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ヤブラン(藪蘭/リリオペ)の持つ、すらっと硬く伸びた葉っぱは和の雰囲気を漂わせ、見ている人に落ち着いた印象を与えます。ほぼ一年中、同じ草姿を保ち丈夫であることからグランドカバーや造園などに活用されてきました。今回はそんなヤブランの育て方を見ていきます。
木陰の傾斜地に自生していることが多いヤブランは、耐陰性があり、幅広い環境に適応できます。そのため、日の当たる場所でも、明るい日陰のような場所でも育てることができます。
ただし、日陰では葉っぱがまばらで、徒長気味な成長になってしまい、実をつける花も少なくなります。花をしっかりと咲かせたい場合には、開花時期である秋頃に、半日ほど日光に当てることがおすすめです。
ただし、直射日光にはあまり強くなく、強い日差しにさらされてしまうと葉焼けを起こしてしまいますので、半日向で管理するなどの注意が必要です。
特に、斑模様の入ったヤブランは、通常の緑葉をしたヤブランよりも葉焼けしやすい特徴があります。
ヤブランは耐寒性が比較的強めですので、関東以西の場所で育てる場合には、冬越しの対策を施す必要はありません。
それ以外の場所では、霜にさらされて枯れてしまう恐れがあるため、鉢植えの場合には、軒下や屋内といった霜を避けられる場所に移してあげましょう。
ヤブランは乾燥に強いという特徴があります。
地植えの場合、根付くまでの間は、土が乾いてきたら水やりをする必要があります。ただし、根付いたあとは水やりをしなくても、生育期以外は降雨だけでしっかりと育ちます。生育期に水が切れてしまうと、株が弱ってしまうため、水切れしないように心がけましょう。
鉢植えの場合には、春の新しい芽が出始める頃には乾燥させないように水を与えてあげることで、美しい花が結びます。それ以外の時期には、土が乾いてきたと感じたら水をたっぷりと与えましょう。
ヤブランを鉢植えしている場合には、冬も地面が乾いてきたと感じたら水をたっぷりと与えます。地植えの場合には基本的に水やりをする必要はありません。
ヤブランを地植えをする場合には、とくに肥料を与える必要はありませんが、堆肥などを混ぜておくことで成長の手助けになります。
鉢植えで育てる場合には、緩行性の肥料を春と秋に置き肥してあげます。あるいは定期的に液体肥料を与えて、肥料切れが起きないように心がけます。有機肥料などを土に混ぜて植え付けや植え替えをしたなら、追加で肥料を与える必要はありません。
ヤブランは、水はけさえ良ければ特に土を選ばなくても育ちますが、比較的に有機質に富み、肥沃な用度を好みます。
市販されている草花用培養土、もしくは自分で配合する場合には赤玉土を7、腐葉土を3の割合で混ぜ合わせたものを使うといいでしょう。
また、ヤブランを土植えで育てる場合には、耕した庭土に腐葉土を2〜3の割合で混ぜ合わせることで、ヤブランの生育が良くなります。
ヤブランの植え付け時期は、3月から6月、9月から10月にかけての生育期が根付きやすく理想です。ただし、真夏と真冬の時期以外であれば、ほぼ1年行うことができます。
市販に売られているヤブランの苗を、育てたい場所に植え付けます。このとき、元肥となる堆肥や水はけの悪い場所では、腐葉土を多めに入れることで育ちやすくなります。
鉢植えの場合には、7号以上の深さのある鉢が適しています。地植えの場合は、株と株の間隔は15cmから20cm程度空けておきます。グランドカバーとして育てる場合、20cm程度の間隔を空けておきましょう。
植え替え時期も、生育期で根付きやすい3月から6月、もしくは9月から10月に行うのがおすすめです。
鉢植えで育てている場合には、根が回りやすく、窮屈となってしまいます。また、用土も古くなってきますので、1〜2年に1回を目安に植え替えをしてあげてください。
土植えの場合でも、株の増え具合、生育の様子を見守りながら植え替えをしてあげましょう。おおよそ3〜4年に1度程度が目安となります。このとき、株分けを同時に行うといいでしょう。
種まきで育てる場合には、秋になったら黒くてよく熟れた実を採種しておきます。そこから翌年の春に、実の中に入っている白い種を取り出して、赤玉土などでつくった育苗床に撒いてあげます。2枚ずつ本葉を芽吹かせます。
ヤブランの増やし方は「株分け」が比較的簡単です。植え替えのときに一緒に株分けをしてあげましょう。
株分けの方法としては、1つの株が3から5芽ずつぐらいの大きさに手で割きます。2芽から3芽ずつ分けても育たない訳ではありませんが、生育が衰えて、芽が出なくなったり枯れてしまったり、そのまま株自体にダメージが及び、だめになってしまうことがあります。
そのため、根はあまり切れないように心がけてください。走出枝が伸びるヒメヤブラン・コヤブランは走出枝を切ってあげて、植え付けをすることで増やすことができます。
病害虫に強いヤブランですが、もちろん気をつけなれけばいけない害虫や病気があります。
まずは、ナメクジです。柔らかい新芽や蕾が出てき始めた時に発生して、食べられてしまいます。こまめに確認して退治しましょう。
また、ハモグリバエは発生すると、葉っぱに1mmから2mmほどの白い筋が残り、駆除しないとそのまま葉っぱを元から切り取ってしまいます。
ハモグリバエは黄色のものに引き寄せられる習性があるため、黄色い粘着テープを仕掛けたり、白い筋の先端にハモグリバエがいるので、潰してしまいましょう。
病気については炭疽病にかかる可能性があります。炭疽病にかかると、葉っぱの表面に赤褐色で楕円形の半模様が出てきます。
カビが原因で、水はけの悪い環境で発生して、そこから泥が跳ね返ったり、肥料の窒素が多くなると炭疽病が助長されます。感染した葉っぱは全て取り除いたり、水和剤を撒くことで拡大を防ぎましょう。
ヤブランは古い芽を取り除くことであまり広がらなくなり、悪条件の環境でも順応して生息できることなどから、ガーデンレイアウトを維持したり、グリーンカバーとして用いられます。
薬用としては滋養強壮・せき止め・催乳の効果が期待でき、漢方薬に配合されています。
ヤブランは耐暑性と耐寒性はそれなりにあり、少々の悪条件で管理しても大丈夫です。ただし、夏の厳しい直射日光にはあまり強いとはいえません。
葉焼けを起こしてしまう原因にもなるので、木の根元に植えたり、鉢植えの場合は夏の間は半日向に置いて、直射日光を避けてあげます。
また、冬についてですが、関東以西の場所で地植えで育てる場合には、冬越しの対策を施さなくても大丈夫ですが、それ以外の場所や鉢植えの場合には霜が発生して、せっかくの苗がだめになってしまうことがあります。
霜の当たらないように軒下などに移してあげるほか、冬越しの対策をしてあげましょう。
ヤブランは、冬を越して春になると、新しい葉っぱが生えてきます。前年の葉っぱは傷んでおり、そのまま残しておくと、そこから新芽が生えて育ちますが、混在してしまい見栄えがよろしくありません。
そのため、春先の新芽が出てくる前の時期に、株元からばっさりと古い部分を刈り取ってしまいます。
より流通している斑入りのヤブランは、紫色の花が先から密になり、びっしりと咲きます。花1つ1つは小さめで、大きさは直径7mmほどです。
ヤブランの花の開花時期は8月から10月頃となっています。
ヤブランの花言葉には、「隠された心」、「謙虚」、「忍耐」というものがあります。
和風庭園のお供として親しまれてきたヤブランについて紹介してきました。
悪条件でも順応できるたくましい植物です。また、あまり手間のかからないことなども人気の要因ですね。
この記事を参考にして、ヤブランを是非育ててみてください。
※トップ画像はPhoto by kawokawoさん@GreenSnap
GreenSnap編集部