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「花の女王」と名高いバラは、その美しさと華やかさで、古くから世界中の人々虜にしてきました。そんな不動の人気を誇るバラを上手に育てるには、適切な時期と量の肥料がかかせません。肥料のあげ方をおさえれば、初心者でも丈夫に育て上げることができますよ。
今回は健康を維持する、バラの肥料の与え方についてご紹介します。
そもそもバラは「肥料食い」とも呼ばれるほど、他の植物に比べて肥料をとても必要とするお花です。
たくさんの美しい花を楽しむには、肥料の力を借りて健康を促す必要があります。また適切に肥料を与えると、病気に対して強くなり、何年にもわたって花を楽しむことができるようになりますよ。
バラの生育でもっとも望ましいのは、常に穏やかな肥料効果(土中の栄養が豊富)があり、土壌の団粒構造が良好であることです。
これを目指すために、基本的に緩効性肥料と堆肥を与えていきます。なお、肥料はおもに土中の栄養分を増やし、堆肥はおもに土壌を団粒構造へ改善させる働きがあります。
初心者には、市販のバラ専用肥料がおすすめです。あるメーカーのバラ用肥料は窒素6: リン酸8: カリ5の割合で、花付きをよくするリン酸を多めに、それでいてバランスよく配合されています。
市販のバラ専用肥料の種類はさまざまですが、株の調子をみて、株自体が小ぶりで元気がないようであれば、窒素やカリの比率が高いものを、花付きが悪いのであればリン酸の比率が高いものを用意してください。
IB化成肥料とは、バラの茎葉の生育を助ける「窒素」を、水に溶けにくくなるように加工した、緩効性化成肥料です。肥料効果はすぐに発揮されて1〜2ヶ月ほど持続するので、定期的な追肥に使いやすいです。
ぼかし肥料とは、油かすや馬糞などの有機肥料を組み合わせて発酵させた肥料のことです。
配合や完熟の度合いにもよりますが、一般的には遅効性であることが多く、土中温度が25度以下の場合、肥料効果はほどこしてから1ヶ月ほどしてあらわれます。肥料効果は3〜4ヶ月続くので、バラの肥料では寒肥に向いています。
堆肥は正確には肥料ではありませんが、肥料食いかつ肥沃な土を好むバラにとって、肥料と並ぶほど栽培環境づくりに欠かせない存在です。
代表的な堆肥といえば腐葉土ですが、バラには牛ふん堆肥がおすすめです。牛ふん堆肥は、腐葉土よりも肥料効果が高く、とくにバラの生育に欠かせないアンモニア成分が豊富に含まれています。
そのほか、水はけと水もちのバランスを高め、土壌環境を改善する働きがあります。バラの栽培では元肥や寒肥によく使われているおすすめの堆肥です。
バラへの肥料は大きく分けて、元肥、寒肥、追肥の3つのタイミングがあります。
元肥 | バラの植え付け・植え替え時に、あらかじめ土に混ぜて施す肥料。育て始めたバラの、いわばブースターとなる。 |
寒肥 | 冬に与える肥料のことで、春からの生育の礎となります。土中の栄養分を補充のほか、微生物を活性化させて土壌環境をリセットする。 |
追肥 | バラの生育期に定期的に与える肥料。花を咲かせた体力を補い、次の開花へのエネルギーとなる。 |
それではここからは、ひとつずつ詳しい時期と与え方をご紹介します。鉢植えか地植えかで異なる部分もあるので注意しましょう。
バラの植え付け・植え替えは、新苗の場合5〜6月、大苗の場合11月、数年育てている鉢バラは1〜2月ごろに作業するので、元肥はそれと同じタイミングで与えるようにしてください。
バラを鉢植えに植え付け・植え替える場合、市販のバラ用培養土や草花用肥料を使うのであれば、すでに肥料が配合されていることがほとんどなので、元肥の必要はありません。
肥料が未配合であったり、いちから用土を配合して土づくりをした場合は、製品規定量のバラ用肥料などを土に混ぜるか、根が触れない程度に鉢の底部分にまいて植えましょう。
バラを地植えで育てる場合、掘り起こした植え穴の底の部分に元肥を施しましょう。
新苗、大苗ともに一株に対して、土を深さ50cm、大きさ直径50cmほどまで掘り起こします。そこに元肥として乾燥牛糞堆肥5L、油かす肥料やぼかし肥料などの有機肥料を400gほどを混ぜ合わせて、植え穴の底に入れます。
元肥には緩効性化成肥料でも問題ありませんが、化成肥料には含まれない微量要素などがとりやすい有機肥料がおすすめです。
寒肥を与える時期は、バラが休眠にはいっている毎年1〜2月です。休眠中にじわじわと効く肥料を与えることで、その次のシーズンを健康に過ごすことができます。
バラを鉢植えで育てる場合、新苗・大苗ともに、寒肥は必要ありません。
バラを地植えで育てる場合、新苗・大苗を植えて2〜3年であれば、地中に寒肥を施す必要があります。反対に、地植えにしてから数年経っていて生育が安定しているなら、寒肥を与えなくても育ちます。
寒肥を与えるときは、一株に対して牛ふん堆肥5L、油かす肥料やぼかし肥料などの有機肥料を200gを用意します。
次にバラの一番大きく広がった枝先の真下の位置、株周りを深さ30〜40cmほど掘っていきます。掘り起こした溝穴に用意した堆肥と肥料を均一になるようにいれて、掘り上げた土を戻しいれて完了です。
バラの追肥は年3回与えます。1回目は3月中旬〜4月上旬の春に一番花を育てる役割で。2回目は6月に二番花・三番花を咲かせる体力づくりの役割で。3回目は9月に冬を迎える体力づくりの役割で与えてください。
とくに6月ごろの追肥は剪定をしてから一緒に追肥してあげるといいでしょう。
鉢植えのバラへの追肥は、6号鉢サイズに対して、バラ用肥料小さじ1杯(だいたいひとつまみ程度)の量で十分です。鉢の表土に、2、3箇所に分けて振りかけてあげてください。
なお鉢植えのバラの追肥にのみ、液体肥料で与えることもできます。本来、即効性の肥料のため、肥料焼けが心配されるところではありますが、鉢植えのバラであれば水で洗い出すことができるので、液体肥料での施肥も可能です。
液体肥料で施肥する場合は、4〜9月の間(真夏は避ける)、週1回、水で希釈した液体肥料を水やりのかわりに与えてください。
地植えのバラへの追肥は、一株に対して、バラ用肥料や緩効性化成肥料50g程度の量を与えます。バラが一番大きく広がった枝先の真下の土表面に、ドーナツ状に均等にまいてください。
肥料を与えすぎると、肥料焼けといって芽や枝葉が全体的に黄ばんでいき、いずれ溶けるように枯れていってしまいます。症状を見つけたらすぐさま、肥料の入っていない新しい用土に植え替えしてください。それでも枯れて行くことが多いので、肥料の与えすぎには注意しましょう。
前述の肥料の与える時期・量はあくまで一例です。日々バラの調子を観察して、開花量や花の質を見ながら調整するようにしてください。
市販のバラ用肥料は、その種類によって施すタイミングや量もちがうので、規定量を基準としてバラの調子をみながら与えてあげてください。少し手がかかりますが、きれいに咲かせた時の感動はひとしおですので、みなさんもぜひバラの栽培に挑戦してみてください。
GreenSnap編集部