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スイレンは、睡蓮鉢や水槽などがあれば、家庭でも育てられます。一般的な草花の育て方とは異なる点もありますが、それほど難易度が高いわけではありません。
また、スイレンと一緒に金魚やメダカを育てるといい雰囲気の空間になりますよ。今回は、スイレンの育て方をご紹介します。
スイレンを育てるには、スイレンを植え付ける内鉢と、水をためる睡蓮鉢(もしくは池)が必要です。粘土質の土を内鉢にいれてスイレンを植え、内鉢ごと睡蓮鉢に沈めて育てます。
管理のポイントとしてはとくに夏場は水やりも必要ですし、1年に1回の植え替えが開花するかどうかを左右します。
また、スイレンの種類によっても植え方や植え替えの時期が違うので、育てる前に品種の確認をよくしておきましょう。
スイレンには、温帯スイレンと熱帯スイレンの2種類があります。温帯スイレンは水面に花を咲かせますが、熱帯スイレンは水面から少し茎を伸ばして花が咲きます。
そのほか、育てる上では下記のような違いがあるので注意しましょう。
温帯スイレン | 耐寒性が高く、水面が凍る程度なら、植えたまま冬越しできる。成長が早いので大きな内鉢と睡蓮鉢か池が必要。 |
熱帯スイレン | 耐寒性が低いので冬は掘り上げて室内で冬越しする。比較的小さな内鉢・睡蓮鉢でも育てることができる。 |
スイレンの苗を植える時期、植え替える時期は、温帯スイレンなら4〜5月、熱帯睡蓮なら6月ごろです。
温帯スイレンは成長が早く、根詰まりしやすいので、必ず1年毎に植え替えましょう。熱帯スイレンも冬越しのため掘り上げるので、毎年植え替えることになります。
スイレンを育てるときは、市販の「スイレンの土」か「水生植物の土」などがおすすめです。もし赤玉土小粒があれば、水でよく練って粘土状にすれば代用もできます。
温帯スイレンを植えるときは、6〜7号の浅めの内鉢(底穴なし)と、直径40cm以上の大きめの睡蓮鉢を用意してください。熱帯スイレンを植えるときは5〜6号の浅めの内鉢と、直径20cm以上の睡蓮鉢を用意しましょう。
睡蓮鉢は午前中に日がよく当たる、半日陰に置きましょう。株元までしっかり日が届く場所がおすすめです。
夏の直射日光や午後の暑い時間帯に強い日差しを浴びると、茹って枯れる場合があるので気をつけてください。
スイレンは水やりというより、水位に注意を払いましょう。水位が下がったら、水道水を足します。とくに開花時、夏場は水が減りやすいので気を付けてください。
また、水が汚れて濁ってしまうと、日光が株元に当たらなくなるので、藻が発生する前にこまめに水替えをしましょう。
水替えは水温の急変動を防ぐため、2分の1か3分の1の水を替えるにとどめてください。春や秋は替え用の水をバケツなどにくみ、一日放置しておくと、水温差がなくなります。
スイレンは生育期中に肥料効果が続くように追肥します。生育期は、温帯スイレンなら3~9月頃、熱帯スイレンなら6~10月頃です。
肥料は緩効性化成肥料を使いましょう。製品によって効果持続期間が異なるので注意してください。2ヶ月持続する肥料なら、生育期間中2ヶ月に1回追肥します。
肥料を与えるときは、一度内鉢を取り出して、株元から離れた土の中に適量埋め込みます。水に溶けてしまうと生育障害が起きるので、しっかり埋めましょう。
元肥にマグァンプKなどの1年効果が続く肥料を使った場合は追肥しなくても大丈夫です。もし葉の色が全体的に薄くなってきていれば追肥してください。
傷んだ葉や咲き終わった花がらはこまめに取り除きましょう。水が汚れるのを防ぐのと同時に、傷んだ葉や咲き終わった花に、無駄な養分を吸い取られないようにしましょう。
まめに葉摘み・花がら摘みした方が、花付きがよくなります。
温帯スイレンであれば、水面に薄氷がはる程度ならそのまま冬越しできます。根茎が凍ってしまうような寒さであれば球根を掘り上げましょう。熱帯スイレンは寒さに弱いので球根を掘り上げて冬越しします。
球根を掘り上げるときは、10月頃から休眠の準備をさせてください。水深を徐々に減らして、内鉢の株元が水面に出るくらいまで水位を落とします。
新芽が出てこなくなったら休眠している証拠なので、内鉢から掘り上げて、根を全て切り落として水を入れたコップに球根を沈め、暖かい室内の窓辺に春まで置いておきます。
芽が増え、根が鉢にまわってしまったら、株分けのタイミングです。植え替えと一緒に4〜6月頃に行いましょう。1株に1芽になるように土を落として塊根を切り分けます。塊根から出ている根は切り取りましょう。切り分けた株は、1鉢に1株ずつ植え付けます。
ムカゴ種であれば、ムカゴで増やせます。ムカゴとは葉の中心部にでてくる芽の一種で、この芽が育ち株になるのです。ムカゴができる品種とできない品種があるため、ムカゴ種限定の増やし方になります。
ムカゴがでてきた元気な葉を切り、裏返して水に浸けてください。やがて発根し、芽と根が成長したら、葉の部分は取り除いて植え付けます。
スイレンがかかりやすい病気は特にありませんが、アブラムシやボウフラなどの害虫には注意が必要です。
アブラムシ:新芽や葉裏に寄生して、汁液を吸います。また、ウイルス病を媒介する間接被害にも注意が必要です。一匹一匹は小さく、被害も小さいのですが、なにせ繁殖力が旺盛で、大量発生すると大きな被害にあいます。なるべく早めに発見し、取り除くか、殺虫剤を散布して駆除しましょう。
ただ、スイレンと一緒に金魚やメダカを育てている場合には、殺虫剤の使用には注意が必要です。殺虫剤の注意事項をよく読み、金魚やメダカがいても使えるのかを確認してください。もし使えない場合は、アブラムシ駆除する間の数日間は、金魚やメダカを一時、別容器に避難させ、水替えをしたあと、戻しましょう。
ボウフラ:ボウフラは蚊の幼虫で、水たまりがあると発生しやすい害虫です。スイレンには被害がないものの、私たち人間にとって蚊は害虫になります。殺虫剤を使って駆除するか、金魚やメダカを一緒に飼う事で予防することができます。
スイレンの育て方や増やし方、種類などについてご紹介しました。公園や庭園の池や沼地などでしか見かけることがなく、大きな池でもなければ、ご家庭では育てられないイメージのスイレンですが、それほど難易度が高い植物ではありません。
品種により、白や赤、ピンク、黄色、紫など色とりどりの花を楽しむことができるのも魅力の1つです。また、一緒に金魚やメダカを飼えば、さらにいい雰囲気の空間になりますよ。
松原真理子
GreenSnap編集部