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つやつやと光沢のある明るい緑色の大きな葉っぱを、放射状に広げた姿が印象的なオオタニワタリ(アスプレニウム)。日本でも暖かい地域に自生していますが、近年ではその数は減少していて、絶滅危惧種にも指定されています。
暑さには強いものの寒さに弱いため、基本的には室内用の観葉植物として育てるのが一般的です。そんなオオタニワタリ(アスプレニウム)の育て方を説明します。
東南アジアをはじめとした、世界の熱帯エリアに多く見られる「アスプレニウム」。シダ植物の仲間で、世界に700種ほど存在するといわれています。
正確には、その中の1種が「オオタニワタリ(別名:タニワタリ)」です。ただし、日本で観葉植物として出回っているものは、この「オオタニワタリ」もしくは近縁種の「シマオオタニワタリ」がほとんどです。
日本にも九州や沖縄などの暖かい地域を中心に、30種ほどが自生しています。
アスプレニウムは明るい日陰を好むので、室内のレースのカーテン越しなど、半日蔭に置くのが一般的です。
ただし、6月から9月頃までの夏の間は、50%程度遮光したベランダなどの戸外に置いても大丈夫です。
とはいえ、直射日光が当たると葉焼けを起こしてしまいますので、直射日光は避けなければいけません。
アスプレニウムを育てるときは、水はけのよい腐植質の土を用いましょう。
「赤玉土6:腐葉土4」の混合土や、市販の観葉植物用の土で育てればOKです。水はけが悪いようなら「赤玉土7:腐葉土2:パーライト1」の混合土にして、深めに植えるとよいでしょう。
アスプレニウムには、土が乾いたところでたっぷりと水やりをします。ただし根腐れを起こしやすい植物ですので、水をやりすぎて過湿にならないよう注意が必要です。
冬は耐寒性を高めるため、土が乾いたタイミングから2〜3日ほど間をあけて、水やりをすることをおすすめします。
アスプレニウムには、4〜9月頃に肥料を与えます。2ヶ月に1回程度、緩効性化成肥料を置き肥してもいいですし、もしくは液体肥料を10日に1回程度与える方法でもいいです。
冬の休眠期に肥料を与えると肥料焼けを起こすことがあります。また本来肥料をたくさん必要とする植物ではありませんので、肥料の回数や希釈濃度などはその肥料の規定を守って与えてくださいね。
アスプレニウムは根詰まりしやすいので、2年に1回程度の植え替えが必要です。植え替え時期は5〜9月頃が適期です。
植え替え方法については、以下の通りです。
アスプレニウムの増やし方は、品種によって異なります。
子株ができるアスプレニウム・マザーファンやアスプレニウム・ケンゾイといった品種であれば、子株を摘み取って「株分け」をすることが可能です。株分け時期は、5〜9月頃が適しています。
パーミキュライトとパーライト同量の混合土に水ごけを混ぜたものを鉢に入れたら、子株を植え付けます。そして、鉢はビニール袋で覆います。その後明るい日陰に置いておくと、2ヶ月から3カ月程度で発根し、鉢上げできるようになります。
アスプレニウムは、下葉が枯れてきても葉が落ちるということがありません。そのため、枯れた葉っぱは早めに根元の方から切り取ってください。
また、害虫のハダニを予防するためにも、こまめな葉水を心がけましょう。
アスプレニウムは、害虫に比較的弱い方なので注意をしましょう。
新芽の頃にナメクジの食害に遭うと、葉っぱが変形してしまいます。ナメクジは鉢の裏側や根のかたまりの辺りに潜んでいますので、みつけたらすぐに取り除いてください。ナメクジ専用の殺虫剤もあります。
また、ほかに発生しやすいのは、葉っぱの汁を吸い取って弱らせてしまうカイガラムシやハダニです。風通しが悪いと発生しやすくなります。みつけたらすぐに殺虫剤を散布して駆除してください。
カイガラムシは、殺虫剤がうまく効かないこともありますので、歯ブラシなどでこすり落としてしまってもいいです。ハダニは水に弱い性質がありますので、水をかけるだけでも落とすことが可能です。定期的に霧吹きで葉っぱに水をかけるようにすると、予防にもなります。
アスプレニウムを購入するときには、害虫がついていないかしっかりチェックし、害虫のついていないものを選んで購入するようにしましょう。
アスプレニウムは、世界中に700種もあるといわれていますが、ここでは人気園芸種として多く流通している「オオタニワタリ」「シマオオタニワタリ」のほかに、いくつかの品種をご紹介します。日本生まれの品種もあるので、チェックしてみてくださいね。
アスプレニウムの中でも最もよく出回っているのが、「アスプレニウム・アビス」です。
アスプレニウム・アビスは、シマオオタニワタリの園芸品種といわれていますが、葉っぱに縞はなく、光沢のある幅広で短めの葉が特徴的です。インテリアにおしゃれに溶け込んでくれるので、とても人気のある品種です。
アスプレニウム・プリツカムは、ウェーブが強めの品種です。葉に光沢があり、肉厚でうるおいとハリがあるように見えます。 耐陰性が強い品種ですので、室内でも育てやすいです。
こちらは、あざやかなグリーンのウェーブした葉っぱが特徴的な、その名も「アスプレニウム・エメラルドウェーブ」という品種です。
ヨーロッパやアメリカでは「クリスピーウェーブ」と呼ばれていて、世界中で人気があります。
そんなエメラルドウェーブは、なんと日本生まれ!ドイツのIPM(国際園芸見本市)で最優秀賞を受賞したこともあるすばらしい品種です。
こちらの「アスプレニウム・クロコダイルファーン」は、葉っぱの模様がユニークで、その名のとおりクロコダイルの皮のような模様が特徴的な品種です。ツヤがあって見栄えもします。
こちらの、まるで野菜のようなかわいらしい姿をしたアスプレニウムは、熱帯アメリカ原産の「アスプレニウム・レズリー」という品種です。見た目はレタスにも似ていますが、実際に触ってみると、葉っぱが意外に堅めなことに驚きます。
ユニークな形の葉っぱの先にランナーが伸びている、こちらのアスプレニウムは、「アスプレニウム・ケンゾイ」という熱帯アジア原産の品種です。ランナーの先に小さな子株をつけ、この子株によって増えていきます。
アスプレニウムは花を咲かせないシダ植物の仲間ですが、厳しい環境の場所にも生えるアスプレニウムの特性から、「雄々しい」「勇ましい」といった花言葉を持ちます。
また、そんなアスプレニウムを見つけたときの嬉しい心情から来たとされる、「あなたは私の喜び」「真実の慰み」という花言葉もあります。
さらに、アスプレニウムそれぞれの品種が持っている花言葉には、アスプレニウム・アビスの「活発」、アスプレニウム・エメラルドウェーブの「進歩」などがあります。
観葉植物のプレゼントをする際には、こういった植物の持つ意味から贈り物の品種を選んでみるのも楽しいですね。
今回は、熱帯エリア原産のシダ植物の仲間、アスプレニウムの育て方についてご紹介しました。
アスプレニウムにはさまざまな品種がありますが、いずれも半日蔭で乾燥気味でも育ちますので、比較的育てやすい観葉植物だといえます。
実際自生しているアスプレニウムについては、岩や板に張り付いているものもあるくらいですから、かなりたくましいです。
インテリアにも自然と溶け込むおしゃれな品種がたくさんありますので、室内グリーンを楽しみたいと思っている初心者の方にもおすすめです。
松原真理子
GreenSnap編集部