く
生食はできません。
薄切りにして砂糖漬にしたり、煮てジャムやゼリーにして利用します。
カリンの果肉には咳止めの効果があり、乾果を煎じたものやハチミツ漬、カリン酒は、咳止めの妙薬として知られています。
のどが少し変だ風邪気味かな、と思った時など、早目にカリン酒を飲むと不思議に治ってしまった記憶のある方も多いと思います。美味と薬効を兼ね備えたカリン酒は、ぜひ作っておきたいものです。
子供さんにはハチミツ漬けをどうぞ。
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【カリン酒】
冬期に採取した果実5~6個を、縦横6~8個くらいに刻んで、
ホワイトリカー1.8リットルに漬け込み氷砂糖またはグラニュー糖約300g
を入れます。
使用するカリンは匂いが出て、表面がベトついていればOK。
そうでない場合は、しばらく室温で放置。1週間ほど置けば大丈夫です。
完全に熟成するまでには半年以上かかりますが、漬けてから2ヶ月程度で美しい淡黄色になり、芳香が出てくるので飲むことができます。
カリン酒の味は苦味(にがみ)がありますが、咳止めとして役立ちます。
※注意:薬効成分は種にあります。くれぐれも種を捨てないように。
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【カリンのハチミツ漬け】
ハチミツはカリンの量の倍量ぐらいを用います。
漬け込み、密封して冷暗所に置き、2週間くらいは1日おきに攪拌します。
1ヶ月ほどの熟成期間でおいしくできあがります。
できあがったカリン漬けを冷水やお湯で3倍にわってお飲み下さい。
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カリンは、落葉後の10~11月に、樹上に残って暗黄色に熟したものを採取して、10分程度湯通しして縦割りにして乾燥させます。
これを生薬(しょうやく)で、【木瓜(もっか)】といいます。
咳止めとして、木瓜(もっか)をさらに細かく刻んで、
1日量5~10グラムを適量の水で煎じて服用します。
スイカズラ(吸い葛)
薬用部位:茎.花
使用量:10~20g(茎)5~15g(花)
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効用:利尿.抗炎症.抗菌作用.解熱.解毒.発熱.化膿性疾患
神経痛.リウマチ
(浴剤 痔の痛み.皮膚疾患)
名前の由来は、花筒(かとう)の中に蜜があり、吸うと甘い味がして、つる性の低木(カズラ)ということから、吸い葛(スイカズラ)という名がついたといわれます。
また、冬でも茎の先の葉が落葉せずに残っている様子から、忍冬(にんどう)という名もあります。また、花も茎の腋に2つずつ並んで咲くのですが、片方が白色で、もう片方は黄色の場合もあります。このために、金銀花(きんぎんか)ともいう名前でも呼ばれています。
金銀花(きんぎんか)は忍冬(にんどう)と同様な効き目がありますが、抗菌作用に関しては忍冬を上回ります。
金銀花(きんぎんか)の煎じ液でうがいをすると、口内炎、歯槽膿漏にも有効とされています。
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【忍冬酒(にんどうしゅ)】
スイカズラの開花期に花とつぼみをとり、100gに対して1.8リットルの割合でホワイトリカーを入れて、1ヶ月以上熟成させます。
出来上がりにハチミツで適度に甘みをつけるとよいでしょう。美しい、淡黄色の忍冬酒(にんどうしゅ)が出きます。
忍冬酒(にんどうしゅ)には、利尿作用があり、膀胱炎、各種の皮膚病、神経痛、リウマチにも効き目があるとされます。
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【入浴剤】
忍冬(にんどう)や金銀花(きんぎんか)を浴剤にします。
腰痛や痔の痛み・湿疹・あせも・ただれに用います。
忍冬(にんどう)50~100g程度を木綿の袋に入れて、鍋であらかじめ
煮だし、その液を袋とともに風呂に入れて入浴します。
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【https://www.futabakanpo.co.jp/posts/(てんしんかんぼうへん)】
のど痛の風邪漢方、天津感冒片の主成分が金銀花(きんぎんか)です。
日頃から風邪を引くとのどを痛める方は、金銀花(きんぎんか)のお茶や天津感冒片をご家庭で上手に使うとよいでしょう。
アトピー性皮膚炎の炎症時にも、消炎の目的で安心して使えるものです。
イチョウ(銀杏)
薬用部位:葉、実
使用量:5~10g(葉)
5~10g(実・ぎんなん)
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効用:高血圧.動脈硬化(葉)鎮咳.去痰.夜尿症.強壮(実・ぎんなん)
ボケ防止・頭が良くなる・・・チョッと気になりますね。
最近、イチョウ葉の健康食品をよく見かけると思います。
イチョウは、2億年前から生息し、日本と中国にだけ自生する植物なのですが、
欧米では、30年以上も前から数々の研究が報告されています。
フラボノイド(ビタミンP)、カテキン類、テルペンなどを含み、血の流れをよくするとして、欧米では先んじて医薬品に位置づけられています。
老化や動脈硬化の予防、狭心症、高血圧、糖尿病、肩こりや冷え性、そして
ボケ、脳障害、精神障害など脳血管のトラブルに対する効果が報告されています。
調整法:新鮮な緑の葉を採取し、水洗いした後、日陰で乾燥させます。乾燥したら、小さく刻み、最後に日光に半日当ててしっかり乾燥した後に保管します。(葉)
ギンナンは食用で売っているものと同じです。(実)
飲み方:濃い目のお茶をお好みの方は、沸騰した湯(約600ml)の中に5~10gを入れ、弱火で5-10分間煮沸します。
うすめなら、急須に入れお湯を注ぐだけで飲むとよいでしょう。
【注意】
イチョウ葉には有効成分の他、かゆみを引き起こすアレルギー物質であるギンコール酸が葉と外種皮に多く含まれていて、エキスを抽出したいわゆる健康食品の場合は、ギンコール酸を除去しないと高濃度で残ってしまいます。そういう意味でも抽出エキスを使った健康食品は、処理のちゃんとしたメーカのものを飲むことをお勧めします。
また、お茶の場合は、漢方薬のように長時間煮つめなければ心配入りません。
イチョウ葉は黄色く紅葉するにつれてギンコール酸の含有量が増加していくため、
できるだけ緑の若葉を乾燥して使うようにしましょう。
※ギンナンの食べすぎには注意
子供さんはギンナンを食べ過ぎないようにしましょう。
ギンナンにはおしっこを止める働きがあるので、おねしょの子供に食べさすことがありますが、必ず1日、歳の数までに止めましょう。
結婚式などのお祝い料理に入っていますが、トイレを我慢しないといけない花嫁さんは、そっと食べておきましょう。
イタドリ
別名:虎杖根 コジョウコン
薬用部位:根(茎.葉)
使用量:5~10g
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効用:緩下.利尿.通経(膀胱結石).鎮咳.鎮静.止血
子供の頃、春の野山でイタドリ(別名:スカンポ・カッポン)をとった記憶のある方も多いと思います。
どこでも見られる植物で、のどの渇いているときなどの、さわやかな酸味は忘れられない味です。
■調整法
晩秋に、地上部が枯れた頃に根を掘り出し、水洗いし天日乾燥させます。
これを虎杖(こじょう)、虎杖根(こじょうこん)といいます。
■利用方法
◎緩下.利尿.通経(膀胱結石)
1日量5~10gを水500ccで、約半量まで煎じて3回に分けて服用します。
◎鎮咳.鎮静.止血
さらにカンゾウを少量加えると良いとされます。
◎擦り傷
生の葉をよくもんで傷にすり込みます。
■食べ方
若芽をつんで茹でて、酢味噌やゴマ和え、酢の物、油いためなどにします。
※若いイタドリは、茎が柔らくて水分に富み、酸味があるので食べますが
食べ過ぎますと下痢をひきおこしたり、シュウ酸が多いため腎結石や尿管結石の原因となることもあるので、多食や常食は控えてください。
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イタドリの名前の由来は「痛取り(いたどり)」の意味で付いたといわれますが、現在は痛み止めに使われることはありません。
虎杖の名は、茎に虎のような斑点がある杖のようだというところから来ています。
スギナ
別名:問荊 モンケイ
薬用部位:全草
使用量:5~10g
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効用:腎炎.むくみ.膀胱炎.糖尿病.湿疹.かゆみ
ツクシだれの子 スギナの子~~
ツクシは胞子を作り繁殖するための茎(胞子茎)で、スギナは葉の役目で栄養を蓄えるための栄養茎です。
■調整法
農薬などで汚染されていないところのスギナを、茂った5~7月に全草を
採取して水洗いして天日で乾燥します。
これを生薬の問荊(もんけい)です。
乾燥したスギナをフライパンで軽く炒ってからミキサーにかけて粉末にして
粉末として飲むことも出来ます。
■利用方法
◎腎臓炎、むくみ、膀胱炎、糖尿病
1日量10gを水500ccで、約半量まで煎じて3回に分けて服用します。
◎皮膚のかぶれ
漆(うるし)かぶれには、生の全草をすり潰して、その汁をかぶれた患部に塗布します。
あせもや化粧品かぶれなどの皮膚炎には、10gを水500ccで約5分煮出して、
人肌程度に冷まして皮膚に塗布します。
◎入浴剤
生のスギナか問荊(もんけい)を、適量を煮出してから風呂に入れると、
入浴剤になります。湿疹、かゆみなどの皮膚病によいとされます。
※ヨーロッパでは古くからスギナが熱をさげたり、ガンを予防するといわれて
いました。これが、江戸時代でオランダやポルトガルとの交易でスギナの薬効が日本に伝えられ、そのまま”ガンに効く”という風に言われているようです。
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名前の由来は、草の形が杉(すぎ)に似ているから、杉菜(すぎな)とついたといわれています。
フキ
蕗・別名:蜂斗菜 ホウトウサイ
薬用部位:花茎・根
使用量:5~20g
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効用:胃もたれ.胃痛.セキ.タン.打撲.のどの痛み
まだ雪の残る山道で、いち早く春を告げるフキノトウ 今でこそ冬でも多くの野菜が食卓を彩っていますが、昔は自然が与えてくれた春一番の青物だったのです。
葉が出る前に、根から太い花茎を出したのがフキノトウで、知らない人が見ると花と間違ってしまいます。
閉ざされた暗黒世界から勢いよく顔を出すところより、精力増強の漢方食として活用されてきました。
■調整法
生薬の蜂斗菜(ほうとさい)は、夏から秋に根茎を掘り採り水洗いして乾燥させたものをいいます。
また、ときに款苳根(かんとうこん)や款苳花(かんとうか)ともいいますが、これには異論もあります。
■利用方法
フキノトウは、苦味健胃薬として胃のもたれ、胃痛に用いられます。
また、咳を止めて痰(たん)をとることにも効き目があるとされます。
◎苦味健胃薬
胃のもたれ、胃痛、咳、痰には、フキノトウ1日量10~20gを、水500ccに加えて、煎じながら約半量になるまで煮詰めたものをこして1日3回食間に服用します。
また、蜂斗菜(ほうとさい)は、腫瘍、打撲傷、のどの痛みに用いられます。
※フキは、ワラビとともに発ガン性物質が含まれていると言われますが
アク抜きや塩漬けなどの処理をすることによって発ガン性は消滅するので
季節料理として風味を楽しむぐらいの摂取量なら心配いりません。
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実際、款苳(かんとう)は、中国から欧州にかけて広く分布するフキタンポポ
のことで、フキとは全く別で、早春にタンポポのような黄色花をつけます。
フキを款苳根(かんとうこん)や款苳花(かんとうか)と言うのは誤りで、蜂斗菜(ほうとさい)が正しい呼び名といわれます。
ウメ
別名:ウバイ
薬用部位:未熟果実
使用量:1~2個
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効用:かぜ.咳.食欲増進.健胃
今年は梅の花見にはいかれましたか?
「梅はその日の難のがれ」と、朝に梅干を食べる人も多いといいます。
梅は健康食品の王者、もっとも身近な薬草といえます。
■調整法
青ウメを梅干しや梅酒、梅肉エキスの材料とします。
未熟な青梅を薫製(くんせい)にしたものが、生薬の烏梅(ウバイ)です。
■利用方法
かぜには、鳥梅(うばい)を1~2個を水200ccで半量まで煎じ、熱いうちに
飲みます。
また、梅干し1~2個を黒くなるまで焼き、熱いうちに茶碗に入れて熱湯を注ぎ、
これをお湯ごと飲みます。
梅干し:
健康食品の代表で、解熱、鎮痛作用があり、含まれるクエン酸などの有機酸が
多いため、清涼感があって食欲を増進し、唾液や胃液の分泌を促進するので健胃薬ともなります。
梅酒:
傷のない青梅1キロを洗ってから完全に水分をふき取り、容器にホワイトリカー
1.8リットル氷砂糖(またはハチミツ)とともに入れ、しっかりふたをして冷暗所におき、半年後くらいから飲めます。
梅肉エキス:
青梅をすり潰して、布で汁を絞り、この汁を弱火でゆっくりと煮詰めたのが梅エキスです。
※種には有毒な青酸配糖体があるので気をつけてください。
サクラ
別名:桜皮(オウヒ)
薬用部位:樹皮
使用量:3~5g
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効用:咳.痰.湿疹
古来、サクラほど日本人の気性にぴったり合い、花といえばサクラを指し
国花としてひろく愛されてきました。
■調整法
6~8月に野生するサクラの樹皮をはいで、外面のコルク層を取り除いたもの
を天日で乾燥します。
これが生薬の桜皮(おうひ)です。
■利用方法
桜皮は、せきに1日量3~5gを適量で煎じて服用します。
ブチロンというエキス剤は、サクラの樹皮から作られるもので、鎮咳去痰剤として用いられています。
おでき、湿疹、じんましんなどには、煎じ液で患部を洗います。
◎入浴剤
また、サクラの葉は浴湯料としても、あせもなどに効き目があるとされています。
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サクラの葉には香りのよいクマリンを含み、花も食品とされ、樹皮や材は
細工物にされるなどの用途が広く、桜餅などの名物も多くあります。
桜餅のこうばしい香りもこのクマリンによるものです。
ハコベ
別名:繁縷(はんろう)
薬用部位:葉
使用量:5~10g
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効用:歯ぐきの炎症.産後の浄血.はれもの.催乳
ハコベは春の七草のひとつで、古くはハクベラと呼ばれていたのがハコベラ
となり、ハコベになったといいます。
■調整法
ハコベは、ほとんど1年中生育しているので、必要なときに全草を採取します。
全草を天日で乾燥したものを、生薬で繁縷(はんろう)といいます。
■利用方法
◎歯ぐきの炎症
歯ぐきの出血、歯槽膿漏の予防には、青汁をしぼりとり、フライパンで食塩
と熱し乾燥して、よく乾燥させ緑色のハコベ塩を作り、これを指先につけて
歯をみがきます
◎産後の浄血、催乳
産後の浄血、催乳、肝臓病のむくみに、ハコベを、10gを400?で煎じて服用。
産後の浄血薬として、また乳汁の分泌のないときに茎葉を煮たり、あるいは
ひたし物として食べたり、乾燥した全草を煎服したりすると乳の出がよくなります。
◎塗布
はれもの、歯痛に、新鮮な葉をよくもんで柔らかくしたものを貼る。
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ハコベラベラは古い言葉で群がるということで、ハコベをちぎったときに茎から出る白い糸を帛(はく・絹布の意味)に見立てて、もつれ茂ることから名づけられたといいます。
ゴボウ
別名:種子-牛蒡子(ゴボウシ)
薬用部位:種子 根 葉
使用量:5~10g
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効用:利尿.緩下.解毒(かぜ.へんとう腺炎).発汗.胆汁分泌促進
前回、乳汁分泌の働きを紹介したのがタンポポですが、店頭にはもうひとつ
お乳を出したいと求めてこられるのが多いのが、日本各地で野菜として栽培されているゴボウの種です。
■調整法
牛蒡根(ごぼうこん)は、2年以上の株を掘り取り、水洗いして天日でよく乾燥させます。
生薬の牛蒡子(ごぼうし)は、夏から秋に成熟した果実を天日でよく乾燥して種子を取り出して、さらにその種子を乾燥したものです。
■利用方法
牛蒡根(ごぼうこん)は、食欲増進、胆汁分泌促進、発汗利尿に効き目があるとされていて、適量を煎じて服用します。
牛蒡の種は、抗菌作用、血糖降下作用、血管拡張作用、弱い利尿、瀉下作用などがあって、かぜの熱、せき、へんとう腺炎などに1日5~10グラムを煎じるか、少し炒って粉末にして3回に分けて服用します。
生の葉には胆汁分泌促進する成分が含まれていて、肝臓の病気に良いとされて
います。また、煎剤は湿疹、ただれに外用として用います。
■■ゴボウの種の使い方■■
ゴボウの種は、昔からはれもの、のどの痛みなどに用いられていました。
また、乳腺炎などの炎症のため詰まってお乳が出にくいときに、よく使われます。
ただこれは炎症があるときに効果的で、お乳自体が張っていないときにはあまり効き目はありません。
【飲み方】
いろいろな方法がいわれているようですが
「炒ってから毎日10粒ぐらいかじって食べる」「粉にしたのを飲む」とかさまざまな方法がいわれますが、実際私たちがせんじ薬の中にゴボウの種を入れるときの方法に準じると
1日約5g(ティスプーン2杯ぐらい)を200ccぐらいの水で約20-30分煎じて、
カスを去り、2~3回に分けて飲んでもらいます。100gあれば半月から20日ぐらい飲めると思います。
※これで効果が見られないときは、タンポポの根やヤマイモなどを組み合わせた
本格的な催乳の漢方薬もあります。
タンポポ
別名:根-蒲公英(ホコウエイ)
薬用部位:根 葉
使用量:5~20g
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効用:健胃.利胆.緩下.解熱.強壮.催乳
糖尿病の血糖を降下させる作用があるとテレビで紹介されたタンポポの根ですが、我々の認識の中では???ってところ・・・
タンポポは日本全土、野山、道ばた、あぜ道などに普通に見られる多年草。
日本に帰化したセイヨウタンポポが全国に分布しています。
セイヨウタンポポの総苞片は、反転しているのですぐ区別がつきます。
西洋ハーブのダンディライオンはこのタンポポの根です。葉のギザギザがライオンの歯に似ているからこのように呼ばれているといいます。
■調整法
開花前の全草を掘り取り、よく水洗いして天日にて乾燥させます。
秋から早春にかけて、地上部の活動がない時期に掘りとって水洗いして乾燥させます。なじみの深い薬草だけにその利用法も多く
■ 胃病
根にも葉にも健胃の効があるので、便秘の傾向のある消化不良に、
根は15g、葉は30gを一日量として、せんじて飲む。
■ 便秘
大便の出をよくする効があるので、根または茎をせんじて飲む。
■ 肝炎
肝炎や、黄疸のあるものに、根や葉をせんじて飲むと尿の出をよくし、浮腫を去る効がある。葉をサラダにしたり、ゴマあえにしたりして食べてもよい。
■ 乳汁不足
産後、乳汁の出の少ない人は、葉をおひたしにして食べるとよい。
または、根をせんじて飲んでもよい。
■ とげのたったとき
とげのたったときには、根または茎を折ると出る白い汁を塗るとよい。
■ はれもの
乳房の腫れたものや、節(ねぶと)疔などに、根をせんじて飲むとともに 根、茎、葉ともにすりつぶして患部にはる。
■ いぼ
根、茎、葉などから出る白い汁をぬりつける。
漢方処方は、
蒲公英湯(ほこうえいとう)で蒲公英(ほこうえい)、当帰(とうき・トウキ)
香附子(こうぶし)、牡丹皮(ぼたんぴ)、山薬(さんやく・ヤマノイモ)
からなっていて、乳腺の発育不充分に用います。
タンポポの根は乾燥して、粗い粉末にしてからよく炒ってタンポポコーヒに
して飲用します。
ミカン
別名:果皮-陳皮(チンピ)青皮(セイヒ)
薬用部位:果皮
使用量:5~10g
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効用:健胃.発汗.鎮咳.去痰(かぜ).高血圧.浴剤
コタツでミカンをいっぱい食べて、皮がゴミ箱からあふれてませんか?
完熟したウンシュウミカン、キシュウミカンの外果皮を採取し
陰干しにして乾燥させて1年経過したものを、生薬で陳皮(ちんぴ)といいます。
陳皮(ちんぴ)の陳の文字は、陳旧といい古いという意味をもち新鮮な黄色のものより古いものがよいとされています。
また、7月ころの青い未熟果実より、調製したものを、生薬で青皮(せいひ)と呼び、陳皮(ちんぴ)と区別しています。
一般には、私たちが食べる、ミカンの外皮を日干しにすれば陳皮(ちんぴ)の代用として用いることができます。
■調整法
ワックスの付いていない果皮を陰干しにして乾燥し1年以上経過したものがよい。
■煎剤として使用する場合
陳皮(ちんぴ)には、毛細血管を丈夫にする、精油リモネン、配糖体ヘスペリジンを含み、風邪の妙薬として知られています。
風邪、喉の痛み、咳などに、陳皮(ちんぴ)5gに熱湯を入れて10分程度して、ハチミツか砂糖を入れて飲みやすくしてから、熱いうちに飲みます。
胃もたれ、食欲増進、消化促進、風邪や初期の咳止めなどには
陳皮(ちんぴ)、生姜(しょうが)、甘草(かんぞう)かハチミツを加えて煎じて服用したりします。
陳皮(ちんぴ)5~10g、水500CCを、半量に煎じて布でこして1日3回に分けて服用します。
民間では、ミカンをそのまま火の中にいれて黒焼きにして熱湯に浸して飲みます。
■入浴剤として使用する場合
肩こり、腰痛、肌荒れ、疲労回復に、ミカンの皮を乾燥したもの1~2握りか生の皮20個くらいを布袋に入れて、鍋などで煮出してそのまま風呂に入れます、血行がよくなり、湯冷めしません。
ショウガ
別名:生姜(ショウキョウ)
薬用部位:根茎
使用量:3~5g
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効用:健胃.鎮嘔.駆水.利胆.鎮咳.去痰.かぜ.冷え性
生ものでお腹を冷やさないように添えられたお寿司のガリ。
ショウガはインド原産の多年草で、香辛原料として広く栽培されています。
最近、辛味の強い金時ショウガというものの粉末が、リウマチ・神経痛の痛みの軽減に役立つと利用されています。
■調整法
霜の降りる前の、茎葉がしおれてくるころに掘り取り水洗いして根を切り取り、大きなものは2~3個に切り樽に入れてかきまわして皮を取ります。
石灰を10倍の水に溶かして、その中に浸します。または、石灰を直接まぶしてから、固くなるまで天日で乾燥させます。
一度蒸してから同じように調製する場合もあります。これを生薬で生姜(しょうきょう)といいます。
一般の家庭では、八百屋さんで購入したものをそのまま使用します。
■煎剤として使用する場合
香辛料として生活に結びついているものですが、抗けいれん作用、
でんぷんの消化促進、体内の水分の代謝をよくして、肝臓の働きを盛んにする働きをもちます。
また、唾液(だえき)、胃液の分泌を盛んにして消化を助け腹にたまったガスを追い出すので、芳香性健胃、利胆、鎮咳去痰剤になります。
単味では、辛味が強いので、砂糖やハチミツ、甘草などを加えて用います。
【せき】には、陳皮(ちんぴ)5g、ひねショウガを切ったもの5g、砂糖少々に、水200CCを加えて煎じ約半量まで煮つめたものを1日3回に分けて服用します。
【つわり】には、半夏、ひねショウガ各6g、茯苓5gに、水200CCを加えて煎じて約半量に煮つめたものを1日3回に分けて食前か食間に服用します。
また、【かぜの熱】を下げる場合には、おろしショウガと刻みネギに熱湯を加えて飲用すると発汗を促し熱が下がる。
【せき、たん】にはショウガを黒焼きにして刻んだものにハチミツを加えて炒める熱湯を注いで飲みます。
■外用として使用する場合
ショウガとサンショウを、同量ぐらい煎じて、その煎じ液を ひび、しもやけに塗布します。
クチナシ
別名:山梔子(サンシシ)
薬用部位:果実
使用量:5~10g
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効用:消炎.鎮静.止血.利胆.打撲
そろそろおせち料理の準備が気になってきていることと思います。
子供たちが大好きな栗きんとんの色付けに、年末が近づくと買って帰られるのがクチナシの実です。
本州(静岡以西)、四国、九州の暖地の南斜面に自生し、暖かい地では観賞用としても庭で栽培している人もいるかもしれませんね。
このクチナシの名前は、クチナシの果実が開裂しないので、クチナシ(口なし)から名付けられたといいます。
■調整法
完熟した果実を、11月ころに霜が下りた後で採取し、風通しのよいところで陰干しします。クチナシの果実の乾燥したものを、生薬で山梔子(サンシシ)といいます。未熟の果実は色素含量が少なく、薬用には適しません。
クチナシの実は、古くから消炎、鎮静、止血薬として黄疸、肝炎、血便、血尿、不安、不眠、吐血に用いられていました。
■煎剤として使用する場合
1回2~3gを200ccの水を加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、食前に飲みます。
※胃の弱い人が多量に用いると胃の働きを弱めるので用量には注意が必要です。
■シップ
クチナシの実5~6個を粉末にして少量のうどん粉、卵白、おろし生姜とよく練り合わせたり、黄柏末(キハダの木の皮)と酢でよく練り合わせたものを和紙にのばして、打ち身やくじいた患部に貼り、乾いたら取り替えます。消炎効果があり痛みが和らぎます。昔のシップ薬です。
ドクダミ
別名:十薬
薬用部位:全草
使用量:10~30g
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効用:消炎.利尿.解毒.緩下(便秘改善).高血圧.動脈硬化.(生)化膿.水虫
ドクダミというよりジュウヤクと呼んだほうが分かりやすいかもしれません。
薬としての呼び名がジュウヤク、植物としてや健康茶としての呼び名がドクダミで、同じものであることを覚えておいてください。
■調整法
5~6月の花期に根を含めた全草を採取し、一度軒先などで吊るして乾燥してから刻んだ後、半日ぐらい日干しにして出来上がり。
また、生の葉が必要な時は、必要量を採取します。
ドクダミは、日干しの乾燥時間が、速いほどきれいな色にしあがります。
乾燥のときに雨に当てないのも、大切な注意です。
これを生薬で、十薬(じゅうやく)といいます。
■利用方法
生のドクダミには独特のにおいデカノイルアセトアルデヒドやラウリール
アルデヒドが含まれていて、これは、乾燥すると成分が変化をして無臭に
なります。
ドクダミには、イソクエルシトリンが血圧を下げ、デカノイルアセトアルデ
ヒドが殺菌作用で蓄膿症を改善、利尿作用で便秘が改善、フラボン成分は細胞
組織を保護、血液循環を良くして、お血を取り去り神経痛を改善、動脈硬化、
高血圧、アトピーなどに効果があるとされます。
◎はれもの
化膿性のはれものには、新鮮な葉を水洗いし、新聞紙等に包んで火に焙り、柔らかくなったら、はれものの大きさに折って、絆創膏で止めておくと、膿を吸い出し、はれがひきます。
◎健康茶として
利尿、便通及び高血圧予防には単独のドクダミ茶を用いますが、十薬20~30g
とハトムギ10gとを煎じ、お茶代わりに飲むと一層効き目があります。
※注意としては、単独での服用する時、体が冷えていたり体調の悪い場合には
大量を用いてはいけません。
◎水虫
ドクダミのにおいの成分には強い抗菌性や抗かび性がありますので、生の葉を
水虫の患部にすり込めば水虫菌の発育を阻止して、効き目があるとされます。
◎塗布
生の葉をよくもむか、火で炙って、化膿、擦り傷、靴擦れなどに利用します。
◎入浴剤
乾燥した葉を適量風呂に入れると、あせも、湿疹などに効果的です。
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独特な臭気があり、いかにも毒があるように感じられることから、毒溜めが訛ったとか、毒矯(どくたみ)の意味で、毒下しなどに用いられるかとか、毒痛みのことで、毒にも痛みにも効くからなどの諸説があります。
ナンテン
ナンテン
薬用部位:果実・葉
使用量:5~10g
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効用:鎮咳.強壮
赤飯の上にナンテンの葉をあしらう風習は昔からよく知られています。これも生活の知恵で、ナンテンの葉には防腐作用があることを知っていたためでしょう。
また、”難転”にかこつけて、これを鬼門に植えると難を転ずとか、ナンテンの杖は老人によいとか、ナンテンの箸は病気にかからないとか、めでたい木として、日本人にはなじみがあります。
■調整法
12-1月ごろ果実を採集して天日乾燥したものが、南天実です。
果実はなかなか乾燥しないので、十分に乾燥させることが必要です。
※作用か強いため量をこすと、神経・呼吸などに麻痺を起こすので、用法容量に気をつけてください。
■利用方法
薬用には白南天の方が効き目があると俗にいわれていますが、赤も白も効き目には差はありません。
さらし南天といって色を脱色したものが出回っています。
通常1日量5~10gを500mlの水で半量になるまで煎じつめます。
南天実と黒豆とを同量、同じように煎じ、氷砂糖かハチミツで甘味をつけて
服用するといっそう効き目があります。
南天実は視力の回復にも良く効くとされ、咳止めの場合と同様に用います。
◎葉の民間療法
葉は南天葉(なんてんよう)といい、果実と同様の効き目があるとされ、
民間では解毒薬として用いられています。
とくに魚の中毒のときに新鮮な葉をよく噛んで飲み込むとよいといいます。
吐く場合があってもその方がよいといわれています。
ハチに刺されたとき、生の葉をよくもんで、その汁をつけると痛み止めになり、
また乗り物酔いには生の葉を噛むとよいといわれています。
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赤飯の上にナンテンの葉を置く習慣には、毒消しの意味があります。
解毒作用のあるチアン水素がごく微量に発生して、これが殺菌効果をあげて腐敗させないからです。
ヨモギ
別名:艾葉 ガイヨウ
薬用部位:葉
使用量:5~20g
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効用:止血.保温(冷えによる腹痛.しもやけ).高血圧.神経痛.止痒
ヨモギは善燃草(ヨモギ)で、モグサの原料とし、よく燃えるとする説と
善萌草(ヨモギ)であって、繁殖力が旺盛なため、いったん畑地に侵入すると
その駆除に苦労するぐらいによく萌え出るためとする説があります。
■調整法
花のつかない6~7月頃によく成長した茎葉を採り、日陰でよく乾燥したものを
生薬の艾葉といいます。
■利用方法
艾葉は体を温め、胆汁分泌促進、食欲増進、止血、冷えによる腹痛、胸焼け、
下痢、便秘、鼻血の止まらないとき、血尿、痔などには、1日量5~10gに、
水500ccを加えて、煎じ約半量まで煮詰めたものを食間に服用します。
◎ヨモギ風呂
腰痛には、艾葉30~50gを木綿袋に入れて煮出し、風呂に入れてヨモギ風呂。
◎塗布
切り傷、虫さされ、かゆむ止めに生の葉を絞り塗布。
◎ヨモギローション
ヨモギで作ったローションに痒み止め効果があることから,長期透析者,黄疸,
寝たきり老人の皮膚掻痒症に対し好評を得ています。
ヨモギ液 乾燥ヨモギ 15g
蒸留水 600mL
l-メントール 15g
無水エタノール 300mL
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蒸留水を加え 全量900mL
1.乾燥ヨモギ15gを蒸留水600mLの入った浸煎剤器で20分間煎じた後,熱時
ガーゼで ろ過し,放冷し,ヨモギ液(約450mL)を製する。
2.無水エタノール300mLにl-メントール15gを溶解し,撹拌しながらヨモギ液
を加える。
3.蒸留水を加え,全量900mLとする。
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お灸:灸に使う「もぐさ」は、5月ころの若葉を採り、天日で良く干して、
からからに乾燥したものをよくもんで腺毛(せんもう)を集めたものです。
クワ
別名:桑白皮 ソウハクヒ
薬用部位:根皮
使用量:5~10g
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効用:消炎.利尿.鎮咳.去痰.緩下.脳出血.リウマチ
高血圧(葉).糖尿(枝).
口のまわりを赤黒く染め、甘く果汁の多いクワの実を食べ歩いた思い出を
なつかしむ人も多く、学校で飼っている蚕のために葉っぱを集めて回った人もいるでしょう。
■調整法
冬に根を掘取り、細根を除き、皮部を剥いで天日で乾燥したものが、生薬の
桑白皮(そうはくひ)。
11月頃の葉を乾燥したものを桑葉(そうよう)。
4~6月頃の果穂を蒸して乾燥したものが桑椹(そうたい)、若い枝を刈り取り
天日で乾燥したものを桑枝(そうし)またはくわ茶といいます。
桑に関係した生薬は、桑白皮(そうはくひ)桑葉(そうよう)桑椹(そうたい)
桑枝(そうし)と4種あります。
■利用方法
桑白皮には、利尿、鎮咳、去痰、血圧降下、血糖降下作用があり、漢方薬の
清肺湯(せいはいとう)、五虎湯(ごことう)に配合されています。
桑葉は、お茶としては便秘、高血圧、動脈硬化、強壮となります。
最近は糖尿病に対する効果が注目され、広くサプリメントとして利用されています。
また、桑枝は、リューマチ、神経痛、関節炎に、桑椹は、肝臓、腎臓の機能を高める作用があります。
◎クワ酒
桑白皮200gをホワイトリカー1.8リットル漬け、約6ヶ月で飲めるようになります。高血圧の予防になるとされます。
熟した果実500gか桑椹200g適量のハチミツを漬けたものをクワの実酒といって、これは疲労回復、強壮、浄血、動脈硬化の予防になるとされます。
◎シップ
やけどに乾燥した葉を粉末にしてゴマ油で練って患部に塗ります。
※育毛剤
桑白皮エキスに育毛作用があることが解明されたことで、トニックに漬けて
自家製育毛剤作成する人が増えています。
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蚕の食う葉(くうは)から転訛して、クワの名が生まれたといわれています。
オオバコ
別名:車前草 シャゼンソウ
車前子 シャゼンシ
薬用部位:全草・種子
使用量:5~10g
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効用:消炎.利尿.鎮咳.健胃
オオバコをみると、茎でひっぱり相撲をして遊んだのを思い出します。
■調整法
花期に、花穂が出て葉が十分に成長した初夏から、全草を採取します。
風通しのよい日陰で乾燥させます。
これを生薬の車前草(しゃぜんそう)といいます。
また、秋に花穂を切り取って、新聞紙などに広げて置いて天日で乾燥し種子のみを集めます。これを生薬の車前子(しゃぜんし)といいます。
■利用方法
◎下痢止め、咳止め、止血、強壮
車前草を1日量10gに500ccの水で煎じて3回に分けて食間に服用します。
◎咳止め
車前草10gい甘草(かんぞう)3gを加えて前記のように煎じ煮詰めます。
◎利尿
車前子を1日量5~10gに300ccの水で煎じ3回に分けて食間に服用します。
車前子(しゃぜんし)は、粘液質が多く鍋のそこにくっつくので
布か和紙の袋にいれて煎じるとよいでしょう。
◎塗布
腫れ物、排膿に生の葉を火で炙って柔らかくしたものを患部に貼ります。
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道端や庭や畑の雑草の中にオオバコを見かけます。
漢方での名前の由来は車前(しゃぜん)といい、人や車の踏み通る道端の跡に好んで生える非常に生命力の強い薬草です。
ユキノシタ
別名:虎耳草 コジソウ、イドクサ
薬用部位:葉
使用量:しぼり汁 5~10g
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効用:ノドの痛み.ひきつけ.百日咳.心臓病.腎臓病による軽いむくみ
古く中国から渡来したといわれ、全体が粗い毛で覆われています。
ユキノシタの名前の由来は、その名のとおりに、寒い冬に雪の下になっても枯れないから、ユキノシタと呼ばれるようになりました。
最近、ユキノシタを指名買いされる方の多くが、美白化粧水を作るんだそうですが、その作り方は不明。インターネットで調べたとか・・・
■調整法
5~7月の花期に、葉をとって陰干しにして乾燥させます。
生薬では虎耳草(こじそう)といいます。
■利用方法
◎小児のひきつけ
ユキノシタの新鮮な葉を水洗いし、1回に3~4枚を少量の塩でもみ汁を口に含ませます。
◎うるしかぶれ
患部にしぼり汁をつければ効き目があります。
◎耳だれ
新鮮な葉からしぼった汁を1~2滴を耳の穴にたらすか、脱脂綿や綿棒にしみこませてつけます。
◎やけど、はれもの、しもやけ、ひび
新鮮な生の葉を水洗いして火にかざし、柔らかくして直接患部に貼ると自然に膿がでます。または、葉の黒焼きと、ゴマ油を混ぜて塗布します。
◎咳や心臓病、肝臓病などで、軽いむくみのあるときは
虎耳草(こじそう)10gを1日量として、500ccの水で半量まで煎じたものを3回に分けて服用します。
この虎耳草(こじそう)の煎じ汁は、痔の痛みに効果があります。煎じ汁を脱脂綿に浸して、患部を軽くなでるように洗うと痛みが和らぎます。
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ユキノシタの葉は、一年中いつでも採れるので山菜には便利です。
摘み取った新鮮なユキノシタの葉は、塩でゆでて水にさらしてから、
酢味噌和え、辛し和え、ゴマ和え、汁の実、煮物などにします。
シソ
別名:紫蘇葉 紫蘇子 紫蘇梗
薬用部位:葉.種子
使用量:3~10g
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効用:殺菌.防腐.解熱.解毒.鎮静.胃神経症.健胃.発散.鎮咳.去痰
梅干、漬けものと日本人の食事には欠かせない紫蘇は食用とともに薬用として広く使われています。
シソは紫蘇の音読み。蘇とはシソ全体に芳香があって気分を爽快にし、血のめぐりをよくして食欲を促進し、人を蘇らす働きがあることから、名づけられたといいます。
■調整法
6~7月の開花前に採取し始めて、半日程度日干しにした後に、風通しのよい場所で陰干しにします。これを生薬で紫蘇葉または蘇葉といいます。
10月ころに種子を採取して陰干しにしたものを生薬で紫蘇子、茎だけを天日で乾燥したものを紫蘇梗といいます。
■利用方法
シソの葉には殺菌、防腐、解熱、解毒作用があり、昔から梅干の着色、着香料や刺身のつまに用いられています。
ノイローゼ、ストレスなど気分がすぐれない場合や芳香性健胃、整腸、神経症、鎮静、せきなどに1日量5~10gに水500ccで煎じて2~3回に分けて食前に服用。
紫蘇子(しそし)は鎮咳去痰、便秘によく効くとされて、茎の紫蘇梗(しそこう)
は気分のもやもやを取り去り食欲不振、消化不良に有効とされています。
いずれも、1日量5~10gに水500ccで煎じて2~3回に分けて食前に服用。
◎慢性気管支炎の治療には、シソ葉と生姜を10:1で、煎じて朝夕服用をします。
◎サバなどの青みの魚の蕁麻疹には、シソ葉の粉末を小さじ1杯と熱湯を入れて
飲用します。
◎浴湯料
神経痛、腰痛、リューマチ、痔、打ち身、精神安定に葉や果実を採り、残った茎
を浴槽に入れて入浴します。
◎薬用酒
整腸、鎮痛、健脳、利尿に葉や種子を使用してホワイトリカーに漬けて薬用酒
にします。
イカリソウ
別名:淫羊霍 インヨウカク
薬用部位:地上部
使用量:8~20g
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効用:強壮.強精.神経衰弱.健忘症(胃弱.心臓弱い人はさけること)
春の山野は白か黄色の花が多いですが、イカリソウは赤紫色で目立つために案外知っている人も以外と多いかもしれません。
イカリソウの名前の由来は、船の錨(いかり)に似た淡紫色をした花をつけることから名がついたといいます。
■調整法
開花時期に地上部を刈り取って、天日で乾燥し刻みます。これが生薬で淫羊霍です。
■利用方法
イカリソウの地上部には、イカリインという成分が含まれています。このイカリインを用いての動物実験では、精液の分泌を促進する働きのあることが確認されています。
◎強壮、強精の目的で、イカリソウ1日量8~20グラムに水500ccを加えて、煎じながら約半量になるまで煮詰めたものをこして食間に服用します。
◎粉末にした場合には、1日量3~5gを3回に分けて服用します。
※神経衰弱、健忘症や強壮強精にもよいとされますが、胃腸や心臓の悪い人は避けてください。
◎イカリソウ酒
薬酒としての利用がポピュラーです。イカリソウの乾燥した地上部を刻んだもの200gにグラニュー糖を約半量加えて、ホワイトリカー1.8Lに漬けます。
2~3ヶ月後に1回10ccぐらいずつを飲みます。
このイカリソウ酒は仙霊脾酒とも呼ばれ強壮酒の代表です。
ジャノヒゲ
別名:麦門冬 バクモントウ
薬用部位:根(肥大部)
使用量:5~10g
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効用:滋養強壮.鎮咳.去痰.止渇.利尿.催乳
「蛇ノヒゲ」「竜ノヒゲ」と言われ、公園や庭や垣根ぞいに植えられていて、緑の少ない冬でも目立っている薬草です。
■調整法
ジャノヒゲの、根の肥大したところを5~6月頃に採取します。
塊根(かいこん)部分をよく水洗いして、一度天日で半乾燥してから、半日水に
つけて柔らかくなったところで、中心部の芯を抜き、さらに天日で乾燥させます。
これが生薬の麦門冬です。
■利用方法
◎鎮咳.去痰.止渇.利尿.催乳
麦門冬1日量5~10gを水500mlで煎じて、3回に分けて食間に服用します。
とくに、大病後で非常に体力が衰弱した場合や、老人などで、せきが出てたん
の切れが悪い場合に用いると効きめがあります。
◎滋養強壮
麦門冬に同量のハチミツを加えて、水500?で煎じながら約半量まで煮詰めた
ものを、3回に分けて食間に服用します。
ウツボグサ 靫草
別 名:夏枯草(カゴソウ
カコソウ/カゴクサ)
チドメグサ/ジビョウクサ
学 名:Prunella vulgaris
ssp. asiatica
英 名:All-heal/Self-heal
薬用部位:花穂
使用量:5~10g
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効用:消炎.利尿(膀胱炎.腎炎).口内炎.へんとう炎に外用
江戸時代に名づけられた植物名には、日常使われている道具や器具にたとえて
いる場合がよくあります。
ウツボグサの名は、花穂の形が武士が矢を入れるのに使った靭(うつぼ)に似ているため付いたといわれます。
■調整法
ウツボグサは、8月初旬、花穂が褐色になり始めたころ、花穂のみを採取して
日干しにして、よく乾燥させます。
これが生薬で夏枯草(カゴソウ)といいます。
■利用方法
夏枯草は、消炎性の利尿剤として膀胱炎、腎炎、るいれきなどに使われます。
1日量10g、500ccの水を入れて、約半量まで煮詰めたものを、3回に分けて
食間に服用します。
※夏枯草にはタンニンが多く、長期間連用すると胃を刺激するために、胃弱の人は服用に際しては注意が必要です。
◎口内炎、へんとう炎にうがい
カゴソウ3~5g煎じ、煎液でうがいをします。
◎結膜炎の洗眼液として
◎打撲傷
ウツボグサの生の葉を潰しての患部に塗る。または葉を煎じて塗る。
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ウツボグサは8月頃の真夏に花穂だけが急に変色して褐色になり、まさに枯れたようになるために夏枯草の名前があります。
ゲンノショウコ
フウロソウ科
別名:ぼう牛児
薬用部位:地上部
使用量:10~20g
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効用:健胃整腸(下痢.便秘).高血圧予防(ドクダミ.ハブ茶と)
ゲンノショウコは薬草の効果が、すぐに証拠となって現れることから名づけられたといいます。
イシャイラズ・イシャナカセ・ゲリドメ・セキリグサなどの方言もあり
果実がはじけて飛んだあとがミコシの飾りに似ていることからミコシグサ
葉の形がネコの足跡に似ているのでネコアシグサなどの呼び名もあります。
それだけ、身近な薬草だったということでしょう。
■調整法
夏の開花期(7~8月頃)に全草を抜き取り、根を除いた地上部を天日で
乾燥させます。
道端での採取の場合は、泥をよく洗い落とす必要があります。
■利用方法
ゲンノショウコは、飲みすぎても便秘・下痢などの副作用がなく、優れた健胃薬草といえます。
◎下痢止め
1日量20gに、水500ccを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものを
温かくし、適宜2回に分けて服用します。
◎胃腸の弱い人
お茶代わりに飲んでもよく、利尿の目的で使用するときは、10~15グラムを
5~10分ぐらい、麦茶のように煮だして服用します。
◎高血圧予防
ゲンノショウコ10g、ドクダミ10g、決明子(けつめいし)を少し炒ったもの
5gを煎じて、お茶代わりに飲むとよく効くとされます。
◎入浴料
冷え性、婦人の血の道には、
ゲンノショウコ風呂(ゲンノショウコ100gとヨモギ100g)を用います。
🌱全草にタンニンの一種を含み、民間療法においては古くから下痢止めの妙薬として使われてきた。その効果が確かなことから「現の証拠」あるいは「験の証拠」と呼ばれる。
・薬用にするのは土用の頃に刈り取った地上部で、陰干しにして煎じたものを飲用する。特に「渋り腹(便意はあるが排出量が少なく、すぐにまた催す性質=裏急後重ともいう)」に効果が高いとされた。
・上記のことから、リビョウソウ(痢病草)、セキリグサ(赤痢草)、イシャイラズ(医者いらず)、イシャナカセ(医者泣かせ)、タチマチグサ、クスリノハナなどの別名や地方名がある。食用にもなり、全草を油炒めや和え物、佃煮にする。、
サフラン
別名:番紅花 バンコウカ
薬用部位:雌しべの柱頭
使用量:0.5~1g
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効用:鎮静.生理不順.血ノ道. 妊婦は使用しない.
薬用よりサフランライスやブイヤベースの
スパイスとして馴染みが深い
■調整法
開花時の朝、花を摘み、一花ずつ雌しべの濃赤色の部分を抜き取り日陰で乾かします。これが生薬の番紅花、サフランです。
■利用方法
◎生理痛、頭痛、不眠、風邪
サフラン1回量0.5g(4~5本)をコップに入れ、熱湯を注いで飲みます。
◎サフラン酒
サフラン20gをホワイトリカー1.8リットルに約3ヶ月つけます。
※サフランは通経作用が強いので、妊婦は禁忌です。
ネムノキ
別名:合歓 ゴウカン
薬用部位:樹皮 花
使用量:10~15g 5~10g
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効用:強壮.利尿.鎮痛(関節.腰).精神安定
花の美しいことと、葉が夜に閉じるという特殊性のため、万葉の昔から恋歌などにも詠まれています。
■調整法
7-8月にに樹皮を採取して天日乾燥させます。
これを生薬で合歓皮(ごうかんひ)、花は合歓花(ごうかんか)といいます。
■利用方法
◎関節・腰痛
合歓皮10~15gを水500ccで煎じて1日2~3回に分けて服用。
◎精神安定、不眠
合歓花を5~10gを水500ccで煎じて1日2~3回に分けて服用。
◎シップ
関節痛や腰痛、うちみには、合歓皮10~15gを煎じ、液を患部に塗ります。
ねんざに樹皮を黒焼きにしてキハダの粉末を半量づつ混ぜて酢と練り合わせて患部に塗布します。
◎入浴剤
乾燥した葉、小枝、樹皮を煮出してから風呂に入れ、関節痛、腰痛、打ち身、捻挫などに利用します。
————————————————————ネムノキは、古くはネブと呼ばれていましたが、これは夜になると小葉がお互いに重なり合って寝ることから名づけられたといいます。
また、漢名の合歓は、夜の葉の状態を歓びあっていると表現したものです。
バス
別名:蓮肉 レンニク 蓮葉(荷葉) レンヨウ(カヨウ)
薬用部位:果実 葉
使用量:5~10g
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効用:強壮.滋養.利尿.止瀉.鎮静.健胃
多年生の水生植物で、レンコンとして栽培され、観賞用としても庭池に植えられます。夏に生長して冬に葉が枯れ、地下茎がいわゆるレンコンです。
■調整法
秋、果実が熟してきたら花床を切り取り、天日で乾かし、果実を取り出します。
殻付きの果実を蓮実(れんじつ)、殻を取り除いたものを蓮肉(れんにく)または蓮子(れんし)といいます。
葉は夏に取り、水洗いして天日で乾燥してから保存。これが生薬の蓮葉(れんよう)または荷葉(かよう)といいます。
■利用方法
中国ではハスの実は、お菓子やおかゆ、薬膳料理に取り入れられるような身近なものです。
◎蓮実(れんじつ)・蓮肉(れんにく)は強壮、止瀉、鎮静、健胃に
その粉末を1日量5~10gを3回に分けて食間に服用。
◎ハスの葉は、利尿作用や代謝向上でダイエット茶に多く配合されています。
また、
レンコンの節の部分は、藕節(ぐうせつ)として痔の止血などに利用されています。
ベニバナ
別名:紅花 コウカ
薬用部位:花
使用量:1~5g 5~10g
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効用:駆血(血の道).生理不順.腹痛.動脈硬化.打撲
ベニバナの名はベニ(紅)の原料取るところから付けられた名です。
古くから染料、化粧品(口紅)に用いられていましたが、これは花弁に含まれ
ている紅色色素カーサミンによるものです。
■調整法
6-7月ころ赤くなった花だけを採取して乾燥します。
このベニバナの乾燥したものを生薬で紅花といいます。
■利用方法
産前、産後、腹痛など婦人病一般には、紅花3~5gを煎じて服用します。
◎薬用酒
紅花30~40gをホワイトリカー1.8リットルに漬け、2ヶ月程度してハチミツを適量加えます。きれいなベニバナ酒が出来上がり、婦人病一般や打撲の外用に用います。
ベニバナ油:アメリカ産の棘のない品種の種子の脂肪油には、リノール酸が70%含まれています。リノール酸には血液中のコレステロールを減らすという働きがあります。
※よく似た名前で、蕃紅花(ばんこうか)とは、サフランのことです。
ウイキョウ
別名:茴香 フェンネル
薬用部位:果実
使用量:5~10g
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効用:健胃駆風(腹にたまったガスを排出すること).胃痛.去痰.冷えによる腹痛.腎臓の弱い時の腰痛
この時期になると茴香や大茴香の粉末が売れ出します。これらの漢方をつりの餌に入れるそうです。配合はそれぞれのヒミツということです。チヌ釣りに使うそうです。
■調整法
完全に熟す少し前に実を採り。2~3日間日干しにします。これが生薬の茴香です。
■利用方法
大正漢方胃腸薬で有名な安中散にも配合されていて、冷え性、神経質で胃痛や胸焼けのあるものに用います。
◎粉末では1日量0.5~2g
最大で3gまで
◎煎じる場合は1日量5~10g
果実を水蒸気蒸留して得た精油をウイキョウ油といいます。
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ウイキョウは人によっては異臭とも感じる香りであり、特にそれが強いのが果実です。中国では魚の香りを回復させるということで「茴香」と名づけられたといいます。
ヨーロッパ原産で、果実をフェンネルと呼び、料理の香辛料として使われています。
🌱寒さの中でも、こぼれ種であちらこちらに出てきて活き活きしているのは、ウイキョウです。生薬名では茴香と書きます。胃腸薬や香辛料に用いられる薬用植物です。一般では、スィートフェンネルと云う方がよく分かるかもしれません。
セリ科
学名は、Foeniculum vulgare
原産地は地中海沿岸
南ヨーロッパのものは草丈は1m内外だそうですが、日本産は2mほどにも生る大型の多年草です。茎葉は青緑色で、枝分かれしたような細い葉が羽状複葉でつき、生長すると茎の先端に傘の骨のように1カ所から同じ長さで伸びた先に更にもう一度同じよう枝分かれした先に、6月~8月頃小さな黄色い花をつけます。このような花の付き方はセリ科の特徴で複数散形花序 又は複数傘形花序といいます。
小さな花ですが、よく見れば花弁は5枚あり内側に巻きこんでいます。中央の雌しべの下に甘い蜜がひかっていて、アリやカメムシが集まってきます。
やがて5本の線のある果実がつき、その果実が生薬となります。生薬名は茴香で、芳香性健胃、駆風、去痰薬などに用いられます。駆風とは、胃腸に溜まったガスの排出を促進することです。
日本には平安時代に中国から薬用として入ってきて、薬用として栽培されてきました。長野県、鳥取県が主な生産地ですが、今日では薬用の他に、多くはスパイスとしての利用が多くなっています。
香りが強いのは種子の方で、煮込み料理に用いられます。鶏肉や豚肉の料理に使えば芳香で脂っこさが薄らぎ、後味が爽やかに感じられます。焼魚、蒸魚などの料理では生臭さを軽減します。 カレー店によってはフェンネルシードが置いてありますが、食後に種子を咬むと口中が爽やかになるためです。ハーブティーとして飲めば、芳香は食欲増進、消化促進するでしょう。
フェンネルシードは比較的強い生薬ですから、使いすぎには注意してください。料理では入れすぎないように、ティーも濃すぎないように、お気を付け下さい。
種子ばかりでなく葉も魚貝類のサラダに入れて生食できます。
茴香は、別名小茴香とも云われます。小があるなら大茴香というのもあるのです。しかし、こちらはセリ科ではなくてシキミ科です。別名スターアニスといい、中華料理の豚の角煮に使われている「八角」のことです。植物名はトウシキミといい中国南部からインドシナ半島や南インドに自生しており、国内ではあまり栽培されていません。
ウイキョウ(スイートフェンネル)は洋の東西を問わず、古くから人の生活に関わってきた有用な植物なのです。葉は 洋風の煮込み料理に香草を束にして入れるブーケガルニには欠かせませんし、フェンネルシードは中国の香辛料「五香粉」やインドのカレー粉の原料にもなっています。
茴香(フェンネル)はデパートやスーパーでは香辛料の売り場にありますが、生葉は生鮮野菜のコーナーで見かけません。もっと利用されてもよいハーブだと思うのです
アロエ
別名:芦カイ
薬用部位:葉
使用量:エキス0.05~0.3g
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効用:下剤.通経.
キダチアロエの新鮮葉(消化不良.胃炎.緩下)
アロエは『医者いらず』の名で呼ばれるように、利用範囲が広く、よく使われる
民間薬草です。
一般家庭で栽培されているものは、キダチアロエと呼ばれる品種が多く、葉は
極めて肉が厚く、傷つけると汁がポタポタ出てきます。
■調整法
葉には、粘液が多く切ると汁液が出て、汁液はしばらくすると橙色に変色してきます。これは含有されるアントラキン類の成分によるもので、センナ葉や大黄にも含まれていて緩下作用の主成分です。
生薬のアロエは、葉汁を集めて煮詰めたもので、黒い塊です。
■利用方法
◎やけど、切り傷、虫さされ
皮をむいて、中の葉肉を患部に貼り付けます。
◎胃の痛み・便秘
すりおろして、盃に半分ぐらいを毎食後に飲みます
量を増やすと緩下作用が表れて便秘によいとされます。便秘にはその2倍量を・・・
◎苦味健胃剤
苦味健胃剤としてはアロエエキスを1日3回0.02~0.05gを毎食後に、
また、常習の便秘症には1日3回0.05~0.3gを食間に服用します。
※生で利用する場合は量に注意して、新鮮なジュースなら茶さじ1杯が限度です。
※妊婦や生理中の婦人は服用を避けてください。
キササゲ
別名:梓実 シジツ
アズサ、ライデンボクなど
薬用部位:果実
使用量:10~15g
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効用:利尿(腎炎.浮腫)
中国原産の落葉高木で、高さが10メートルぐらいに育ちます。
その薬効が認められ、日本薬局方にも収載されている植物性利尿薬の代表的なものです。
■調整法
秋、果実が完全に熟すると、さやが裂けて種子が落ちるので、その前に採取し
日干しにします。
このキササゲの果実の乾燥したものを生薬で梓実(しじつ)といいます。
■利用方法
◎尿がでにくく、むくむ時
1日10g煎じて1日3回に分けて飲みます。
※一度に大量に服用すると、気分が悪くなったり吐き気をもようしたりする場合がありますので過量の服用と副作用には充分注意する必要があります。
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キササゲの名前の由来は、冬に葉が全部落ちてしまっても、このさや状の
果実は木に残り、ぶら下がっている状態からキササゲという名前がつき、
木にササゲ(実が赤飯などに入れるササゲ(マメ科))のような果実をつけるという意味になっています。
【キササゲとは】
・揚子江以北の中国中部及び南部を原産とするノウゼンカズラ科の落葉樹。果実を薬用するため日本に渡来し、庭木として暖地に植栽されるほか、野生化したものが各地の川岸や林縁で見られる。
・キササゲの特徴は細くて長い豆果にあり、野菜として馴染みのササゲ(豆)のような実がなる木であるとして命名された。別名はアズサ、ライデンボクなど。
・別名の「ライデンボク(雷電木)」あるいは「雷の木」は、この木を庭の片隅に植えると雷が落ちないという迷信にちなんでおり、これにならって神社仏閣に植えられる例もある。ただしこの迷信は中国の文献を誤読したもので、チャンチンやナナカマドにもライデンボクという別名がある。
・葉は直径9~25センチの広い卵形で、浅く3~5つに裂けるものが多い。先端は尖って、縁にギザギザはなく、表面は濃緑色で質厚。葉脈上には柔らかな毛を生じる。5~18センチの長い柄があって枝から対になって生じ、葉をちぎると特有の臭いがあるが、民間療法ではこれを煎じて塗布すれば、白癬菌(水虫、いんきん、たむし)に効果がある
・花の後にできる果実は長さ30センチ、太さ4~5ミリほどで、一箇所から多数がぶら下がる。実は10月頃になると褐色に熟し、自然に裂けて種子を放出するが、抜け殻は葉が落ちても長い期間にわたって枝に残り、冬の青空に映える。
・種子は長さ9ミリほどの扁平した線形。両端にある細長い絹毛を使って風に舞う。キササゲの果皮(サヤ)はカリウムを含んでおり、利尿作用を持つ。生薬名を「梓実(シジツ)」といい、完熟前の9月に採取して乾燥させたものを、煎じて飲用する。
・幹は真っすぐに伸び、樹高は最大で15mほどに、直径は60センチほどになる。樹皮は灰褐色で、樹齢を重ねると縦に裂け目が入る。樹皮は生薬名を「梓白皮」といい、解熱や除虫に用いる。
【分類】ノウゼンカズラ科 キササゲ属
【漢字】木大角豆(きささげ)
檟/木豇豆
【別名】シジツ/アズサ/ライデンボク
カミナリノキ/ショウグンボク
カワラササギ
【学名】Catalpa ovata
【英名】Catalpa
ケツメイシ
別名:決明子 ケツメイシ
薬用部位:種子
使用量:5~20g
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効用:消炎.緩下.健胃.強壮.便秘.高血圧.肝臓病.腎臓病.神経痛.じんましん
北アメリカ原産で江戸時代に中国から渡米したものとされています。
成熟した種子を乾燥し、これを決明子と呼び、麦茶のように焙じたものをハブ茶といいます。
■調整法
秋に果実が熟して、葉が黄色になるころ、全草を抜いてよく乾燥させます。
乾燥後に、打ちたたくと、種子を容易に集めることができます。
乾燥したものを生薬で、決明子といいます。
■利用方法
◎強壮・健康増進に
1日10gやかんで煎じてお茶代わりに飲みます。
その際、ハトムギの炒ったものを加えるとおいしくなります。
◎習慣性便秘
10~20gを煎じて半量に煮つめ、食後3回に分けて飲みます。
※また、下痢ぎみの場合はゲンノショウコを加えて煎じると良い結果になり、ゲンノショウコの混ぜる量は下痢の程度により増減します。
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よく似たハブソウの種子は望江南(ぼうこうなん)と呼び、決明子と同様に便秘などに用います。
ハブ茶はもともとハブソウの種子を用いていましたが、現在ではほとんど決明子を用いたものをさすようになりました。
ガマ
蒲黄
薬用部位:花粉
使用量:5~10g
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効用:消炎.利尿.止血.
”大黒さまのいうとおり、きれいな水で身を洗い、ガマの穂綿にくるまれば、
兎はもとの白兎・・・。因幡の白兎の童謡に出てくるガマの穂綿とは、
実際はガマの花粉のことで、止血薬として外用されることから、この神話は理にかない、日本の医薬の始まりとされています。
■調整法
夏ごろの開花期に雄花穂だけを採取し、布袋に入れて袋のままたたき、花粉を落として集めたのが、生薬の蒲黄です。
■利用方法
◎下血・吐血に
乾燥した花粉5~10gを約500ccの水で煎じて、1日3回に分けて服用する。
乾燥花粉をそのまま、1回1g程度を3回服用します。
◎外用塗布
乾燥花粉を火傷・鼻血の傷口に塗布します
痔の場合は、乾燥花粉を豚脂で練って肛門に2~3回入れます
ビワ
別名:枇杷葉
薬用部位:葉
使用量:5~15g
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効用:清涼.止渇.利尿.鎮咳.健胃.暑気あたり.湿布(打撲.ねんざ)
江戸時代には枇杷葉湯として、庶民の夏の暑気払に盛んに飲まれていました。
枇杷葉湯は、ビワの葉に肉桂、霍香、莪朮、呉茱萸、木香、甘草などを合わせて、煎じて作ったものです。
■調整法
葉は必要なときに採取し、葉の裏の毛を除き、水洗いして用います。
乾燥したものが生薬の枇杷葉です。
■利用方法
◎あせも
葉を3枚ほどちぎり、水500ccほどで煮出し、冷めた汁で患部を洗います。
◎打ち身、ねんざ
ハイキングのときなどの切り傷に、この穂の毛をつけると止血効果があります。
葉を3枚ほどホワイトリカーに浸し、数週間おいてからこし、脱脂綿に浸して患部にあてます
◎咳止め、暑気あたり、健胃
葉約10gをせんじて、茶剤として用います。
※枇杷の葉温灸療法というのがあり、生の葉と棒状の灸を用いて行われます。
アサガオ
別名:牽牛子(けんごし)
薬用部位:種子
使用量:0.5~1.5g(粉末)
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効用:峻下
■調整法
10月ごろ、花が咲き終わったころ刈り取り、種子を選別して天日で乾燥したもの
が生薬で牽牛子といいます。
■利用方法
◎峻下
粉末にして0.5~1.5g程度をお湯で服用します。
強い下剤の効果があるので、決して量を過ごさないように注意ください。
※瀉下作用が激しいため、素人は絶対に用いないことで、とくに妊産婦や子供は注意が必要です。
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牽牛子の名前は、農民が薬の謝礼として牛を牽いて行ったことや、牽牛星の出るころに開花することから名づけられたといいます。
アマチャヅル
別名:七葉胆(しちようたん)
薬用部位:茎、葉
使用量:3~5g
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効用:鎮静.強壮.
もともとアマチャヅルは中国では薬用にされるといわれていましたが
日本では飢餓の時の非常食とされたに過ぎず、あまり関心のもたれない雑草でしたが、最近は朝鮮人参(オタネニンジン)と同じ成分を含んでいるということで、注目を集めるようになりました。
■調整法
8-9月に茎、葉を採集し、天日乾燥します。生薬名では七葉胆といいます。
■利用方法
主成分が、オタネニンジンと同様であり、含量もほぼ同じとされていてこれからの研究が期待されます。
◎お茶として
乾燥した茎葉5gを約1リットルの水で番茶のように煮出して服用します。
ザクロ
別名:石榴皮(せきりゅうひ)
薬用部位:根皮・樹皮
使用量:8~20g
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効用:条虫駆除
裂けると甘酸っぱい果肉が顔をのぞかせるザクロ。ザクロジュースで話題になりましたが、国民生活センターで下記のような
報告が出ています。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20000406_2.html
■調整法
8-9月ころに根皮または樹皮をはいで天日で乾燥したものを、生薬で石榴皮といいます。
■利用方法
◎条虫駆除
条虫駆除薬として用いますが、腹痛や嘔吐などの副作用を起こすことがあるため、注意を要します。
◎うがい
のどのただれや扁桃腺炎には果皮の煎じ液をうがいとします。
◎薬用酒
果実を皮ごと砕いて砂糖を入れたホワイトリカーに漬けると、味のよい薬用酒になります。
※煎じ液は、胃の粘膜を刺激するので、胃炎などの症状がつよい場合には用いてはいけません。
チガヤ
別名:茅根
薬用部位:根茎
使用量:8~20g
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効用:消炎.利尿.腎炎.鎮咳.止血
甘いものが少なかった昔の子供たちは、山野に自生する植物を採ってきて、おやつ代わりに食べていました。チガヤもそんな植物のひとつで、ツバナとも呼ばれました。江戸時代には、これを売り歩いたといわれます。
■調整法
晩秋に根茎を掘り取り、水洗いしてから、ひげ根を除いて日陰で乾燥したものが、生薬の茅根です。
■利用方法
◎利尿消炎
顕著な利尿消炎作用があります。1日15gを煎じて飲みます。
◎止血
ハイキングのときなどの切り傷に、この穂の毛をつけると止血効果があります。
※虚弱者の利尿作用に適していて、茯苓、猪苓、木通などの利尿生薬より効果がよいとされています。
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チガヤのチは、千の意味で、多く群生するからという説と、若い葉をちぎると切り口から少し赤みのある汁が出て、これを血に見立てて、血のカヤがチガヤになったともいいます。
また、俗にススキをオトコガヤ、チガヤをオナゴガヤというのは、チガヤにはススキのように手を切る荒さがないためといいます。
バイモ
別名.編笠百合
薬効と用途
鎮咳,去痰,排膿薬として,熱性の咳,痰,腫れ物などに用いる.また,利尿,催乳,鎮痛作用もある.漢方処方では,当帰貝母苦参丸,滋陰至宝湯などに配合される.
咳止め、痰きり、止血、催乳、うみ出し、利尿、鎮痛作用があるので気管支炎、肺結核、せき、扁桃腺炎、はれものなどの治療に用います。
一日量4~8gを500mlの水を加えて煎じ、約半量になるまで煮つめた液を一日3回に分けて食間に服用します。
淅貝母と川貝母では少し薬用途が異なっていて、熱があって痰が取れにくい咳の時は淅貝母を使用し、元気のない咳のときは川貝母を使うと効き目があります。
養陰清肺シロップという咳やのどの痛みによく使うお薬を市販品として販売されていますが、頑固な咳や空咳に用いてとても効果があるようです。貝母には血圧降下や呼吸中枢麻痺作用も報告されていますので、使用にあたっては専門家の指示を受けるようにしましょう。
観賞用として栽培されるが,食用にもなり,梨と一緒の料理に合う.乾燥したものは長くゆがく.アクが取れて柔らかくなったら,梨の芯をくり抜いて中に詰め,蒸して甘い蜜をかける.また梨を刻み,貝母と混ぜ,砂糖を加えてたっぷりの煮汁で似てスープを作る.